えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.61 再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2013年 4月12日発行 No.61

福井女子中学生殺人事件

決定は「刑事裁判の鉄則」の適用を誤っている

記者会見での吉村悟弁護士の解説をまとめたものを紹介します。

もともとの証拠が薄弱

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 前川さんには、「自白」がないばかりか、逮捕直後の勾留理由開示公判以来、一貫して、「この事件はA男とA男の友達が作り上げた作り話だ」と訴えてきました。これが本件の争点です。
他方、本件の関係者供述は、A男という暴力団員の青年が、減刑欲しさに述べた供述が始まりです。しかも、これは、事件から半年経ち、捜査が行き詰った状況下で始められた供述です。
 しかも、本件では、A男供述に基づく捜査が始められて以来、取調べ過程で数々の違法が犯され、関係者の誤認逮捕や血痕の誤認といった重大事件が起きており、本件起訴も、個人識別のできない毛髪鑑定で個人識別ができると誤解して起訴をした経過があります。
 公判段階では、何人もの証人が、取調べにあたった警察官から、「A男がそう言っているから間違いない」という強引な誘導を受けて、記憶と異なる供述調書の作成に応じさせられたと訴えています。
 したがって,再審の課題は,もともとの証拠が薄弱であることを前提として、新証拠の意義を検討する必要がありますが、残念ながら、今回の決定にはこの姿勢が見えません。

供述変遷を合理的と認定

 まず、再審請求審で開示された29通の供述調書で明らかになったのは、A男の供述を支える他の関係者の供述が、A男の供述が二転三転するごとに、全く同じ変遷をたどっていたことです。「X」と供述し、それがウソとわかると「Y」と供述し、それがダメなら「Z」と供述する、このようなA男の供述の変遷に連鎖して、他の関係者の供述も変遷しているのです。
 今回の決定は、関係者たちの供述が著しく変遷している事実自体は認めているにもかかわらず、これだけ変遷があっても、そこで挙げられた変遷の理由は、ことごとく「合理的」であるとして、供述調書を鵜呑みにしているに過ぎません。取調べが整然と進み、そのときどきの関係者の供述をそのまま調書にしたというような表面的な判断に終始しています。そこには、本件の取調べが、当時の捜査の筋立てによって警察官が取調べ、それが間違っていたら筋立てを変えて取調べるという実態であったことを直視する姿勢がありません。
 今回の決定は、公判証言や、取調べの実態を無視し、供述調書の辻褄合わせをしているに過ぎないと考えています。

判例違反の事実認定

 また、関係者の供述が「作り話」であることを裏付ける事実の1つが、現場からも、被害者の血痕や前川さんの指紋、足痕など、犯行を裏付ける痕跡が一切ないことですが、再審で提出された鑑定書や、捜査報告書によって、さらに、血だらけの前川さんが頻繁に乗り降りしたとされる車から被害者の血痕が発見されないことの不合理性が明らかになりました。しかし、今回の決定は、「被害者の血痕が発見されなくても不思議はない」と切り捨てました。
 また、犯行態様についても、被害者の顔にビニールをかけて、何種類もの刃物で顔ばかり刺して浅い傷を付け、しかも、死体の上の鴨居に首吊り様の輪を作ってドラーヤーコードを吊るしたという犯行態様が具体的に明らかにされまし。証言した法医学者の中にも、このような犯行が、激昂からくる突発的犯行だと証言した人はいません。それにもかかわらず決定は、「犯人が激情に駆られて場当たり的におこなったものと考えて矛盾はない」と認定しています。
 さらに、被害者の傷に、現場に残された包丁では付けられない傷があることから、計画的に持ち込まれた「第3の刃物」が存在することが新たに明らかになりましたが、これについても、原審で「文化包丁であっても矛盾はない」と証言した検察側証人の根拠が、弁護側証人によって崩されているにもかかわらず、今回の決定はその事実を措いて、第3の刃物がなくても説明は可能だと認定しています。
 今回の決定は、「そういう説明も可能」とか、「そういうことも考えうる」という程度の根拠で、確定有罪判決の事実認定を擁護しているのです。
 しかし、事実認定のあり方について、1975年の最高裁白鳥決定は、再審事由は、確定判決における事実認定に合理的な疑いを生じさせればよく、その立証責任は検察官にあると明確に述べています。つまり、確定有罪判決に「合理的な疑い」が生じれば、再審開始をすべきであるというのが判例の立場です。
 この「合理的な疑い」という用語の意味と適用について、2013年9月25日の最高裁判例(ゴルフ場支配人殺人未遂等事件)は、控訴審が供述だけで有罪と認定した事件について、供述の信用性がよほど高いか、被告人が犯人でなければ説明できない事由がなければ「合理的な疑い」が残る、つまり、有罪の説明が可能という程度の証拠で有罪認定をしてはいけないと述べています。
 状況証拠によって有罪を認定するためには、前川さんが犯人でなかったら、成り立たない状況証拠がなくてはいけない、その立証は検察がなすべきであるというのが最高裁判例の考え方であり、それが、「合理的な疑いがあるときは被告人の利益に」という「刑事裁判の鉄則」の具体的な適用方法です。
 今回の決定は、「刑事裁判の鉄則」に違反しているといえます。
このように、今回の決定には、数多くの点で、判例違反や重大な事実認定の誤りがあり、それを是正することが、最高裁での課題であると私は考えています。


