えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

第20回裁判勝利をめざす全国交流会記念講演



すべての裁判で勝利しよう! 第20回裁判勝利をめざす全国交流会記念講演

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 4月におこなわれた第20回裁判勝利をめざす全国交流会での、自由法曹団団長の菊池紘弁護士の記念講演と、全労連副議長の根本隆さんのまとめの発言の要旨が救援新聞5月25日号に掲載されていますので紹介します。

たたかいこそが未来を切り開く

 裁判をたたかううえで、「裁判官とはどういう人か」という問題があります。私が弁護士になってすぐに痛感した「裁判官は何を考えているか」の話をします。

裁判官とは...

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 1952年に起きたメーデー事件控訴審に弁護団として参加しました。1万人を超える人たちが皇居前広場で警官隊に弾圧を加えられ、2人が殺され、1200人が逮捕、260人が「騒乱罪」で起訴されました。裁判は一審で、半数が無罪、もう半数が有罪。72年の二審で全員無罪となりました。
 証拠調べをやると、労働者の方から殴りかかったことは無く、警官隊が一方的に殴りかかって拳銃を発射したことが明らかになりました。それが何で騒乱罪になるのでしょうか。
 一審の裁判官は、「デモ隊の中の相当数のものは、もし警官隊が実力を行使して、集団の解散を強行してくる場合は、所携の棒や竿を使用したり投石して、対抗しようとする意図を抱いていた」と言いました。棒というのはプラカードです。竿は旗竿です。こんな馬鹿な話はないと思います。これは、働く人たちをどう見るのか、裁判官の労働者観が問われた問題でした。
 いま派遣でどれだけ多くの若い労働者、女性労働者が苦しんでいるのか、このことを、本当に裁判官に、わからせるにはどうすればよいか十分に深く考えなくてはいけないことではないかと思います。

「事件の顔」とは...

 私がやった裁判での経験を通してお話をさせていただきます。はじめに西武バスの解雇裁判についてです。
 西武バス労組石神井支部の書記長の大野さんが解雇されました。仕事が終わった大野さんは、西武車庫へ向かう路線バスの運転手に「2分間待ってくれ」と頼み、その後乗車しました。大野さんは、2分間バスを遅らせたとして解雇されました。
 調べると、実際に遅れたのは30秒でした。しかし、一審は負けました。高裁から松井繁明弁護士と私が弁護団に入りました。松井さんが色々考えて、この30秒の遅れが悪いのはあるとして、バスの運転手はどうなっているのか。大野さんはちょっと声をかけてクビになっていますが、バスの運行はすべて運転手の責任なのに、運転手には何のおとがめもない。それなのに大野さんはクビか。このことを高裁で訴えました。集会でも訴えたところ、争議団の方が、「大野裁判の支援を何年かやってきたけど、初めて事件がわかった。すとんと落ちた」と話をしてくれました。
 主導権をとるためには、わかりやすい争点を設定する必要があります。争点を設定するには、当事者や支援の人、あるいは被告人の人が見てわかりやすいものになっているかどうかが問われます。『事件の顔』とよく言われますが、他の事件とは違う、この事件の本質というものを打ち出さなければなりません。
 この裁判の一審ですべての事実は裁判所に提供されていましたが敗訴でした。二審での主張・立証は一審で出ている事実を再構成し、それが勝訴の要因になりました。
 証拠があるということは、ただちに勝訴に結びつきません。証拠を使って裁判官をきっちり説得する努力がないと証拠は死んでしまいます。それは弁護士の責任ですが、当事者と支援者がきっちり議論する中から再構成できるかどうかが勝敗を決めるのです。

裁判官の飛躍を...

