えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.53 再審えん罪事件全国連絡会ニュース

画像の説明

2011年8月30日発行 No.53

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どんなに長い夜でも、明けない夜はない。

新 倉  修(代表委員・青山学院大学教授)

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1 ネリ・コルメナーレスさんとの出会い

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 冒頭のタイトルは、島崎藤村の「夜明け前」からの引用です。実は、これを教えてくれたのは、フィリピンの法律家で、現在、国会議員を務めておられるネリ・コルメナーレスさんでした。彼は、日本語でこの長いセリフをそらんじているのです。驚きですね。
 ネリさんは、高校生のときに、時の政権・マルコス大統領の「独裁制」に抗議して街頭デモを行い、懲役刑に服役していた経験があります。そのときに、世界中から寄せられた嘆願署名は、彼を励まし、支え、不屈の闘争はついには釈放をもたらせました。その後、彼は弁護士となり、社会運動に身を投じることになりましたが、グローリア・マカパガル=アロヨ大統領時代には、卑劣な襲撃や「略式処刑」と呼ばれる公的権力の関与が疑われる殺人事件で命を落とした社会運動家、労働運動や農民運動の指導者、ジャーナリスト、教会関係者、弁護士、裁判官は、1000人を超えたといわれています。
 私が、ネリさんとその快活な友人で同僚であるエドレ・オラリアさんを知り合いになったのは、2005年9月に開かれたソウルでの第4回アジア太平洋法律家会議で、彼らの生々しい報告と訴えを聞いてからでした。そのとき、私は、次回のアジア太平洋法律家会議は、マニラで開きましょうと提案しました。とんでもない提案でしたが、5年の準備期間をかけて、彼らは、フィリピン全土に呼びかけて、全国人民法律家連盟(National Union of Peoples’ Lawyers, NUPL)という新しい組織をつくり(2008年)、とうとう2010年9月にマニラで第5回アジア太平洋法律家会議を開催しました。その間、ネリさんは、オーストラリアなどで法律学を教えながら、2度も議員に当選して、活動を続けています。「略式処刑」問題はまだ解決済みになったわけではありませんが、国連特別報告官がウォッチして、国際世論を背景に問題の解決をフィリピン政府に迫っております。

2 我が国での再審・えん罪事件

 翻って、我が国はどういう状況にあるでしょうか。事態は好転しつつあるようですが、まだ「夜明け」ではありません。布川事件の再審無罪判決は、足利事件の再審無罪判決とともに、新しい局面を切り拓いた画期的なものですが、再審・えん罪事件全国連絡会が取り組んでいる事件のごく一部に過ぎません。私自身、先日、福井市にまいり、福井女子中学生殺人事件の現地調査に参加しました。実際、車に乗せていただきポイントとなる地点を訪れてみると、重要証人が言うような事件の進行では、あり得ないような不自然な矛盾点が多数浮かび上がることが、よくわかりました。
 東電OL殺人事件として大きくマスコミでも取りあげられたことのあるゴビンダ・プラサド・マイナリさんのケースでも、犯行現場と称される場所から採取された資料を新しくDNA鑑定をした結果、ゴビンダさんの無実を強く推認させる事実が明らかになりました。また、最長の死刑確定事件となりつつある名張毒ブドウ酒事件でも、奥西勝さんは、人生の半分以上の時間を名古屋拘置所の狭い部屋に閉じ込められたままで、最高裁判所の差し戻し決定から久しく時間が経っていますが、再審開始決定まであと一歩の状況と聞いております。元プロボクサーで犯人とされた袴田巌さんのケースでも、DNAの再鑑定が予定される状況になりました。さらに、いわゆる東住吉放火事件でも、科学鑑定によって大きく局面が変わる兆しが見えてきました。

