えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

再審・えん罪事件全国連絡会第25回総会 各事件からの報告

再審・えん罪事件全国連絡会第25回総会

2016年12月4日

各事件からの報告集

1 宮城:仙台・北陵クリニック・筋弛緩剤えん罪事件

守大助さんを守る宮城の会(略称 宮城の会)報告

1、 裁判の焦点 検察に対する求釈明
 仙台地裁の守大助さんの再審請求の棄却(2014年3月)に対する即時抗告審において弁護団側は2015年2月、検察に対して3項目の求釈明を提出した。
 ① 鑑定のための分析で使用したカラムはα2500で相違ないか
 ② 鑑定書ではベクロニウムをイオン化するm/z258のベースピークが検出されるとしているが、現在でもこの見解を維持するか
 ③ 検察官は原審(再審請求審)ではm/z258はベクロニウムの分解物の指標イオンであることを認めている。この見解を前提とした場合、確定1審の鑑定書中、血液中および尿中に存在する化合物の定量を行っているが、この定量は、ベクロニウム未変化体を対象にしたものか、分解物を対象にしたものか。
 検察は「回答書」を提出、弁護団は弁護団会議を開催、検察の回答に対する対応、進行に関する意見書の提出、裁判所との二者協議、三者協議等について検討している
2、 仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件全国連絡会、各組織の活動
 ① 毎月仙台高裁への要請行動・署名提出を続けており、11月22日で18回、毎回5〜8県、20名前後、のべ12都道府県288名が参加、署名提出数は全都道府県62842名。
 ② 支援組織は、5月に守大助さんの地元宮城県大崎に結成されて40,来年初頭に東京三多摩にも結成予定。今年8月関東連絡会が山形県蔵王にて合宿交流会を開催、関東と東北の11県58名が参加。中・四国連絡会は9県33名が参加。両会場とも、弁護団会議にも参加している福岡大学法学部の新屋達之教授の講演「北陵クリニック事件・再審開始のために何をすべきか」を行った。
 ③ 8月に石川県金沢市で開かれた日本母親大会で、また11月に愛媛県松山市で開かれた日本のうたごえ祭典において地元の救援会と徳島、宮城の守る会が全国からの参加者に各2000〜3000セットの宣伝物の配布を行い、全国から母親大会1336名、うたごえ祭典356名(11月27日現在)の署名が寄せられている。
 ④ 夏に開かれた日本国民救援会第58回大会の2日目夜、自主交流会「守大助さんを一日も早く取り戻そう!全国交流集会が開催、24都道府県から74名が参加。
 ⑤ 8月に宮城で守大助さんの支援の曲「ぼくはやっていない」が創作され、12月に神奈川で、「守大助さんは無実です」が出版される。
 ⑥ 全国で支援組織、救援会の大会、両親・弁護団・支援組織からの講師などによる学習会が開催され、運動の前進の大きな力になっている。(札幌、苫小牧、八戸、北上、花巻、大崎、宮城、福島・伊達、郡山、会津、茨城、那須、群馬、飯能、東京、神奈川、千葉、愛知、島根、広島、岡山、徳島、等)
 ⑦ 全国連絡会は12月15日〜16日に仙台にて第13回事務局会議を開催、両親が元気なうちに、仙台高裁で必ず再審開始決定を!(2年以内に逆転勝利を!)をスローガンに運動と体制の充実、強化のために協議する。

2 静岡:袴田事件

袴田事件・即時抗告審

 11月7日東京高裁刑事8部(大島隆明裁判長)で東京高裁と東京高検、弁護団による3者協議が行われました。この日の3者協議内容について、弁護団が記者会見を開き下記の内容を明らかにした。
 ① 弁護団が求めていた全証拠の一覧表(証拠リスト)の開示について、検察が裁判所の「勧告」に従わずに証拠を出さないので裁判所からさらに強い「開示命令」を行なうよう求めたが、大島裁判長は現時点では「開示命令」を行わないことを決めた。
 ② DNA型鑑定の検証実験について、地裁決定の根拠になった弁護団DNA型鑑定の検証実験について、実験の具体的な方法などを決める「予備実験」から、実際の試料を用いて行なう「本実験」に入ったことを伝えたという。しかし、大島裁判長は検証実験の終了時期については言及しなかった。
 ③ 10月19日付けで検察が提出した味噌実験について弁護団として、これまで3者協議で一度も論点として議論がなかった点について、いきなり鑑定意見書を提出することは不公正であり信義則にも反すると抗議したこと。さらに、今回の「鑑定意見書」について検察官の意見が全くふれられていないので、「鑑定意見書」で何を主張したいのか、早急に意見書と「鑑定意見書」の下となった味噌漬け実験の材料とすべてのデータと写真のネガフィルムを弁護団に開示することを求めたこと。
 ④ 弁護団が提出した取調べ録音テープ28本と翻訳書を裁判官が熟読するとともに、テープそのものをぜひ聞いて、違法不当な取調べの実態を実感してもらいたいこと。

