えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.47 再審えん罪事件全国連絡会ニュースより

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2010年8月6日発行 No.47


布川事件 再審公判が第1回、第2回と開かれる

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 布川事件の再審公判が7月9日に第1回、7月30日に第2回と行われました。検察は、あらためて桜井さんと杉山さんの有罪立証を行うと言明していましたが、第2回の公判では、検察側の主要な切り札であるDNA鑑定の請求が却下されました。これで、2人に無罪判決が出されることはほぼ確実と思われます。第1回と第2回の公判の内容を簡単にご報告します。

第1回再審公判の審理概要

(救援新聞編集部・山下記者からの情報を元に作成)
公判後の報告集会.gif

 冒頭手続の被告人意見陳述で、検察の確定審と同じ起訴状朗読に桜井さんが「(無実の証拠を隠し、証拠の捏造までした検察が)あんな起訴状を朗読して恥ずかしくないのか」と怒りの声をぶつけ、検察官から異議申立てがあり、裁判官が「今後の審理でおこないましょう」と諫める場面がありました。

【弁護団意見陳述】

① 強盗殺人の公訴事実について2人は無罪であると主張。(山本弁護士)

・ 42年間2人が無実を訴えたことからも無実は明らか。
・ 再審請求審で明らかにされたことからも2人の無実は明らか。

 1つ目は2人のウソの「自白」について取調官が偽証していたことや、「自白」テープの捏造・誘導などを認め、否認後に警察署に逆送して再度「自白」に転じたことについても「虚偽の自白を誘発しやすい状況の下でされた疑いがある」としたこと。
2つ目に「自白」の信用性についても、現場の客観的状況に符合しない点、物的証拠がない点、秘密の暴露がない点、異常な変遷や食い違いを認め、「自白」は信用できないとしたこと。
3つ目に、目撃証言について、矛盾した目撃供述(O証人の初期の供述調書)の存在が明らかになったことなどで、信用できないとしたこと。

② 警察及び検察の責任を追及。(柴田弁護士)

・ これらの再審請求審で明らかになった警察・検察の違法・不当な捜査活動が、誤った確定判決を導いたとして、「どう考えているのか」と追及。検察官は無言。裁判官が制止し、「今後の審理でおこないましょう」。

③ 再審公判の使命と審理について(山本弁護士)

・ 使命の一つ目として一日も早い無罪判決を下すこととし、そのために再審公判の審理について2点強調。1つは、再審請求審の結果を尊重し、検察は確定判決と離れた有罪立証をおこなうべきではないということ。もう1つは、かかる違法・不当な捜査活動に謝罪も反省もない検察に有罪立証をする資格はないということ。
・ もう一つの使命は誤判に陥った原因を究明することとし、そのためにも各裁判所がその責任においてなすべきと主張。
・ 検察が重要な目撃証言(Oさんの証言)の証拠調べに同意していないこと、一方でDNA型鑑定請求という危険な鑑定を実施しようとしていることを挙げ、検察官は再審請求審の証拠調べに同意し、DNA型鑑定請求を撤回して審理の進行に協力すべきと主張。同時に検察が応じない場合は、裁判所において行うべきであると主張。
・ 強盗殺人以外の公訴事実においては免訴判決を望むと主張。

【検察側冒頭陳述】

・ 「原審と同じ」で終わり。

【弁護側冒頭陳述】

・ パワーポイントを使って各弁護士らが入れ替わり立ち代わり説明。
・ 二人の無罪を主張。その理由として有罪の根拠とされている「自白」と「目撃証言」についてそれぞれ、「自白」に任意性がないこと、「自白」に信用性がないこと、「目撃証言」に信用性がないことを主張。

【裁判所から証拠採用について】

・ 双方同意している証拠については証拠調べするという意向。
・ 確定審で調べられている証拠については既に証拠調べをしたということにしたい。
・ 確定審で証拠調べをした証拠のうち、現在裁判所に現存していない証拠が5点あることが明らかになった。うち2つは桜井昌司さんが早瀬警部宛に宛てた手紙(警察に還付)で弁護側からコピーを提出するということで検察官も同意。残り3つは桜井さんの供述調書で、原審の通り証拠調べしたということにしたい旨を伝え、双方同意。
・ 双方同意していない証拠については今後検討したい。

【検察側証拠説明と立証要旨】

・ 主に証拠の説明を朗読。
・ ところどころで桜井さんが当時のことなどを思い出すようにうなずいたり、あきれ笑いを見せたりする。

【弁護側証拠説明と主張要旨】

・ パワーポイントなどを使って各弁護士らが入れ替わり立ち代わり説明。

【双方が同意しなかった証拠などの請求について】

・ DNA型鑑定の証拠請求について、裁判長から、現在、検察側の証拠請求について弁護側から意見書が出され、それに対して検察側が答弁書を提出したが、弁護側が再度反論書を提出しているという状況を整理し(マスコミなどの傍聴者に伝えるように話す)、双方にこの現状でDNA型鑑定の証拠採用について意見は出し尽くしたか確認。
検察側、無言。
裁判長から弁護側はどうですか、と質問。
「検察が出さなければ」と回答。
裁判長が検察に弁護団の反論書に対して、反論する予定があるかと質問。
検察側はもごもごと何事か(おそらく不明瞭なことを)答える。
裁判長が証拠採用を早く決めたい旨を伝え、弁護側が検察側に、反論はしないんですね(しなくていいだろう)、と再度確認。
検察側「(反論が)ないとは言えない」と答える。....傍聴者、弁護側、苦笑。
裁判長はいつまでに決められますか、と尋ねる。
検察側、「ともかく早急に出したい」などと答える。弁護側がこの1~2週間のうちということか、と尋ねる。
検察側は曖昧にうなずき、「それくらいには」などと答える。
裁判長が、弁護側に(提出するとした検察側反論に対して)再反論はしますか、
と尋ね、弁護側が「出たのを見ないとわからない。反論の要旨でも出ればすぐに決める」旨を伝える。
裁判長が検察側に早急に出すよう改めて確認し、DNA型鑑定の証拠採用については次回以降決めることにします、と宣言。弁護側のOさんの証人尋問の請求が7月8日付けで来ていることについて、手続き上の取り扱いをどうすべきか、裁判長が弁護側に質問。
内容は、弁護側の意図がOさんの供述調書が証拠採用されなかった場合に、最悪Oさんを証人尋問したいというところにあるのは理解しているが、そうであれば受理しても未だ証拠採用をするかどうかの議論に至らないので、昨日付けで受理したほうがいいのか、採用されなかった場合に改めて提出した方がいいのかということ。弁護側にうまく意味が伝わらず、弁護側がO証人の調書及び証人尋問の必要性を説明。
裁判長、しばらくぶつぶつと一人で悩んで、昨日付けの請求でよいかということだけを確認。弁護側が同意。検察側に改めてOさんの供述調書の証拠調べについて不同意かどうかを確認すると同時に、Oさんの証人尋問について同意するか質問。
検察側は、供述調書については不同意とし、証人尋問については「しかるべく」と答える。
・ 同じく弁護側が昨日付けで送ったフカサワ(取調官?)の証人尋問について、検察側が同意するか質問。検察側は、弁護側立証の趣旨を精査してから回答します、と答える。
・ 最後に意見は、などと裁判長が尋ねる。弁護側は改めてDNA型鑑定の危険性とその証拠請求の不当性を強調する。

第2回再審公判の審理概要

(布川事件守る会の山川さんからの情報を元に作成)

第2回再審公判は、前回に引き続き、弁護人請求の証拠調べ

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 今回は、桜井恵子さん・杉山利枝さんに加えて、杉山さんの息子さんの望君も家族席で傍聴。また再審請求審で10・17 桜井自白の録音テープの解析を行った中田宏さんも補助者として弁護人席に。
 法廷では、証拠として提出された5つのビデオのダイジェスト版が実際に法廷で再生されました。桜井さん杉山さんは自白を唯一の直接証拠として有罪になりましたが、これらのビデオはいずれも二人の自白を弾劾する証拠。

 まず、①櫻井さんが自白を始めた2 日後の10月17日にとられた自白テープが、反訳と解析データとともに再生されました。このテープは再審請求審になって証拠開示され、解析で13カ所の中断痕(高裁で認定されたのは11か所)が見つけられたもの。警察の想定と異なることを言うたびに中断し、内容を変更しているように受け取れるこのテープは、自白が取調官の誘導によって作られたものであることを強く印象付けるもの。自白の録音テープは、取調べの一部だけを可視化することの危険性を改めて感じさせることに。
 続いて、②自白どおりに物色した場合に指紋が付かないかの実験のビデオ(現場には二人の指紋がありません)、休憩をはさんで、③殺害行為を自白通りに映像化したビデオ、④自白の通りに蹴った場合にガラス戸がどうなるかの実験のビデオ、⑤自白どおりに便所脱出する実験ビデオが上映されました。
 これらの映像は、いずれも一見もっともらしい自白が実際にはいかに現実離れの奇妙なものであるかを明らかにするもので、延々と流される実験や奇妙なビデオは、確定判決が根拠にした自白のおかしさを延々と告発するようでした。
 最後に、検察官が請求したパンツなどのDNA鑑定についての判断がされました。裁判所は、「検察、弁護側の双方の意見を総合的に検討した結果、鑑定を実施する前提の条件が欠けている」として、検察のDNA鑑定の請求を却下しました。検察官は直ちに異議申し立てをしましたが、これも直ちに退けられ、DNA鑑定はされないこととなりました。

次回、第3回再審公判での争点は?

 次回の第3 回再審公判では、弁護側が請求したOさんの証人尋問が行われます。その尋問が行われた後、犯行当時つくられたOさんの調書が証拠として採用されるか、また同じく弁護側が証拠調べ請求をしているF元警察官の捜査メモ(再審公判になって証拠開示)・その証人請求についても判断される予定です。

 O証人の調書は、再審開始の決め手の一つとなったもので、これを不同意にすることは検察の再審公判の審理の妨害行為にほかならず、決して許されることではありません。またF元警察官の捜査メモは、O証人が早い段階で犯人の目撃を警察に申告したことを書いたメモです。F元警察官は、ポリグラフ検査を嘘と出たと言われて櫻井さんが自白を始めたことに深くかかわっており、また確定審で櫻井さんの録音テープが存在しないと偽証し、二人を有罪とすることに大きな役割を果たしました。

【第3回公判以降の日程(予定)】
  9月10日(金) 第3回再審公判
 10月15日(金) 第4回再審公判
 11月12日(金) 第5回再審公判
 12月10日(金) 第6回再審公判
 すべて、水戸地方裁判所土浦支部で、午後1時30分からです。



岡山・山陽本線痴漢えん罪事件

最高裁が不当な上告棄却!

最高裁に抗議、そして、山本真也さんに激励をお願いします

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 山本真也さんが無実を訴えてたたかっていた岡山・山陽本線痴漢冤罪事件について、最高裁は、7月20日付で、懲役6月執行猶予3年とした1審・2審の判決を支持し、上告棄却とする不当決定を出しました。この事件は、山本さんと被害者との身長差から、満員電車の中ではとてもできないような不自然な姿勢にならなければ犯行が出来ないことが明らかにされ、誰もが山本さんの無実を理解出来る事件です。
 山本さんは、「上告棄却決定に満身の怒りを覚える。引き続き真実を明らかにする為、いかなる闘いができるのか模索し、家族・支援者と共に闘い続ける」と意見表明しました。また、山本さんの勤務先であるJR西日本会社は、最高裁の決定を受けて、7月27日山本さんに対して、就業規則第147条(会社の信用を失墜させた)に基づいて、「懲戒解雇」を通告してきました。
 最高裁に抗議を、そして、真実を貫いた山本さんに激励をお願いします。

【抗議先はこちら】

       〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号
       最高裁判所第2小法廷 千葉 勝美 裁判長

《例文》
 ① 山陽本線痴漢冤罪事件の上告棄却に強く抗議する。自らの防衛医大教授痴漢えん罪事件判例と矛盾する決定であり、断じて許されない決定だ。
 ② 山陽本線痴漢冤罪事件の上告棄却に強く抗議する。この事件は、身長差によって痴漢行為ができないことは歴然としており、「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の鉄則を踏みにじる決定である。

【激励先はこちら】

        〒719-0254 浅口市鴨方町六条院東441-11
        山 本 真 也 さん


袴田事件 第2次再審請求裁判の現状

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 映画が制作・上映されるなど、法廷外での動きがめざましい袴田事件について、弁護団の小川秀世弁護士(右の写真)に、袴田事件の第2次再審請求裁判の現状について書いていただきました。

1. 2008(平成20)年3月24日、最高裁は、袴田再審請求事件について、弁護人による特別抗告を棄却した。27年を要した第1次再審請求が終わったのである。

2. しかし、袴田さんは確定死刑囚である。いつ、刑が執行されるかわからない。だから、私たちは、直ちに第2次再審請求を申立なければならなかった。ただ、申立には、2つの問題があった。まず、袴田さんが、弁護人選任届を書いてくれないことである。袴田さんは、拘禁症のため、自分が確定死刑囚であることの自覚すらないからである。最近は、弁護団との面会にもよく応じてくれるようになった。しかし、事件のことや再審のことに触れると、「自分は神である」などと、意味のわからないこと口にするのである。二つ目は、再審申立に必要となる新証拠をどうするか、ということである。

3. 第1の問題は、以前より検討していたことであったが、私たちは、袴田さんが、「心神喪失の状態」なのであるから、親族による再審を認めている刑事訴訟法439条1項4号による申立が認められるとの主張を展開した。
 袴田さんは、起訴されて以降、死刑判決を受けても、再審請求が静岡地裁で棄却されるまでは、一貫して無実を主張してきた。これが、袴田さんの意思であるはずである。ところが、いまでは自らが再審請求人であったことも、再審請求ができる立場であることの認識もないのである。
そうであれば、自らの判断と意思でもって新たな再審請求をすることはできない状態なのであるから、再審請求に関しては、「心神喪失の状態」と言ってよいのではないか。これが、私たちの理屈であった。
 これを裏付けるため、精神科医の中島直医師に、袴田さんと面会した上で、きわめて詳細な精神鑑定書を作成していただいた。さらに、刑事訴訟法学者の新屋達之教授には、法律論を構築していただき、教授の意見書を提出した。
 こうして、私たちは、親族たる姉ひで子さんによる、再審請求を申し立てることにした。

4. 次に、新証拠をどうするのかが問題であった。私たちにとって、最終意見書を提出したばかりであったこともあり、この段階での最高裁の棄却決定は、想定していなかった。だから、新証拠を用意してはいなかったのである。
 ただ、新証拠を短期間に用意することに、さほど心配してはいなかった。袴田事件は、45通もの自白調書はあるが、実際には、5点の衣類やその他の膨大な物証によって有罪とされたものである。そして、袴田さんが無実であるということは、それらの証拠は、突き詰めていけば、すべてが必ず崩れてしまうという確信があったからだ。
 ただ、中心証拠は、5点の衣類であることは、第一次再審請求において、裁判所自身が認めていた。だから、それを崩すための新証拠がもっとも効果的である。
 最高裁の特別抗告棄却決定をみると、「5点の衣類及び麻袋は,その発見時の状懇等に照らし長期間みその中につけ込まれていたものであることが明らか」と判断しているところがあった。だから、発見されたのは事件から1年2ヶ月後であっても、タンクに入れられたのは事件直後であるから、犯行着衣であるというのである。これに対して、私たちは、5点の衣類は、事件から1年2ヶ月経過後の発見直前に、タンクの中に入れられたねつ造証拠であると主張していたのである。
 最高裁の決定の中でいう「発見時の状態」というのは、麻袋に入って味噌タンクの中から発見された5点の衣類が、味噌によって、茶色に染まっていたことを言っていることは明らかである。しかし、味噌の中につかっていた麻袋入りの衣類が、茶色に染まるためには、どのくらいの期間が必要であるのか、そんな体験や実験をした人など、世の中に誰もいないはずである。
 にもかかわらず、最高裁が「長期間」であることが「明らか」などと言うのは、判断できるはずのないことを判断していると言わざるをえない。こうして、私たちは、実際に、血痕を付着させた類似の衣類を麻袋に入れて、味噌づけにする実験をすることになった。

5. まず、短時間で、このような味噌づけ状態にするためには、どうしたらよいか。
 味噌の醸造していると、「もろみ」と言われる大量の水分が浮き上がってくる。もろみは、醤油の原料になるなど、食品としての価値があり、事件当時の工場内にも、もろみは必ずあったはずである。そこで、私たちは、もろみと味噌をつかうことにした。その中に、麻袋入りの衣類をつけたのである。
 そうすると、わずか20分で、「本物」以上に茶色に染まった衣類ができあがった。実に簡単なことであった。つまり、衣類の色だけで、長期間味噌につかっていたとは言えないことがはっきりしたのである。逆に言えば、5点の衣類を味噌色にしてねつ造することは、きわめて容易だということである。こうして、新証拠を用意することができた。
 この「味噌漬け実験報告書」の外に、第1次再審請求のときに、最高裁で提出したため、何ら判断が示されなかった静岡大学教育学部澤渡千枝教授の第3鑑定も、新証拠として提出した。これは、5点の衣類のうち、ズボンの太股のサイズが、袴田さんのはいていたズボンのサイズよりもはるかに小さく、それが、袴田さんがはくことができなかった理由であることを明らかにしたものである。

6. こうして、最高裁が棄却してから1ヶ月後の2008(平成20)年4月25日、私たちは、ひで子さんを再審請求人として、静岡地裁に、第二次再審請求を申し立てることができた。
 ところが、検察官は、当初、私たちの再審請求をまったく認めようとしなかった。袴田さんは、心神喪失とは言えないから、ひで子さんによる再審請求は許されないというのである。しかも、検察官は、まったく不当な対応に出た。再審は無効であるから私たちを再審の弁護人とは認めないと主張したり、さらに検察官が保管している袴田事件の確定記録すら、裁判所に渡そうとしなかったのである。 そのため、1年間、裁判所での審理は、まったく進まなくなってしまった。
 この問題は、私たちが申立てていたひで子さんを成年後見人に選任するように求めた家事事件において、家庭裁判所が、ひで子さんを保佐人に選任したことによって解決した。保佐人は、刑事訴訟法439条1項3号により、再審請求権者とされているからである。
 さらに、その間、別の味噌づけ実験も完成した。赤味噌に1年2ヶ月間もつ けたものであるが、この実験では、衣類の色も付着させた血痕の色もほとんど真っ黒になってしまい、「本物の」5点の衣類とは似ても似つかないものになってしまった。味噌の発酵が進むことで、味噌がどんどん濃色になってしまうからであった。
この実験によって、最高裁の認定とは反対に、5点の衣類は、1年2ヶ月間も味噌につかっていたとはいえないことが明らかになった。

7. 第二次再審請求で、弁護団は、証拠開示も強く求めている。袴田事件の場合、「県警捜査記録」という、袴田事件の捜査の経過を詳細に記録した内部資料が入手できている。そこで、私たちは、もう一度この冊子を十分検討し、公判では隠されている捜査についての資料を中心に、開示請求を申し立てた。
 これまで、再審事件の証拠開示については、個々の事件によって、裁判所も検察庁も、対応がばらばらであった。例えば、布川事件などは、検察官が証拠開示に応じ、それが再審開始に大きな力になった。これに対して、袴田事件においては、第一次再審のときから、証拠開示を請求してきたが、裁判所は何ら積極的な対応をせず、検察庁は、開示する必要はないとの回答に終始していた。
 しかし、裁判員制度とそれに伴う公判前整理手続の制度の導入で、少し状況が変化したように思う。再審請求においても、証拠開示を認めるべきであるという議論が、現役の裁判官からも出てきたからである。
 そのためか、この事件でも、検察官が、任意に未提出記録の証拠開示を検討すると約束しているところである。この点は、大いに期待したい。

8. 布川事件は、平成21年9月、最高裁が検察官の特別抗告を棄却して再審開始が確定し、平成22年7月から、水戸地裁土浦支部で再審公判が始まる。足利事件は、DNA鑑定による再審開始がなされた後、本年3月26日、宇都宮地裁が無罪判決を言い渡し、裁判官が謝罪をした。名張事件も、本年4月、最高裁は、再審開始を取り消した名古屋高裁の決定を取り消して、高裁に差し戻した。
 こうした動きは、袴田事件の再審請求にも、よい影響を与えていることは間違いない。
 ただ、袴田さんは、現在74歳である。残された時間は限られている。



明るく元気に!

大崎事件・原口アヤ子さんの再審を求める宮崎の会結成される!

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 身に覚えのない「殺人事件」(実際は変死の可能性)の主犯とされて懲役10 年の刑を受け、無念の獄中生活を模範でおくり、「罪を認めれば仮釈放させる」という誘惑を「何もやっていないのだから、認める罪などありません」と、ふりきって、満期出所したのち、殺人犯の汚名をそそぐために再審請求をおこなって、たたかいつづけている、鹿児島・大崎事件の原口アヤ子さん(83 歳)の再審のたたかいを支援し「守る会」が、6 月5 日、78 名の出席のもと宮崎市民プラザで結成されました。

各地から大勢の連帯

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 結成総会には、東京の大崎事件「首都圏の会」から、また熊本から、鹿児島から、県内は、延岡から、さらには串間、日南、都城、そして宮崎市から、ぞくぞくと集まりました。
 山田秀一国民救援会宮崎県本部会長による開会の挨拶のあと鹿児島テレビの「大崎事件ニュース」が大型プロジェクターで映し出され認識を新たにしました。誕生日を祝って、原口アヤ子さんに手作りの花束などのプレゼント、さらには国民救援会宮崎中央支部と宮崎県本部からそれぞれ金一封の激励金が贈呈されました。

 弁護団からは、鹿児島で20 名の弁護士で8 月中に再審請求を申し立てる準備をすすめていることが報告されました。寸劇。入江秀子さんの詩『私は10 年耐えて来た』を題材にした寸劇が宮崎中央支部の有志によって演じられました。出演者自身が、原口アヤ子さんの悔しい気持ちになりきってしまい……
 大崎事件「首都圏の会」の岩田さんは「ともにたたかう決意」を述べ、熊本の佐藤さんは「熊本でも『守る会』をつくる」決意を述べました。
 鹿児島の福一さんは「支援に感謝し、原口さんの笑顔をもう一度見たい」と涙声を詰まらせました。

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 原口さんのたたかいを小説『叫び』に著した入江秀子さんは「原口さんは一貫して自白を拒否し通しつづけた誇りある人です」と。国民救援会中央本部と北九州総支部からのメッセージが読み上げられました。
 会則、役員、結成アピールが読み上げて提案され承認されました。
新会長渡辺勝心さんの音頭で、第二次再審開始、無罪を勝ち取ろうとガンバロー三唱し閉会しました。
「ほんとうに辛く悲しい思いをしてきました」と、心情をふりかえり、参加者へのお礼と、これからの決意の挨拶をされる原口アヤ子さん(以上、「救援新聞」宮崎県版より)



無実の人を無罪に!

北陵クリニック・仙台筋弛緩剤冤(えん)罪事件

「守大助さんを守る会津の会」101 名の参加で結成される

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 福島県内で3番目の守る会が、7月19日会津に生まれました。昨年6月千葉刑務所に「留学中」の守大助さんに面会してから、会津支部の取組がスタート。3回の呼びかけ人会を開いて、3870枚のチラシを新聞折込と54の団体・個人に配布、地元新聞と情報誌に告知依頼、最後は役員全員で電話作戦を行いました。9つの守る会からのメッセージや「留学前」の大助さんの写真パネルが展示されました。

◎「それでもボクはやっていない」上映

 初めは周防監督の痴漢冤罪映画「それでもボクはやってない」地元上映や、テレビ放映もありましたが、イスを追加するくらいの大盛況。上映時間90分とチラシ表示した事務局のミスで53分もオーバーしたにもかかわらず、中座する人はゼロで全員最後まで見続けてもらいました。

◎講演と訴え

 次に守る会(宮城)幹事の吉川隆子さんの「再審無罪に向けて」、手作り紙芝居でえん罪が作られる取調べの状況を、大声で机をたたき、臨場感あふれる語り口で熱演、会場を圧倒しました。続いてご両親が訴え、当時現職警察官で、息子を信じて定年まで続けたお父さんの苦しみや、お母さんの子を思う母の訴えに涙する人もみられました。

◎「おきゃがりこぼし」カード

 最後に結成総会に移り、時間の関係で議案書の確認をする形で全員の力強い拍手で承認されました。その中で、「おきゃがりこぼし」の提案 ― 2月に守大助さんに会津の民芸品、七転び八起きの起上り小法師を送ったところ、彼の手元に届かなかった、とのお母さんの手紙-何も危険なものじゃないのに納得できないことばかりです― を頂き、「それならば何としても」の思いで、寄せ書きカード、ハガキ、ニュースの名前全てを「おきゃがりこぼし」にして大助さんに届けようと提案・決定しました。

◎交流会

 吉川さんとご両親との交流会も20名余で開かれ、お父さんから「初めテレ朝のビデオのほうが良いのではと思ったが、たくさんの人に来てもらい、やはり映画で良かったとわかりました。」お母さんは、「会場一杯の人に感謝します。5年前までは一人で心細かったが今は2人で全国どこへでも行きます。」と言われ、各守る会や県本部からの熱のこもった話に1時間はあっという間にすぎ、今後の闘いの健闘を誓い合って散会しました。

(「守大助さんを守る会津の会」事務局長 栗城英雄)



加盟各事件と支援の状況

【名張毒ぶどう酒事件】

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 名張毒ぶどう酒事件全国ネットワークと日本国民救援会中央本部は、6月12日(土)に名古屋市内において全国活動者会議を開きました。全国16都道府県から56名が参加し、差戻し異議審での一日も早い再審開始のために全力を尽くすことを確認しました。活動者会議の前日には名古屋高裁、高検に対する要請行動を行い、また、会議当日のお昼に名古屋駅前での宣伝行動に取り組み、30分程度の行動に35名が参加し、100名分の署名が集まりました。

 7月の要請行動は28日(水)に行いました。この日は、愛知守る会と救援会愛知県本部とが共催する大須観音での156回目の定例街頭宣伝の日であり、宣伝から参加してもらいました。愛知のメンバーに加え、三重・岐阜・長野から総勢22名が集まり、暑い中、1時間の行動で120名分の署名を集めることができました。参加者で昼食交流会を行った後、宣伝のみの参加者を除き、さらに兵庫からの参加者を加えて17名で名古屋高裁へ要請に赴きました。提出した個人要請署名は4331名分、累計で15793名となりました。

 異議審では、5月28日に第1回目の進行協議が行われましたが、この場で検察官は、最高裁段階で突然持ち出した「トリエチルピロホスフェートの発色問題」は主張することをやめ、かわってニッカリンTやぶどう酒を再製して実験を行いたいと言い出しました。さらに同様の内容の意見書を法医学者の鑑定書も添付して7月16日に提出しました。
 こうした検察官の対応は、検察官自らが異議の理由がなくなったことを認めたものであり、それを新たな主張で取り繕おうとするもので、証拠あさり・ご都合主義の引きのばし以外のなにものでもありません。

 裁判所での要請では、こうした検察官の主張を許さず、奥西さんの意見もよく聞いて一日も早く再審を開始して欲しいこと、また、早期釈放・証拠開示についても強く求めてきました。

 検察庁要請では、上記のような検察官の引きのばしに対する批判が次々となされました。さらに、検察官が責任をもってこうした主張をするのなら、その内容を国民に明らかにするためにもきちんと記者会見を行うべきだと求めてきました。

 要請行動終了後には、弁護団の佐々木啓太弁護士から異議審の現状についてご報告をいただきました。そこで話される検察官の対応に、改めて参加者から怒りの声が相次ぎ、あまりにもひどい検察官の対応をもっと広く知らせていかなければならないことを確認しました。
 今後、8月24日に関西地区ブロック要請を、そして死刑判決から丸41年目になる9月10日には、東海ブロック要請と合わせて昼休みに裁判所への集中行動“人間の鎖”に取り組みます。9月以降も毎月ブロック要請を予定しています。9.10行動を成功させるためには最低でも350名が必要ですが、これらの成功に向け取り組みを強めていきたいと思います。

名張毒ぶどう酒事件 全国ネットワーク
事務局次長 田中哲夫



【東住吉冤罪事件】

「東住吉冤罪事件」の報告

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青木さん、朴さんの近況(ひまわり通信への便りから抜粋)
 今年はMちゃんの命日の他に、刑務所に来て3年、逮捕されてから15年ということもあり、心のコントロールが難しいですが、工場が半分に分かれて70人前後で静かになったことや、作業がスポンジの包装から最終チェック後の箱詰めへと替わったりと環境の変化もあり、つらい時期も乗り越えられそうです。また、保護司が面会に来て、色々と話ができよかったが、無実で支援活動がされていることに驚いた様子でした。総会参加や署名収集に感謝しています。 (7月3日記 青木惠子)

 食事に際し、水の代わりに白湯を出してほしいという青木さんの要求は、弁護団が刑務所長宛に申し入れたところ、青木さんが願せんを出せば対応されることになった。
 あれから15年です。火災は本当に恐ろしいです。何もかも奪っていきました。最初に火災に気づいて、車の下で30~40cmの炎がユラユラ怪しく揺らめいているのを見た時の衝撃。よりによって、どうして自分の車から火が出たのか。火災事故であって放火ではありません。証明するのが難しくても、これが真実です。再審請求をして1年になりますが、事件の全体像が明らかになるには程遠い状態です。検察が証拠開示に応じようとはしないからです。
 平然と証拠隠しを正当化できる検察のセンスは、一般的にはとうてい理解できないものです。証拠の全面開示を法制化してほしいものです。7月で無事故3年になるので、無事故表彰が上級になります。作業では今、原子力発電所用のツナギ作業服を作り始めています。(6月28日記 朴龍晧)

再審請求の現状
朴弁護団:2009年7月7日、青木弁護団:同年8月7日、大阪地裁に再審請求。個別事件として、同じ第15刑事部に係属

◎証拠開示に関し、第4回三者協議(7月16日)までに、弁護団は各事項の必要性についての書面を提出し、検察は「証拠あさり的な」開示請求には応じられないとの回答。第4回三者協議の場において、裁判所も検察側に「遺憾」の態度を示し、弁護側が開示を求めている証拠の有無を確定する作業を進めるよう指揮された。
◎第5回三者協議は9月24日の予定

活動報告
◎6月12日 第7回総会開く
 支援する会の総会が41名の参加で行われた。冒頭に岸本会長より、この間足利事件や布川事件で再審が勝ち取られるなど、情勢の変化に触れたあいさつがあり、朴さんのお母さんの日ごろの支援に対するお礼、たんぽぽの会の西岡さんから連帯のあいさつがありました。続いて、青木・朴両弁護団から、①原判決が事故の可能性を早々に排除している。自白の検討がなされていない。②刑事事件の流れが変わってきている。③証拠の開示を求めているが検察が態度を明らかにしないなどの報告がありました。
 質疑応答や意見交換では、無罪が確定した枚方冤罪事件の倉美由紀さんから弁護士の接見と取り調べの全面可視化の重要性について、兵庫県支部を立ち上げた経過について代表世話人から発言がありました。
 また、再審開始の可能性や、曖昧な態度をとる検察への要請行動についての質問がありました。ガソリン漏れアンケートでは1人が経験あると答えました。
 2009年度の活動報告と会計報告、2010年度の活動方針、新組織各案について全員一致で採択されました。
◎7月27日裁判所前宣伝行動・署名提出
 たんぽぽの会の宣伝行動に参加し、5.29関西市民集会報告のチラシを裁判所前でまきました。その後、支援する会のメンバーが大阪地裁に6回目の署名(青木:3団体、589筆、朴:3団体、618筆)を提出しました。
◎兵庫県支部報告
 兵庫県支部では事件を学習して、運動を広げようと呼びかけ、6月19日に日本国民救援会兵庫県本部垂水支部、7月19日に長田支部、7月22日に東西播淡路ブロックで学習会が行われました。いずれも、冤罪として取り上げた報道番組「ザ・スクープスペシャル」のDVDを観賞し、「支援する会」の世話人が詳しい報告をしました。
討論では、「サスペンス小説をよく読むが、現実であることに驚いた」「いつ殺人犯にされるかわからない恐ろしさを感じる」「子どもを失い動転している状況を利用した自白強要だ」「冤罪を生む現在の国家権力を変えないと根本的解決にならない」などの率直な意見が出されました。

たんぽぽの会(関西えん罪事件連絡会)
◎7月27日(火)たんぽぽ宣伝
 大阪裁判所前で関西市民集会PartⅢの報告を掲載したたんぽぽ通信5号を配布し、冤罪を訴えた。
◎第13回例会7月27日(火)
 たんぽぽ通信5号の発送、今後の集会の企画について検討した。

当面のスケジュール
◎9月3日(金)兵庫県支部阪神ブロックでの学習会
◎たんぽぽの会例会
 第14回9月14日(火)

「東住吉冤罪事件」を支援する会
事務局長 尾崎良江



【日野町事件】

1.即時抗告審が重要段階に

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 日野町事件の再審開始をめざすたたかいは、2006年3月30日、大阪高裁へ即時抗告を申し立ててから4年4ヶ月を経過しました。この間、弁護団は再審請求を棄却した大津地裁の決定が如何に不当なものであるかを明らかにするとともに、再審開始決定を行うべきであると、裁判所に訴え続けてきました。
 そして、阪原「自白」に基づく手提げ金庫の投棄や遺体搬送の再現実験を行い、客観的事実と「自白」がかけ離れていることを明らかにした補充意見書の提出を行ってきました。また、今年5月19日、被害者の殺害方法や被害者の手首の結束方法が、阪原「自白」と異なることを、大阪高裁第1 刑事部の担当裁判官に対し証拠の説明を行うなど、再審開始決定を得るための努力を重ねてきました。
 さらに弁護団は、浜田寿美男奈良女子大名誉教授に阪原弘さんの「自白」に関して、「供述心理学の知見に基づいた鑑定書」の作成をお願いしてきましが、このたび、約200ページに及ぶ「鑑定意見書」が完成しました。弁護団は近く、この鑑定意見書に弁護団の補充意見書を添えて、大阪高裁に提出することにしていますが、大阪高裁は弁護団の補充意見書の提出を受けて、本格的な審理に入ると表明しており、即時抗告審は、いよいよ重大な段階を迎えました。

2.全国現地調査を行います 11月13日㈯~14日㈰

全国から ぜひ ご参加下さい

 日野町事件対策委員会では、こうした重大な裁判情勢を踏まえ、11月13日㈯午後1時~14日㈰午後0時30分に全国調査を行うことを決定しました。今回の現地調査では、弁護団から即時抗告審における弁護団活動の報告を受けるとともに、阪原弘さんの「自白」にいたる心理鑑定意見書を作成していただいた浜田寿美男奈良女子大名誉教授から鑑定意見書のポイントをお話していただくことになりました。
 再審開始決定を目指す日野町事件の重要な裁判情勢を踏まえた今回の全国現地調査に、ぜひ、全国から代表を送っていただくようお願いいたします。

  【全国現地調査実施要綱】

   日 時 11月13日 ㈯ 午後1時から14日 ㈰ 午後0時30分
   会 場 八日市グランドホテル(東近江市東沖野1-1-5)
   参加費 1,000円(会場、資料代など)
   宿泊費 13,000円(1泊2食)
   内 容 1日目 学習と交流(夜は懇親会)弁護団報告と浜田先生の講演など
   2日目 現地調査班と、宣伝・署名活動班に別れて行動。まとめの会議。
   申込み 国民救援会滋賀県本部へ ℡077-521-2129 FAX077-521-2534

3.阪原弘さんが体調を崩す!

刑務所は「問題ない」と回答

 広島刑務所で服役している阪原弘さんは、7月初め体調を崩し、7月4日から刑務所内の病舎に移されました。7月2日午前、玉木昌美弁護士が、阪原さんと面会し、健康状態や刑務所内の様子、再審請求に必要な事件に関わることなど、40分ほどの会話をおこないました。

 玉木弁護士の報告では、阪原さんは今まで以上に痩せている感じで、体重も35㎏。車椅子から面会室の椅子に移るのもしんどそうだったとのことでした。その日の午後、次女則子さんが阪原さんと面会をしたのですが、大変しんどそうで、車椅子から面会室の椅子に移ることもできず、口から「よだれ」を流すような状態で、会話ができる状態ではなく、早々に面会を打ち切りました。

 心配になった則子さんは、7月6日、再び面会に行きました。この日の阪原さんは、7月2日よりは、元気を取り戻した感じでしたが、「7月4日から病舎に移って治療を受けている」、「今日も素麺を食べたが、戻した」とのことでした。そこで、刑務所当局に面談を申し入れ、父の病状と治療の内容について質問しましたが、「そんなことは回答しない。聞きたいことがあれば書面を出せ」との態度でした。
やむなく則子さんは、7月9日付の配達証明郵便で質問書を提出したところ、7月16日付で広島刑務所長から回答があり、「平成22年7月の今日に至るまで癌の再発はなく、食事摂取も良好です。血液検査、超音波検査、胸部レントゲン写真においても異常は認めておりませんし、毎年の健康診断でも、特に異常は認められません。また、胃全摘出していますので、通常の健常者に比べて痩せてはいますが、日常生活には支障がない状態です。
 なお、平成22年6月下旬頃、蒸し暑い天候が継続した際に、食欲不振、左下肢の浮腫等の体調不良が出現しましたが、いずれも休養、投薬にて改善しております。現時点では、意識も明瞭で発語もしっかりしており、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害や認知症の症状も認めておりませんので御安心ください」と、書かれていました。

 しかし、面会の際に弁護士や家族が目撃した阪原さんの体調と、刑務所当局の回答には乖離があり、刑務所当局のあまりにも楽観的な見解に不信感をいだかざるを得ません。
 そこで弁護団は、7月13日付文書で京都弁護士会に対し、広島刑務所医務部宛てに、阪原弘さんに対する診察内容、実施した検査事項と内容、診断病名、既往症の有無・内容、治療の経過と今後の治療見込み、その他参考になる事項について、回答を求めて欲しいと、「弁護士法第23条の2第1項に基づく照会」を請求しました。        

 しかしながら7月30日現在、広島刑務所からの回答は届いていません。いずれにしても、体力のない阪原弘さんがこの暑さのなか、体調を崩していることは間違いなく、広島刑務所にしっかりと体調管理を行うよう要求し、対応を監視する活動を弁護団とともに続けていきたいと思います。
 このように広島刑務所で服役している阪原弘さんは、長期の拘禁によって、体力を奪われ、家族や弁護人との面会にも車椅子で現れる状態になっています。しかも、広島刑務所は、家族と弁護人以外、支援者らとの面会を、刑務所長の裁量権を盾に拒否し続け、支援者が励ますことさえ、かたくなに阻んでいます。

 阪原さんは、外から送られてくる手紙やハガキに励まされ、病をおして、再審開始をめざして頑張っています。みんなで、激励の手紙やハガキを送りましょう。

  激励先はこちら

   〒730-8651 広島市中区吉島町13-114
    広島刑務所内  阪原弘さん 

4.大阪高裁への署名提出行動

9月9日(木)午後1時からトータル4万5千筆の提出に!

 即時抗告審になってから、大阪高裁に提出した再審開始要請署名は、トータルで4万筆になっています。対策委員会では、9月9日(木)午後1時から、家族とともに、さらに5千筆の署名を提出します。そして、年末までには、さらに5千筆の署名を提出し、目標の「5万筆署名」を必ず達成して、再審開始決定を出すよう強く迫ろうと決意しています。
 これまでに全国32都道府県から再審開始要請署名の協力を得ていますが、こうした重大な裁判情勢を踏まえ、一段のご協力をお願いします。

日野町事件対策委員会
佐 藤 佳 久



【山陽本線痴漢冤罪事件】

司法の信義と公正を放棄

最高裁が上告棄却の不当判決

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 7月20日、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、山陽本線痴漢事件の被告人・山本真也さんに対して、上告趣意書提出後わずか20日間で上告を棄却しました。憲法違反、判例違反、重大な事実誤認を主張した上告趣意に対して、憲法判断を避け、「単なる法令違反、事実誤認の主張」にすぎないとする不当判決です。

 この事件は、2006(平成18)年11月2日、岡山駅で「朝の通勤電車内で痴漢された」と女性に逮捕され、山本さんが犯行を強く否認したため、同年9月26日にも「電車内で痴漢行為をした」、また同年6月に女子高生から「電車内に痴漢がいる」との通報を受け、10月まで警察が尾行調査をしていたとして痴漢の常習者とされている事件です。
 そもそも、9月事件は、「お尻に温かさを感じた」という温度感覚だけで「触られていると思った」「痴漢行為は直接見てはいない」という女性証言内容からも、それが痴漢であったのかどうかさえ疑わしい事件です。
 11月事件の女性は、山本さんの肘をつかんでいたと供述しているのに、「激しくエスカレートした痴漢行為の手の動きは、自分の手には伝わってこなかった」と証言するなど、山本さんの犯行とすることには大きな矛盾・疑問があります。この女性による逮捕は明らかに誤認と言わざるを得ません。

 最大の争点となった満員電車内での身長差による犯行の困難性については、1審・2審とも、満員電車の中でも「肩を下げたり、脚を曲げたりすれば犯行は可能」と判断しましたが、9月事件の女性は「そのような姿」を見たとは証言していません。11月事件の女性にいたっては「不自然な姿勢はうかがえなかった」とむしろ否定させているのです。判決が証拠に基づかない「想像判決」と評されている最大の要因はここにあります。
 痴漢常習性の問題では、尾行調査の発端となった6月の女子高生による通報は、2審で「痴漢犯人は、岡山駅で下車せずそのまま乗車していた」と供述していたことが明らかとなっています。毎日、岡山駅で下車して列車を乗り換えて通勤している山本さんが、女子高生が目撃した痴漢犯人でないことは誰が考えても明白でした。

 1審・2審の判決は、重大な事実誤認を犯したうえ、刑事裁判における原則「無罪の推定」「疑わしきは被告人の利益に」に反する憲法第31条違反の判決です。さらには電車内痴漢事件に関する近時の最高裁判例(平成21年4月14日)にも違反しています。

 8月2日、日本国民救援会第55回全国大会において、憲法違反の高裁不当判決を見直し、司法の信義を実現すべき最高裁が、慎重で公正な審理をせず、「憲法の番人」としての責務を自ら放棄した今回の上告棄却・不当判決に対して強い抗議の決議がなされました。
 今後とも、最高裁に上告されている事件をはじめ多くの司法に判断を求めている事件について、憲法に定められた「基本的人権」「司法の公正な判断」を求めて断固闘うことを決意しています。

日本国民救援会岡山県本部

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