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鹿児島地裁不当決定を森雅美弁護団長に聞く(第1回)

鹿児島・大崎事件

新証拠の「明白性」判断誤る

地裁不当決定

決定報告集会での森雅美弁護団長と原口アヤ子さん

 9年前、鹿児島地裁の再審開始決定が取り消され、2度目の再審請求となる大崎事件・原口アヤ子さん。3月6日、鹿児島地裁(中牟田博章裁判長)は、まともな審理もしないで再審請求を棄却する不当決定を出し、たたかいの舞台は福岡高裁宮崎支部に移りました.今回の地裁決定の問題点を森雅美弁護団長に聞きました。

(救援新聞4/5号より)

_鹿児島地方裁判所刑事部は、どんな理由で再審請求を棄却したのですか。

 今回の決定は私達弁護団が求めた、検察が持っている証拠リストの開示や事実調べを実施しないまま判断がなされたものです。
弁護団は、新証拠として法医学鑑定書、供述心理鑑定書等を提出していましたが、今回の決定は、それらのすべてについて原口アヤ子さんの元夫ら「共犯者」とされた人たちの「自白の信用性を動揺させるような証拠価値は認められない」として再審をするための証拠に必要とされる「明白性」がないとしました。
 ※編集部注 (「明白性」=再審開始を決定するのは、無罪判決を言い渡すべき「明らかな証拠を新たに発見したとき」とされています。)

_具体的には、どういうことだったのでしょうか。

 弁護団が提出した新証拠は、大きく4つですが、そのうち2つ(上野鑑定書と供述心理鑑定書)について説明します。
 上野鑑定書は、「共犯者」の「自白」ではタオルで首を絞めて殺したことになっているが、被害者の首には、絞殺であるなら当然にできる痕跡が見当たらないとする元東京都監察医務院長の上野正彦さんの鑑定書です。
 決定は、被害者の死体の頚部について索溝(首を絞めた痕跡)等の有無を論じることはそもそも困難であるとしています。
 しかし、そもそも、被害者の頚部の索溝等の有無については,上野鑑定だけが論じているものではなく、第1次再審請求審のときに、最初の鑑定人の鑑定(城鑑定),新たに弁護団が依頼した鑑定(池田鑑定)、検察側の鑑定人の意見(石山意見)がいずれも頚部の索溝等の有無について言及しているのであって、この点について論ずることが不可能というのは明らかな事実誤認です。そのうえ、上野鑑定が、首を絞められた被害者の抵抗を想定していることに対して論理の飛躍があるというのですが、「共犯者」らの「自白」内容自体に、被害者の抵抗が想定されており、論理の飛躍であると述べる決定は、これらの事実を全く誤認しているとしか考えられません。
 供述心理鑑定書は、「共犯者」とされた3人の供述のうち、通常打ち合わせがなければ行えない行為などに関する供述について、体験者の供述であれば当然備えるべき特徴を備えておらず,体験者の供述ではない可能性が高いとする心理学者作成の供述心理鑑定書です。
 決定は、同鑑定書について、専ら供述の内容や変遷の有無等に着目して「体験供述性」の有無(体験者の供述と思われる性質を備えているか否か)を論じており,供述の信用性の検討としては甚だ不十分であることはいうまでもない、等と述べています。
 しかし、この鑑定は、供述の信用性の判断を直接に行ったものではなく,実際に体験した者の供述であれば当然備えるべき特徴があるかなど、供述の構造及び形式という客観的側面に着目し、科学的観点から、体験者の供述と思われる性質を備えているか否かを論じたものであって、決定の批判は全く当たりません。 (続く)

大崎事件とは...
 1979年10月15日、鹿児島・大崎町の農業・Aさんが自宅牛小屋の堆肥の中から死体で発見されました。Aさんは,3日前の夜、泥酔して自宅から約1キロの用水路の中に自転車とともに落ち、倒れているところを,隣人のIさんとTさんに家まで送り届けられた後、所在不明となり、捜索願が出されていました。
 警察は、殺人及び死体遺棄事件と考え、当初から近親者の犯行と見て捜査を開始し,同一敷地内に住むAさんの兄のZさんとKさんを,続いてKさんの長男Yさんを、さらにZさんの妻であった原口アヤ子さんを逮捕。原口さんは、一貫して無実を訴えましたが,知的障害を持っていたZさん、Kさん、Yさんは警察の「叩き割り」という過酷な取調べに耐えきれず「自白」。裁判所は全員に有罪判決。原口さんを懲役10年としました。
 原口さんは,満期出所後、再審請求。2010年に第2次再審請求。2011年、Zさんの遺族がZさんについて再審請求。

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