検察の不当な引き伸ばしを許さないたたかいを

 この日、袴田巖さんの再審無罪をめざす実行委員会は東京高裁と東京高検に要請行動を行いました。要請では、神奈川県本部をはじめ県本部大会での決議を執行するとともに、DNA鑑定の検証は無意味であり、そのほかの証拠によっても死刑判決は破たんしており一日も早く検察の即時抗告の棄却を求めました。
 袴田巖さんの再審無罪をめざす実行委員会は、裁判所がDNA検証実験を強行し、この日の3者協議では証拠リスト開示についても開示命令を行わないなど、即時抗告審の審理は予断を許さない状況です。検察の巻き返しを許さず、再審開始決定させ一日も早い再審無罪をめざして支援運動を強化します。来年2月に東京で全国集会を予定しています。

袴田事件 次回3者協議12月27日(火) 要請行動の日程>>
 12時15分 東京高裁宣伝行動
 13時15分 東京高裁要請
 14時00分 東京高検要請
 14時45分 弁護団激励
 15時00分 弁護団三者協議へ *終了後、司法クラブで記者会見

上映運動が幅広く取り組まれている実例として

 北九州総支部が取り組んだ、袴田事件「夢の間の世の中」北九州上映会2016年10月22日に2回上映会を行い150名が参加しました。この取り組みには、門司地域労働組合協議会、国民救援会北九州総支部、部落解放同盟門司地峡、狭山事件を考える北九州市民の会など幅広い人たちが上映実行委員会を立ち上げて取り組みました。部落解放同盟の中には「共産党系の団体との共催はあり得ない」と拒否するところもあったけれど、北九州のなかでも野党共闘が進んでいる門司地域での上映会が開催されました。この上映会には衆議院議員の田村貴昭さんが見えられ「東京では部落解放同盟とも協力が出来ている、北九州でこんな形で上映会ができてうれしかったので参加した」との声も寄せられたとのことでした。 
 静岡でも北九州の取り組みに学んで、幅広く支援の輪を広げる努力をすることが必要と感じています。
 地元静岡では、静岡県警本部に対して、袴田巖さんが逮捕された当時に県警が行った違法捜査に対し、抗議申入れ活動を行っています。
 申入れの内容
 ① 1966年8月22日、袴田巖さんと弁護人との接見を盗聴した事実を認め謝罪すること。
 ② 2015年8月18日の申入れの際、貴職の窓口として対応した管理官は接見盗聴に関し「今も昔もしていません」と公言したが、その根拠を明らかにすること。
 ③ 具体的な根拠もなく袴田巖さんを逮捕し、違法捜査、拷問捜査、そし48年にも及ぶ勾留生活を強いるばかりでなく死刑執行の恐怖にさらした事実を認め謝罪すること。
 再三行われている抗議申入れ活動に対し、県警は私服警官を動員して威圧を繰り返し行なっている。

3 愛知:えん罪豊川幼児殺人事件

えん罪豊川幼児殺人事件 田邊さんを守る会

現状

 ・2002年7月28日の事件から、14年を経過しました。犯人とされて有罪判決を受けた田邉雅樹さんも、大分刑務所に収監されて8年が経ち、満49歳になっています。
 とても元気そうですが、手紙には、ご両親が達者なうちに故郷に戻りたいと書いています。
 ・福井県の美浜町にいらっしゃるご両親もご高齢(お父様は82歳)になりました。特にお母様は息子のことを気に病んで精神的にとても不安定な状況が続いており、そのことが更なる負担となってお父様の重荷になっているようです。しかし、お父様は今のところとても気丈に過ごしておられます。(10月の下旬にお会いしてきました。)
 ・弁護団は、17の新証拠を持って今年 (2016年)7月15日に、名古屋高裁に対して再審申立を行いました。
 ・裁判所に三者協議の開催を要請しましたが、「現時点(11月10日現在)では予定なし」との返事でした。
 ・弁護団会議では、開示させるべき証拠についての整理を行っています。
 ・「守る会」では、名古屋高裁に対して、1. 一刻も早くこの事件の再審開始決定をすること 2. 開示されていない証拠をすべて開示させること を求めて、要請署名活動に取り組んでいます。