3 ノルウェー調査から見えてきたもの

 このことと関連して、今年の5月にノルウェーに行ったことに触れたいと思います。日弁連の調査団の司法制度・行刑制度を調査しましたが、そこで得た実感と我が国の実情との間には、大きなギャップがあります。詳しくは別の機会に報告させていただきますが、最近起きた重大事件との関係で、思うことがあります。ご承知のように、7月22日、オスロで、首相執務室のあるビルの前に駐車中の自動車に仕掛けられた爆発物の破裂によって多くの犠牲者が出ました。それから程なく、オスロ近郊のウトヤ島で、警察官を殺害して制服を奪った青年が、与党労働党の主催する青年向けサマー・キャンプに集まっていた人々を銃撃して、同じく多数の死傷者を出しました。総計で77人の人命が失われましたが、これは、人口460万人、年間の殺人事件数が20件から30件というレベルで推移してきた比較的安定した「豊かな社会」にとっては、驚愕するような「大事件」です。
 私自身、つい2か月ほど前に、実際にも、オスロの首相執務室のある高層ビルの一角にある法務警察省を訪れて、担当官(そのうちのお一人は、自分もベトナム難民だったと話され、帰化してオスロ大学を卒業し、公務員になったわけです。)から、少数者に配慮した刑事政策、閉鎖的な拘禁制度を極限まで減らして、犯罪をした人でも社会復帰できるようにさまざまな手法を用いて援助する仕組みを整えていることに、深い感動を覚えていただけに、ショックはひとしおです。
その後、現地との連絡や、現地でお世話になった研究者が、8月の初めに神戸で開かれた国際犯罪学会で来日して報告されたことをうかがう中で、深い悲しみや強い驚きの中からも、ノルウェーの人々が、これまでの基本的な刑事政策を放棄して、180度方向転換して、厳罰化に向かって「暴走」する可能性は、きわめて少ないということを知り、逆にまた、強い感銘を受けました。人間への強い信頼が、既にあるものとして予定されているという感覚ではなく、これからつくり出すものとして、それぞれの人々が自らの「責務」として、深い人間愛に根ざした人間関係を築き上げることを「課題」として、引き受けているという印象を受けました。ノーベル平和賞を授与する国としての「矜持」というような、印象もあります。つまり、平和をつくり出すための努力している人が、全世界から見つけ出して、国を挙げて、賞賛し、喜び合うという「式典」を毎年続けているわけです。ここには、憎しみや恐怖から、あえて「上から目線」で犯罪をした人を見下したり、無実の人を陥れたり、人間性に根ざした「真実」を無視したりする「愚かさ」をできるだけ減らそうとする、強い意志があるように、感じられました。

4 日本弁護士連合会の人権擁護大会(高松)へようこそ

 そのノルウェーから、刑事政策の支柱として活躍されているニルス・クリスティ教授を招いて、日弁連は香川県高松市で人権擁護大会を開き、第1分科会で「死刑のない社会について広く国民的な議論を呼びかける」ことを話し合う場を設けています。私は、日弁連の国際人権問題委員会から派遣されて、この人権擁護大会第1分科会の副委員長としてかかわっています。その準備過程での厳しい議論や真剣な取り組みを、いわば内側から経験する中で、このような重要なテーマに真剣に向きあうことこそが大事だという法律家の強い責任感をひしひしと感じております。再審・えん罪事件に心を寄せる会員の皆さんや、その周りにおられる方々にも、是非とも関心をもって、10月5日のシンポジウムに参加していただくことをお願いします。ニルス・クリスティ教授はまた、10月8日にも、龍谷大学が京都駅前にもつ「響都ホール」で講演をされる予定と聞いております。
ただ、ありがたいお話しをお聞きするというのではなく、それを受け止めて、疑問があれば質問を発し、納得がいけば自ら実施するという気持ちを、周りの方とも、分かち合い、それこそ「分かち合いの精神」で、えん罪事件の解決をめざして、ともに闘いましょう。

第5回アジア太平洋法律家会議マニラで、ネリ・コルメナーレスさんと私


東電OL殺人事件

またしてもDNA鑑定があばいた無実の確証

無実のゴビンダさんを支える会 今井恭平

 【14年目のDNA新鑑定】

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「東電OL事件、再審の可能性…別人のDNA検出」----さる7月21日、讀賣新聞朝刊が、一面トップでスクープした記事タイトルです。
 この時点では正式には鑑定書も出ておらず(鈴木廣一・大阪医科大学教授による鑑定書の日付は7月23日)、検察によるリーク情報と思われますが、その内容は衝撃的なものでした。
 事件現場のアパートK荘101号室内に落ちていた体毛1本と、被害者の体内に残留していた体液のDNA型が一致したというのです。これは、これまで全く知られていなかった人物Xが事件現場に立ち入り、被害者と接触していたことを初めて物証によって明らかにするものです。加えて室内から採取された他の2本の体毛からは、被害者とこのXのDNAが混じり合った型が見つかったのです。