大崎事件

第2次大崎再審請求事件の棄却決定について

弁護団長 森 雅美
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 2013年3月6日、鹿児島地方裁判所刑事部(中牟田博章裁判官)は、第2次大崎再審請求事件について棄却決定をしました。
 この決定は弁護団が求めた証拠リスト開示、事実調べを実施しないまま判断がなされたものです。弁護団は、新証拠として法医学鑑定書、供述心理鑑定書等を提出しましたが、決定は、すべてにつき「(共犯者らの)自白の信用性を動揺させるような証拠価値は認められない」として明白性がないとしました。
 この決定の問題点は次のとおりです。
 決定は、確定判決の証拠構造につき、共犯者三人の自白が確定判決を支える唯一の証拠であると明確に述べています。
弁護団は、そのことから、確定判決の証拠構造が極めて脆弱であり、共犯者とされる3人は知的障がいを持っていたことと合わせて、その信用性の判断については、極めて慎重でなければならないことを指摘していましたが、決定ではその点に関する配慮はほとんどなされていません。
 次に新証拠に対する明白性の判断の方法にも誤りがあります。
決定は一つ一つの新証拠を、それだけで確定判決に合理的疑いを生じさせる必要があるという理解に立っています。しかし、最高裁の総合的評価説は、個々の新証拠については関連する旧証拠の証明力を低下させれば足り、そのことにより確定判決の事実認定に合理的疑いを生じさせる必要はなく、新証拠の一つが旧証拠の証明力を低下させれば、旧証拠と新証拠を総合評価して、確定判決の事実認定に合理的疑いが生じれば、新証拠の明白を肯定すべきとするものです。ところが、決定はそれぞれ証拠が個別に合理的疑いを生じさせなければならないかのように論じている点において誤っています。
 しかも、決定には新証拠そのものに対する個別の判断に関しても、それぞれ証拠に対する無理解、誤解が存在します。
 ①上野鑑定について
  上野鑑定は、共犯者らの自白を前提とすれば、当然に遺体に形成されているはずの所見(索溝)が欠けていることを示す新証拠であり、共犯者らの自白の信用性を弾劾するものです。ところが、決定は、被害者の死体の頚部について索溝等の有無を論じることはそもそも困難であるというのです。しかし、そもそも、被害者の頚部の索溝等の有無については、上野鑑定だけが論じているものではなく、第1次再審請求時における城鑑定、池田鑑定、石山意見がいずれもこれに言及しているのであって、この点について論ずることが不可能というのは明らかな事実誤認です。
 その上、上野鑑定が被害者の抵抗を想定していることに対し、論理の飛躍があるというのですが、共犯者らの自白内容自体に、被害者の抵抗が想定されており、論理の飛躍であると述べる決定は、これらの事実を全く誤認しているとしか考えられません。
 ②供述心理鑑定書について
  供述心理鑑定書は、共犯者らの自白供述を心理学の観点から分析した結果、共犯者らの供述が「体験供述性を有しない」と結論付ける新証拠であり、共犯者らの自白の信用性を弾劾するものです。
 決定は、同鑑定書について、専ら供述の内容や変遷の有無等に着目して「体験供述性」の有無を論じており、供述の信用性の検討としては甚だ不十分であることはいうまでもない、等と述べています。
 しかし、この鑑定は、供述の信用性の判断を直接に行ったものではなく、供述の構造及び形式という客観的側面に着目し、科学的観点からその「体験供述性」を論じたものであって、決定の批判は全く当たりません。
 決定は、カーペット等再現実験報告書や吉牟田意見書等の証拠についても類似の誤りをしています。
そもそも決定がこのような誤った判断に至ったのは、鑑定人に対する証人尋問等の審理を充分しなかった点に要因があります。裁判官は法の専門家であっても、科学的知見に対しては素人です。証拠判断は法的見地からなされるにせよ、それに至る過程においては、もっと謙虚に専門家の意見の理解に努めるべきであり、それが無辜の救済の最後の砦たる再審に求められるものです。
 決定で異例なのは、「再審請求手続の進行に関する弁護人の意見について」という項目を設けていることです。そこで、決定は証拠の標目の開示を求めなかったこと、鑑定人らの証人調べをしなかったことに対する理由を述べています。
 しかし、他の多くの再審事件において、裁判所の勧告等により新証拠が提示され、それによって再審無罪が導かれた事実を無視したもので、結果的に本件の再審手続が不充分であったことを自認するようなものとなっています。
 いずれにしましても、今回の棄却決定は承服できるものではありません。弁護団は3月11日に107頁に及ぶ即時抗告申立書を提出しました。