課題

 ・この事件では田邉雅樹さんが逮捕されていますが、、①物的証拠が何一つない ②事件の目撃証言がない     
 ③有罪の根拠は、田邉さんの強要された自白のみ となっています。従って、この自白の信用性が争われるわけですので、弁護団は自白の矛盾点、現実との齟齬を明らかにすることに重点を置いています。自白通りでは、確定判決にあるような事件は起こりえないということを、裁判所に認めさせることができるかどうかが鍵だと思います。
 ・また、裁判所が本気になって新証拠に目を通し、過去の証拠も含めて改めて事件を見なおしてくれるように持って行くにはどうしたらよいかが、大事な点だと思います。この点で「守る会」として何ができるのかを考える必要があると思っています。

主な取り組み

 ・8月28日の「守る会第6回総会」において確認された方針に基づいて活動をしています。
 ①再審開始を実現させるために、裁判所への要請署名活動に力を入れています。
  年内に、名古屋高裁と高検への要請をしたいと考えています。
 ②上記①を進めるために、「事件の真相の普及」が必要なので、街頭宣伝、学習会、他組織への訴え、パンフレットの作成などに取り組んでいます。
 ただ、幼児が投棄されたとする岸壁が工事中のため、現地調査ができなくなっており、これが痛手です。
 ③上記の取り組みを強く大きなものにするために、会員拡大の目標を来年度の総会までに現在の約2倍に当たる300名とすることにしました。②とも併せて取り組んでいます。(事務局長 渡辺達郎)

4 三重:名張毒ぶどう酒事件

三重・名張毒ぶどう酒事件(殺人、殺人未遂)

第9次再審請求人  奥西 勝さん 2015年10月4日 獄死

第10次再審請求人  岡 美代子さん
 2005.04.04 名古屋高裁刑事第1部(小出錞一裁判長)再審開始、死刑執行停止決定
 2006.12.26 名古屋高裁刑事第2部(門野博裁判長) 再審開始を取り消す不当決定
   ・
   ・
 2013.11.05 第8次申立
 2014.05.28 請求棄却
 2015.01.09 異議棄却
 2015.05.15 第8次取り下げ、第9次申立
 2015.10.15 奥西勝さんの死亡により第9次終了
 2015.11.06 親族・岡さんによる第10次申立 刑事第1部(山口裕之裁判長)係属

第10次再審の進行 (2016.11.22 愛知の会総会での弁護団報告より・小林修弁護人)

 2015.11.06 第10次再審申立 新証拠①~⑨提出 (毒物鑑定)
       封緘紙と王冠の閲覧謄写請求・証拠開示命令申立書(1)(2)提出
 2016.01.05 封緘紙は許可、王冠は不許可
     13 裁判所面談申し入れ
     14 封緘紙の閲覧謄写実施・王冠と歯型の閲覧謄写請求
    03.08 王冠に付き理由補充書提出→不許可 
   05.18 新証拠⑩~⑱提出ー(毒物および「糊」鑑定)
       証人尋問請求(化学技術者、科学者、研究者)
       3者協議を申し入れ
    07.06 再審請求理由補充書(1)提出
     20 新証拠⑲提出ー(「自白」関係)・証人尋問請求(心理学者)
    10.04 新証拠⑳~㉕提出ー(毒物及び「糊」鑑定)
       証人尋問請求( 化学技術者、科学者)
       再審請求理由補充書(2)と(3)提出
       証拠開示命令申立書(2)の理由補充書提出
       3者協議と検察官への求意見申入れ
             裁判所「現在、進行協議の必要なし」と不当な回答
    11.04 再度の申入れ 
    11.22 裁判所面談 但し、裁判長参加せず、主任のみ
                事実上の面談のため記録は残さないと対応
             主任、検察官とも着任後半年あまりでこれから動きが?
   ・証拠開示の対象 ー 警察・検察が作成・収集した全証拠、その一覧表、送致目録
              公民館・その周辺の写真・ネガ