 【もはや確定判決は維持できない】

「東電OL殺人事件」とは、1997年3月、東京都渋谷区円山町で、当時39歳の東京電力社員の女性が殺害された事件です。そして、殺害現場のアパートK荘の隣のビルに住んでいたネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさん(当時30歳)が容疑者として逮捕されました。就労ビザを持たず、オーバーステイだったことから入管難民法で別件逮捕され、80日に及ぶ勾留を受けますが、当初から一貫して否認しました。そして一審東京地裁は、2000年4月に無罪判決を言い渡します。だが控訴審で逆転有罪(同年12月)となり、上告も棄却され(2003年10月)無期刑が確定しました。ゴビンダさんは、横浜刑務所で服役しながら、2005年3月に再審を請求して現在に至っています。
 逆転有罪とした確定判決(高木俊夫裁判長)は、「被告人以外の男性が被害者を右の部屋(K荘101号室)に連れ込むことは、およそ考え難い事態である」と述べ有罪の根拠としました。今回のDNA鑑定が明らかにした右の事実は、この確定審の事実認定を真っ向から否定するものです。
 そもそも一審無罪判決は、ゴビンダさんのものではない体毛などが現場に残っていたことなどから、現場に被告人以外の人物が立ち入った可能性が否定できない、と判示し無罪の根拠の一つとしています。この一審判断の方が正しかったことが物証によって明らかとなった以上、もはや確定判決を維持し得ないことは火を見るより明らかです。

 【有罪証拠にしか興味のない検察】

 事件から14年、再審請求から6年余、なぜ今までこんな重要な証拠が出てこなかったのでしょうか?
 実は問題の体液は血液型がO型であることが一審から判っていました。
 売春をしていた被害者は、事件当夜午後7時過ぎに長年の馴染み客のA氏と円山町のラブホテルに入り、午後10時過ぎまでそこで過ごしています。このA氏の血液型がたまたまO型でした。このため、被害者の体内の残留体液はA氏のものだろう、という思い込みがあったことは事実です。だが弁護団は再審請求の過程で、この体液のDNA鑑定も含めて多くの未開示証拠の開示を求めてきました。検察が鑑定に後ろ向きだった理由は簡単です。O型である以上、どんなことがあってもB型であるゴビンダさんのものではないことが分かっていたからです。ゴビンダさん犯人説に利用できない証拠には全く興味がなく、残留体液はA氏のものだということにしておく方が都合が良かったのです。
 またしても真実の解明は二の次で自分たちのストーリーに沿った証拠づくりや証拠収集しかしない検察の体質が、冤罪を生んだのです。また、布川事件でも示されたように、検察の隠し持つ証拠の開示が再審においていかに重要であるかが、またしても実証されました。

 【即座の再審開始と刑の執行停止を】

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 この鑑定が明らかになって以降、匿名の「検察幹部」などが「この証拠だけで無実が証明されるわけではない」「再審開始事由とは必ずしも考えない」などとマスコミを通じてコメントしています。しかし、白鳥決定を引き合いに出すまでもなく、再審であっても無罪立証責任が請求人側に転嫁される訳ではなく、確定審の事実認定に合理的疑いが生じれば、無罪を言い渡すべき明白な証拠として再審開始しなければなりません。
 弁護団は、7月26日にこのDNA鑑定を「新規明白な証拠」(刑訴法第435条6号)として証拠申請し、再審補充書を提出しました。また同時に、検察に対し刑の執行停止(刑訴法第442条但し書き)を行い、ゴビンダさんを釈放するように、申し入れました。
 私たち「を支える会」も、日本国民救援会とともに、弁護団と歩調を揃え、「14年も人生を無駄にされた。もうこれ以上一日たりとも無駄にしたくない」(横浜刑務所での面会で、支援者に語った言葉)というゴビンダさんの悲痛な叫びと「一日も早く彼の帰国を迎え、抱きしめたい」というネパールのご家族の願いを実現するために、さらに支援を広げていきたいと考えています。



福井女子中学生殺人事件

一日も早い再審開始決定を!