 次に、石川島播磨重工業(現IHI)のことをお話させていただきます。石播は、三菱と並んで、造船・重機の大独占企業です。20数年前に賃金差別で労働委員会に提訴をしました。その後7千人合理化に関連する5名の解雇を争います。
 中労委の1回目の期日があり、石播の活動家が証言しました。「私どもの苦しい立場をご理解いただいて労働委員会の役割を果たして救済をお願いしたい」陳述しました。そのとき、「黙れ、そんなことを言われる筋合いはないんだ」と舟橋委員長がさえぎりました。委員長は見識のある大学教授で、中労委を背負って立っている人でしたが、労働者の苦しみや願いを理解しない言葉でした。
 ところが、委員長が変わっていったのです。証拠調べをして和解交渉をやっていくうちに、「石播はひどい、自分と中労委の存在意義をかけて解決する」と言ってくれました。しかし、舟橋さんは病気になり、入院されました。和解し解雇は撤回させましたが、その1ヵ月後に亡くなられました。
 私たちはこのたたかいを通じて舟橋さんと互いの人生を重ね合わせることができたような気がします。本当にきっちりたたかっていくことで、裁判官、あるいは労働委員会の良識ある人と互いの人生を重ね合わせることができるのです。

闘いが歴史開く...

 いま派遣を争う60の裁判が進んでいます。いまの派遣の問題は、日本の大企業の支配の根幹にかかわる問題ですから、緩みなく、すべての力を結集して、全力でやらないと突破できないと思います。派遣に限らず、大きな事件はそういうことが必要だと痛感しています。
 これまで労働裁判では、多く勝って、多く負けました。そうした裁判闘争の積み重ねの上に、この国の働く人々の権利と自由が守られて、強められてきたのではないでしょうか。
 こうした前進は、労働裁判に限らず、言論の自由をたたかいとる裁判、再審、えん罪事件など数多く見られます。皆さんのたたかいは、広くこの国の自由と民主主義に欠くことのできない重要な構成部分です。裁判闘争を含むいろいろなたたかいで、初めて未来が切り開かれるということを確信しています。それは私の確信であり、みなさんの確信ではないでしょうか。


切り開いた到達 さらに前へ進め

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 この間、労働事件では、日動火災の外勤職員の雇い止めに対するたたかいが勝利的和解を勝ちとり、子会社ですが、正社員としての現職復帰を勝ちとることができました。JR1047人の採用差別事件は、4者4団体に対して政府から解決案が示され、23年間にわたるたたかいが解決に向けて具体的な局面に入りました。
 この2つのたたかいの教訓は、当事者が団結をして、労働組合に結集してたたかったということ、国民を大きく巻き込んで共同の輪を広げるたたかいを起こしたことがいえると思います。
 冤罪事件については、足利事件に続いて布川事件で再審開始が決定し、名張毒ぶどう酒事件では、名古屋高裁の再審開始取り消し決定に対して、最高裁が審理を高裁へ差し戻す決定も勝ちとりました。
 言論弾圧事件では、国公法弾圧堀越事件が、東京高裁で逆転無罪を勝ちとることができました。葛飾ビラ配布弾圧事件の荒川庸生さんのたたかいは、最高裁で不当判決が確定しましたが、マスコミの報道はこぞって判決の不当性を断罪していました。そうした世論を形成していくことが大事であり決定的だと思います。

 今回の堀越事件の判決では、公安警察の捜査権の乱用に対しては言及されていないという弱点はありますが、国民の意識の発展、世界基準の視点を捉え、公務員の政治活動の是非について再検討されるべき時代が到来していると述べていることは、きわめて重要な内容だと思っています。私たちのたたかい、時代を変革していくたたかいと結びついていることを実感できるものになっています。

 事実を事実として明らかにしていく、不正義に対しては断固とした姿勢を貫きたたかいを広げていく、その中で裁判官の姿勢を変え、世論を味方につけていく、そういうたたかいが重要ということも共感できました。この間、私たちが切り開いてきた到達点をさらに前進させていく足がかりにしていく決意を皆さんと固め合って、今日の交流会のまとめとさせていただきます。

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