活動報告

 1 要請行動 毎月実施
 2 署名 3万1874筆(11月16日現在)
 3 集会・宣伝など
   各地でさまざまな取り組みがされています。
   ・5.28 なくそうえん罪 救おう無実の人々関西市民集会Part9(関西 280名)
   ・9.29 ふたりの死刑囚上映会(東京 86名)
   ・10.4 名古屋高裁前 獄死1周年行動(愛知 全国から200名)
   ・各地での定例街頭宣伝、東京駅頭や愛知大須宣伝など 1.14「誕生日宣伝」
 4 映画「約束」「ふたりの死刑囚」の上映会が全国で取り組まれました。

今後の方針案 

 1 奥西勝さんの無念を晴らし、名誉を回復する第10次再審勝利のために個人要請署名を早期に名古屋高裁刑事1部に集中する
 2 引き続き裁判所及び検察庁に対する要請行動を毎月実施する。
 3 証拠隠しの不当性を広く市民に訴え、早期開示を裁判所、検察庁共に強く求める。
 4 87歳となった再審請求人・岡さんを支える活動に取り組む。
 5 4.5(開始決定日)、9.10(死刑判決日)、10.4(獄死の日)などの機会を捉えた宣伝、また、定例宣伝に旺盛に取り組む。
 6 第10次再審、とりわけ新証拠や証拠開示についての学習会、集会などを全国各地で開催する。
 7 メディアを積極的に広げ、新たな団体などにも支援を訴える。

5 滋賀:日野町事件

滋賀・日野町事件

 事件の概要

 1984(昭和59)年12月28日、滋賀県日野町豊田で酒店の音有ん集じん池元はつさんが行方不明となり、翌年1月18日、日野町内の宅造地で殺害された状態で発見される。同年4月28日、同女所有の手提げ金庫が日野町内の山林で、壊された状態で発見され、警察は強盗殺人事件として捜査。3年後に同店壺入り客だった阪原弘さんが逮捕された。

 裁判の経過(提訴日、各審級の判決、係属裁判所)

 1988.4.2  大津地裁に強盗殺人罪で起訴
 1995.6.30  大津地裁で無期懲役の判決
 1997.5.30  大阪高裁 控訴棄却
 2000.9.27  最高裁 上告棄却決定
 2001.11.27 大津地裁 再審請求申立て(第1次)
 2006.3.27  大津地裁 再審棄却決定
 2006.3.30  大阪高裁 即時抗告申立て
 2011.3.18 再審請求人阪原弘さんが死亡
 2011.3.30  大阪高裁 「申立人の死亡により終了」と決定
 2012.3.30  大津地裁 遺族による再審請求申立て(第二次) 現在に至る
 金庫発見現場の引当て捜査の写真が、ネガの開示によって「往路」と「復路」が入れ替えられていたことが判明し、これを契機に裁判所の態度が変わる。以後、100点を超える未開示証拠が開示され、被害者が殺害されたとされる時刻に、被害者は来客とともに近くの公衆浴場へ行き、洗い場で別の知人女性と会話していたことがわかった。また、遺体発見現場での死体遺棄再現実験では、発見されたときの「頭部が南東方向」、「左伏せ」の状態に合わず、「自白」との矛盾が明確になり、さらに遺体を降ろしたときの写真がない。また事件の日、妻の実家でお清めがあり阪原さんと出会ったとされる証言者の供述が29日だとされ、阪原のアリバイが虚偽であるとされたが「29日である」とする捜査の裏付けがないことが分かった。さらに科捜研で鑑定された被害者の「爪」だけでなく、採取・鑑定・結果に関わる一切の試料が行方不明となっている。死因について新たに法医学者の意見を求めている。

6 京都:「長生園不明金事件」

事件レポート 京都府「長生園不明金事件」

2016年12月 「長生園不明金事件の真相の究明する会」 事務局長・山岡良右

長生園3千万円不明金事件は、まだ終わっていません!