猛暑の中、名古屋高裁金沢支部へ要請

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 前川彰司さんが暴力団員のウソの「証言」によって殺人事件の犯人とされ、懲役7年の判決を受けて現在名古屋高裁金沢支部に裁判のやり直し(再審)を求めてたたかっている福井女子中学生殺人事件で、福井、石川、富山の3県本部を中心とした第18次の裁判所要請行動が8月23日におこなわれました。今回は京都からも参加し、要請に先立っておこなった宣伝行動には21人が、裁判所要請には17人が参加しました。
 では、百貨店が臨時休業だったことでいつもよりも人通りはまばらでしたが、「無実の前川彰司さんを助けてください」、「市民の声を届けるために署名にご協力を」と訴えると、「いつもご苦労さま、がんばってください」と声をかけてくれる方や、興味津々でビラを読む市民の姿などが見受けられました。約1時間の宣伝行動で400枚のビラを配布、39人分の署名が集まりました。
 要請では、福井県本部の岩尾勉会長が応対にあたった名古屋高裁金沢支部の訟廷管理官と庶務課長に1634人分の署名を提出。前川彰司さんの父・禮三さんは「事件のあった日、息子は我が家で食事をしていた。家族は一番近くでそれを見て、息子の無実を知っている。本人もやっていないと言っている。当然物的証拠だってない。これでなぜ有罪になるのか」、「冤罪は当たり前に生きている私たち市民に起こりうる最大の悲劇。それを裁判官のみなさんにどうしてもわかって欲しい。3月に再審請求審の最終意見書が弁護団・検察双方から出された。一日も早くこの悲劇からの救済をお願いします」と訴え、各県の参加者も「前川さんが犯人ではないことは誰の目にも明らか。続く冤罪事件の報道や司法改革で市民の注目が集まっている。一日も早い再審開始決定を」と訴えました。

金沢市内の近江市場前でおこなわれた宣伝行動



東住吉冤罪事件  

新再現実験により自白の放火行為は不可能と判明!

「東住吉冤罪事件」を支援する会 事務局長 尾崎良江

事件の概要と再審請求

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 1995年7月22日の夕方、大阪市東住吉区の青木惠子さん宅で、家屋内の土間兼車庫(軽自動車駐車中)付近から出火し、入浴中だった青木さんの長女(当時小学6年生)が逃げ遅れて亡くなるという痛ましい事故が発生しました。東住吉警察は、当初、土間兼車庫に駐車中の自動車にはガソリンが満タンであったこと、車庫と風呂が近接しており車庫内に設置されていた風呂釜と駐車中の自動車の給油口とがわずか90センチしか離れていないこと、風呂釜の種火が燃焼していたことなどの事実から、自動車のガソリンがもれ、風呂釜の種火に引火し発火したとの見解を有していました。しかし、その後、警察は長女に1500万円の生命保険がかけられていたこと、火災発生時、玄関(車庫入り口)の戸は内側から施錠されていたことに着目し、「保険金詐取目的放火殺人」の疑いをもち、青木さんと当時内縁の夫であった朴龍晧さんが共謀して犯行に及んだという予断のもと、放火の物的証拠は全くないまま、同年9月10日早朝、「任意同行」と称して強制的に2人を警察に連行しました。
 同日2人は、長時間に及ぶ苛酷な取調べを受け、暴力、脅しといった違法取調べにより精神的に追い込まれ、さらに、互いに相手が「自白」したと嘘の事実を突きつけられ、不信と絶望の中、警察の誘導のままに自白調書を取られ、逮捕、起訴されました。一審、控訴審とも、自白の信用性がないこと、自然発火の可能性があることを弁護団は主張立証しましたが、1999年大阪地裁で無期懲役、2004年大阪高裁で控訴棄却の判決が下されました。
2005年に上告趣意書を提出しましたが、最高裁は2006年11月、朴龍晧さんに上告棄却判決、12月青木惠子さんに上告棄却決定を下し、刑が確定し、朴さんは大分刑務所、青木さんは和歌山刑務所に収監されています。
2009年7月に朴弁護団が、8月には青木弁護団が大阪地裁に再審請求をしました。当ニュース第40号(2009年9月1日発行)で朴弁護団乘井弁護士が、【確定1審有罪判決の構造】【新規明白な証拠】、第41号(2009年10月28日発行)で青木弁護団塩野弁護士が、【虚偽の自白が採取された過程】【確定判決の問題点(自白評価における問題点)】として、詳細に報告していますのでご一読ください。