大崎事件  第二次再審請求審決定に抗議する刑事法学者声明

2013年3月6日



 本日、鹿児島地方裁判所は、いわゆる「大崎事件」に関する第二次再審請求についてこれを棄却するとの決定をおこなった。わたしたち、刑事法研究者は今回の決定について以下の理由から強く抗議を表明するものである。
 こんにちわが国の再審実務において、確定判決当時には請求人(被告人)に知られていなかったにもかかわらず、公訴事実について疑問を抱かせる証拠や情報が開示され、その結果、確定判決の認定に疑問が生ずるという事例が続いている。これらの再審事例はいずれも当初の裁判において被告人に有利となる証拠が開示されないまま終了しており、適切な開示があれば無罪心証を抱かせるような情報を含んでいた。一昨年再審無罪が確定した「布川事件」における目撃証人の供述や毛髪鑑定書、昨年再審無罪が確定した「東電OL殺害事件」における被害者に付着していた第三者の体液、そして一昨年に再審開始決定の言い渡された「福井女子中学生事件」における第三者供述の未開示調書など、これらの資料・情報が再審段階に至ってようやく請求人に開示されたことで、確定判決に合理的疑いがあると認定されることに繋がった。こうした事例が示しているのは、検察側が証拠調べ請求をしなかった証拠の中に被告人に有利な情報が隠されていたり、合理的な疑いを指し示す資料が眠っているという可能性である。
 そこで近時は、東京高裁で係属中の狭山事件(2010年12月)ならびに冨山事件(2011年1月)、静岡地裁で係属中の袴田事件(2011年12月)など、複数の再審請求事件において裁判所による証拠開示勧告が示され、それに基づいて検察から開示がなされたり、飯塚事件(2012年3月)や日野町事件(2012年11月)のように裁判所が弁護側の求める証拠について取り寄せという形で応じた事案などが現れ、再審請求において証拠開示に向けた裁判所の積極的な姿勢に繋がっているものと見られる。
 もとより、裁判員裁判の導入に伴って設けられた公判前整理手続における証拠開示のような制度は再審には未だに用意されておらず、もっぱら裁判所と検察庁の対応に運用は委ねられている。けれども、通常審においては公判前整理手続によってこんにち広く認められている証拠へのアクセスが、同種の情報にアクセスすることを求める再審請求人に認められないというのは、根拠法令の存否とは離れて不公平のそしりを免れえない。かような不平等状態を裁判所も認めているからこそ、近年の再審請求事案において証拠開示問題について各裁判体に積極的な姿勢が見られるようになってきたと言えるだろう。
 こうしたわが国の再審裁判実務における流れに照らして見たとき、今回、鹿児島地方裁判所の裁判体が弁護団の求める証拠標目(証拠リスト)の開示について、検察側がリストを準備しているにもかかわらずその開示を求めなかった点、そして、請求理由となっている争点に関して弁護団の求める証拠開示について訴訟指揮を怠った点は、再審を取り扱う裁判所の間で余りに大きすぎる姿勢の違いを見せており、真実の発見と正義の追究を目指すべき司法の役割を放棄したものと言わざるをえない。
再審制度とはいうまでもなく無皐の処罰を回避するため用意された最後の手段である。憲法で保障された適正な手続の保障ならびに平等保護の精神は、この再審請求審にも及ぼされるべきであろう。
 以上から、われわれは、このたび大崎事件において未開示証拠群に対する請求人からのアクセスが認められなかった事態に強く抗議を表明する次第である。

呼びかけ人(五十音順)
指宿信(成城大学教授)、大出良知(東京経済大学教授)、川崎英明(関西学院大学教授)、白取祐司(北海道大学教授)、田淵浩二(九州大学教授)、水谷規男(大阪大学教授)

