えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.60 再審えん罪事件全国連絡会ニュース

再審えん罪ニュース.png

2013年 1月28日発行 No.60


新しい年の、新しい気持ち

新倉 修(青山学院大学教授、代表委員)
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 1月14日、東京地方は、雪で覆われた。渋谷の道玄坂から東急デパート本店に抜ける道をたどり、ユーロスペース(映画館)に向かった。阿武野勝彦氏(制作)と齊藤潤一氏(監督)による「約束」という作品は、それだけの価値がある。奥西勝氏が87歳の誕生日を迎え、いまなお死刑確定囚として、長く名古屋拘置所に、現在は八王子医療刑務所に、収監されている。取り戻そう、奥西さんを自由な社会に。
 勝さんと「約束」した母タツノさんも、特別面会人の川村さんも、鬼籍に入られたが、約束は生きている。ぼくたちは、約束の承継人として、また、後見人として、正義と道理にかなった約束を実現させよう。江川紹子さんも、勝さんを6人目の犠牲者にしてはならないと、力強く、作品(現在は岩波現代文庫に収録)で訴えている。
 第一審で無罪判決を受けた刑事事件で、控訴審で逆転有罪・死刑となったものは、このほかにない。無実の死刑確定囚が身柄を拘束されてほぼ半世紀になる。これも、世界に類例を見ない。このような不名誉な記録を終わらせよう。文明国の裁判所は、本来、このような役割を果たすためにあるはずだ。アンフェアな「補充捜査」と不当な検察官控訴が、これからも、無反省に続けられるなら、憲法に保障する「公平な裁判所による公正な裁判」は絵に描いた餅だ。敢えて言えば、天に唾するものだ。
 多くの人の支援と関係者の血のにじむような努力によって、菅家さん、桜井さん・杉山さん、ゴビンダさんは、無罪を獲得した。裁判官も、裁判員裁判で国民の健全な常識という新鮮な風を受け、生き返ったのかも知れない。しかしより重要なことは、白鳥事件最高裁決定(1975年)が言うように、「疑わしきは被告人の有利に」という刑事裁判の鉄則があらゆる場面で守られ、最大限の努力をもって、無辜の不処罰を追求することだ。
いま改めて、誓いとしたい。

日野町事件

第2次再審申立における新たな展開について

弁護団長 伊賀興一

1 第2次再審請求の位置づけと審理方針変更

 阪原さんが大阪高裁での即時抗告審の判断を受ける前に死亡されて手続きが終了したことから、日野町事件は現在、遺族申立第2次再審請求事件として大津地裁に係属している。
弁護団は、即時抗告審での判断がなされる前の段階での終了であったことから、当初、大津地裁に対し、速やかに再審開始決定を求める、という立場で、三者協議においてもその方向での要求を行った。
裁判所も今年度末を目途に決定を出す体制がとられていた。

 弁護団の提起に対し、裁判所は事件現場や金庫、遺体の発見場所の事実上の検証を実施するなど、一定評価すべき審理も行われたが、これまでの弁護側の主張に基づくアリバイ関係の証人調べや、供述心理分析による阪原さんの供述分析を行った浜田鑑定人の証人調べなどについては、これをことごとく実施しないという見解を示すに至った。
 
 このことを受けて、必ずしも裁判所が再審開始の心証に至っているとは言えないこの段階で、決定を求めるのが適切ではない、との意見で弁護団は一致した。同時に、犯行場所に関する証拠や事件発生当時の捜査方針が外部犯行説であったことを推認させる証拠、金庫の引き当たりを中心に確定審において提出されている現場検証時の写真のネガ等の開示請求を行いつつ早期に判断を求めるとの弁護方針を変更することを裁判所に伝えることとした。