三者協議と新再現実験

大阪地裁第15刑事部(水島和男裁判長)において、2009年12月から本年7月8日までに12回の三者協議が行われ、再審請求に対する検察の反論、弁護団の再反論を繰返し、証拠開示請求とともに、弁護団は朴自白の信用性を巡って、新たな再現実験の実施を強く要請してきました。その結果、裁判所は再現実験に同意し、検察官が再現実験に対して、前提条件などで異論をはさまないように、火災直後の現場検証調書などを証拠開示させ、さらに検察官に立ち会いを指示しました。
最高裁段階で行われた前回の実験(2006年「ザ・スクープスペシャル」で放映)は、放火ではなく、車両からの燃料流出による自然発火であることの証明に力点が置かれたものでしたが、今回の新再現実験は朴自白どおりの放火行為は可能かという一点に絞った、全く新しい視点からの実験です。
弁護団は、弘前大学の伊藤昭彦教授監修のもと、2011年5月20日(7月22日の火災当日と同様な気温)、再現した土間兼車庫に火災事故当時に置かれていた車と同種の車両を配置し、風呂釜、浴槽、煙突、ガレージの傾斜等を完全に再現しました。朴自白どおり、居間に面していた車の左後方部からポリタンクに入れたガソリン7.3リットルをまくと、まき始めて約20秒でガソリン蒸気が風呂釜の種火に引火し、あっという間に小屋は真っ赤になり、待機していた消防員に鎮火を頼まなければ危険な状態になりました。
 別途、朴自白どおりに7.3リットルの水をポリタンクに入れ、ガレージにまくと、まき終わるまでに36秒かかること、その後、火をつけたとされる車のドア付近に移動し、ライターで火をつけるという動作をするまでに約45秒は必要であることを確認しています。
 今回の実験では7.3リットルのガソリンを36秒のみでなく、60秒かけてまく実験も行われましたが、ともにまき始めて約20秒で、すなわちガソリンを全てまき終わるまでに種火に引火し、着火の動作に移る前に火だるまになってしまうことが分かりました。この実験によって、自白どおりの放火行為を行うことが不可能であることが証明され、放火の実行行為の自白が全くの虚偽であることが判明しました。

今後の展開

 弁護団は伊藤教授の鑑定意見書を6月末裁判所に提出しており、8月26日には伊藤教授に対する尋問があり、10月末には最終意見書の提出が予定されています。   
このような経過のなかで、裁判所は6月16日、これまで二事件として扱われてきたものを併合し一事件として取り扱うという決定を出しました。
以上を受け、支援する会・国民救援会大阪府本部は早期に署名の一本化を図り、布川事件の再審無罪に続いて、福井女子中学生殺人事件、東電OL殺人事件、袴田事件などとともに、再審開始への大きな流れを作るために、全国的な運動を強化すべき時期だと考えています。そのために、弁護団の協力のもと、11月5日(土)6日(日)には全国現地調査に見合うような規模の集いを考えています。
今後とも皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

映像について説明する乘井弁護士(支援する会総会にて)

(「2011.5.28 大阪弁護士会シンポジウム 緊急報告!布川事件再審判決~待ったなし!取調べの可視化~「東住吉放火事件」燃焼実験について」より一部引用)

資料1 

ゴビンダさんの裁判所への伝言

ゴビンダさんから裁判所への伝言 2011年8月10日

 平成23年7月23日付鑑定書について、7月29日に弁護団から説明を受けたゴビンダさんから、8月8日に身元引受人として面会した私が託された裁判所への訴えを、以下のとおりお伝えいたします。

