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許すな秘密保全法...重大な事実も隠ぺい

許すな 秘密保全法

重大な事実も隠ぺい

原発事故の教訓から 

メールなどのインターネット上の情報を、政府が盗み見ていたことが明らかになった監視国家アメリカ。これに追随する日本も、秘密保全法の制定や盗聴法の拡大などで国民監視の強化を狙っています。安倍政権は、秘密保全法を制定してどんな国家を作ろうとしているのか。原発事故の隠蔽問題を軸に、法案の危険性を探ります。(救援新聞10月15日号・海渡雄一さんの講演より)
 
 東日本大震災にともなう東京電力福島原発の事故で、日本政府と東京電力は、国内の安全にかかわる様々な情報を隠しました。重大なのがメルトダウンの事実の隠蔽とSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予想ネットワークシステム)の情報公開の遅れです。
 私は今年の4月、日弁連の調査団の一員として、福島県の浪江町を訪れました。浪江町の仮設住宅自治会長から、「消防団員が、震災の翌朝から始まる救助活動の準備のために浜を回ったとき、多くの被災者が助けを求める声を聞いた」との話を聞きました。
 浪江町は、沿岸部がつなみにさらわれ、震災翌日から被災者を捜索する予定になっていましたが、捜索の直前に放射能被害を避けるための避難指示が出され中止になりました。捜索再開は1ヶ月以上経過してからになり、救える命も救えませんでした。
 しかし、沿岸部の放射線量は低かったのです。SPEEDIの情報がただちに開示されていれば、消防団や警察などは残って捜索して助けられる命があったかもしれません。しかも、放射線量の高い地域が隠されたために住民はわざわざ線量の高い危険な山間部に避難することになり無用の被曝をしました。国家の情報秘匿がもたらした「地獄」です。

政府と東電が情報を隠蔽

 事故の直後、東電の清水社長が会見で、「想定外の津波」と発表したのを覚えていませんか。
 震災の約1年前、原子力安全保安院が、福島原発の津波対策の現況を説明するよう求め、東京電力は、11年3月7日に、津波は13.7メートルになりうると保安院に回答していました。震災の4日前です。この情報は、政府も東電もずっと隠し続けており、11年8月に読売新聞のスクープによって明らかにされました。国と東京電力は共謀してウソをつき続けたのです。
 もうひとつ。4号炉の使用済み燃料プールが崩壊する危険があったのです。もし崩壊すれば核燃料が燃えだし、手がつけられず、東京も避難区域になる危険が迫っていたのです。この情報は、原子力委員会の近藤駿介委員長のプレゼン資料で政府に報告されましたが公表は半年以上たってからでした。

真実に蓋する秘密保全法案

 今、秘密保全法の国会提出が狙われています。
 その背景には、アメリカと日本が共有した軍事情報を他国へ漏洩させないことを定めた2007年の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)があります。日米共同でミサイル防衛システムなどの開発をするために、情報共有の前提として機密情報の保全を約束したものです。
 9月に公表された法案の概要は、国にとって重要な情報を「特別秘密」に指定し、秘密を漏らした公務員や、秘密を入手した人を処罰し、「特別秘密」を守ろうとするものです。守るべき秘密は、防衛、外交、安全脅威活動(いわゆるスパイ活動)の防止、テロ活動の防止の4分野で、過失で漏洩しても犯罪です。未遂、共謀、扇動などが処罰の対象になるとされます。公務員だけでなく、ジャーナリストや市民活動家も「特定取得行為」の対象となり処罰されます。特定取得行為は秘密情報の「管理を害する行為」とされ、無限定に拡大解釈される可能性があります。
 いままでも、自衛隊法や国家公務員法には、秘密保全の条文はありました。それが範囲が拡大されただけという考えもありますが、それは甘いのです。法案が定める罰則は10年。国家公務員法は懲役1年でした。取材で知った秘密を国会議員に漏洩したとして起訴された西山太吉記者は、懲役4月、執行猶予1年でした。
 いままでは、会社をクビになる覚悟さえあれば秘密を暴くジャーナリズム活動はできたかもしれないけれども、これからは、刑務所に10年間行くことを覚悟しなければなりません。国民に真実を伝えるジャーナリズム活動は長期の投獄を覚悟しなければできなくなります。

漏れる前から捜査の手入る

 また、秘密を暴くための取材活動を複数の記者が相談しただけで、共謀罪です。
さらに扇動罪の規定も危険です。原発の汚染水が海中に漏れていることは、今年の7月まで国家機密でした。僕がこの場で、「汚染された地下水が海に漏れているのではないか。日本と世界の海の安全がかかっている。情報を知っている公務員がいたら公表してください」叫んだら、現行犯逮捕されます。
 戦前は本当にそういうことがあったんです。誰もが知っている基地の場所を外国人に教えただけで逮捕され、投獄された青年がいるのです。いままでのように秘密が漏れたあとに捜査を開始するのとは違って、漏れる前からそのような活動をしそうなジャーナリストを監視し、何かあれば検挙する体制が目指されているのです。
 参院選挙で圧勝した自民党は、秘密保全法、共謀罪、盗聴法拡大の「悪法トライアングル」で監視社会を強めようとしています。「人を見たらスパイと思え」という人間不信を煽り立てる社会は、戦争反対を叫ぶ人々を非国民として刑務所に送った戦前の社会につながっています。秘密保全法制こそ、憲法改正の地ならしであり、憲法9条で「戦争をしない」と決めた国の基本姿勢を崩そうとするものです。いま、日本は岐路に立っているといえます。

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