えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

救援新聞2011年9月25日号より

ここに掲載されている内容は、救援新聞9/25号に紹介されている「再審えん罪全国連絡会」に関連する記事の一部です。


三重・名張事件

画像の説明
画像の説明

裁判官の心動かす運動を“!

9.10 全国集会に24都道府県から330人

 三重・名張毒ぶどう酒事件の一日も早い再審開始と奥西勝さんの釈放を勝ちとろうと、9月10日、愛知県名古屋市で全国支援集会がおこなわれ、24都道府県から330人が参加しました。集会では、弁護団報告と記念講演などを受け、勝利の決意を固め合いました。
「ニッカリンTの成分分析の鑑定が出されるこの秋へ向けての取り組みが、すみやかな再審開始を実現できるかを決する。奥西さんの雪冤を果たし、一日も早い釈放実現のためにともに奮闘したい」
 集会は、国民救援会愛知県本部の阪本貞一会長の開会挨拶で始まりました。

引き延ばし許さぬ

 つづいて、名張事件弁護団の鈴木泉団長が裁判の現状について報告をしました。差し戻し審で検察は新たな主張を持ち出し、弁護団は、奥西さんの早期の再審確定と検察の非科学的主張を打ち破るため、名古屋高裁が求めるニッカリンTの再製造と成分分析に同意したこと、9月末に鑑定人による鑑定結果が出されるが、弁護団の主張を裏付ける結果だった場合、検察はなおも新たな実験をする旨を主張していることを報告。そして、「そんなことをしても何も生まれず、85歳となった奥西さんの人権侵害は甚だしいと言わざるを得ない。私たちは、今回の鑑定結果をもって、直ちに裁判所に再審開始の決定を求めていく方針です」と述べました。

一刻争う闘い 

 弁護団報告のあと、元裁判官で法政大学法科大学院教授の木谷明さんが「一連のえん罪事件と検察官・裁判所の責任」と題して記念講演をおこない、全国から参加した支援者がステージに上がり発言しました。
 その後、特別面会人の様子を報告し、最近の奥西さんの言葉には「最後」という言葉がいつも入るようになったことを紹介し、一刻を争って再審開始を確定させたいとの思いで、4人の面会人は活動をおこなっていると述べました。

年内に10万署名

 名張事件全国ネットワークの田中事務局長から、再審開始を求める署名(9月9日現在、6万1287人分)を年内に10万人分集めること、毎月の要請行動への参加、全国で独自の宣伝・学習、支援集会などに取り組むことなどが行動提起され、集会決議のあと、参加者の大きな拍手が起こり、決意を固め合いました。
 集会の参加者からは、「奥西さんを一日も早く自由の身にするために、出来ることを今日から始めたい」、「“最も鍵を握るのは裁判官”という言葉が心に残りました。裁判官の心を動かす運動を強めていかなければと思いました」という感想が寄せられました。

国民監視で公正な裁判を          木谷元裁判官が講演

 集会では元裁判官の木谷明さんが講演。木谷さんは、冤罪が生じる原因として、捜査機関の焦りによって、自白の強要や証言のでっち上げなどで犯人を作り上げ、、起訴した以上何が何でも有罪にしなければいけないと考えていることを指摘。また、裁判所は、捜査機関へ過大な信頼を置き、自白を重視し、証拠物の偽装があることは考えもせず盲信してしまっている現状を話しました。
 冤罪を阻止するためには、取り調べの全面可視化や証拠の全面開示、代用監獄や人質司法の解消が必要であるとしました。最後に裁判所による正しい判決がなされるよう、国民の努力が必要だと述べました。

やくみつる.gif

 漫画家でコメンテーターのやくみつるさんから、名張毒ぶどう酒事件における、検察の態度に対する怒りの色紙が集会に寄せられました。

奥西さんのメッセージ(要旨)

今度こそ希望を

奥西さん.gif

 再審無罪を求める全国支援集会のみなさん
 私の無実のため、長いみなさんのご支援に心からお礼申し上げます。
「全国支援集会」を開いて頂いて、差し戻し審で再審を決め、一日も早く晴れて無実、自由の身となるためのみなさんの、ご支えに、心よりありがとうございます。
 この秋、年内が差し戻し審の大きな山場とのこと。高齢、老齢の身となり、いつもこれが最後の願いとなることをただただ、待ち願っています。
 どうか、事実を調べ判って頂きたい。どうか差し戻し審で6年前の再審開始の決定の希望を、今度こそ果たさせてください。
 私も長生きし、えん罪を晴らすためにがんばります。皆さんのご支援しかありません。この秋、年内の山場で再審を実現できますようご支援をお願いいたします。             奥西勝
                        