 西岡廣子さんは、無実です。 裁判のやり直しを求めています。
 今年(2016)11月10日は、西岡廣子さんが長生園3千万円不明金事件の被疑者として、園部署(現南丹署)に不当逮捕されて17年になります。また最高裁で懲役1年執行猶予4年の不当判決が確定して11年となりました。私たちは、真相の究明と裁判のやり直しを求めて運動を続けています。私たちの運動は今なお「再審を準備中」ですが、事件を風化させず本当のことを広く知ってもらうために、地元南丹市で市民に情報を発信し続けています。
 本年(2016)1月の第7回定期総会以後、約11ヶ月の取り組みを報告します。

【活動報告】

 ・1月 第7回定期総会を開催。出席者26名、事務局の議案報告にもとづき参加者全員が発言し一年間の活動方針と決算・予算・役員を承認。会員はこの1年間で39名増え目標の150名を達成、次期大会までに200名に到達することを確認。総会終了後、宣伝車1台・ハンドマイク3隊で宣伝を実施。
 ・2月 第1回事務局打合せ会議を開催、年間の取り組み、新しい宣伝物について検討、会議終了後定例の宣伝を実施。
 ・3月 第2回事務局会議を開催、宣伝資材(発送用封筒・会員拡大リーフ・スローガンボード)の作成などを検討、終了後定例の宣伝を実施。定期総会の様子、西岡さんのエッセー「園部の町から」などを掲載したニュース「真相究明」20号を発行、京都府の監査・監督状況について、改めて当時の対応を検証するため京都府地域福祉課の担当者に面談。
 ・4月 第3回事務局打合せ会議を開催、「訴えます」シリーズ第4弾ビラの内容と不当逮捕17周年の企画について検討、終了後定例の宣伝を実施。
 ・5月 第4回事務局会議を開催、立命館大学に開設された「えん罪救援センター」(IPJ)に提出する申込書を検討、当面する日程と取組みを確認、周龍五定例の宣伝を実施。滋賀県母親大会の「えん罪を考える分科会」に西岡さんが出席。「真相究明の会」は訴えますシリーズ第4弾ビラを1万枚作成、新聞折込や各種集会・宣伝行動の際に活用。
 ・6月 えん罪救援センターに所定の書類が整ったので郵送、受領した旨のメール着信あり。150件超の申請書類を順次審査しているとの事。第5回事務局打合せ会議を開催。無実の人を救う全国一斉行動、関西市民集会パート9、救援会与謝支部での訴えなどを載せたニュース「真相究明」21号を発行。
 ・7月 事務局会議・宣伝行動は、参議院選挙と重なったため中止とした。
 ・8月 第6回事務局打合せ会議を開催、西岡さん不当逮捕17周年の企画について具体化、終了後宣伝を実施。
 ・9月 第7回事務局会議を開催、不当逮捕17周年企画案内のビラ作成を検討、第8回定期総会の開催日程と、「のぼり」50本を新調することも確認、会議終了後定例の宣伝を実施。
 ・10月 第8回事務局打合せ会議を開催、救援会府本部大会での乗井弁護士(東住吉冤罪事件・朴弁護団)の講演を学び、警察・検察の「供述調書」を改めて検討。不当逮捕17周年企画の案内ビラ1万枚を作成、新聞折込み・労組・団体に持ち込みなどで活用。第8回定期総会の案内などを載せた、ニュース「真相究明」第22号を発行、会議終了後定例の宣伝を実施。
 ・11月 西岡さん不当逮捕当日宣伝をJR園部駅前で実施、参加者9名ビラを200枚配布。 不当逮捕17周年講演会を東住吉冤罪事件で再審無罪を勝ちとった朴さん母子、長生園裁判を担当した福山弁護士を迎えて開催、参加者は会場いっぱいの50名。講演会の開催に先立ち宣伝車3台、ハンドマイク1隊で園部町全域で宣伝、参加者13名。救援会山科支部大会で西岡さんが訴え、会員拡大も進み目標の20名を達成!

【今後の課題】

 弁護団の協力を得て、検察が保管している取調べ当時の書類開示を求める。裁判で重要な証言を行った長生園職員への働きかけを再度すすめる。会員拡大と毎月の宣伝の継続など。