 「裁判官のみなさま、私は神様に誓って無実です。一審無罪だった私を逆転有罪にした高裁判決は間違いです。そのことが新しい鑑定で明らかになりました。どうか1日も早く再審を開始して、今度こそ正しい判決をください。私をネパールの家族のところに帰してください」

 このたびの鑑定結果が報道された直後、全国から50通以上の激励やお祝いの手紙が、ゴビンダさんに届いたそうです。知り合いの支援者だけでなく、未知の方々からの手紙も多く、そのほとんどが再審開始に期待しているとの内容だったとのことです。
 私は、2000年7月に初めて東京拘置所でゴビンダさんに面会して以来、今日まで150回以上の面会を重ねてきました。この11年間の人間的ふれあいからも、ゴビンダさんが無実であることを確信しています。
 彼を幼い頃から知っているネパールの家族、親戚、友人、知人も、「ゴビンダは、そのような怖ろしいことの出来る人間ではない」と断言しています。
 事件から14年が経ちました。「生きている間に、もう一度、息子をこの腕で抱きしめたい」と繰り返し語っていた老父は、その最後の願いを果たすことなく、2007年に亡くなりました。老母は、持病の喘息で何度か危険な状態に陥りながらも、「息子が帰るまでは死ねない」とがんばっています。
 貴裁判所のお力により、ゴビンダさんと家族の苦しみを終わらせてくださいますよう、心からお願いいたします。 

客野美喜子 「無実のゴビンダさんを支える会」事務局長

資料2 

東電OL殺人事件 ゴビンダさんのご家族より東京高裁への要請

要 請
東京高等裁判所 御中
裁判官殿

ゴビンダ・プラサド・マイナリのネパール在住家族を代表し、下記要請人は、貴裁判所に対し、新たなDNA 鑑定の結果を十分に尊重し速やかに再審開始決定を下すよう要請いたします。

自ら身に覚えのない事件に巻き込まれた無実の者が監獄で味わう苦しみの連鎖をこれ以上繰り返さないよう、どうかその心を傾けて下さることを切に願っております。

民主主義が行き渡り、科学的発展の頂点に立つ日本のような国において、21世紀に入ってもなおゴビンダのような無実の人間が苛烈な人生を送らねばならないことを私たちは信じがたい思いでおります。

私たちは、貴裁判所が、必ずや私たちの願い、ゴビンダの叫びに耳を傾け、再審を開始して下さるであろうと確信しています。再審開始は、近代日本の開明な社会の声を反映したものとなるでしょう。
裁判所の積極的な一歩が、ゴビンダに正義をもたらすのです。

インドラ・プラサド・マイナリ(兄)
ラディカ・デビ・マイナリ(妻)
ネパールカドマンズにて

2011 年8 月2 日

資料3 

福井女子中学生殺人事件 毎日新聞11年8月25日 の報道

福井女子中学生殺害:知人男性が証言覆す 有罪根拠揺らぐ

 名古屋高裁金沢支部で再審開始の可否が審理されている86年の福井女子中学生殺害事件で、2審の公判で「事件当日、血の付いたトレーナー姿の元被告に会った」と逆転有罪の決め手となる証言をした知人男性(46)が毎日新聞の取材に応じ「事件の夜は会っていない」と証言を覆した。2審で「会った」と証言した理由について「1審の無罪判決後、福井県警に呼び出されて警察側のストーリーを押しつけられ、自分の記憶が間違っていると思った」と説明。有罪の根拠が大きく揺らぐことになる。

 再審請求しているのは、殺人罪で懲役7年の有罪が確定・服役した前川彰司さん(46)。

 公判記録などによると、男性は当初、県警の調べに「事件直後、血の付いたトレーナーを着た前川さんに会った」と証言。1審途中でこれを否定し、「事件の夜は同僚と福井市内のうどん屋に行った後、朝までドライブした。その日は前川さんを見ていない」と述べたが、2審では捜査段階の供述に戻った。

