えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

名張弁護団抗議声明(2012年5月25日)

           弁護団声明

 本日、名古屋高等裁判所刑事第2部は請求人奥西勝氏に関わる名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求の差戻し異議審につき、不当にも、検察官の異議申立を容れ、2005年(平成17年)4月5日に同高裁刑事第1部が行った再審開始決定を取り消し、本件再審請求を棄却する旨の決定を行った。
 2010年(平成22年)4月5日、特別抗告審である最高裁判所第三小法廷は、再審開始を取り消した異議審決定は「科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、その推論過程に誤りがある疑いがある」との理由で本件を名古屋高裁に差し戻した。
 同最高裁決定は、本件で農薬が混入された飲み残しぶどう酒とその対照用に用意されたニッカリンT入りのぶどう酒のペーパークロマト試験の結果に相違が生じていることに疑問を呈し、その相違の原因を科学的に検討することを命じたものである。これに関し、検察官は、差戻し異議審において、それまでの異議審及び特別抗告審における主張を翻し、新たな主張を展開したが、ニッカリンTの再製及びその成分分析の結果、検察官の主張は否定され、逆に弁護団の従来からの主張が裏付けられることとなった。そして、結局、本件毒物がニッカリンTであるとすれば、上記ペーパークロマト試験の結果の相違は科学的に説明できない状況に至った。この審理結果からすれば、奥西氏が当時所持していたニッカリンTを本件犯行に使用したとの確定判決の認定に合理的疑いがあることは明らかである。
 ところが、本日の決定は、検察官さえ主張していない、何ら科学的根拠に基づかない推論により再審開始決定を取り消した。これは、最高裁から指摘された科学的知見に基づく検討を放棄するものであると共に、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則も無視する不当極まりないものである。弁護団は、到底、かかる決定を受け容れることはできない。
 奥西氏は、第一審において無罪判決をうけたにもかかわらず、控訴審において思いがけなく死刑判決をうけ、その後、死の恐怖と孤独に耐えながら長きにわたり再審の闘いを続けてきた。して、7年前に再審開始の決定を受け、ようやく雪冤を果たすことができると大きな期待を抱いたにもかかわらず、異議審によってこれが取り消されて大きく失望し、さらに、最高裁の差戻し決定によって再度の希望を抱いたにもかかわらず、本日、再び再審開始決定が取り消されるという憂き目に遭わされている。この51年間に及ぶ審理経過は、まさに、司法が奥西氏の人生を弄んでいるとしか形容のしようがないものである。奥西氏の心中を思いやると筆舌に尽くしがたいやりきれなさと激しい怒りを禁じ得ない。
 奥西氏は86歳という高齢であり、そのえん罪を晴らすには1日の猶予も許されない。弁護団は、奥西氏の無実を確信するものであり、命あるうちに奥西氏を死刑台から奪還すべく、直ちに特別抗告を行い、さらなる奮闘と努力を続けることをここに誓うものである。
 市民の皆様には、今後一層のご支援をお願いする次第である。

2012年(平成24年) 5月25日
                      名張毒ぶどう酒事件弁護団
                      団 長      鈴 木  泉

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