7 兵庫:えん罪・神戸質店事件

兵庫:えん罪・神戸質店事件ーいよいよ再審弁護団の編成具体化

 神戸質店事件は、有罪確定後、支援する会が新証拠の発掘につとめてきましたが、この秋から、いよいよ再審弁護団の編成が具体的にすすみ始めています。

強盗殺人事件で逮捕されたが一審では無罪

 本件は、2005年10月18日、神戸市内の質店主が何者かに殺害され、1年10ヶ月後の2007年8月、電気通信設備校の事業を営んでいた緒方秀彦さんが強盗殺人の罪で逮捕された事件です。緒方さんは、逮捕当時から一貫して無実を主張しており、神戸地裁は2008年6月、無罪を言い渡しました。判決は、緒方さんは以前、この店舗に防犯カメラの取り付けの相談を受けて立ち入り、ビールをごちそうになったと話しており、店内に残された指紋、タバコの吸い殻、靴跡はその主張と矛盾しないこと、目撃者の面割りは警察官に誘導された可能性があることなどを指摘し、緒方さんと犯行を結びつける証拠は一切ないとしました。

同じ証拠で逆転有罪・無期懲役が確定

 ところが、大阪高裁は2009年9月、新しい証拠もないにもかかわらず同じ証拠に基づいて緒方さんが金品取引の目的で被害者を殺害したと認定。無期懲役の有罪判決を言い渡しました。
 有罪の証拠とされた目撃証言は、「不審者はスポーツ刈りで黒っぽいスポーツウェアを着ていた」、「目は似ているが全体的には似ていない」というものです。ところが緒方さんは「縮れ毛で額に垂れた髪型」であり、営業中の服装も「薄緑色の作業着」です。
 また、被害者は大量に出血し、店内の壁や天井には多数の血痕があり、血液が付着した手で電話機に触った痕跡などが発見されました。このことから当然、犯人の身体や着衣に多量の血液が付着していたと考えられます。ところが、緒方さんの指紋や靴からは、血液反応が一切検出されていません。

有罪の根拠は間違っている

 そもそも、犯行当時の靴を1年10ヶ月も保持していることや現場に多量のタバコの吸い殻や指紋などを無造作に残していくこと自体が不自然で、計画的な犯行とするのは不合理です。
 また、二審判決は、事件当夜に現場で不審な男を見たという目撃者は、事件直後は写真の面割りで特定の人物を選べなかったが、1年10ヶ月後、緒方さんの写真を入れた面割りで初めて緒方さんを特定したので信用できるとしていますが、目撃者が事件の直後に、別の人物を選んでいることは、捜査記録(面割台帳・供述調書)が残っています。

岡山刑務所から再審請求めざす

 緒方さんは2011年、上告を棄却され、現在、岡山刑務所から無実を訴えています。家族と小中高校の同窓生も面会に通い、支援しています。

8 兵庫:姫路(花田)郵便局事件

兵庫:えん罪花田郵便事件ー再審求め最高裁

 姫路市の花田郵便局で起きた2人組の強盗事件で、真犯人が自首して「共犯者はジュリアス(仮名)ではなく別のナイジェリア人だ」と一貫して主張しているのにジュリアスさんは実行犯として懲役6年が確定し、服役させられました。
 その後ジュリアスさんは再審を求めましたが、神戸地裁姫路支部は弁護側の主張を聞くための協議すら開かないで請求を棄却しました。

3月、大阪高裁が「原決定破棄、地裁に差し戻し」決定

 これに対するジュリアスさんの即時抗告で、大阪高裁は2016年3月15日、再審請求を退けた地裁決定を破棄して、神戸地裁に審理を差し戻す決定をしました。
 この高裁決定は、地裁が弁護側の主張を聞く手続きをきちんとふまなかったのは、刑事訴訟法の規則286条に違反するので、もう一度、地裁で手続きをふめというものです。これは一見無罪方向に道がついたように見えますが、この決定は不当な部分があります。

一見、良く見えるが、中身は悪い高裁決定

 もとの地裁決定は、ジュリアスさんが2人組み強盗の実行犯と認定できないことを認めておきながら、ジュリアスさんは《裏で手をひく3人目の犯人かもしれない》という理屈(共謀共同正犯)を持ちだして請求を棄却しました。こんな主張はそれまで一度も争点になっておらず確定した有罪判決とも違う事実認定です。地裁は勝手に土俵を広げて有罪を維持したのです。
 これは、不意打ちで、事実上、二度目の有罪判決に等しいことです(二重の危険禁止・憲法第31条「同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問はれない」)。
 今回の高裁決定は、弁護側の主張を聞かなかったのは刑訴法の規則に違反することは認めましたが、実行犯でなければ共謀共同正犯かもしれないという地裁の認定方法自体は容認しています。
 そこで、ジュリアスさんは、この高裁決定を不服として特別抗告。裁判は最高裁で争われています。

