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衆議院-比例定数の削減  その本当の狙いは?

ここに掲載されている内容は、救援新聞2012年1/25号に紹介されています。

衆議院 比例定数削減 その本当の狙いは?

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削減より、民意を反映する選挙制度へ!

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 野田首相は、民主党代表選での政権構想で、「マニュフェストに掲げた衆議院定数80削減を目指す」としています。また、年頭所感では議員定数の削減に「力こぶを入れてとりくむ」と強調しています。これは、国民にとってどのような影響を及ぼすのでしょうか?自由法曹団・衆院比例定数削減阻止対策本部事務局長の山口真美弁護士にお話を聞きました。


--野田首相は年頭所感で、消費税増税を具現化する一方、国会議員の定数削減に力こぶを入れて取り組むと語っています。

 国民にだけ負担を押しつける発言です。消費税増税で苦しむのも国民、定数削減で自分たちの声を代表する議員を減らされるのも国民です。野田首相は,野党の賛成がなくても定数削減案を提出するとも言っており、1月24日から始まる通常国会が正念場になります。悪政を強行するために比例代表制を減らして国民の声を封殺する危険な狙いを明らかにし、国民のための政治を実現するなら比例定数の削減ではなく、比例代表制を拡充すべきだという声を早急に広げる必要があります。

--なぜいま、比例定数削減なのでしょうか。

 小選挙区制というのは、その選挙区の中で第1位の候補者しか当選しない選挙制度です。常に保守2大政党を作っていく、民主党と自民党という2大政党が議席を独占するための制度です。
 ただ、1994年の政治改革導入の段階では、死票が多く出て民意がゆがむという批判もあったため,妥協の産物として、民意を正確に反映する比例代表制の200議席(当時)を加えて並立制にしたのです。
 民意を反映する部分を、率直に言えば削ってしまいたい。保守2大政党制をもっと完成させて、中小の政党や多様な民意の反映というのを切り捨てたいと言うことが、一番の狙いです。

--比例定数削減に至った背景は。

 これまでの政治改革の中で,新自由主義の改革がおこなわれました。境保証が切り捨てられ、雇用も破壊されました。
 こういった政治が続けば国民は政治に対して批判の声を上げます。その批判の声によって、09年に政権交代が起こりました。
 しかし、政権交代押しても政治は変わらず、今度はその批判の高まりによって、参議院選挙で民主党が惨敗し、ねじれ国会となりました。
 国民の生活や雇用を脅かす悪政を強行しながら、これに対する国民の批判の声をかわしたいという狙いが比例定数削減を推し進める背景にあります。

 国民の批判の声がなるべく反映しないようにするためには、怒った国民が投票をしても2大政党のどちらかしか選べない選挙制度を作りたいということです。構造改革、改憲路線の政党しか国民が選べない。主権者である国民の選択権を奪い、ゆがめるのが狙いです。

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--国会での議論はどうなっていますか?

 議論は、民主党・自民党対7野党という形で分かれ、民主党と自民党は、比例定数の削減を狙っています。
 民主党と自民党は、昨年3月23日に出された09年の衆院選を「違憲状態」とする最高裁判決を口実に二段階論を主張しています。
 最高裁が違憲の原因とした、各都道府県にあらかじめ1議席を配分する「1人別枠方式」を廃止する法改正を急ぐ必要があるので、「1票の格差是正の話を先にやりましょう、その後で、選挙制度の抜本改革や、議席の削減などの議論をしましょう」というのが民主党と自民党です。
 法改正をして小選挙区の区割りを1票の格差を是正して組み直しても、次に定数削減が問題となったときに、じゃぁもう一回小選挙区の区割りを組み直して削りますかと言われたら、組み直したばかりのものを、もう一度やり直しましょうという話にはなりません。
 二段階論の本音というのは、入り口は「格差是正で、みんなで話し合いましょう」と言って、出口は「比例を削減するしかありませんね」としたいのが見え見えの議論です。

--投票しても政治は変わらないという国民の不満を解消するにはどうしたらいいのでしょうか?

 選挙制度を抜本的に変え、自分の1票がちゃんと生きる制度に変えないといけないと思います。
 小選挙区制では、政党から公認をもらわないとその選挙区では勝てません。党の執行部から公認をもらい、政党助成金を受け取るためには、党の執行部が気に入る政策を掲げることしかできません。
 再選するには執行部に逆らう議員活動は出来ません。選挙民の声ではなくて、政党のための政策しか考えず、それが政治を腐敗、劣化させることにつながっていきます。
 小選挙区制を廃止してそこを直さないと、いつまでたっても国民のための政治にならないと思います。

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--国会議員自らを削るべきだという主張が、国会議員からも出されています。他国と比べて,日本の国会議員は多いのでしょうか?

 国会議員の数は、他国と比べてとても少ない状態となっています。日本は,アメリカに次いで下から2番目です(右のグラフ)。
 ただし、アメリカでは連邦制を採っていますので、州政府の議員数を含めると日本より多くなります。そういった点を考えると、今の選挙制度の中では最下位に近いというのが日本の現状だと思います。
 スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマークなど、北欧で福祉の充実している国では、国会議員が多くなっています。

議席は誰のもの?議席は誰のものロゴ.gif

--他に無駄を削るとすれば、どこを削ればいいのでしょうか?

 早急に政党助成金をやめることが一番です。身を削るといっても、実は議員は一人も損をしません。確かに議席を獲得できない議員は出てきますが、「身を削る」と言っている民主党や自民党の幹部クラスの人たちは自分たちの議席が無くなるわけではありません。
 政党助成金は各党に配分されますので、議席が減っても取り分は減りません。自分の取り分が増え、削減太りするぐらいです。いま320億円が配られていますが、それは、議員が減ったからといって減るわけではありません。身を削るなどと言っても、何も削っていないというのが本当です。
 身を削るという議論で一番最初に間違っているのは、議席を誰のものだと持っているのかということです。国民主権の観点からすれば、「議席は国民からお預かりしているもの」だと思います。それを勝手に身を削るというのは、国会議員が自分の議席を私物化していて、国民の声を反映するための議席だという意識が欠如しているとんでもない議論です。
 国民の手に政治を取り返すために比例代表制にすることが最も大切です。議員が身を削るというなら、まず政党助成金を廃止し、粉骨砕身して国民の雇用とくらしを守る働きをすればよいのです。

--国民は今、なにをするべきでしょうか?

 今の政治に対する批判や怒りの声を、どんどん上げていくべきだと思います。原発無くせ!、TPP反対!、という声を、選挙制度の問題と一体のものとして考えてもらいたいです。自分たちの声を政治に反映させるためには、自分たちの声を代表する議員を選出する選挙制度が不可欠です。民意を反映する選挙制度にすることと両輪のように進めていくことが大切です。
 どのような要求も、国民は主権者としての1票で実現するということで、要求実現のとりくみでは、必ず比例定数削減反対、小選挙区制廃止、比例代表がメインの選挙制度実現もあわせて、声を上げてもらいたいです。

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