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法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の「答申案」に抗議し、法制化に反対する声明

法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の「答申案」に抗議し、法制化に反対する声明                         

2014年7月11日
                         再審・えん罪事件全国連絡会
                           代表委員  新倉  修

7月9日、法制審議会「新時代の刑事司法制度」特別部会(以下、単に特別部会と呼ぶ。)は、3年余に及ぶ審議の結果、「新たな刑事司法制度の構築について調査審議の結果」と題する「答申案」を決定しました。この「答申案」は、下記に述べるように、(1)当初の原点から大きくかけ離れ、(2)限定的な可視化と引きかえに、(3)新しい捜査手法を導入する、という内容です。冤罪原因を温存したまま捜査権限ばかりを強化すれば、むしろ冤罪となるおそれをいっそう拡大することになります。

「再審・えん罪事件全国連絡会」は、このような危険をはらむ「答申案」が、冤罪防止を希求する世論にも逆行するものであることを訴え、これを法制化することに強く反対し、冤罪の根本原因をなくすための刑事司法改革を一日も早く着手することを、冤罪被害者とともに訴えます。

(1)そもそも特別部会は、大阪地検による証拠改ざん事件(厚労省・村木事件)をきっかけに、「取調べや供述調書への過度に依存した捜査・公判を見直し」、また「取調べの可視化など、冤罪をなくす新たな刑事司法制度」を実現することを目的として、2011年6月に設置されたものです。その前年3月には足利事件、同年5月には布川事件が再審無罪になったことも忘れてはなりません。さらに2012年11月には東電OL殺人事件が再審無罪になり、2014年3月には袴田事件では、捜査官による証拠の捏造を鋭く指摘する画期的な再審開始決定が出ました。これほど深刻な冤罪被害が相次いで明らかになった今でも、特別部会はこれを完全に黙殺しました。

(2)「答申案」は、取調べの可視化を義務づける範囲を狭く設定し、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件に限定しています。これは、全刑事裁判の約2パーセントに過ぎず、たとえば社会問題化している痴漢冤罪事件やPC遠隔操作誤認逮捕事件なども含むものではなく、5人の有識者委員が主張した全事件全過程の可視化には程遠いものです。
証拠開示では、公判前整理手続対象事件に限って証拠リストのみを示すという、きわめて不十分なものにとどまりました。また再審請求事件における証拠開示の制度化は見送られました。

(3)「答申案」は、「司法取引」制度を新設しようとしています。これは「容疑者が他人の犯罪事実を明らかにすると、見返りに求刑を軽くしたり、起訴を取り消したりできる」というもので、容疑者が自らの刑を免れたり軽くしたりするために、無実の第三者を陥れるおそれがあります。現に、古くは八海事件や梅田事件、近年でも福岡引野口事件や福井女子中学生殺人事件など、多くの冤罪事件で、その危険性が明らかにされています。

 また「答申案」には、盗聴法(通信傍受法)の対象事件の拡大と手続の簡易化が盛り込まれています。これは、国民生活の隅々までも監視の目と耳を広げるものであって、国民の人権を侵害するおそれは極端に高くなります。

再審・えん罪事件全国連絡会は、特別部会が決定した「答申案」にもとづく法制化を放棄するよう、法務省および内閣に求め、さらにこのような内容の法案を拒否するよう国会に求め、抜本的な冤罪防止策に一日も早く取り組むことを強く要求します。                                                            

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