東電OL殺人事件

ゴビンダさんの釈放と再審ロゴ.gif

検察の証拠隠し発覚!           弁護団、新たに証拠請求

 1997年、渋谷のアパート内で、女性を殺害して金品を奪ったとして、ネパールのゴビンダ・プラサド・マイナリさんが無期懲役を受け、再審を求めてたたかっている東電OL殺人事件の再審請求審で、9月12日、弁護団はこれまで明らかにされていなかった当時の血液鑑定を新たな証拠として提出しました。
 この鑑定書は、事件当時、捜査当局が被害者の乳房等から検出された唾液の血液型鑑定をおこなったもので、唾液はゴビンダさんと同じB型の血液型反応は出なかったというものです。鑑定書は、検察が9月8日に新たに開示した42点の捜査資料などのなかから見つかったものです。

重要な証拠を隠していた検察

 検察が新たに開示した42点の証拠は、7月に殺害現場にゴビンダさんではない第三者がいた可能性があるというDNA型鑑定結果が出されたことを受けて新たに開示したもので、被害者の身体に付着した唾液のほか、頚部から採取された皮膚片等、犯行行為と直接結びつく可能性の高いものです。検察はこれらの証拠のDNA鑑定を実施する方針を決め、裁判所と弁護団に意向を伝えました。
 弁護団は、9月9日におこなわれた三者協議で、「ゴビンダさんの血液型であるB型の反応が出ていないと分かっていながら、事件当時開示しなかったことは大変問題」と、検察の証拠隠しを批判しました。そのうえで、「これまで鑑定されなかった責任は、開示しなかった検察にある」として、証拠価値の高いもの10数点に限って鑑定することに同意しました。
 鑑定に同意した理由について弁護団は、「再審開始の決定が出ても検察は異議を申し立てることが多い。検察が主張した鑑定をおこなうことで、検察の異議申し立ての理由を封じたい」と話しています。

裁判愚弄する検察のやり方

 無実のゴビンダさんを支える会は、検察側が隠していた証拠を開示したことを受けて9月9日、抗議声明を発表し、「追加鑑定」のために再審開始決定がいたずらに引き延ばされることは、ゴビンダさんや家族にとっても耐えがたいことだと述べ、都合が悪くなると新たな主張を次々と出す検察の不誠実な「後出しじゃんけん」は、裁判制度そのものを愚弄するものだと批判。即時の再審開始決定と刑の執行停止を求めました。


「これからは笑って話そう」         妻・ラダさんら来日し面会


ラダさん.gif

 ゴビンダさんの妻・ラダさんと兄・インドラさんが9月12日、横浜刑務所を訪れ、約半年ぶりにゴビンダさんと面会しました。ラダさんたちは、事件現場に第三者がいた可能性を示すDNA型鑑定の結果を受けて来日しました。

 2人が横浜刑務所の正門に現れると、30人近くの報道陣に囲まれました。ラダさんは、「DNA鑑定でいい結果が出たことを喜び合いたい」と、インドラさんは「ネパールの人々の喜び(新聞で大きく報道されている)をお土産にもってきた」と話し、いくぶん緊張した面持ちで刑務所に向かいました。
 1時間後、ゴビンダさんとの面会を終えた2人は、少しほっとした表情になり、ラダさんからは時折笑顔がこぼれました。
 面会に同席した支える会の蓮見順子さんによると、面会室に現れたゴビンダさんは、「これまでの面会では泣いたりわめいたりすることが多かったが、近いうちに釈放される状況が生まれたのだから、もう泣くのはやめよう。これからの面会は笑って話をしよう」とラダさんに話しかけましたが、堅い表情でした。インドラさんは、「ゴビンダはDNA鑑定の結果に安堵しながらも、無実の人間を14年間も牢に入れた検察に対する怒りで表情を堅くさせていたのだろう」と話しました。
 また、インドラさんがネパールでこの件が大きく報道され、友人からくる沢山のお祝いの電話などについて話すと、ゴビンダさんは、「ネパールの人たちが、私にほんの少しの疑いを持っていたとしても、それは今回の鑑定の結果ですべて払拭された」と答えました。

インドラさん.gif

 面会を終えたラダさんは、「これまでは先が見えないなかで希望だけを持っていたけれども、いまはゴビンダが戻ってくることが現実味を帯びてきた」と話しました。一方、検察が新たにDNA型鑑定をしようとしていることについて、「決定的な無実の証拠が出たのに、なぜさらに鑑定をする必要があるのか」と疑問を呈していました。
 救援新聞の取材に、ラダさんとインドラさんは次のように話しました。「国民救援会の皆さんには、以前から支援をしていただきありがたく思っています。いま、裁判は最後の段階にきています。最後の一押しを救援会の皆様にご努力いただいて、ゴビンダを私たち家族のものに取り戻すために、ご支援をいただけるようお願いします」


