えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

再審・えん罪事件_最近の動き 10月16日

□三重・名張毒ぶどう酒事件

奥西勝さんが獄死! 「奥西さんのお別れ会」の日程を調整中!

名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんが、10月4日、12時19分に「肺炎に起因する多臓器不全」のため、収容先の八王子医療刑務所で獄死(享年89歳)しました。
無実の奥西さんを「殺人犯」の汚名を着させたまま、監獄において死を迎えさせた国家権力に対し、「奥西さんの死は、国家による殺人だ」と、全国からの憤りの声が寄せられています。
「中日新聞」「東京新聞」10月5日の社説は、「冤罪の可能性を消せぬまま、二転三転する司法判断の末に八九歳の奥西勝死刑囚を獄死させてしまった名張毒ぶどう酒事件は、冤罪と同じほど罪深い司法の自殺的行為」であり、「日本の司法は敗北した」と、厳しく裁判所の責任を断罪しています。
(お詫びと訂正)
奥西さんの不屈のたたかいを偲びとともにご冥福を祈るため、「奥西さんのお別れ会」開催にむけ日程を調整中です。関係者で最終的な確認のないまま11月23日ということで掲載しました。ご遺族、関係者のみなさまにご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。あらためて、開催日時等が確定しましたらご案内申し上げます。

詳細は、国民救援会愛知県本部(電話052-251-7515)までお問合わせください。

□静岡・袴田事件

裁判所が弁護団の意見を無視して、DNA鑑定の検証実験を強行!

 10月15日、東京高裁第8刑事部(大島隆明裁判長)で三者協議が開かれました。三者協議では、再審開始決定の決め手とされた本田教授が行った血液由来のDNA選択的抽出方法の有効性を検証する実験を行うことを決定しました。
 弁護団は、三者協議後に記者会見を開き、大島裁判長が弁護団の反対意見を無視し、検察側の意見に沿った方法で行う決定を強行したことについて、「極めて遺憾である」と抗議しました。裁判所は、次回11月27日までに正式に決定する予定。
西嶋勝彦・弁護団長は、記者会見で「今回の実験方法では、当時の状況を再現できないと主張してきたが、強行に進められ、遺憾だ。大勢に影響はないと思うが、今後もこの実験は不要だと訴え続けていく」と批判しました。
 袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会は、20名の参加で東京高裁、高検への要請を行いました。要請行動では、「袴田巌さんは、もう79歳、請求人の姉の秀子さんは82歳となりました。もうこれ以上、裁判を長引かせ、人権侵害を続けることは許されません。」「名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんの悲劇を繰り返さないためにも、東京高裁が理由のない検察の即時抗告を直ちに棄却すること」を強く要請しました。この日、検察の即時抗告を求める署名1270筆(累計で約14万7千筆)を提出しました。
 東京高検では、要請の冒頭に奥西さんの獄死に際して「黙祷を捧げたい」ので立ち会いの書記官に協力を要請したところ、「よろしいですよ」と、要請団と一緒に奥西さんの冥福を祈って黙祷を捧げました(裁判所は拒否しました)。その後、要請団からは「無意味な検証実験をやめて、直ちに即時抗告を取り下げて、すべての証拠の開示を」と要請しました。

【DNA鑑定の検証をめぐる問題】

 検察が問題としている選択的抽出方法とは、唾液や汗等が混じっている可能性のある血痕から、血液に由来するDNA型を選り分けて取り出す方法です。静岡地裁が実施した「5点の衣類」(袴田さんの犯行着衣とされていた半袖シャツ、ズボン、ブリーフなど)に付いた血痕のDNA鑑定で、弁護団が推薦した法医学者・本田克也筑波大学教授が用いました。そして、袴田さんのものとされていた半袖シャツの血痕のDNA型が、袴田さんとは別人のものとの結論を導きました。
 本田教授の鑑定結果は、地裁の再審開始決定で「新証拠」と認められ、死刑判決の決め手とされていた「5点の衣類」が袴田さんの犯行着衣ではないことを裏付ける根拠となりました。これに対して検察は「選択的抽出方法は本田教授の独自の手法で有効性がなく、信用できない」と反論し、この方法の有効性を確認するためとして裁判所に検証実験を求めていました。
 これまでの東京高裁での三者協議では、検証実験を実施するかどうか、実施するとすればどんな方法を採るのかをめぐって、議論が続いてきました。
これに対して、弁護団は、検察が求める検証実験は、再審開始決定の前提を無視し、いたずらに審理を混乱させるものでやるべきでないと反対してきました。その反対の意見として以下の点を強調してきました。