2 新たな証拠開示が事実上実現

 裁判所は、今年度中の判断を求めた弁護側がこの時点で見解を変更するとしたことに対し、不快感を示し、この時点での証拠開示について職権発動はしない、ただし、裁判所は刑訴法455条に基づく事実の取り調べを行うとして、弁護側が開示請求していたもののうち、自白経過に関する捜査報告書関係9点と、金庫の引き当たりの際の写真のネガについて、検察に対し提出を求めるという措置が取られた。
弁護団としては、証拠開示に対し職権発動をしないとの裁判所の対応は決して妥当ではないとしつつも、これまでの再審請求審でいくら開示を求めても開示を受けるに至らなかった上記証拠が結果として検討できることとなったことを一定評価して、その開示を待って、今後の進行について再度協議を行うとしたのである。
 
 この結果開示された証拠から、少なくとも二つの衝撃的な事実が明らかになった。
 ①阪原さんに対して、昭和60年9月13日に逮捕状が発布されていた
 ②引き当たり見分調書の貼付写真は、阪原さんが自分から案内したと印象させるために帰路と往路の写真が入れ替えられていた
という事実である。

引き当たり捜査において金庫発見現場に阪原さんが捜査官を案内できたとされた事実は、確定審判決、特に控訴審判決においては、自白の信用性を補強する状況証拠として特段の重みが与えられていた。
開示されたネガによって、実況見分調書に貼付されている写真が、実は撮影順が異なり、帰路の写真があたかも往路に撮られた写真のように用いられている事実が明らかになった今、任意に引き当たりがなされたという認定が崩れるのみではとどまらず、実況見分調書で裁判所をもだましたことになる可能性が出てきたというべきである。
また、事件後約9か月後の昭和60年9月13日に阪原さんに対する逮捕状が発布されていたのに、執行されていなかったという事実は、我々弁護団も初めて接した衝撃的な事実である。逮捕状請求において添付が義務付けられている「犯人と疑うに足りる相当な理由」を疎明する証拠資料はなんだったのか、逮捕状発布を受けて行われた阪原さんと奥さんへの別々の事情聴取の際に執行に及ばなかった理由、いわゆる障碍事由は何だったのか、その後の2年半余りの捜査はその障碍事由を乗り越えることが目的であったと考えられることなど、実に多様な疑問が弁護団にも、裁判所にも生じたことは疑いを入れない。

3 新たな段階を迎えて

この経過を踏まえて、裁判所は弁護団の要求を受け入れ、今後、年度末に審理を終結し、決定するという審理方針を裁判所も取らないことが言明された。
新たな証拠、新たな事実の重みを示す経過であった。
現在、上記新たに開示された証拠を検討しつつ、更なる証拠開示を求めつつ、再審請求の主張をさらに深めていくという、新たな段階に到達したのである。
さらに強力なご支援を賜りたい。



名張毒ぶどう酒事件

「名古屋高裁は科学的知見を尽くしてない!」

弁護団補充意見書学習集会

1月22日に名張毒ぶどう酒事件の「弁護団補充意見書報告会」がおこなわれ45名が参加しました。
弁護団の稲垣仁史弁護士が1時間40分にわたって、12月25日に提出した、3つの意見書についての報告をおこないました。

弁護団報告の概要

[毒物問題について]
(1)差戻し異議審までの科学論争

ニッカリンT.png

 事件当時、飲み残りのぶどう酒からどのような毒物が検出されるかということについて、三重衛生研究所においてペーパークロマトグラフ試験がおこなわれた。
 その結果、飲み残りのぶどう酒からは0・58スポットが出なかったが、対照用のニッカリンTからは0・58が検出された。その理由について当時は、成分は何かわからないが、飲み残りのぶどう酒は事件発生から丸1日以上経過しているので、加水分解して消失したのではないかという理由で、飲み残りのぶどう酒に入れられたテップ剤はニッカリンTであると結論付けた。
 しかし近年になって分析したところ、0・58スポットはトリエチルピロホスフェートであり、その加水分解速度はTEPPより遅く、TEPPが検出されている以上、加水分解は理由にならないことが明らかとなった。
 そうした場合、飲み残りのぶどう酒に入れられたテップ剤はニッカリンTではないことになり、ニッカリンTしか所有していなかった奥西勝さんは犯人ではない(持っていない凶器で人を殺すことはできない)ということが明らかとなり、2005年の「再審開始」決定につながっていった。
 その後の異議審、特別抗告審、差戻し異議審はいずれも入れられた農薬がニッカリンTであったか否かを争点に争われてきた。
 しかも2010年の差戻しの際には、最高裁は「科学的知見が尽くされていない」ということを理由にしており、名古屋高裁ではニッカリンTの再製造をおこなった上で成分分析などをおこなってきた。その争点もなぜ飲み残りのぶどう酒からは0・58スポットが現れなかったのかという科学論争が中心となっていた。
 そして2012年5月に下山裁判長が「再審請求棄却」としたのだが、今回の補充意見書は理論とともに実験でも裁判官の推論が誤っていた事を明らかにするものであった。