賛同人(五十音順)24名(3月5日現在〉
荒木伸恰(立教大学・名誉教授)、石田倫識(愛知学院大学法学部・准教授)、伊藤睦(三重大学人文学部・准教授)、葛野尋之(一橋大学法学研究科・教授)、黒川亨子(宇都宮大学教育学部・専任講師)、斎藤司(龍谷大学法学部・准教授)、笹倉香奈(甲南大学法学部・准教授)、白井諭(大阪経済法科大学法学部・専任講師)、新屋達之(大宮法科大学院大学・教授)、関口和徳(愛媛大学法文学部・准教授)、高倉新喜(山形大学人文学部・准教授)、田中輝和(東北学院大学・名誉教授)、豊崎七絵(九州大学法学研究院・准教授)、中島洋樹(関西大学法科大学院・准教授)、中島宏(鹿児島大学大学院司法政策研究科・教授)、福島至(龍谷大学法科大学院・教授)、渕野貴生(立命館大学法科大学院・教授)、三島聡(大阪市立大学法学部・教授)、村井敏邦(大阪学院大学法科大学院・教授)、村岡啓一(一橋大学法学研究科・教授)、森下弘(立命館大学法科大学院・教授・弁護士)、森久智江(立命館大学法学部・准教授)、吉井匡(香川大学法学部・准教授)、吉村真性(九州国際大学法学部・准教授)



東電OL殺人事件

「無実のゴビンダさんを支える会」解散総会報告

客野美喜子

 「無実のゴビンダさんを支える会」は、所期の目的を達成したことにより、2013年3月24日の総会をもって、満開の桜とともに解散しました。
 当日の垂れ幕に掲げた「真実は必ず勝利する!」は、ゴビンダさんが、自分を励ますために、獄中でよく使っていた言葉です。その言葉どおり、ゴビンダさんは、昨年6月7日、再審開始と刑の執行停止により、年老いたお母さんがお元気なうちに、無実の人間として故国に帰ることができました。そして5ヶ月後の11月7日、東京高裁で再審無罪が確定しました。ネパール人であるゴビンダさんが、この日本において、戦後の重大事件で「8番目」の再審無罪という、「歴史的快挙」を達成したのです。これまでゴビンダさんに心を寄せてくださった全ての方々に感謝しています。
 総会には、弁護団と支援者60名が参加。帰国後、生まれ育った故郷のイラムに初帰省したゴビンダさんの様子をスライド写真で紹介。事務局からは、結成以来12年にわたる活動の総括報告を行いました(要点、以下)。

 1) 外国人であったことから、本人面会と家族招日が活動の大きな割合を占めた。
 2) 『ゴビンダ通信』(昨年末「第53号」)により、本人自筆メッセージを発信し続けた。
 3) 再審開始要請と署名提出、街頭宣伝、処遇改善要請は、いずれも国民救援会の指導と協力なしには出来なかったと、感謝している。
 4) 再審への支援者独自の取り組みとして、101号室を1年間、賃借して事件の再検証を行うなど、請求審停滞時期にも支援のモチベーションを維持するよう努めた。
 5) 当初から有名事件だったこと、また裁判の特殊な経緯から司法の在り方が問われたことから、HPや出版物による普及のほか、メディア対応にも力を入れた。
 6) 多岐にわたるテーマで学習会を行い、他事件に学びつつ支援の拡大と交流に努めた。

 続いて、ゴビンダさんの再審無罪と司法の責任に言及。「どうして私が15年間も苦しまなければならなかったのか。警察、検察、裁判所は、よく考えて悪いところを直してください」とのゴビンダさんの問いかけに、司法当局はまったく応えようとしていない。これでは冤罪はなくならないとの思いから、ゴビンダ事務局有志による「冤罪の原因究明と再発防止に向けた新たな市民団体の設立」を呼びかけました。
最後に、この総会のために録音したゴビンダさんの音声メッセージを流しました。
「私は無実のゴビンダです。ネパールからです。私は再審無罪になりました。記者会見をしたとき、『私で最後にしてください』ということを何度も何度も言い続けました。ですが、今でも何人か冤罪被害者が出てきたので、とてもつらいです。私を支援してくださったみんなが、これからも冤罪被害者を支えてほしい。それが私の願いです。それに、私の努力も必要あると思います。私も応援します。助けます。よろしくお願いします。ありがとう」

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仙台筋弛緩剤えん罪事件

全国連絡会結成1周年記念大集会聞かれる!