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 ①即時抗告審は、静岡地裁が行った再審開始決定に不合理な点があった否かについて判断する場所であり、開始決定に不合理があることを検察官が証明すべきである。にもかかわらず、裁判所が検察官の主張を補強するために、検察官の証拠請求に応じて裁判所が職権で鑑定を行うことは、無辜の救済という再審制度の趣旨からおよそ許されない。
 ②本件鑑定資料である「5点の衣類」には、新鮮な唾液ないし体液が混在していたという事実はなく、したがって検察・裁判所が古い血液に新鮮な唾液などを混在させて、本田鑑定の血液由来の選択的抽出法を検証する実験はそもそも条件設定を確定することができないので検証実験そのものが無意味であること。検察官が主張している、古い血液に新鮮な唾液を垂らして「疑似的混合試料」を作っての検証実験は本件との関連性はなく、反対である。
 ③40年以上も前に味噌タンクから発見された「5点の衣類」に付いた血痕のDNAの量や劣化の程度は科学的に推定できないし、他の生体試料の付着の有無、時期、種類、量、状態は不明だ。したがって、「5点の衣類と同等もしくは類似すると評価できるような条件設定はそもそも不可能」と指摘してきました。

 東京高裁の検証実験に抗議の声を集中しよう!

 袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会は、10月15日3者協議後、東京高裁の大島隆明裁判長の意味のないDNA鑑定の選択的抽出方法への検証実験の決定に抗議する宣伝行動を直ちに行いました。
 東京高裁へ全国から抗議の声を集中してください。
 宛 先  〒100-8933 東京都千代田区霞が関1-1-4
       東京高裁第8刑事部 大島隆明・裁判長殿
 電文例 「審理を混乱させ、意味のない検証実験を直ちに中止せよ」


□大阪・東住吉冤罪事件

即時抗告審の決定日に向けて署名の集中を!

 10月23日(金)午前10時、大阪高裁で東住吉冤罪事件の即時抗告審の決定が出ます。
 前日の22日(木)16時にから最後の大阪高裁への要請行動が取り組まれます。署名など大会決議等を大阪府本部に至急送付をお願いします。


□滋賀・日野町事件

弁護団・現地説明会に85名が参加

再審の到達点を報告し、情報提供の呼びかけ


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日野町事件弁護団は10月3日、日野町必佐公民館で現地説明会を開催し、地元日野町や県内外から85名が参加しました。この説明会は、事件が捜査機関によって作られたものであることが明らかになりつつあり、阪原さんのアリバイがつぶされた状況や、事件が起こったのは酒店店舗内ではないことなど、弁護活動の到達点を地元住民や支援者に報告し、事件に関わる情報の提供を呼びかける目的で開催され、弁護団14名が出席しました。
説明会には阪原弘さんの家族4名(妻・つや子さん、長男・弘次さん、長女・美和子さん、次女・則子さん)も元気な姿をみせ、あいさつしました。また三重大学の伊藤睦教授のゼミ生や龍谷大学の斉藤司准教授のゼミ生も参加しました。
また、この日の弁護団現地説明会に、公務の合間をぬって藤沢直広日野町長があいさつに駆けつけました。藤沢町長は「何よりも基本的人権が尊重される国でなければならない。そのためにも裁判が公平公正に行われることが大事だと思っています」と述べ、激励しました。

事件は捜査機関によって作られた

 弁護団長の伊賀興一弁護士は、総論報告のなかで、日野町事件は「自白」以外に犯人性と犯行を示す客観的証拠がないのが特徴であると指摘し、阪原さんを犯人に仕立てたが確定審では完全に隠されていたことについて、捜査当局が虚偽資料の作成や捜査資料の隠匿、関係者の供述への介入などから違法捜査が行われたことを明らかにしました。その上にたって裁判所が「阪原さんは犯人ではあり得ない」との心証を形成するため全力をあげたい、と結びました。
 その後、論点ごとに担当弁護士から報告が行われました。特に、弁護団は、この間新たに80数点に及ぶ証拠の開示を勝ち取ってきました。
その中には、被害者の事件当夜の行動について新たな発見がありました。被害者が遺体で発見されたときの着衣は、店員や支払に訪れた客の証言から失踪前のものとは異なっており、その着衣は汚れた状態で酒店店舗の離れにありました。服を着替えたのは、支払いに訪れた客のあとに生命保険外交員が保険の更新に訪れ、被害者と同居する叔母とともに酒食をしたとき、被害者が失禁し服を汚して着替えていたことを述べていたことが「捜査報告書」に記載されていました。「捜査報告書」の記載によれば、このあと被害者は、外交員と連れ立って公衆浴場に行ったことになっているのです。そして外交員が被害者の印鑑をもらうために翌日被害者方を訪ねたとき「人がいっぱい集まっていたので寄らずに帰ってきた」と記載されています。
つまり、被害者失踪の連絡を受けた親戚や近所の方が集まっていたことと符合するのです。また、これとは別に、事件当夜、被害者と公衆浴場で出会い会話をしたという住民からの情報が弁護団に寄せられており、事件当夜の被害者の行動がつながってきたのです。
以上のことから、阪原さんは事件当夜、被害者の店舗には行っておらず、在所の知人宅で泊まったというアリバイは動かし難いものとなっています。
弁護団からは、もっと事件現場である地元には事件の真実に迫る情報が眠っている可能性があり、住民のみなさんに事件に関する情報提供が呼びかけられました。

□鹿児島・大崎事件

第3次再審請求審

第1回3者協議開かれ、事実調べを決定!