(2)差戻し異議審での判断の誤り
 下山裁判長は0・58スポットが出なかったことについて、2つの可能性を主張した。ひとつはペーパークロマトグラフ試験の前段階の処理として、含まれている成分を濃縮する技術の一つである「エーテル抽出」の効率が悪く、飲み残りのぶどう酒にはニッカリンTが含まれていたが、トリエチルピロホスフェートがエーテル層に遷移しなかったというものだ。しかしこの仮説では、対照検体となっているペーパークロマトグラフからも0・58スポットが出てこないことになる。この点で推論は誤りとなる。

 弁護団はこの点でも実際にエーテル抽出をおこなって、トリエチルピロホスフェートがエーテル層に遷移してくることを明らかにしている。その方法では当時の実験方法としてはポピュラーであった「塩析」(飽和食塩水に分析すべき液体を入れ、エーテル層に移りやすくする方法)を用いておこなった場合、成功することを明らかにした。

下山裁判長の2つ目の仮説についてである。

本来、ニッカリンTに含まれる成分は重量比で以下の通りである。
 トリエチルホスフェート     24.5
 TEPP(テップ・主成分)   48.2
 ペンタエチルトリホスフェート  27.3
鑑定人がおこなった実験で、ニッカリンTを水に入れた際に成分は以下の通りに変化する。
 DEP              9.3
 トリエチルホスフェート     21.6
 トリエチルピロホスフェート   24.7
 TEPP(テップ・主成分)   40.6
 ペンタエチルトリホスフェート   3.8

加水分解.png

 つまり27・3%含まれていたペンタエチルトリホスフェートはほとんどがなくなってしまい、トリエチルピロホスフェートおよびDEPに変化してしまうことが理解できる。
 しかし、下山裁判長は変化直後のニッカリンTからは0・58スポットが現れたことについて荒唐無稽な推論を組み立てた。
 その内容とは、水に入れた直後にはペンタエチルトリホスフェートがわずかながら残っている。このペンタエチルトリホスフェートがエーテル抽出により濃縮され、ペーパークロマトグラフ試験をおこなっている最中に加水分解がおこなわれ、そのときに生成したトリエチルピロホスフェートが、0・58スポットに現れたというのである。
 弁護団はもちろん、検察官さえも主張していない可能性論を持ち出して、真っ当な科学論争を汚染し、堕落させてしまった。
 エーテル抽出というのは、数度にわたり同作業(対象物をシェイクする)が繰り返される手法で、まだ加水分解が終了していないという残滓は実験結果に影響を与えるほどの量は残っていない。それを理解せず、机上の推論で弁護団の主張を退けた決定は、決定の名に値しないとしかいうほかない。
 また本当にペーパークロマトグラフ試験中に加水分解が起こった場合は、その物質はスポットとして現れることがないことは素人目にも判断できる。