仙台弁護士会館4階大会議室、満杯の参加者で熱気あふれる


山口正紀さん(ジャーナリスト)と阿部泰雄さんの対談
「わかりやすかった」、「これで話せる」と確信に

 3月20日のお彼岸の中日、仙台弁護士会館は、守大助さんの一日も早い再審開始をと全国で草の根の運動を展開している全国15都道府県、20の守る会、支援する会と国民救援会の中央本部と8県本部より、150人以上の支援者の参加で熱気につつまれました。

 集会では始めに、「一度で再審開始・釈放を必ず勝ち取って両親が元気でいるうちに帰りたいです」と訴える大助さんのメッセージが朗読されました。
 再審・冤罪全国連絡連絡会を代表して報告に立った事務局長の瑞慶覧さんは、「私たちは足利事件、布川事件、東電OL殺人事件と3年続いて再審・無罪・釈放を勝ち取りました。しかし、名張事件、袴田事件、福井女子中学生殺人事件、鹿児島の大崎事件などでは検察側が必死のまきかえしを図っています。私たちは『流れに乗る』でなく、ひとつ一つの個別事件で必ず勝つためにすべてのことをやり尽すことが重要」と教訓を語りました。       
 つづいて山口正紀さんと阿部泰雄さんの記念講演(対談形式)に移りました。
 読売新聞の記者として、「事件報道のあり方がおかしい、大々的な犯人視報道によってメディアが冤罪に荷担している」、とたたかい続けてきた山口さんは、読売新聞を辞めた理由にも触れ、いま「人権と報道連絡会」の世話人としての気持ちを語り、参加者を励ましました。
 いくつもの冤罪事件の弁護人として勝利をかちとってきた阿部弁護士は、再審請求審の三者協議で検察が出してきた再審請求書に対する反論の意見書を批判、確定判決の根拠は完全に崩れた、裁判所は直ちに再審開始を決定すべきだ、と力強く語りました、

全国の支援組織の交流、圧巻!

 第2部の冒頭は、宮城守る会の鹿又会長による全国連絡会を代表しての事務局報告。この一年間の全国連絡会の組織的・社会的成長と発展をリアルな数字で明らかにしつつ、昨年2月に仙台地方裁判所に再審請求書を提出して以来全国47都連府県から5万名をこえる署名が寄せられていることを報告しました。
 各団体3分との制限時間つきの活動報告は、札幌の会の吉田さん、八戸の会の山下さん、北上の会の佐藤さん、一関の会の千田さん、置賜の会の佐藤さん、会津の会の栗城さん、郡山の会の吉川さん、二本松の会の安斎さん、福島・伊達の会の渡辺さん、守る会・那須の門井さん、茨城の会の大名さん、干葉の会の土井さん、千葉・東葛の会の吉元さん、神奈川の会の草野さん、愛知の会の末広さん、大阪・泉州の会の中村さん、徳島の会の佐藤さん、ひぐらしの会の高藤さん、と次々に報告される全国の支援組織の珠玉のような報告。圧巻でした。
 守大助さんの御両親あいさつでは、お父さんの勝男さんが、今日は弁護団の先生たちもたくさん参加していただいて嬉しく思います、と会場を湧かせ、心からの御支援を、と訴えました。弁護団から参加を頂いたのは、阿部泰雄団長の他、小関眞事務局長、阿部潔、野呂圭、草場裕之、庄司捷彦、松浦健太郎、の各弁護士の7人でした。
 裁判所への要請決議を満場一致で採択した後、参加者全員での記念写真を撮り、懇親会へとむかいました。

仙台市一番町フォーラス前にて 40名で 「守大助さんは無実」宣伝

 集会に先立ち、お彼岸町買い物客でにぎわう仙台市一番町フォーラス前で、「守大助さんは無実、一日も早い再審開始決定を」のジャンボ横断幕をかかげての大宣伝・署名行動が行われ、全国から駆けつけたおよそ40名が参加しました。
 宮城の守る会副会長の吉川さんの司会により、札幌の会の吉田さん、福島・伊達の会の渡辺さん、守る会・那須の門井さん、会津の会の栗城さん、茨城の会の大名さん、干葉の会の北川さん、郡山の会の吉川さん、国民救援会中央本部の板屋さん、愛知の竹崎さん、神奈川の田戸さん、大阪・泉州の会の中村さん、宮城の会の鹿又さんが次々とマイクをにぎり、全国各地での運動を紹介しながら、一日も早い再審開始の決定を、と訴えました。
 この宣伝行動では、多くの通行人がジャンボ横断幕に注目、地元宮城をはじめ福島、青森、山形などの東北各地からの64名の署名が寄せられました。地元テレビ局と新聞社の取材の中、732枚チラシも配布され、とりわけ署名に応じる若者の姿が目立ちました。

