えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

救援新聞2012年11月25日号より

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ここに掲載されている内容は、救援新聞2012年11/25号に紹介されている「再審えん罪事件全国連絡会」に関連する記事の一部です。

東電OL殺人事件・再審裁判    ゴビンダさん無罪確定

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ゴビンダさん無罪確定.gif

 6月に再審開始決定が出され、再審裁判が開かれていた東京・東電OL殺人事件で、東京高裁(小川正持裁判長)は11月7日、検察側の控訴を棄却し、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)を無罪とする判決を言い渡しました。検察が最高裁への上告をおこなわず、同日、無罪判決が確定しました。
 再審裁判は、2000年に東京地裁で出された一審の無罪判決に対して、検察側が控訴した裁判のやり直しにあたります。判決は、「ゴビンダさんを犯人とするには合理的な疑いがある」、「第三者が犯人である疑いが強い」と判断。一審の無罪判決に事実の誤認はないとして、検察側の控訴を棄却しました。しかし、警察・検察の捜査の問題についての言及はなく、誤判が明らかとなった二審の有罪判決についても一切触れることはなく、裁判所からの反省や謝罪もありませんでした。
 ゴビンダさんは、ネパールのカトマンズ市内の自宅で、支える会のメンバーから電話で無罪判決の報告を受けました。自宅前に集まった報道陣に笑顔で手を振って「とてもうれしい」と話すゴビンダさんの姿が報道されました。
 一方、「どうして私が15年間も苦しまなければならなかったのか。日本の警察、検察、裁判所はよく考えて悪いところを直して」とするコメントを発表し、誤判原因の究明と再発防止を訴えました。
 ゴビンダさんは97年に逮捕・起訴され、無期懲役刑が確定。今年6月に再審開始と刑の執行停止決定が出て、ネパールに帰国するまでのおよそ15年間、身体を拘束され続けました。

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誤判の問題に触れず

 約1時間に及ぶ判決の朗読。閉廷後も謝罪の言葉はありませんでした。
 判決で、東京高裁の小川正持裁判長は、再審請求審で実施されたDNA型鑑定について検討。被害者の膣内や乳房から検出されたDNA型が、現場に落ちてい た陰毛のDNA型と一致したことと、被害者の衣服の血痕や、右手の爪に残された付着物からも同じ人物に由来するDNA型が検出されたことから、第三者の男 が現場で被害者と性交した後、殴って出血させ、首を絞めて殺害した疑いが強いと指摘。これらの鑑定結果から照らしてみれば、一審の東京地裁判決が、「第三 者の体毛が現場に落ちていたことなど、被告人以外の者が犯行時に現場にいた可能性を払(ふっ)拭(しょく)できないことや、ゴビンダさんの土地勘のないと ころに被害者の定期券が落ちていたことなど、ゴビンダさんを犯人とするには合理的に説明できない事実も多数存在し、無罪方向に働く事実も存在している」と して、無罪判決をしたことに誤りはないと結論付けました。
 小川裁判長は淡々とした口調で判決理由を述べ終わると、着席したまま閉廷を宣言。傍聴席から「言うことはそれだけですか」「反省はないのか」と声があがりました。

裁判官は反省を 弁護団 第三者検証を強調

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 判決後に開かれた弁護団の記者会見で、石田省三郎弁護士は、「一審の段階で、被害者の乳房などから血液型O型の唾液が検出された(ゴビンダさんは B型)とする鑑定書が開示されていれば、ゴビンダさんの無罪を導く証拠となったはずだ」と指摘し、再審請求審になるまで、自らの不利になる証拠を開示せず に隠し続けていた検察の姿勢を批判しました。
 主任弁護人の神山啓史弁護士は、「一番反省すべきは裁判所だ。一審・東京高裁が無罪判決で指摘した疑問点を何ら解消することなく、東京高裁が逆転有罪と し、最高裁も容認した。『疑わしきは被告人の利益に』という鉄則があるなかで、なぜこういう間違いが生じるのか。裁判官こそ、第三者機関の検証を受けるべ き」と語気を強めました。
 報道によれば、無罪判決に対する上訴権を放棄した東京高検は、青沼隆之次席検事が「結果を厳粛に受け止め、改めてゴビンダさんにおわびしたい」とする談 話を発表。しかし高検は、内部調査の結果、「捜査・公判活動に特段の問題はなかった」としており、外部による検証も実施しないと表明しています。東京高裁 は「コメントは差し控える」としました。