[その他の補充意見書について]
 今回弁護団は、毒物問題以外の証拠についても吟味し、新たな主張をおこなった。
 そのいくつかの問題については、すでに知られたことなので、ここでは項目についてのみ列挙する。
 ●ぶどう酒到着時刻問題
 林酒店で2時ごろぶどう酒を購入となっていたものが、ある日を境に「午後5時ごろ会長宅へ届けた」「お昼ごはんと晩御飯の間に売った」と供述が変遷していくこと。
 ●いわゆる「10分間」問題について
 奥西さんが公民館で10分間、1人きりになる時間があり、その際にぶどう酒に農薬を混入したとされるもの。
 ●宴会までのぶどう酒瓶の状況について
 ●ぶどう酒瓶の開栓者について
 ●証拠物の発見者について
 ●耳付冠頭について
 ●封緘紙について
 ●四つ足替栓について
 その他、様々な可能性を示した上で、少なくとも他に犯人がいる可能性が否定できない限り、奥西さんを犯人とする事は道義に反することなどを主張しています。

[その他の状況]
 弁護団はこの間若手3名の弁護士を補充し、体制の強化を図りました。
 弁護団は最高裁に対し、調査官面会を申し入れましたが、これについては断られています。
 すでにいつ決定が出されてもおかしくない状況なので、支援者のみなさんにはいっそうの最高裁に対する働きかけの強化と、映画「約束」をぜひとも成功させてほしい。

名張毒ぶどう酒事件特別抗告審 再審開始をめざすニュース より



仙台筋弛緩剤えん罪事件

「禁じ手を使った検察」 ・・・「確定判決が維持できないこと」を自認した・・・

弁護団長 阿部泰雄

1 検察意見書が提出される

「マスキュラックスの成分ベクロニウム(未変化体)を質量分析してm/z258イオンが検出されることは決してない、警察の鑑定は誤りだ」
これを質量分析実験で証明したのが新証拠である志田保夫意見書だ。
弁護団は「検察は手も足も出ないだろう、意見書を提出できないのではないか、出るとしても、土橋鑑定が検出したというイオンはベクロニウムが加水分解した変化体だったと大転換するほかはない」とみていた。
再審申立から10か月以上も経過した12月20日、第3回目の三者協議の席上、検察は「薬毒物鑑定論」に関する意見書を提出した。

2 新証拠の志田意見書を崩せず、方針を大転換する

予想どおり、検察は大転換をした。「土橋鑑定が検出したのは加水分解した変化体だった」と変えたのである。最高裁の答弁書まで一貫「標品から資料からも決して加水分解していない未変化体を検出した」と強調し続けてきて、これを根拠に無期懲役の判決を得ていたのに、である。
検察側では、ベクロニウム(未変化体)からm/z258を検出することがついにできなかったのである。そして質量分析という科学(サイエンス)の前に屈服する外に選択枝がなかったのである。
だが、これでは検察としては確定判決を維持する手段を失う。血漿からベクロニウム未変化体が検出されることはなく、加水分解によるm/z258検出論では事件性の認定につながる証拠にならないからである。

3 許されない禁じ手を使う

そこで、編み出されたのが刑事裁判では許されない禁じ手である。
「鑑定資料は全量消費して再鑑定はできなくなっていた」はずであったが、「実は、本件の鑑定のため鑑定『資料』を前処理をした鑑定『試料』の一部が鑑定後にも余った『試料』として残されていたので、土橋らが本件鑑定後に別途これを質量分析したところ、分子量関連イオンであるm/z279が検出された。本件鑑定書の作成後にこの結果を別に鑑定書に関する補足事項として文書にまとめていた。このm/z279イオンという分子量関連イオンが鑑定『試料』から検出されていたということは、志田意見書を前提としても鑑定『資料』にベクロニウム(未変化体)が含まれていたことを明らかにしたことになり、(m/z258とは違って・・・これは私の皮肉的追加)直接的に事件性を認定できる有力な資料であるから、今回、補足事項を再審請求審に提出することとした。」というのである。要するに、土橋鑑定では鑑定資料の全てが消費されていたのではなく『試料』の形で残っていて、鑑定とは別に検査したところベクロニウム(未変化体)が検出されていたというのである。
だがm/z279イオンについても、m/z258イオンと同じく、当時実験で検出されていたことを裏付ける実証・実験データは一切示されていないのである。

