えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

再審公判で明らかになったこと

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栃木・足利事件の再審公判が宇都宮地裁で開かれています。証人尋問や証拠取調べが終わり、3月26日に判決を迎えます。これまでの審理で何が明らかになったのか、弁護団の泉澤章弁護士に聞きました。(2月15日号救援新聞に掲載されています)

DNA鑑定 誤り認めぬ科警研所長

__弁護団は、再審公判にどのように臨まれましたか?

 まず、再審公判はどうあるべきかという入り口のところで検察官との間で激論を交わしました。弁護団としては、再審公判で、旧DNA型鑑定がなぜ誤ったのか、菅家さんはなぜ「自白」し、裁判の途中まで維持したのか、などを究明する必要があると主張しました。これに対し検察は、菅家さんの無罪は明らかだとして証拠調べをせず早期に幕を引こうとしました。結局、裁判所は、有罪判決がなぜ誤ったのかを明らかにする過程で、証人や証拠を調べるのは不可欠として、弁護団の主張を基本的に認めました。

__再審公判でどのようなことが調べられたのですか?

 大きくはDNA型鑑定と「自白」です。DNA型を再鑑定した鈴木廣一大阪医大教授と本田克也筑波大教授が証人として調べられ、いずれの証人も現場に残された体液のDNA型と菅家さんのDNA型は一致しないことを証言しました。
 検察は、警視庁の科学警察研究所(科警研)による旧鑑定のやり方が根本的に間違っていたとの本田教授の証言に噛みついてきました。「証拠調べは必要ない」と言っていた検察が、科警研の福島弘文所長の証人採用を求めてきました。福島所長は、鑑定で使った資料がそもそも犯人の体液かどうか疑わしいとか、20年前の劣化した資料のために出る誤差をとらえて批判したりなど、揚げ足取りともいえるような証言をおこないました。もし旧鑑定の誤りが明らかになれば、当時同様の鑑定で有罪となった多くの事件への影響が避けられなくなるからです。科警研の威信も守りたかったのでしょう。

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自白問題 否認テープの存在明らかに

__自白問題は?

 1月21日と22日の公判で、検事が菅家さんを取り調べた際の録音テープが法廷で再生され、その後その取調べをおこなった森川大司元検事への尋問がおこなわれました。
 実は、録音テープがあることは弁護団も知りませんでした。朝日新聞がテープの存在をすっぱ抜きました。菅家さん自身も記憶になかったようです。早速、テープを出すよう検察に求めたところ出してきましたが、その際、「このテープは別件(※)を調べたものだ」と説明しました。ところがテープを聞いてみると、本件についても取調べをおこなっており、驚いたことに菅家さんが本件について自白を撤回している場面が録音されていました。

  検事「....君がどの事件に関わっていて、どの事件に関わっていないか」
  菅家さん「話していいですか?」
  検事「あー」
  菅家さん「全然関わっていません」
  検事「全然関わっていない?」
  菅家さん「はい。絶対言えます」

 この翌日にも、森川検事は取調べをしています。否認を撤回させるために菅家さんを追い込んでいます。

  検事「どうなんだい。ずるいじゃないか、君」
  菅家さん「.....」
  検事「何でぼくの目を見て言わないの、そういうこと。さっきから君はぼくの目を一度も
    見ていないよ?」
  菅家さん「....(涙ぐむ)」
  検事「うん?」
  菅家さん「....(涙声で)ごめんなさい。すみません」(中略)
      「....(涙交じりの声で)すみません....」
  検事「間違いないんだな? ん? 真美ちゃんの事件(注・本件)は間違いないんだ
    ね?」
  菅家さん「はい」
  検事「やったの?」
  菅家「あとは知りませんけど」
  検事「真美ちゃんのは間違いない?」
  菅家さん「はい。すみません」

 菅家さんは再び「自白」をさせられました。家族には「自分はやっていない」との手紙を送っていたことは知っていましたが、検事にも否認していた事実は初めて知りました。このテープから、菅家さんの心が大きく揺れ動いていたことや警察に対して恐怖心をもっていたこともわかりました。
 (※)本件足利事件とは別に足利市内では2件の幼女誘拐殺人事件が起きていました。菅家さんは当初、3件とも「自白」しましたが、結局検察は本件だけを起訴し、他の2件は不起訴としました。

教訓は何か 全面可視化と全証拠の開示

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__今後に生かすべき足利事件の教訓は何でしょうか?

 1つ目は、科学的証拠の問題です。DNA型の再鑑定で菅家さんの無実が明らかになりましたが、鑑定をした資料は後に検証できるように適正に保存しておくことが絶対に必要です。「科学的」という冠のせいで、他の証拠(「自白」と違う事実など)が見えなくなってしまうことにも注意しなければなりません。
 2つ目は、自白です。多くの冤罪事件で、、ウソの「自白」がとられています。一般的には、無実の人が「自白」するはずがないと思っているでしょうが、この事件はその見方の危うさ・誤りを示したと思います。
 3つ目には、取調べの可視化(録音・録画)と検察官の手持ち証拠の開示問題です。警察や検察が主張している一部「可視化」に根本的な疑問を投げかけました。菅家さんの場合も、「すみませんでした」と泣いて「自白」している部分だけ聞けばいかにも犯人に思えてしまいます。取調べ全過程の可視化がどうしても必要です。
 証拠開示問題では、検察が証拠を開示したのは菅家さんが無実だとはっきりしてからです。否認を録音したテープも再審公判で初めて出されてきました。裁判員制度に伴って、検察の証拠開示の範囲が以前よりも広がったとはいえ、最終的には証拠を出すか出さないかは検察官の裁量なので、すべての証拠の開示を義務付けることが必要です。

__いよいよ判決を迎えるわけですが。

 弁護団としては、菅家さんの無罪はもちろんですが、なぜ誤判が生まれたのか、その問題について明かにしていきたいと思います。最後までご支援お願いします。

__ありがとうございました。

<無罪判決要請先>〒320-8505 宇都宮市小幡1-1-38 宇都宮地裁・佐藤正信裁判長

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