誤判の責任取れ 支援者 裁判官の姿勢批判

 「誤判に対する反省がない」――判決を傍聴した「無実のゴビンダさんを支える会」の今井恭平さんは、裁判所の門前で判決を批判しました。「判決 は、新証拠によって第三者の男が犯人である疑いが強まったから、一審の無罪判決は正しいという。じゃあ、ゴビンダさんは無罪判決を受けた後、なぜ12年間 も獄中にいたのか。二審の有罪判決が無かったことにされている」
 判決後に開かれた報告集会では、布川事件の桜井昌司さんと杉山卓男さん、足利事件の 菅家利和さんも参加し、祝福のことばを述べました。桜井さんは、「人間として『ごめんなさい』と謝る心がないから、間違いを繰り返す。やはりたたかって変 えていくしかないと思った」と話し、国民救援会中央本部の瑞慶覧淳副会長は、「判決は、『第三者が犯人』とまで言っている。では、なぜ間違ったのか。裁判 所は誤判の責任を認め、原因の究明をすべきだった」と話しました。
 支える会事務局長の客野美喜子さんは、「いまも絶望的なたたかいの中で、血のにじむ努力をしている冤罪の当事者に、今日の無罪判決が勇気を与えることが できた」と話し、「再審はアンカーのいない駅伝のようなもの。長いたたかいだ」と言った弁護士の言葉を紹介し、次のように結びました。
 「誤判原因の究明はされず、裁判所の決意も感じとれない。それならば、私たちが誤判の究明をしよう。支える会は今日、役割を果たしゴールした。でも、ゴ ビンダさんが失った15年を無駄にしない、第2のゴビンダさんを生み出さないために、別のゼッケンをつけてまた走り続けよう」

原因究明と再発防止を 支える会・国民救援会 最高裁、最高検に要請

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 東電OL殺人事件・無実のゴビンダさんを支える会と国民救援会中央本部は、最高裁と最高検に対して11月12日、誤判の原因究明と再発防止に向けた改革をするよう要請しました。
 最高裁で国民救援会の瑞慶覧淳副会長は、再審という救済の制度がありながら,多くの冤罪事件が救済されていないことを指摘し、「疑わしきは被告人の利益にとする裁判の鉄則を、再審にも適用すべき」とした白鳥決定を最高裁自らが生かし、誤判の救済をすべきだ」と訴えました。支える会の今井恭平さんは、「ゴビンダさんが獄中で最初に覚えた漢字は『無実』。このとき彼がどういう思でいたか。権力の行使によって,人の人生を奪ってしまうことの畏怖があるのか。人の心がない法律の専門家であってはならない」と話しました。
 最高検では、検察の証拠隠しこそ,冤罪を生んだ元凶だと強調。結果として間違っていたが,捜査や公判に間違いはなかった、だから検証の必要はないとする,法務省や検察庁の屁理屈は,健全な社会通念からかけ離れていると指摘しました。

ネパールに帰り妻のラダさんと休日を過ごす


冤罪つくらない司法を

2012年司法総行動 法務省などに要請

 裁判所や司法行政機関が、日本国憲法と国際人権法に基づき、国民の常識にそい、国民にわかりやすい司法、真に社会的弱者の人権救済という本来の役割を果たすよう求め、2012年司法総行動が11月1日におこなわれました。
 意思統一集会には84人が参加し、昼休みに東京地裁・高裁前で包囲行動。その後、裁判所、関係省庁、労働委員会へ要請をおこないました。
 司法総行動は、全労連、自由法曹団、国民救援会など9団体が事務局団体となり構成されています。