 男性の説明によるとうどん屋で知り合いの男女の痴話げんかを見た後のドライブ中、事件発生に伴う県警の検問に引っかかったことから、事件当日の記憶ははっきりしており、当初から「その日は会っていない」と思っていた。しかし、捜査員や前川さんの関与を最初に警察に話した元暴力団組員から、前川さん逮捕以前の事情聴取で「会ったはず」「うどん屋は別の日」などと言われ続け「自分の勘違いかもしれない」と思うようになった。

 無罪判決を出した1審・福井地裁の公判では、弁護人に促されて記憶通り話したが、2審が始まる前に県内の警察署に呼び出され、再度「事件のあらすじ」の説明を受けた結果、記憶と違う証言をしてしまったという。

 男性は「県警の説明は元組員の供述がベースにあり自分の話は信用してもらえず、洗脳された感じになった。これまでずっと本当でないことを証言したと思ってきた」と打ち明けた。また捜査員から「話してくれれば何か違法行為があっても見逃す」という趣旨の話もされたとしている。

 当時の福井県警刑事部幹部や捜査本部幹部らは「捜査は適正だった」と話している。【古関俊樹、橘建吾、松井豊】

 ◆福井女子中学生殺害事件とは.....

 福井市内の市営団地で86年3月19日夜、女子中学生(当時15歳)が、自宅にあった包丁で顔など45カ所を刺されるなどして殺害された。福井県警は1年後、知人らの証言などから前川彰司さんを殺人容疑で逮捕。前川さんは一貫して容疑を否認し、90年9月の1審・福井地裁で無罪となった。しかし、95年2月に2審・名古屋高裁金沢支部で懲役7年の逆転有罪判決を受け、97年11月に最高裁が上告を棄却し、確定した。前川さんは出所後の04年7月、同支部に再審を請求。今秋にも決定が出る可能性がある。

毎日新聞 2011年8月25日 2時30分(最終更新 8月25日 11時00分)

資料4

処遇見直しを求め法務省に要請

処遇見直しを
国民救援会中央本部再審・えん罪連絡会 法務省に要請

 国民救援会と再審えん罪事件全国連絡会は7月11日、法務省に対して刑事施設被収容者処遇法の抜本的な見直しを求めて要請をおこない、首都圏の国民救援会、各事件守る会から8人が参加しました。矯正局成人矯正課の事務官と専門官が対応しました。
 要請では、とくに日野町事件の阪原弘さんが、刑務所が適切な医療を怠ったことで亡くなったことを指摘し、法に基づいて、一般社会における医療水準の治療が受けられるよう求めました。各事件の支援者からは、「面会や差入れなどで刑務所ごとに差異がありすぎる。刑務所長の権限を限定すべき」、「受刑者が外部の人と交友を図ることは、一般的にも更正のために必要。再審を考えている事件であればなおさら」と訴えました。
 06年に施行された刑事被収容者処遇法は、附則で施行5年後の見直しを規定していましたが、若干の規則などの見直しにとどまり、法改正がなされていませんでした。

※意見書全文は以下の通り 

資料5

袴田事件の新聞報道

  • file新聞切り抜き
                                                  

裁判・集会・宣伝などの予定

9月

 9日(金) 名張毒ぶどう酒事件・名古屋高裁・高検要請(14時~)
10日(土) 名張事件・全国支援集会(13時半・名古屋市・東文化小劇場)
14日(水) 東電OL殺人事件緊急集会(18時半~ 文京区区民センター2A)
17日(土) 北陵クリニック事件全国支援集会(14時・仙台弁護士会館)
       大崎事件首都圏の会第7回総会(14時・平和と労働センター)
21日(水) 第195次最高裁統一要請行動(8時15分~・最高裁)

10月

15日(土) 大崎事件第14回全国現地調査(~16日・大崎町・アスパル大崎)
18日(火) 名張事件弁護団報告(10:30~ ウインクあいち1110会議室)
       名張事件高裁・名古屋高検要請行動(13時半~)
23日(日) 秋田・大仙事件現地調査予定

11月

16日(水) 名張事件高裁・高検要請行動

* 次号「ニュース」は、2011年10月に発行する予定です。

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