並行してたたかわれる3つの裁判ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 この事件では次の3つの裁判もたたかわれています。いま、支援運動を本格化するために準備中です。
1.入管法裁判「無実証明しないと国外退去」
 ジュリアスさんは服役後、入国管理局に収容され、退去命令書が発付されました。今は仮放免という措置で拘禁を解かれていますが、裁判所は「有罪判決が事実誤認であることを当該外国人が立証すべき」と、事実上、ジュリアスさんに無罪立証を求める不当な決定が出され控訴しています。
2.ケガの国賠裁判ーー神戸地裁姫路支部
 ジュリアスさんは服役中、腕に大けがをしましたが適切な処置がされず腕を曲げられない障害が固定してしまいました。近く証人尋問も始まる見通しです。
3.証拠隠し・証拠改ざんを追及する国賠裁判ーー神戸地裁
 今年(2016)5月に控訴した新しい裁判です。

9 鹿児島:大崎事件

<鹿児島・大崎事件についての報告>

 1 大崎事件第三次再審請求審の状況

 ①2015年7月の再審請求申立以降、9月30日付で検察官意見書と近藤稔和教授の意見書提出
 ②同年10月9日第1回進行協議(法医学者と心理学者の証人尋問採用)
 ③11月10日第2回進行協議(裁判所が死体発見時の写真と解剖写真のネガ開示勧告)
 ④11月24日新証拠である法医学鑑定につき鑑定人の吉田謙一教授に対する証人尋問
 ⑤12月8日新証拠である供述心理分析鑑定(親族<ハナ>の目撃供述に関するもの)につき、鑑定人の大橋靖史教授・高木光太郎教授に対する証人尋問実施
 ⑥2016年1月8日検察側鑑定人の近藤稔知教授に対する証人尋問実施
 ⑦同年5月27日親族(ハナ)について供述心理補充鑑定書提出
 ⑧ 6月3日第6回進行協議(西京子さんの意見陳述、46本のネガ開示勧告)
 ⑨ 6月13日46本のネガ現物開示(裁判所が押収のうえ弁護人に貸出し)
 ⑩ 8月5日供述心理鑑定人2名に対する2度目の証人尋問実施(事前に裁判所から尋問事項が示される)
 ⑪ 9月12日第9回進行協議(弁護人、検察官双方が11月末日までに最終意見書を提出することを確認)
 ⑫ 10月21日第10回進行協議(20日付で18本のネガフィルムが弁護団に貸出される)
 ⑬ 11月22日第11回進行協議(弁護団・検察の最終意見書の11月末提出の確認・前回出された18本のネガをプリント・印画。写真についての分析は最終意見書提出より後に補充で提出を確認、裁判所から、決定は「私たちが書きます」とはっきり明言あり=年度末までには決定出る可能性)
 次回進行協議1月12日午前11時30分

 2 支援の状況

 ①2016年2月21日 鹿児島市で支援集会(朗読劇、130人が参加)を実施
 ②進行協議に合わせ鹿児島市での署名宣伝行動実施(大隅・鹿屋市で8月)
 ③第18回全国現地調査実施10月15日、16日(1日目86人が参加)
 ④10月21日現在、裁判所宛て要請署名14,456筆提出。
 ⑤11月19日休宴会長崎県本部大会で大崎事件の朗読劇(めざす会3人)

 3 取り組みの課題

 ①再審開始勝利に向け要請、宣伝の強化を行なう
 ・12月10日(土) 大崎事件:再審無罪を勝ちとるための集会を成功させる。
        (会場200人収容可)、集会成功に向けた宣伝活動
 ・1月25日(水) 裁判所要請行動を実施(宣伝と動員)
 ・2月上旬(予定)地元大隅での決起集会の取り組みを具体化する。