21日、仙台地裁に署名9135名提出 昨年2月以来、累計で50000名を突破

 翌日の21日〔木)午前10時、テレビカメラの待ち受ける中、前日の全国集会で採択した仙台地方裁判所第一刑事部、鈴木信行裁判長あての要請決議および、前回12月20日に提出して以降、この日までに全国から寄せられた9135名の署名を提出しました。この行動に参加したのは前日の集会参加者を代表して、札幌、宮城、茨城、千葉、中央本部、神奈川、愛知、大阪、徳島の守る会、支援する会のおよそ20人。これで、昨年2月10日に再審請求書を提出して以来、仙台地裁に提出した署名は累計で50214名となりました。
 この日は山台放送が昼のニュースで報道、守大助さんの無実を訴える全国からの支援者が、一日も早い再審開始決定を要請する署名を山台地裁に提出、署名数は5万名を超えたことを伝え、ジャンボ横断幕を先頭に分厚い署名を携えて裁判所に向かう支援者を大写しにして放映しました。

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名張毒ぶどう酒事件

映画「約束」東京実行委員会の取組まとめ

実行委員・事務長 堀江恭子

 名張事件を全面的に取り上げた映画ができるということは、2012年の夏には知っていました。その頃から、名張東京守る会では、この映画の成功に向けて何が出来るかを考えていました。
 これから取り組まれる方々の参考になれば幸いと思い、まとめたいと思います。

 1、独自の実行委員会の立ち上げ

 2012年12月、渋谷ユーロスペースでの上映話が具体的に上がり、この東京・渋谷での成功が全国上映のカギになると自覚していました。映画成功のためにも、名張・東京守る会だけではなく、広く実行委員を呼び掛け、独自の実行委員会を立ち上げた方が良いと判断し、12月18日、21日と結成に向けた準備会をしました。同時に映画の宣伝も開始しています。
 年が明けた2013年1月9日結成をしました。東京守る会を中心に、救援会支部の方の参加を得ました。体制を整え、チケット普及目標1000枚を決め、チケット配給協力者を募る方法、オルグ体制、宣伝グッズ(予告映画のDVD、要請文など)の作成などを決めました。
実行委員会では、弁護団に来てもらって、事件の最新情報や奥西さんの病状などを聞かせて頂き、身の締まる活動ができたとも思います。また、会議には、配給会社「東風」の方も参加して頂けたことで、実行委員会と東風との連絡もスムーズに対応できたと思います。

 2、実行委員会ニュースとメーリングリスト~配給協力者との連携

実行委員会独自のメーリングリストや実行委員会ニュースも発行(現在まで7号発行)するなど、チケット配給協力者に情報が流れるようにしました。最新の情報が協力者に伝わることによって、チケットを宣伝する時に役に立つネタになっていたようでした。また、自分がチケットを売った枚数をメーリングリストで報告したり、その反応などを逆にお知らせすることもできました。実行委員会ニュースで前売券売上数が伸びると嬉しく、また新たに頑張ったりと、協力者同士の動きが分かったり、連絡もしやすかったと思います。
上映開始2週間前の2月頭に、協力者に改めてチケット配給の状況知らせと、これ以上配給が難しい方にはチケット返還と清算ができるように手紙を出しました。この手紙をきっかけに「まだやれる、もっとチケットを送ってほしい」という声を沢山頂くことができました。

 3、1/14試写会の実施と協力者集め

 上映成功の試金石として、1月14日(奥西さんの誕生日でもあります)に試写会と八王子駅前宣伝行動を企画しました。試写会を見て下さった方々には、チケット配布協力者になって頂く目的もありました。
 当日は、大雪にも関わらず、70名を超える方々が参加し、その場での協力者も24名が名乗りを上げて頂きました(ただ、八王子駅までの移動が出来ず、宣伝行動はできませんでした)。協力者ができたこで、広くチケット配給が出来るようにもなりました。見た方がチケットを売ることによって、熱のこもった販売ができたと思います。

 4、オルグ活動、旗開きでの訴えなど

 試写会を皮切りに、オルグ活動をしました。救援会の協力を頂き手分けをしながら各地のオルグをしてきました(オルグ一覧参照)。オルグ先での反応は大変良かったです。①集会ではなく「映画」であったこと、②役者がメジャーだったこと、が有るでしょうか。名張事件を知らない人も、話を聞いてくれることが多く、また、名張事件が未だ終わっていない事件であることに驚いてくれ、チケットの協力やポスター・チラシなど沢山受け取って頂きました。
 また、時期的に各団体の旗びらきシーズンだったこともあり、積極的に出来かけていき、映画の宣伝と奥西さんの病状などを訴えてきました。オルグまわりをする中で、試写会に参加していた方が、独自に訪問してくれたいりており、「名張の映画の件で一日に2回も要請があるなんて、本気ですね!!」と言ってくれた団体もありました。それぞれが積極的にチケット配給をしてくれました。