4 確定判決が維持できないことを自認した

 検察意見書の前半では「m/z258がベクロニウム(未変化体)の加水分解で生成されるイオンであっても、ベクロニウムの構造を反映するイオンであるといえるなら、鑑定資料には分解前のベクロニウムが含まれていると判断できる。」などと苦しい言い訳をしている。
だが、意見書の後半では、この期に及んで、鑑定資料の全量消費を撤回し、確定審の土橋証言を翻してまで「禁じ手」を持ち出した。これは加水分解によるm/z258検出論では確定判決が維持されないことを百も承知しているからだ。

5 直ちに再審の開始を

確定判決の有罪認定の基礎となった証拠構造が動揺し、再審開始は必至の事態となった。
裁判所に弁護人の反論書を提出して再審開始を求めることになる。

大助さん手紙.png
仙台筋弛緩剤えん罪事件 守大助さんを守る会ニュースより


仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件全国連絡会結成一周年記念集会(全国連絡会第二回総会)開催のご案内

と き 2013年3月20日(水・春分の日)午後1時半~4時半
ところ 仙台弁護士会館4階会議室(200名~300名規模)、
内 容 山口正紀さん(フリージャーナリスト、「人権と報道」世話人、「週刊金曜日」執筆)と
弁護団(阿部泰雄団長)の対談
テーマ 「再審の到達点と今後の展望について」(仮題)
     各地の活動の交流
     今後の活動についての行動提起、など

なお、この集会と前後して、次の行動を行います。
3月20日午前11時30分~12時30分 仙台市一番町フォーラス前にて大宣伝署名活動
21日午前10時、仙台地裁に署名提出



袴田事件

『着衣』から袴田巌さんのDNA型は出なかった

静岡・袴田事件再審請求審、検察の反論成功せず

1966年、一家4人を殺害したとして死刑判決を受け死刑囚として服役している袴田巌さん(76歳)の第2次再審請求審で、昨年12月26日、犯行着衣とされた衣類に付着した血液についてDNA型鑑定を行った弁護側鑑定人(本田克也筑波大教授)に対する検察の反対尋問がおこなわれました。
弁護団は、「本田鑑定人は、検察の①血痕に由来する試料を取り出すことができたか。②試料がこわれてしまったのではないか、との疑問に対し細かくレベルの高い合理的説明を行い、すべての質問に答えた。検察は袴田さんと被害者のDNA型が出なかったという鑑定結果を否定できず、反対尋問は奏功しなかった。この日の尋問は大成功だった」と述べました。

5点の衣類はでっち上げが濃厚に

検察側鑑定人は「袴田さんと同一のDNA型は出ていないが、再現性がないので信用できない。弁護側鑑定人の鑑定も再現性がないので信用すべきではない」と、DNA型鑑定そのものの信用性に疑問を呈しています。

 しかし、鑑定試料である5点の衣類は事件発生の1年2カ月後に、味噌樽から発見されたもので、袴田さんの「自白」ではパジャマで殺害したことになっていたのに、検察が袴田さんの「自白」と異なる5点の衣類に着替えて犯行に及んだと変更したものです。しかも、第2次再審請求審で新たに公開された、5点の衣類の写真は、血痕も赤い色が鮮明で、薄緑色のブリーフもはっきりと緑色と判別できるものでした。また、ズボンの『B』の表示が黒色を表す頭文字で、サイズを表すB体ではないこと。袴田さんが狭くてはけなかったのは繊維が縮んだものではなかったことが実験結果からも明らかとなったのです。
1年2カ月の間味噌樽に漬かっていたなら、赤も緑も判別できないほど濃い茶色に変色しているはずです。弁護団の実験結果からも5点の衣類が偽造ではないかとの疑問が深まっています。

検察は5点の衣類が犯行に使われたことを証明せよ

静岡地裁要請団.jpg

 とするならば、検察側が5点の衣類は袴田さんの犯行着衣であることを合理的疑問の余地がないまでに証明する必要があります。
5点の衣類から袴田さん及び被害者のDNA型が出なければ、衣類は偽造ではないかとの合理的疑問に答えたことにはなりません。
検察はDNA型鑑定そのものを意味のないものにすることによって、何とか有罪を維持したいと考えているようですが、検察の思惑通り仮にDNA型鑑定が採用されないとしても、5点の「犯行」衣類にこれだけ疑問があるのですから、再審開始は必至ではないかと思います。
次回1月28日に、検察側鑑定人に対する弁護団の反対尋問があります。全国のご支援を袴田事件にお寄せください。