10 茨城:布川国賠訴訟

この1年間の活動報告と今後の課題

えん罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会

この1年間の活動

 2012年秋、11月12日提訴に先立って結成された支援する会は結成から丸4年が立ち、現在、会員数は424名である。結成以来、裁判傍聴と裁判当日の報告集会、裁判所要請と裁判所前宣伝、署名活動を中心に活動してきた。
 しかし今年は、5月に布川事件の再審無罪確定5周年を迎えたことから、5月を「布川月間」と中澤宏事務局長が名付け、総会のほかに大きな集会を2つ企画した。まず、5月7日(土)、第5回総会を日比谷図書文化館で開催。13日(金)には「櫻井昌司コンサートと大崎事件の朗読劇『叫び』を文京シビック小ホールで上演し、250名を集めて大成功。28日(土)には、再審無罪5周年記念集会を青山学院大学総研ビルで70名余りが参加して開催した。
 裁判の方は、昨年末に裁判長が再び交代し、3人目の朝倉佳秀裁判長が、3月17日、杉山さんのあるはずの初期の自白録音テープを提出するよう文書提出命令を出した。原告被告双方が東京地裁に即時抗告し、地裁での裁判は中断した。即時抗告審は、2回の審尋を終え、年内、遅くも年明け早々に判断が出る見込みであり、最高裁に特別抗告されなければ、地裁での審理が再開する。
 支援する会は、12月24日(土)15:00〜日比谷図書館文化館4階ホールで、文書提出命令についての報告を上野格弁護士に、また、冤罪裁判全体のなかでの布川国賠の意義について布川国賠弁護団長の谷萩陽一弁護士に講演していただく予定である。
 さらに、2月5日には弁護士全員参加による裁判の争点整理の集会を、裁判の終盤戦への総決起集会と位置づけて行なう予定である。

今後の課題

 支援する会は、再審無罪を闘った櫻井昌司さんと杉山卓男さんを守る会の時代に比べ、組織としての体制がかなり少規模であり、集会の企画実現もなかなか困難な面がある。しかし、小規模ながら、えん罪被害者のフロントランナーとして積極的活動を続ける櫻井昌司さんとともに、裁判でえん罪原因の解明、証拠の全面開示の実現を目指すだけでなく、冤罪をなくすという視点からの広範囲の活動を、他の冤罪事件支援団体とも共闘して今後も継続していく所存である。

11 「なくせえん罪!「市民集会」

「なくせ冤罪!市民評議会」 (SNOW)

活動報告と今後の方向性

1)刑訴法改悪反対運動
 「刑訴法第一部改正法案」の成立阻止を焦眉の課題とし、「盗聴・密告・冤罪NO!実行委員会}、さらに「8団体」(*下記)へと運動の主体を拡げ、国会審議の進行状況に応じて、度々の院内集会や市民集会、また日弁連への要請や記者会見などを行った。最終的に、法案は2016年5月24日に成立してしまったが、この反対運動を通じて、現制度が孕む冤罪の危険性にも警鐘を鳴らし、また盗聴や司法取引など捜査権限の強化に反対する市民、法律家、国会議員との幅広い連携をつくり上げることができた(本来、SNOWが目指している市民による司法制度改革への地盤たりうる)。
 *「8団体」(順不同)とは
 盗聴・密告・えん罪NO!実行委員会、盗聴法廃止ネットワーク、社会文化法律センター、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国債法律家協会、日本民主法律家協会、盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する刑事法研究者の会
2)「白鳥決定」40周年シンポジウムの成果
 SNOW(代表)が「呼びかけ人」に名を連ね、実行委員会にも参加。
 このシンポジウムを通して、「白鳥決定」を生かすためには、司法制度の改革(とくに再審における証拠開示、検察官上訴禁止)が不可欠であることが、あらためて明らかになった。本来SNOWの目指す市民による司法制度改革にもつながる成果と言える。
3)「民間法制審」の準備
 えん罪防止のためには刑訴法の抜本的な改革が必要であるが、当面は、まず以下の3点を優先課題として問題の核心を明らかにしていく。 
 ■検察官上訴の制限もしくは禁止
 ■全証拠の事前開示の義務化
 ■すべての取調べの全過程の録音録画の実施とともに、その記録媒体等の使用方法
 この3点を中心に改正の方途を提言する。そのためには専門家との協働が必要である。
具体的には、必要なセミナーを開催し、それをもとに論議を深化、拡大し、刑訴法の見直し次期(3年後)までに「民間法制審答申」にまとめたい。
初回として、11月14日、白取祐司神奈川大学法務研究科教授によるセミナー「冤罪を生み出す検察官上訴制度のどこが問題か」を開催した。
4)その他
 「民間法制審」の呼びかけを中心とし、今後も重要な論点に関連する裁判の動向を注視。可能な支援を行いつつ、幅広く提言と啓蒙活動を行いたい。

SNOW代表 客野美喜子 2016/11/27記

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