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大崎事件の再審請求棄却に抗議する

大崎事件の再審請求を棄却した最高裁の不当決定に強く抗議する

最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は、6月25日付で、鹿児島・大崎事件の第3次再審請求(請求人・原口アヤ子さん及び、原口さんの元夫で共犯者の一人とされた男性の遺族)に関して、弁護人に反論の機会を与えることなく、突如、鹿児島地裁や福岡高裁宮崎支部が出した再審開始決定を取り消し、原口さんらの再審請求を棄却する決定を出した。「人権の砦」と言われる最高裁がその役割を投げ捨てた今回の不当決定に対し、私たちは満身の怒りをもって強く抗議する。
2018年、福岡高裁宮崎支部が出した再審開始決定は、最高裁の「白鳥・財田川決定」が示した「疑わしいときは被告人の利益に」の鉄則を貫いたものとして、私たちは高く評価した。それは、裁判官の
良心と法に照らして事実と道理にもとづき冤罪犠牲者である原口さんの救済を導くものだったからである。これまで3つもの裁判体が、証拠・証人調べをおこない、有罪とした確定判決には合理的疑いがあるとした事実を、最高裁は書面を調査しただけで、乱暴に投げ捨てた。最高裁に対し、心からの怒りを禁じえない。
第一に、今回の決定は、「白鳥・財田川決定」の適用を誤り、「無辜の救済」という再審の理念に反する不当なものである
今回、最高裁は検察の特別抗告を理由にあたらないと断じた。そうであれば、再審開始決定を確定させるべきである。しかし最高裁は職権を発動し、再審を認めない決定をおこなった。職権発動は、再審の理念にかなう場合に例外的に発動されるべきであり、それに反する今回の職権発動は不正義である。
第二に、弁護人の意見を聞く機会も与えず、証人や証拠も調べないまま、一方的に判断したことは適正な手続きではない。
再審開始決定の理由となった被害者の死因に関する吉田謙一教授の法医学鑑定意見書に関して、最高裁は吉田教授が「豊富な経験と専門的知見を備えた法医学者」であることを認めながら、「死体を直接検分しておらず…写真からしか死体の情報を得ることができなかった(から)その証明力にも限界がある」などと証拠の吟味に該当しない評価で、吉田鑑定を否定したことは公正な判断とは言えない。
一人の人生と命のかかった裁判で、慎重に審理することは当然である。しかし、最高裁は、仮にその判断を評価したとしても、高裁に差し戻し、審理のやり直しを求めるべきであるが、それすら行うことなく、みずから断じたことは極めて不当であり、不遜である。
第三に、「自白」を偏重した不当な判断である。
警察などによって強要された「自白」が、いかに多くの冤罪を生んできたか。今回、最高裁は、吉田鑑定を否定したうえで、共犯者とされた男性3 人とその家族の「自白・供述」が、相互に支え合い、信用できるとした。しかし4人の「自白・供述」は何度も変遷し、凶器とされるタオルさえ特定されず、客観的証拠の裏付けも乏しいものである。多くの冤罪事件で、警察などの取調べによって、相互に矛盾なく都合よく、供述が誘導されて調書が作られ、共犯者とされる「引き込み供述」の危険性に、なぜ最高裁は目をつむるのか。
今回の決定は、冤罪犠牲者を救済するうえで、検察の不服申立て(抗告)の禁止や審理手続きの整備の必要性を改めて示した。
原口アヤ子さんは事件以来40 年間、「私はやっちょらん」と言い続けている。その原口さんも92歳となり、一日も早い救済が求められる。原口さんには時間がない。今回の不当決定に屈することなく、原口さんらの奪われた人権を回復するため、一日も早く無罪判決を勝ちとるために奮闘する決意を表明する。

2019年6月28日
日本国民救援会中央本部
〃 鹿児島県本部
再審・えん罪事件全国連絡会
大崎事件・原口アヤ子さんの再審をめざす会

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