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最高裁

 最高裁では、誤判原因について第三者機関を設置して検証すること、裁判官に対して国際人権規約についての教育を徹底すること、施行後3年を経過した裁判員制度の見直しなどを要請しました。
 また、名張事件の要請行動の際、最高裁職員が「来ている要請はがきの枚数を数えて報告することは控えたい」と発言があったことについて、国民の請願権を拒否するような対応はやめるように要請しました。
 これに対し、秘書課の丸山審査官は、「関係部局に要請内容を示し回答を求めたが、回答しません」と答えました。例年と変わらぬ不誠実な対応に強く抗議し、重ねて改善を求めました。

警察庁

 警察庁に対しては、警察不祥事が極めて増大していることに、マスコミからも強い批判があり、抜本的改善のためには警察組織から独立した第三者機関 の設置が必要なこと、取り調べの全面過程の可視化が必要であり、警察官に対して憲法や人権条約について基本的な教育が不可欠であること、代用監獄の廃止な どを要請しました。広報室の幡野課長補佐らが対応。

法務省 

 法務省側からの「誤判原因究明については、司法の独立の点から憲法上問題がないか、関係者のプライバシーなど、現行の運営状況をふまえて慎重に考えている」という回答に、「誤判の反省がない。冤罪をつくった責任が感じられない」と、強い批判の声があがりました。
 司法修習生給費制についても、貸与制になった昨年、司法試験に合格しても3割が辞退を考えた(うち9割が経済的理由)という修習生アンケートを紹介し、完全復活を強く要請しました。大臣官房秘書課付の初又氏らが応対しました。

取調べの全面可視化を!

日弁連と市民団体が集会

 「取調べの可視化を求める市民集会2012」が11月7日、東京・弁護士会館で弁護士や市民など250人が参加して開かれました。主催は、日本弁護士連合会と、国民救援会も加盟する「取調べの可視化を求める市民団体連絡会」。
 集会では、パソコンの遠隔操作による脅迫メール送信事件で逮捕された冤罪被害者の弁護人に中継でインタビューし、警察の取調べで実際にはやっていないことを自分がやったかのような錯覚に陥ったという冤罪被害者の心境が報告されました。
 続いて、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の幹事・小坂井久さんから議論状況の報告がおこなわれ、東海テレビ報道部ディレクターの齊藤潤一さ ん、LJCC(裁判員経験者のためのコミュニティ)コーディネーターの田口真義さんとのパネルディスカッションがおこなわれました。
 田口さんは、裁判員を経験し、法廷で実際に、被告人のウソの自白を見抜くことはとても難しいと経験を語りました。数々のドキュメンタリー番組を手がけてきた齊藤さんは、ありのままの姿を伝える手段として、ビデオ録画の有効性を話しました。
   集会の模様は、次のURLでご覧になれます。
   http://www.ustream.tv/channel/kashika-sympo20121107

再審連続シンポジウム

一部可視化は危険    日弁連

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 「再審連続シンポジウム 冤罪はこうしてつくられるPart1~捜査・公判の実態」(日弁連主催)が11月9日、都内で開かれました。
集会では,冤罪被害者の訴えがおこなわれ、足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、杉山卓男さんに続いて、福井・女子中学生殺人事件の前川彰司さんの父・禮三さんが「息子は他人の供述で犯人とされ,証拠はいまだに隠されたまま。悔しさは晴れません。命をかけて冤罪を晴らしたい」と訴えました。
 パネルディスカッションでは、ジャーナリストの青木理さんが「可視化はもちろんのこと、逮捕され23日間勾留される今の制度を変えないと、冤罪はなくならない」と話し、布川事件弁護団の山本裕夫さんは「一部可視化では危険」改革を訴えました。

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