再審えん罪全国連絡会事務局 中澤宏



東住吉冤罪事件 「新年の抱負」

「東住吉冤罪事件」は、昨年3月7日大阪地裁で再審開始決定・刑の執行停止決定を勝ち取り、やっと「出発点」に立てました。皆様から個人23,000筆・500団体の署名、3,000枚もの要請はがき等、多大なご支援をいただき誠にありがとうございました。
しかし、「再審開始」は検察の即時抗告により大阪高裁でのたたかいを余儀なくされ、刑の執行停止は最高裁で取り消しが確定し、朴龍晧さんは大分、青木惠子さんは和歌山の各刑務所に収監されたまま2013年を迎えました。不当逮捕から17年余、当時30歳そこそこのお二人は既に40代後半です。
大阪高裁の抗告審で、検察は弁護団の「新再現実験」に対抗するかのように、予備実験を繰り返し、「燃焼実験」と称して「客観的な条件に反しない範囲で」ガソリン量を減らし、床の傾斜をゆるやかにする等の実験を行おうとしています。しかし、検察は確定審段階で「ガソリンに直接火をつけることは危険」として、「ガソリン7.3リットルを床にまき、ターボライターで火を付けた」とする「朴自白」どおりの実験をしたことはなく、今さらどんな実験を行っても「税金の無駄遣い」です。
大阪高裁で再審開始を確定させるために、私たちができることは署名集めです。昨年、大阪高裁に提出した署名は、個人5,920筆、119団体ですが、このような状況下、私たちは年頭に当たって、心新たに決意しました。
「検察が再審裁判の中で反論が可能であるにもかかわらず、自らの面目を保持するためだけに即時抗告したことに対する」怒り、「抗告審における検察の税金無駄遣いとも言える実験での理不尽な引き延ばしに対する」怒りを改めて思い起こし、広く人々に「怒り」を伝え、「『裁判所に、検察に引きずられることなく速やかな再審裁判の開始を求める』という意思を署名に託してほしい」と力強く訴え、早期に個人署名1万筆を達成しよう。
一日も早く再審無罪を勝ち取るため、ご支援をよろしくお願いいたします。

「東住吉冤罪事件」を支援する会 尾崎良江


東住吉現調.png



                                                          

裁判・集会・宣伝などの主な予定          

1月28日(月) 袴田事件検察側鑑定人への弁護側反対尋問
1月31日(木) 日弁連第2回再審シンポ(日弁連17時半から)
1月31日(木) 西武痴漢冤罪小林事件本人尋問  東京地裁
 2月15日(金) 福井中学生殺人事件第5回要請行動(名古屋高裁13時半)
 2月16日(土) 映画「約束」が渋谷ユーロスペースで4週間上映へ
 2月21日(木) 定例街頭宣伝  JRお茶の水駅(明大口)17時半~
 3月20日(祝) 仙台北稜クリニック・筋弛緩剤冤罪集会(仙台弁護士会館13時半~)
 3月21日(木) 布川事件国賠第1回口頭弁論が開かれる(14時~15時)
          16時から弁護士会館で記者会見(報告会を兼ねる)
4月21日(日)~22日(月) 
第23回裁判勝利をめざす全国交流集会(全労連・自由法曹団・国民救援会)静岡県熱海市「ホテルニュー・フジヤ」

* 次号「ニュース」は、2013年4月上旬頃に発行する予定です。



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■再審・えん罪事件全国連絡会とは・・・

 1973年4月、えん罪で苦しむ人々を救うことを目的として、作家松本清張氏、佐野洋氏、評論家の青地晨氏等の呼びかけで結成されました。
以来、「無実の人は無罪に!」をスローガンに、えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動などを進めています。

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