 5、上映期間内のトーク企画と署名要員配置~映画館の協力

 3月16日よりユーロスペースでのロードショウが始まりました。映画館の協力があり、初日は、仲代達矢さん、樹木希林さんら、斉藤潤一監督の舞台挨拶。期間中の土日を利用し、トークショウを開催しました。やくみつるさん、江川紹子さん、門脇康郎さん、桜井昌司さん、野嶋真人弁護士、稲生昌三さんが参加して下さり、映画+αをすることで、もっと事件のことを知ってもらえたと思います。このトークショウを聞きたくて2度見にきてくれた方もいました。トークショウの内容は別紙。
 また、実行委員会はトークショウがある土日を中心に担当を決めて、映画を観終わった方々に署名の要請をしました。緑色のジャケットを着て訴えていると、列をなして署名をしてくれたり、署名用紙を預ってくれ、後日郵送してくれたり、声をかけてきてくれました。また、平日行けない時も、映画館の協力で、受付にて署名用紙を配ってくれたり、回収をしてくれたり、大変、お世話になりました。
  ・映画を見た後の反応は良く、署名に列がなる経験ははじめて
  ・会場で署名をしてくれた人で名張市の人、刑務官の人がいた。
  ・この事件で親戚が亡くなってる。ということが声をかけてくれた。 「証言を変更させられた人を含め、村全体が被害者」と話すと、涙をうかべ「大変だったんです」と一言。
  ・和歌山からわざわざ来た青年と、20分以上話こんだ。
 

 6、東京上映(ユーロスペース)の結果報告

  ① 入場者数 5268名(内前売り1552名)目標の1000枚は達した。
  ② 署名 会場署名 967筆 郵送署名 1166筆
  ③ 東京守る会への入会 9名

 7、今後のこと

  実行委員会は5月14日をもって解散となりますが、活動は名張事件・東京守る 会が引き継ぎ、映画の独自上映(2013年5月21日 日比谷コンベンションホール)を開催。また、全国で上映されますので、その支援もしたいと思っています。

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トークショーの後の署名活動に参加して

名張事件東京守る会事務局  渡邊ゆき

 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』、渋谷ユーロスペースでの署名の取組についてご報告します。私は、初日(齊藤監督、阿武野プロデューサー、仲代達矢さん、樹木希林さん)、2/23(江川紹子さん)、3/2(櫻井昌司さん)、3/10(野嶋弁護士)のトークショー・舞台挨拶の回の後の署名集めに参加しました。
 毎回共通することは、観終わって、「何かしたい」という思いがみなさんみなぎっていて、署名するのに列ができていたことです。中には、「家族や周りから集めるから」といって署名用紙を何枚も束で持ち帰る方もいるほどでした。実際に、東京守る会へ郵送されてくる署名もかなりの数にのぼっています。また、私たちがいない平日の回でも、署名用紙をユーロスペースのご好意で配布してくださったり、会場の外に署名用紙とペン、回収箱を机に置いた署名コーナーを作ってくださったおかげで、かなりの枚数の署名が集まっていました。今までやってきて、こんなに反応がいい署名活動は初めてです。観る人の胸を打ち、立ち上がらせる映画の証だと思います。そんな現場の熱気・反応を感じたくて、毎週渋谷へ通っていました。当初は、私たちの役割はトークショーの司会進行がメインと考えていましたが、終わってからの署名集めに力を入れた方が、より支援の輪が広がると思いました。
 東京守る会では、お揃いの緑のブルゾンをつくり、宣伝の時などに着ているのですが、この署名活動の時も着ていました。その効果は抜群です。一目で支援者だとわかるので、「署名にご協力ください」と声をかけると、すぐに快く署名に応じてくださいます。ブルゾンとはいかなくても、腕章があれば着けて、画板を持って呼びかければ、映画の中で出てくる、川村さんはじめとする宣伝・署名行動のシーンとも重なって支援者とわかり、署名にご協力いただけると思います。また、署名を集めるにあたっては、事前に配給会社の方や映画館の方に、こちらからの要望(チケットをもぎる際に署名用紙とチラシを配布してほしい、署名用紙を置くスペースを作ってほしい等)を伝えました。配給会社の方も映画館の方も大変良く協力してくださいました。このようにコミュニケーションをよく取り、映画館の協力を得ることも大変重要だと思いました。
 舞台挨拶で、仲代さんは「奥西さんは無実と信じています」ときっぱりおっしゃり、樹木さんは「これで仕事が無くなっても…」と覚悟の出演だったことを明かされました。仲代さんは自身の主宰する「無名塾」の塾生からも署名を集めて送ってくださいました。それだけ役者さんも本気でこの映画に賭けてくださっています。この東京の熱気を、全国へつなげていきたいと思います。


