えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

特別部会の「答申案」に抗議し、法制化に反対する会長声明

冤罪をなくす刑事司法制度改革に背を向け、盗聴法を改悪し国民監視を強める

法制審・新時代の刑事司法制度特別部会の「答申案」に抗議し、法制化に反対する

2014年7月10日
日本国民救援会中央本部
会 長  鈴 木 亜 英

7月9日、法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会(2011年6月設置、以下「特別部会」という)は、3年余の審議を経て、「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」(以下「答申案」という)をとりまとめた。この「答申案」は、袴田事件や厚労省村木事件等で明らかになった捜査機関による証拠の隠蔽、改ざんについて全く反省もなく、冤罪を防止するための刑事司法制度の実現という、国民の期待を完全に裏切るものと言わざるを得ない。

特別部会は、足利、布川事件、東電OL殺人事件など相次ぐ再審無罪と厚労省・村木事件での大阪地検特捜部による証拠改ざんの反省から設置され、冤罪の根絶のために、取調べの全面可視化(録音・録画)と証拠の全面開示をはじめ、適正な捜査と公判を確保する制度にむけた、明確な方向性を打ち出すことが期待されていた。ところが、「特別部会」の調査・審議は目的に反し、危険な方向ですすんでいった。これに対し日本国民救援会は、「特別部会」に設置の原点に返り、調査・審議を「一から出直す」ことを、繰り返し要請してきた。
今回の「答申案」は、本来の目的であった冤罪をなくすどころか捜査権限の拡大・強化策を打ち出しており、冤罪や弾圧を生み出す危険性を増大させるものであり、到底容認できない。
日本国民救援会は、以下の点から「答申案」に抗議するとともに、その法制化に強く反対するものである。

第1に、取調べの可視化については、その対象を裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件に限定してしまった。これでは、対象事件は全刑事裁判の約2パーセントに過ぎず、有識者委員が主張した全事件の全面可視化には程遠い。そもそも可視化の目的は、捜査機関の取調べを透明化することで適正な捜査を実現することにあり、犯罪の種類を問わないはずである。

第2に、捜査機関の手持ち証拠の開示については、公判前整理手続き対象事件だけに限定した証拠リストの開示にとどめ、再審請求事件での証拠開示は見送られた。捜査機関の手持ち証拠が全面的に開示されなければ、被告人に十分な防御の機会を保障したことにはならない。

第3に、「司法取引」諸制度の新たな導入が提案されたが、これは捜査機関が刑の減軽を取引材料として、虚偽の自白を獲得する手段に使われるおそれがある。また、刑の減軽を獲得するために無実の第三者を犯罪者に陥れる危険がある。現に、日本国民救援会が支援し無罪となった、古くは八海事件、梅田事件、近年でも福岡・引野口事件などでその危険性が明らかにされている。「司法取引」制度は、検察の権限を拡大し、今以上に冤罪を生みだす危険なものである。

第4に、盗聴法(通信傍受法)の対象事件の大幅拡大と立会人を不要とするなど手続の簡易化による警察権限の強化・拡大策が盛り込まれている。

安倍政権は、多くの国民の反対の声を無視して秘密保護法を強行採決し、共謀罪の制定を図り、さらには憲法を改悪し、アメリカとともに「戦争する国」へと突き進もうとしている。盗聴捜査の拡大は、このような流れによる、国民を監視し抑圧する体制づくりと深く連動し、国民の人権を侵害するものである。
日本国民救援会は、今後とも、冤罪をなくすために刑事司法制度の抜本的改革を求める運動を強化するとともに、国民の人権を侵害する盗聴法の改悪等を阻止するために全力を挙げて奮闘する決意を表明する。

powered by Quick Homepage Maker 4.16
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional