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名張毒ぶどう酒事件 鈴木泉団長の声明

名張毒ぶどう酒事件・鈴木泉団長の声明 

 これまで弁護団の新証拠に対してなんらの反論もしてこなかった最高検が、弁護団の特別抗告から2年10ヶ月近くも経った10月23日に答弁書を最高裁第3小法廷に提出しました。答弁書をどうみるか、正確な把握のため、名張事件弁護団の鈴木団長に答弁書の内容・性格について書いていただきました。

2009.11.9
弁護団長 鈴木 泉

名張毒ぶどう酒事件 検察官の答弁書について

 本年7月22日,最高裁は最高検検察官に対し,「(申立書等に書かれた)弁護団の意見に対して反論することがあれば答弁書を提出されたい」と文書で求めました。しかし,3ヶ月後の10月23日に提出された答弁書は,本文139枚添付資料53枚という大部のものですが,弁護団の意見に対する真っ正面からの反論はほとんどなく,その大半が異議審で検察官が述べた意見の繰り返しに過ぎません。

 検察官は答弁書の冒頭で「本件は,請求人(奥西さん)が犯人であると認めるに足る明確な証拠が存在している事件であるから,確定判決(死刑判決)の事実認定を覆すためにはそれにふさわしい強い証明力を有する証拠が必要である」等と主張しています。しかしこれは,一審・津地裁が「本件は被告人(奥西さん)の犯行と認めるに足る証拠がない」と判断して無罪判決を下した事実をあえて無視し,無実の人を誤って処罰しないために確立された「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則(最高裁白鳥決定)を否定する謬論です。

 足利事件の菅家さんは,警察に連行されたその日にうその自白をさせられたことは,新聞やテレビ等でご存知の方も多いと思います。「死刑が予想される重大殺人事件で,いくらその場の苦痛から逃れたいと考えたとしても,そう易々とうその自白をするとは考えにくい」等と言って,奥西さんの自白を重視した異議審決定が誤りであることは,足利事件によって明白に証明されました。答弁書は,弁護団のこうした意見に対して,沈黙を決め込んでいます。

 その上,検察官は,答弁書の半分以上を毒物問題に費やし,異議審決定も触れていない新たな主張をし,しかもこの問題について某大学准教授に照会して得た回答書等新たな証拠を答弁書に添付しています。この准教授への照会と回答の一部は,異議審には一切提出されませんでしたが,すでに名古屋高検が異議審係属中の平成17年に入手していたことが,答弁書に添付された准教授の研究経歴から判明しました。

 最高裁での審理が大詰めを迎えたこの段階で,新たな主張や証拠を出すという検察官の対応は,本件の審理を徒に長期化させ,奥西さんにさらなる苦痛を与えようとする以外の何ものでもありません。

 弁護団は,反論書の作成に全力を挙げ,最高裁に対し,毅然として異議審の不当決定を取り消し,再審開始の決定をするよう求めていきます。 多くの市民の皆様の一層のご支援をお願いするものです。

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