10月9日、鹿児島地方裁判所で大崎事件第3次再審請求審の第一回三者協議が行われました。
この日の三者協議には、地元鹿児島県をはじめ大分県、宮崎県本部から17名が参加して弁護団を激励しました。
三者協議では、大きな成果がありました。弁護団は、原口アヤ子さんが八八歳と高齢であり、迅速な審理を求めるとともに、弁護団が新証拠として提出した法医学鑑定と心理学鑑定の証人尋問を行うように求めていました。
これに対して、検察はいずれの鑑定人尋問を必要ないとして反対しましたが、富田敦史裁判長は、「反対意見を聞いてみれば、より一層確信になるのでいいじゃないですか」と、検察官を説得し、弁護側の申請した鑑定人に尋問を行うことを決定しました。
次回の三者協議は11月10日の15時から行います。その他、以下の日程で鑑定人尋問が決定しました。
 11月24日、確定判決の死因を否定した鑑定意見書を提出した法医学者・吉田氏の証人尋問。
 12月8日、目撃供述の信用性を否定した鑑定意見を提出した心理学者・大橋氏と高木氏の証人尋問
                         (宮崎県本部事務局長・堀田孝一)

□湖東記念病院人工呼吸器事件

第2次再審請求に不当決定

 2003年5月、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、看護助手の西山美香さん(35歳・懲役12年の刑が確定、和歌山刑務所服役中)が、男性患者(72歳)の人工呼吸器を引き抜いて殺したとの罪を着せられ、第2次再審(裁判やり直し)請求を申し立てていた事件(湖東記念病院人工呼吸器事件)で、大津地方裁判所(刑事部・川上宏裁判長)は、9月30日、請求を棄却する不当決定を出しました。

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 決定の出される午後2時、裁判所正門前には,テレビカメラ6台が放列するなど、放送,新聞などのメディア関係者30人余りが集結。国民救援会滋賀県本部など支援者も30人余りがノボリ旗を立てて待ちかまえました。しばらくして、決定を受け取った弁護団、両親など出てきましたが、掲げられたのは「不当決定」の垂れ幕でした。いっせいにカメラが向き、シャッター音が響き、ため息、怒りの声が沸き起こりました。支援者は、滋賀県本部の中野善之助会長の発声で地裁庁舎に向かい、シュプレヒコール。「裁判所は真実と向き合え」「不当決定は許さないぞ」「検察にすべての証拠を開示させよ」などと声をあげました。
 このあと、滋賀弁護士会館へ移動。記者会見と報告集会が開かれました。
「棄却決定」について、井戸謙一弁護団長(写真・右から2人目)は、「この事件は西山美香さんの自白調書以外に証拠はなく、われわれは、その自白が科学的な物証と合わない点をいくつも証拠を出して明らかにしてきた。それをことごとく否定し、こういう可能性もあるという推論で自白は信用できるとした。自白に疑いがあっても、100パーセントの無罪を証明しない限り再審は認めないという大変不当な決定だ」と憤りの声をあげました。西山さんが公判後一貫して否認している「自白調書」では、人工呼吸器を引き抜いて、カウントしアラームが鳴らないよう消音ボタン(外れて1分で鳴る)を押し、3分間したら、口をはぐはぐし苦悶の表情をして死んだ旨述べていますが、弁護団は、GHQの死刑執行の統計や延命治療の停止の際、人工呼吸器をはずしてから心肺停止には3分間で至らないことを、証拠や証言で立証してきました。検察官はこれに対して、「個人差」があり3分以内で死亡する場合もあるとの医師の意見書を出して反論。裁判所は、この検察の主張を取り入れ「急逝することがないとはいえない」、1分間で絶命する例もあり、「(自白のような例が)あり得ないとはいえない」との可能性を推認して弁護団が立証した証拠をすべて否定しました。
 記者会見では、両親も同席し、「警察官にはめられた(父親)」「救援会のみなさんの支援に心から感謝、取り調べの可視化があれば娘はこんなことにならなかった(母親)」などと語りました。
 弁護団は、即時抗告(異議申し立て)をして引き続きたたかう方針です(橋本宏一・京都府本部事務局長)

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抗議先 大津地方裁判所刑事部  川上 宏 裁判長
    520-0044大津市京町3丁目1-2
    電話 077-503-8167

激励先 西山美香さんを支える会
    521-0013滋賀県米原市梅ケ原870(伊藤正一様方)
    電話&ファックス 0749-52-2097

□今後の主な事件の日程

 10月17日~18日  鹿児島・大崎事件第17回全国現地調査
 10月23日     東住吉冤罪事件・大阪高裁決定(大阪高裁10時)
 10月23日     名張毒ぶどう酒事件名古屋高裁抗議行動(名古屋高裁13時半)
 10月24日     大仙市事件第5回全国現地調査(24日、13時30分に国民救援会
 10月25日     秋田県本部に集合、詳細は秋田県本部まで090-3754-6085)
 11月 7日     「白鳥決定」40周年シンポジウム
           (青山学院大学4号館420教室 13時半~)

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