約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~ 公開予定劇場一覧

2013年4月3日現在
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※公開予定劇場はあくまで予定であり、上映が行われない場合もあります。
※公開劇場や公開時期、自主上映会の詳細については、下記の配給協力・宣伝 東風まで、お問合わせ下さい。
合同会社東風  木下、石川、向坪
〒160-0022 新宿区新宿5丁目4-1 新宿Qフラットビル306号室
TEL:03-5919-1542 FAX:03-5919-1543
E-mail:info@tongpoo-films.jp


『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』 自主上映会スケジュール

2013年4月3日現在

画像の説明



大阪・東住吉冤罪事件

「東住吉冤罪事件」3.7再審開始決定一周年 報告集会

「東住吉冤罪事件」を支援する会 尾崎良江

 「東住吉冤罪事件」は昨年3月7日再審開始が決定されましたが、検察の即時抗告により同年4月26日から大阪高裁で抗告審(三者協議)が続いています。
 支援する会では、3月25日、「開始決定」の幕を掲げた髙坂明奈弁護士を講師に「抗告審では何が審理されているのか」と題して報告集会を開催しました。大阪をはじめ兵庫・奈良から36名が参加して抗告審の詳細を熱心に聴きました。
 三者協議は本年3月18日までに12回行われ、検察は初回から実験実施予定としながらも報告がなく、7月に突然「給油ポンプとバトミントンラケットの燃焼実験」を実施。また、「再現実験」ではなく「燃焼実験」を行うとして、1月24日に予備実験を実施し、5月末実施予定の本実験に向け、実験条件を審理中です。
 検察は「燃焼実験」で弁護団の新再現実験に対抗して「ガソリンをまき終えるまでに種火に引火しない」ことで、「ガソリン7.3リットルを床にまき、ターボライターで火を付けた」とする「朴自白」と矛盾しないことを立証しようとしています。弁護団は「実験条件ついて、可能な限り実際の状況を再現する形の実験でなければ証拠価値は非常に低いものと考える」と意見を述べましたが、検察は証拠にない「床面の傾斜を緩やかにする」「床面にくぼみをつける」「散布するガソリンの量を少なくする」条件で予備実験を行いました。しかし、ガソリンの流れ方は自白のように車底の範囲に流れ止まる広がり方にはならず、火種があれば引火したと思われます。
 質疑応答では「床面の傾斜が2cmというのはフラットと同様。5cmはつけないと水は流れない」「火が付くのは気化ガソリンなので、種火が気化ガソリンを引っ張って、新再現実験同様に着火するはず」等々活発に意見が出され、検察の実験は茶番としかいいようのないとの批判の声も。私たちは大阪高裁に速やかな「再審裁判の開始」を求める署名でがんばろうと閉会しました。


                                                          

裁判・集会・宣伝などの主な予定

 4月18日(木) 袴田事件宣伝行動(17時からJRお茶の水駅)
 4月21日(日)~22日(月) 第23回裁判勝利をめざす全国交流集会
           静岡県熱海市「ホテルニュー・フジヤ」
 4月24日(水) 名張事件要請行動 10時最高裁、11時法務省、 昼宣伝(日弁連前)
  〃       JR京都山科駅間痴漢冤罪事件控訴審第1回公判(大阪高裁)
 4月27日(土) 大崎事件再スタート大集会(宮崎市)
 5月 1日(水) メーデー
 5月 3日(金) 憲法集会(日比谷公会堂)
 5月 8日(水) 三鷹痴漢冤罪事件判決(10時半から東京地裁立川支部)
 5月13日(月) 自衛隊国民監視差し止め訴訟(13時半から仙台高裁)
 5月20日(月) 無実の人々を救う!全国いっせい宣伝行動

* 次号「ニュース」は、2013年6月上旬頃に発行する予定です。

 再審・えん罪事件全国連絡会とは

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 1973年4月、えん罪で苦しむ人々を救うことを目的として、作家松本清張氏、佐野洋氏、評論家の青地晨氏等の呼びかけで結成されました。
以来、「無実の人は無罪に!」をスローガンに、えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動などを進めています。

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