えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

名張毒ぶどう酒事件・名古屋高裁差し戻し審不当決定に対する声明

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2012年5月25日
不当な決定.gif

 事件発生から51年に及ぶ奥西勝さんの真実の叫びが、またもや非情に拒否されました。私たち支援者10万名が寄せた支援の思いが無惨にも踏みにじられました。
 本日、ただいま名古屋高等裁判所刑事第2部(下山保男裁判長)は、本事件について再審の扉を開けることを頑なに拒否しました。そして、人道に反して「奥西勝さんに対する「死刑の執行を停止する。」との決定を取り消すという不当な決定も行いました。これら不当決定は、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の根本鉄則を逸脱し、司法の真実に対する忠誠心や公正で厳正な国民の裁判権を踏みにじりました。
 刑事裁判や再審請求裁判は、誤った訴追(起訴)や誤判を糺すことが目的であることは言うまでもありません。本事件も誤判を糺し、死刑台からの救済を求めるという無辜の人間の命をかけた訴えです。奥西勝さんが裁かれるのではなく、死刑判決が被告席に座らされて裁かれなければなりません。
 しかしながら、本事件にかかわった裁判官や検察官の多くは不当にも、奥西勝さんを裁き続けてきたのです。今回の決定を通して見えてくるものは、このような我が国の刑事裁判の根本的なところの大きな過ちが未だに正されていないことです。言わずもがな、下山保男裁判長ら3名の裁判官らも同様の過ちを犯してしまいました。これら3人の裁判官は、司法界に止まらず、多くの国民から自らの職責を全うせず、聖職を汚した裁判官という汚名を後々の世まで語られて、厳しく糾弾を受けるものです。

 本事件の経過は、一審津地方裁判所において完全無罪を言い渡されています。これを2審名古屋高等裁判所は、一審無罪判決が「検察官の並々ならぬ努力の所産」と見破った、奥西勝さんの犯行であるかのように地元関係者を執拗にせめて得た供述や、第5次再審請求異議審で弁護団が不正鑑定であることを明らかにした松倉王冠傷痕鑑定を根拠に、強引に死刑判決を言い渡してしまいました。死刑判決は審理不十分で、「自白」偏重の予断と偏見に満ちあふれた誤った判決でしたが、最高裁判所は、ろくろく審理もせず、死刑判決を追認して、誤判を許すという重大な過ちを犯してしまいました。
 以後、再審請求手続きの各審理においても、第7次審の再審開始決定まで、弁護団が提出した「奥西勝さんの自白」が矛盾だらけであることを明らかにした無罪証拠を無視して再審の扉を閉ざし続けてきたのです。
本決定においても、結局、先に述べたような誤りが一つも糺されず、不正義を見逃すという重大な誤りを繰り返してしまいました。

 一方、検察は、事件当初から奥西勝さんを真犯人とする供述を地元関係者に繰り返し執拗に迫って、関係者の供述を変更させただけでなく、事件当初の供述調書を伏せたまま審理に臨み、再審請求手続き審においても重要な無罪証拠となる公民館から発見された沢山の王冠の提出を拒み続け、さらには、作成年月日が偽造された捜査報告書を提出して審理を混乱させたり、弁護団の求める未提出証拠の開示を拒んだりして、公益の代表であることを忘れ、一度有罪にした者は無罪にしないという態度に終始し、神聖な審理の場を汚し続けています。
 検察は、国民のために公正な社会を保持するためのものであり、公益の代表として、その職務を全うしなければなりません。しかしながら本事件における検察は、いたずらに奥西勝さん真犯人説に固執し、結局、未だ、真犯人を判明できないという重大な誤りを犯し続けています。これは国民に対する職責を放棄した裏切り行為でもあります。

 2年前の最高裁判所第三小法廷の差し戻し決定は、「科学的根拠に基づかない正義に反する決定」と異議審決定を厳しく批判しましたが、これは検察の「科学的根拠に基づかない正義に反する主張立証」を鵜呑みにした異議審決定を批判したものであることは言うまでもありません。このように本事件に対する検察の態度は、何が何でも真犯人は奥西勝という異常なものです。このような態度は「検察のための検察」、「検察のメンツ」にこだわり、公益の代表という職責を忘れてしまった結果です。
 さらに、検察の不正義はこれに止まりません。検察は、弁護団をはじめ私たちの再三の求めに対し、膨大な未提出証拠の提出を拒み続けてきました。このような証拠を隠したまま奥西勝さんを死刑に追いやろうとする卑劣な態度は、不正義の極みです。厳しく糾弾します。

 事件発生から51年、2005年の再審開始決定からでも7年が経過し、奥西勝さんが86歳という高齢を名古屋拘置所で迎えざるを得なかった責任は、裁判官と検察にあることは言うまでもありません。近時相次ぐ再審無罪事件や再審開始決定が示すとおり、有罪獲得を至上命題として無罪証拠隠しや証拠ねつ造に及ぶ検察と、それに無批判に追随し、強制された「自白」を偏重して、「再審の扉」をかたくなに閉じ続けてきた裁判官らにあることは明白です。

裁判所と検察は、こうした不正義の責任を深く自覚し、その反省の上に一刻も早く侵害された奥西勝さんの人権を回復すべきです。とくに、検察は、今次再審手続においてとった「ためにする引き延ばし」策をこれ以上弄することは、絶対に許されません。

 私たちは、検察に対して一審が無罪判決であること。さらに第7次再審請求審で開始決定が出され、死刑の執行が停止されていること。また、奥西勝さんが86歳という高齢に達していることから、人道的な配慮も加えて、即刻、奥西勝さんを釈放することを強く求めるものです。
 また、最高裁判所特別抗告審においては、すみやかに未提出証拠を全部開示するよう強く要求します。
 私たちは、半世紀に及んで無実を叫び続けた奥西勝さんの不屈の闘いと、長年にわたる弁護団の献身的な活動を讃え、そして、全国の皆さんのご支援に心より感謝しつつ、引き続き再審無罪となる日を一刻も早く勝ち取るまで奥西勝さんと共にたたかい続けることを、あらためて決意しています。
全国の支援者の皆さん、心ある多くの国民の皆さん、いままで以上に各地での支援運動に邁進して、支援の輪を大きく広げていただくよう訴えます。
そして、奥西勝さんへの力強いご支援をたまわりますよう重ねて切にお願いして、強く訴えるものです。      
                        えん罪名張毒ぶどう酒事件の再審を勝ち取り
                        奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク
                        運営委員長   宇 佐 見   大   司

                        日本国民救援会中央本部
                        会 長     鈴   木   亜   英

                        再審・えん罪事件全国連絡会
                        共同代表(代表) 新   倉       修

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