一日も早く助けて               ゴビンダさん支援者に手紙


ゴビンダさんの手紙

 支援者のみなさん、ナマステ! 無実ゴビンダです。
 先月21日、DNA実験の良い、明るい知らせを聞いて、大変嬉しかったです。やっと少し心が晴れましたよ。
 DNA実験で、私は無実であることが明らかになっても、刑務所にいなければいけないのはなぜですか?本当に辛い悲しいです。
 14年間人生の一番いい時期、無駄になりました。私の人生の赤字、もう戻らないです。私を一日も早く釈放して、ネパールに返してくれることを信じています。
 一日も早くお母さん、、家族と会いたい。私はPTSDという病気で大変苦しんでいます。夜眠れない、食欲もない。どうぞ助けてください。              無実ゴビンダ・プラサド・マイナリ
                   横浜刑務所にて
    


取調べの全面可視化を   えん罪のない社会をめざして

画像の説明

 「取調べの可視化(録音・録画)に着実にとりくむ。目指すべきは全過程、全事件の可視化だ」

 平岡秀夫法務大臣は9月2日の会見で決意を語りました。相次ぐえん罪事件とこれまでの救援運動で、取調べの全面可視化を求める声がかつてなく広がっています。一方、警察・検察はそれに強く抵抗し、捜査権限の強化を狙っています。取調べの可視化をめぐり、激しいぶつかり合いが起きています。

相次ぐ冤罪に衝撃.....広がる世論と共同

 冤罪が生まれる最も大きな原因は、警察や検察の密室の取調室で作られるウソの「自白」です。死刑再審で無罪となった4事件(免田、財田川、松山、島田)から最近の足利、布川まで冤罪事件のほとんどで、ウソの「自白」が有罪の「決め手」となっています。
 ウソの「自白」を防ぐためには、のちに検証ができるように、取調べの始めから終わりまで、その全過程を録音・録画することが必要です。国連の自由権規約委員会からもその実施を08年に勧告(取調べの全過程について体系的に録音・録画し、さらに全ての被疑者に、弁護人が取調べに立ち会う権利を保障すべきである」)されています。
 足利、布川など相次ぐ冤罪事件は国民に衝撃を与え、長年にわたる冤罪のたたかいと相まって、取調べの全面可視化を求める世論が広がっています(「毎日」10年10月の調査=81%が可視化に賛成)。
 共同の運動も広がっています。国民救援会は、昨年12月、アムネスティ・インターナショナル日本などの市民団体や日本弁護士連合会などと共同して可視化の実現を求める集会を開催しました。2月には、全労連と、自由法曹団とともに、江田五月法相(当時)に直接面会し、全面可視化の実現を求めました。
 このようなとりくみのなかで、江田法相は最高検に全面可視化の試行を指示し、法制審議会に元厚労相局長の村木厚子さんや映画監督の周防正行さんなどを委員とする特別部会を設けて可視化の議論を諮問するなど、これまでにない動きとなっています。
 8月25日には、民主党法務部会が警察・検察の取調べの全面可視化を求める提言を発表しました。

警察・検察は反対.....捜査権限強化を狙う

 これに対し、①警察と検察は取調べの全面可視化に強く反対、②「可視化」するならば捜査権限の強化が必要との主張が出ています。

(1)警察庁は、2年間試行した取調べの一部「可視化」の検証結果を公表しました。
 それによれば、取調べ官の97%が録音・録画は公判の立証に「効果がある」、一方、全過程の録音・録画は「真実の供述が得られなくなる」は91%。つまり、全面可視化は反対、「自白」部分だけの一部「可視化」ならいいというものです。この一部「可視化」がさらに冤罪を生みだすことは、布川事件で桜井昌司さんの「自白」部分の録音が有罪の「決め手」となったことからも明らかです。

(2)産経新聞は5月の布川事件再審無罪判決を受けて、「可視化には、新たな捜査手法の導入とセットで議論を」との「主張」を掲げました。
 この主張は警察・検察の“代弁”です。また、4月、国家公安委員長の諮問機関の「研究会」が中間報告を出しました。そのなかで、DNA型データベースの拡充、通信傍受(盗聴)制度の見直し、会話傍受制度の導入、司法取引、刑事免責その他の取調べの機能を補強するための方策、潜入捜査、無令状の逮捕・捜索・差押え、黙秘に対する不利益推定、性犯罪者等へのGPS監視、全国民の指紋登録制度、参考人の出頭・証言強制等の捜査手法等を、今後の検討課題としてあげました。
 ここに上げられている「新たな捜査手法」は、憲法で保障された基本的人権を侵害する危険なものです。それを、「可視化」論議のなかで一気に獲得し、捜査権限の強化をはかろうとしています。

 国民救援会は、冤罪のない社会を実現するために、取調べの全面可視化を早期に実現させることをめざします。同時に、憲法に反する「新たな捜査手法」の導入の狙いと危険性を知らせ、徹底的に批判し、反対していきます。

                

powered by Quick Homepage Maker 4.16
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional