えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.50 再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2011年1月25日発行 No.50


新 年 の ご 挨 拶

新 倉  修(代表委員・青山学院大学教授)
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 あけましておめでとうございます。
昨年、再審・えん罪事件全国連絡会の代表委員に選ばれました。庭山先生のご推挙であるとお聞きして、鮮やかな記憶が蘇りました。
思えば、庭山先生と初めてお会いしたのは、いまから40年ほど前に遡ります。大学院に入ってすぐに入会した民科法律部会の研究合宿で、ほかにも関西の著名な刑事法の先生もおられて、新鮮な驚きを味わいました。

 その後、刑法学会や陪審裁判を考える会や弁護士会の刑事関係の委員会などでお話しを交わす機会がありましたが、こういう形でこれまでのご指導が実を結ぶことに、ひとしお大きな感慨を覚えます。
庭山先生こそ、民衆司法というスタンスをはっきりさせて、陪審裁判の研究、誤判の研究、当番弁護士制度の提案など、数々のインパクトのある研究・提言・実践をされてこられた、まさに「実践の人」と言わなければなりません。この分野では、小田中聰樹先生や村井敏邦先生と並んで、まさに先達として、私のささやかな歩みをこれまで導いてくださったことを感謝しております。

 前置きが長くなりましたが、今年はさっそく、布川事件新年会に代表委員として参加させていただきました。3月16日の再審判決を前にして、事件発生以来44年という長い年月を振り返り、誤判を生み出したものや誤判をただすのを阻んできたものを含めて、はっきりさせなければなりません。
 桜井昌司さん・杉山卓男さんを苦しめてきた過ちは、単に個人の過失というレベルだけではなく、制度的な欠陥と言わなければなりません。なんとしてもこれを改めさせなければなりません。また、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんは今年でもう85歳になりました。ここにも大きな問題があります。救済の遅延は「正義の拒否」に値するという法諺があります。まさにその通りではありませんか。一日も早い再審の開始と名誉の回復こそが、いま求められています。

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 ほかにも、数多くの冤罪事件があり、当事者やご家族・ご友人が救済と支援を求めています。私は、国際人権規約の完全実施という大きな課題と結びつけて、自由権規約の選択議定書にある個人通報制度の実現、死刑制度の廃止のみならず、国内人権監視機関の設置にも、大いなる関心をもって、人権の擁護と促進のためによりよいものをつくりあげる、大きな運動を進めたいと思います。
ともにがんばりましょう。よい一年にするために、力を出し合いましょう。友人を増やしましょう。



布川事件

雪冤から全面可視化実現へ!布川事件新春のつどいに80名

布川事件 桜井・杉山さんを守る会 事務局長 中澤 宏


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 「布川事件新春のつどい」が1月15日新宿農協会館で開かれ、桜井さん・杉山さんご夫妻、柴田弁護団長など弁護団6名を含め80名が参加し、3月16日に完全無罪判決を勝ちとり、すべての冤罪事件の勝利に結びつける決意を固め合いました

 松島洋代表世話人の「今年こそ布川事件の無罪を確定させみんなで喜び合いましょう。」との開会あいさつに続いて、昨年12月10日の結審日に地元茨城で放映されたNHKニュースを観賞。続いて桜井さん、杉山さんから「無罪だけで終わらせるのではなく、検察の責任を追及し、冤罪の原因である密室での取調べを全面可視化させるまでたたかう」と決意表明があり、参加者は力強い拍手で応えました。
弁護団の山本、秋山、松江、三浦、佐藤(米)、柴田先生は、再審請求審にかけてきた思いや布川事件の無罪を確定させるためのこれからの取組についてそれぞれ発言しました。
 懇親会では、「無実のゴビンダさんを支える会」から客野さん、「大崎事件原口アヤ子さんの再審を勝ちとる首都圏の会」から吉田好一さん、「名張毒ぶどう酒事件奥西勝さんを守る東京の会」落合修さんから連帯のあいさつがありました。また、飛び入りで息子さんを暴行罪にでっち上げられた女性の訴え、布川事件のドキュメンタリー「ショージとタカオ」で昨年度キネマ旬報文化映画部門1位を受賞した井手洋子さんなど、様々な人たちから楽しいお話があり「雪冤から全面可視化実現へ」のタイトルに相応しい元気の出る「新春のつどい」となりました。

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 裁判所へ検察の不法行為断罪を求める布川事件守る会と茨城の会、三多摩守る会は、1月19日水戸地裁土浦支部に「布川事件の誤判原因究明、検察の不法行為の断罪、完全無罪判決を求める要請書」と二千筆を越える個人署名を提出しました。この日要請に参加したのは、茨城、千葉、東京、埼玉の守る会、国民救援会の会員、桜井恵子さんなど18名、要請終了後土浦駅頭で3月16日の判決日に向けて署名・宣伝を行い300枚以上のチラシを配布、43筆の署名を集めました。



福井女子中学生事件

法医学者の証人調べを行い、早ければ5月頃にも決定へ

 冤罪・福井女子中学生殺人事件の再審請求審(請求人・前川彰司さん)で、大きな動きがありました。
 1月7日、20日の両日に、弁護側証人の日本大学医学部の押田茂實(しげみ)教授と、検察側証人の帝京大学医学部の石山昱夫(いくお)名誉教授の証人尋問が非公開で行われました。両教授は、再審請求審でそれぞれ以下のような意見書を裁判所に提出していました。

 押田証人は、①関係者の供述によれば血まみれだった前川さんが犯行後に乗用車に乗った際に、車のダッシュボードなどに血痕が付着していたがティッシュで拭いたのでルミノール反応がでなかったという点について、関係者供述に基づいて実験をおこなったがルミノール反応は陽性であった。関係者供述と矛盾すること②被害者の遺体に残された傷には、凶器とされた2本の包丁では出来ない傷があること。③また被害者には浅い傷が数多く残されていて、確定判決が認定した「激高のあまり滅多突きにした」とは考えられず、「複数の者によるリンチ」などが考えられる。
 一方、石山証人は、①乗用車から被害者の血痕が検出できなかったのは紫外線の影響でルミノール反応が出なかった。②包丁の刀幅より短い傷は被害者の姿勢が変化してできた。③浅い傷が多いのは、生きている人を刺すことへの心理的抵抗で傷が深くならないこともある。

弁護側反対尋問で石山鑑定が揺らぐ!

 
 福井女子中学生殺人事件の再審請求審で名古屋高等裁判所金沢支部は1月20日、弁護側、検察側双方の鑑定人の尋問をおこないました。7日の主尋問を受けて、弁護側証人の押田茂實教授と、検察側証人の石山昱夫名誉教授に対して検察側、弁護側が反対尋問を行いました。
 前回の尋問と同様に、被害者の身体に残された刃物の傷口の大きさが計測した時は、刺した時より短くなったと考えるかとの関係から現場に残されていた2本の包丁以外の凶器があったのかどうか、血だらけの前川彰司さんが乗用車に乗り、ダッシュボードに血をつけたとされているのに、ダッシュボードから血液反応が出なかったことをどう見るかについて尋問がなされました。加えて、犯人像をめぐって重要な新証言が出されました。

 犯人像について石山氏は、確定判決が被害者といさかいになって激高のあまり殺意をもって被害者をメッタ突きにしたと認定していることを否定し、被害者に対する「極めて強度の殺意」をもって、灰皿で殴り、電気カーペットのコードで首を絞め、包丁で刺すという順番で攻撃して殺害した強固な殺意を持った犯人が被害者に憎しみを持って殺害したと証言し、確定判決の認定は誤りであることと認めたに等しい証言をしました。
 この日の証人尋問で証拠調べは終了しました。今後、弁護側、検察側双方が2月28日までに最終意見書を出し、裁判所の決定を待つことになります。決定は、早ければ春から夏にかけての時期にも出ることが予想されます。
足利、布川事件に続いて、再審の流れを大きくするために、本事件へ全国から支援を集中することが求められています。

再審開始を求めて支援集会を開く

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 1月20日、再審請求の証人尋問後に開かれた報告集会には、4つの冤罪事件の関係者を含め福井、石川、富山、長野、愛知、三重、大阪、滋賀、茨城、宮城の10府県から75人が参加。弁護団の吉川健司弁護士と佐藤辰哉弁護士が尋問の概要を報告しました。また、布川事件の桜井昌司さんが、「再審開始前に何をしなければならないか ―布川事件を通して思ったこと― 」と題して講演しました。
 前川彰司さんの父親の前川禮三(左の写真)さんは、「くやしくてならないが、国民救援会や他の事件関係者から励まされて奮い立っている」とのべ、再審をたたかう決意を表明。参加者で、3月8日の裁判所要請に向けて署名にとりくむことや、新たに再審開始要請ハガキにとりくむことを確認しました。
 7日に続いてこの日も、参加者が金沢市内の繁華街で署名宣伝しました。
                                  


日 野 町 事 件

阪原弘さんが危篤状態に執行停止で外部の病院で治療

日野町事件対策委員会
    佐 藤 佳 久

 阪原弘さん(75)が広島刑務所で危篤状態となり、12月6日、広島市内の外部の病院に移され治療が始まりました。全国の支援を得て、阪原弘さんの「刑の執行停止」を求める要請運動をすすめるなか、12月10日、広島地検がそれを認めました。これによって、阪原弘さんは家族の看護を受けながら治療に専念できるようになり、徐々に回復に向かっていました。

 ところが、1月2日未明、痰を喉に詰まらせたことから意識不明に陥り、1月14日には気道切開手術を受けましたが、意識の回復はなく、ときどき呼吸停止の状態も現れるようになり、危機的な状況は続いています。家族はずっと病院に詰め、必死に阪原弘さんの看病にあたっていますが、弘さんの治療費(個室料1日5千円を含む)や、家族の滞在費負担も大きく、全国のみなさんからの支援カンパによって支えられています。今は、一日でも阪原弘さんに長く生き続けて欲しいと願うのみです。

準備していた仮釈放運動は中止に、阪原弘さんの病状回復に全力を傾注

 対策委員会では、昨秋から阪原弘さんの仮釈放を求める運動を開始する準備を進めていましたが、12月10日、「刑の執行停止」が行われ、外部の病院で家族の看護を受けながら病気治療に専念している現状を踏まえ、仮釈放運動は中止することを確認しました。
 なお、刑の執行停止日までに阪原弘さんが務めた服役日数は、「9年10ヶ月と2日」であることが広島刑務所からの回答で判明。無期懲役囚が、法律上、仮釈放の条件を得る「応答日」の10年には2ヶ月ほど不足しています。
また、判決で刑を務めたと見なされる未決通算については、無期懲役囚の場合、実務上、この応答日を経過した後に考慮され、応答日以前には考慮されないことも判明しました。

弁護団が補充書(2)を提出! 大阪高裁と進行を話し合う

 弁護団は、12月27日、大阪高裁に「殺害態様に関する証拠評価の不当性」を明らかにした即時抗告の「申立補充書」(2)を提出しました。そして、3人の裁判官と今後の進行について話し合い、弁護団は阪原弘さんの病状も考慮し、今年4月ごろを目処に準備中の補充書についても提出できるよう努力すると表明しました。これに対し裁判所の見解は示されませんでした。なお、今春には裁判官の交代が行われることも考えられます。

再審要求署名が5万に到達! 裁判やり直しは国民世論

 対策委員会は、12月13日に4千筆、同28日に1千筆の再審開始要請署名を大阪高裁に提出しました。これによって、2006年3月30日に大阪高裁へ即時抗告の申し立てをおこなってから、4年9ヶ月の間に提出した署名総数は5万筆となりました。
5万筆の署名が寄せられたことは、まさに世論であり、大阪高裁はしっかりと事件に向き合い、阪原弘さんの命のある間に再審開始決定を行うよう、一層、運動を強めたいと思います。

浜田鑑定をお読み下さい

 浜田寿美男先生の「鑑定意見書」と弁護団の「証拠提出書」を合わせた「学習資料」を対策委員会が発刊しました。この鑑定意見書は、えん罪事件の「自白調書」を読み解く上で示唆に富んだ内容です。ご購読下さい。

 購読の申込みは  国民救援会滋賀県本部へ(℡077-521-2129 Fax077-521-2534)



名張毒ぶどう酒事件

奥西さんを生きて取り戻そう! 全国いっせい誕生日宣伝


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愛知県の誕生日宣伝

一日も早い再審開始決定を勝ちとろう

 最高裁で再審開始取消決定が破棄・差戻しを受け、現在名古屋高裁の審理が進められている三重・名張毒ぶどう酒事件。名古屋拘置所で無実を訴え、たたかっている奥西勝さんの誕生日である1月14日を中心に、全国いっせい宣伝行動がとりくまれ、25都道府県、32箇所で奥西さんの無実を訴える支援者の声が冬の空にこだましました。

「これが最後の想いで名古屋高裁で再審を決めてほしい、冤罪を1日も早く晴らしたいと思っています。私も85歳となり、先々が不安です。一日も早く、今年こそ、冤罪を晴らし救ってください」
獄中の奥西さんから届いたこの悲痛な叫びに応え、一部の地方では雪の降りしきる中、85歳になった奥西さんを何としても救おうと宣伝行動がとりくまれました。
 再審の審理がおこなわれている名古屋高等裁判所がある愛知では県内の支部をはじめ、弁護団も含め、85人以上の支援者が参加しました。「奥西さんは無罪」、「裁判所はこれ以上奥西さんを苦しめるな」と口々に訴え、県内にある名張事件支援の横断幕13枚が宣伝をおこなった交差点一帯のいたるところに張り出されました。チラシ・要請ハガキを入れたティッシュを1時間で4320個配布、200人分の署名を集め、参加者からは「大きなアピールができた」、「みんなで力を合わせて、必ず奥西さんを取り戻そう」などの感想が出されました。(愛知「名張推進ニュース」NO147号より)

【第29回えん罪名張毒ぶどう酒事件全国現地調査のご案内】

実 施 日: 3月26日(土)午後1時30分~翌27日(日)正午まで
学習会場:1日目:アスピア1階多目的ホール1・2(名張市商工会議所。徒歩13分程度)
        2日目:同上
宿 泊 先:ルートイン名張    〒518-0752 三重県名張市蔵持町原出1345番地1
       TEL: 0595-67-3330 FAX: 0595-66-5570
参 加 費:通し参加  14,000円(学生10,000円) *通し参加が基本です。 
   (1日目学習会 1,500円  夕食交流会 3,000円  2日目現地調査 2,500円)

	 お申し込みはファックスで・・・!	

えん罪名張毒ぶどう酒事件の再審を勝ち取り奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク

日本国民救援会中央本部 再審・えん罪事件全国連絡会

事務局:全国ネットワーク事務局 〒514-0033 津市丸之内33ー26城北ビル2F
       TEL: 059-226-0451 Fax: 059-223-0957



大崎事件

再審請求後初の3者協議が開かれる

 1月12日、鹿児島地方裁判所で弁護団、検察官、裁判官の3者が8月30日の再審請求後初めて今後の審理について協議がおこなわれました。この中で弁護団は、高齢の原口アヤ子さんの事を考えて一刻も早く本人の意見陳述の機会を設けるよう要求しました。また、再審請求の補充意見書を提出し今後、証拠の開示についても求めていく意向です。

 弁護団は、「原口さんの人となりを知ってもらうために出来るだけ早く原口さんの意見陳述を、と要求したが具体的にいつやるというのは決まらなかったが、裁判所も年齢を考えたら、急がなければならない事件であることはよく理解していると話していた」と語っています。
 今後-日程は、検察が出す再審請求に対する反論意見書をみて決めることになります。
 第2回の協議は3月23日に流れは変わっています。
 再審請求から4カ月で3者協議がおこなわれたことは、第1次再審とくらべると、とても早い動きです。 第1次の再審請求は1995年4月におこなわれて、原口さんの意見陳述、審理開始は、1996年9月と、ほぼ1年半も経ってからでした。

 今回は、裁判所が大崎事件への関心が高い表れではないでしょうか。足利、富山・氷見、布川、大阪地検特捜部・村木、鹿児島夫婦殺害事件と警察・検察の大失態が続き、世間の目は冤罪事件への関心が高まっています。この追い風を生かしながら自らの手で再審開始の扉を開く旺盛な運動を展開していきましょう。原口アヤ子さんの無罪をかちとる日まで。

(大崎事件首都圏の会事務局長・岩田意積)
 

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