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No.67再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2014年 6月16日発行 No.67

名張毒ぶどう酒事件

有罪の結論が先にありきの不当決定

えん罪名張毒ぶどう酒事件 愛知・奥西勝さんを守る会
事務局長 田中哲夫
名張6.16.gif

5月28日午前10時過ぎ、名張事件弁護団長の鈴木弁護士から突然電話が入りました。「高裁刑事一部が請求棄却の決定を出したので受け取るようにとの連絡が入った。今、裁判所へ向かっているところだ。」という衝撃的な連絡でした。
昨年11月5日に申し立てた第8次再審は、4月22日に弁護団が証拠開示命令の申立、4月25日にはようやく第1回目の進行協議(三者協議)が開かれ、弁護団が早ければ5月中、遅くとも6月上旬には新たな「ペーパークロマトグラフの再現実験結果」を提出すると裁判所に予告していた矢先でした。
 棄却決定は、こうした一連の流れを全く無視し、「第7次と同じ証拠での再審申立は認められない」という木で鼻をくくった、実質的審理を避け形式的な入り口論議で切り捨てる、まさに有罪の結論が先にありきの不当決定でした。事件を真剣に検討するのであれば直後に提出が予定されている新たな実験結果を待つのは当然ですし、また、「袴田事件」のみならず、かつての死刑再審4事件をはじめとして最近相次ぐ再審開始・無罪事件が教訓として示した「証拠開示」の重要性・必要性を無視し、弁護団の開示命令申立も不問にして請求を棄却した裁判所の責任は重大です。
加えて名古屋高裁は、決定をするにあたって刑事訴訟規則で定められている請求人からの意見聴取のために奥西勝さんと面会しましたが、そこでの奥西勝さんの加齢の状況や病状の悪さから早期決定をしたとしています。雪冤に向けて命の炎を燃やし続ける奥西勝さんに対して再び死刑判決を突きつけるのを急いだという今回の決定には、奥西勝さんの無実の叫びを真摯に検討する姿勢はみじんも感じられません。裁判官の人権感覚を疑うばかりです。さらに、その後の弁護団の調査により、この面会は決定の2日前である5月26日に行われていたことが判明しました(面会時間は7分)。裁判所が棄却することを決めた上で体裁を繕うためだけに奥西勝さんと面会したことは明らかです。しかも、奥西勝さんは、面会した裁判官に対して、弁護団が提出する予定である新たな証拠も含めてきちんと審理してほしいと身振りで示したにもかかわらず、その意見は簡単に踏みにじられました。
私たちは、こんな不当決定を許しておくわけにはいきません。弁護団は、早速6月2日(月)に異議申立を行いました。今後、名古屋高裁刑事第2部で異議審の審理が行われます。
決定後、全国各地で抗議など独自に取り組みがされていますが、名古屋高裁のある愛知では、決定当日に予定されていた大須観音での定例街頭宣伝を急遽不当決定抗議宣伝に切り替え、その不当性を市民に訴えました。また、30日(金)には3県から18名の参加を得て名古屋高裁への抗議行動に取り組み、6月2日(月)に異議申立に赴く弁護団の激励行動を行っています。
今後は、6月12日(木)に弁護団の小林、井上両弁護士から不当決定と異議申立の内容、証拠開示に関して報告をいただき、異議審勝利への決意を固める「不当決定抗議報告集会」を名古屋市内で開催します。東京では、7月4日(金)に集会が予定されています。裁判所・検察庁の要請は6月13日(金)、7月10日(木)(いずれも午後1時30分から裁判所)に行います。
請求審の審理期間6ヶ月あまりの間に、全国から3万筆を超える裁判所宛要請署名が寄せられました。全国からのご支援にあらためてお礼を申し上げると共に、異議審ではさらに一廻り広げた署名を早期に積み上げようと、新たな要請署名を作成しました。また、証拠開示命令を実現させるための特別な取り組みも検討をしたいと思っています。
事件発生53年。2005年4月5日の再審開始決定からでも早9年が経過しています。今回の名古屋高裁のような拙速な判断は問答無用ですが、奥西さんの救援にこれ以上時間をかけるわけにいかないのも事実です。奥西勝さんの「生」あるうちの釈放、再審無罪を勝ち取るために、よりいっそうのご支援をお願いします。

大崎事件

第2次再審請求 即時抗告審のご報告

大崎事件弁護団事務局長 鴨志田 祐美
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 2013年3月6日,鹿児島地裁は,証拠開示に向けた訴訟指揮も,新証拠である法医学鑑定書,供述心理学鑑定書を作成した鑑定人への尋問も行わないまま,アヤ子さんの再審請求を棄却しました。
たった29頁の決定書は,あまりにずさんな内容で,反論の材料には事欠かなかったため,かえって闘志が湧いた私たちは,5日間で107ページの即時抗告書をまとめ,3月11日に福岡高裁宮崎支部に即時抗告の申立てを行いました。
それからわずか2か月後の5月27日に設定された第1回進行協議期日で,弁護人はリストも含む証拠開示と,鑑定人の尋問,そしてアヤ子さん本人の意見陳述を求めました。原田保孝裁判長は,その場でアヤ子さんの意見陳述の実施を決め,検察官の意見書の提出期限を設定し,「証拠開示については近いうちに判断する」と回答しました。
その言葉どおり,裁判所は7月18日,証拠開示勧告を出しました。私たちが求めていた,第1次再審段階で検察官が収集した証拠について作成されたリストの開示を勧告し,さらに,これまで開示されていない客観証拠や初期供述調書については,「存否を調査し,リストを作成してそれを弁護人に開示せよ」と勧告したのです。
8月に入ると,裁判所は,法医学者と心理学者の鑑定人尋問を採用すると伝えてきました。このスピーディな展開は,それを望んでいた私たちでさえ驚きでした。
一方,検察官は,裁判所の証拠開示勧告には素直に応じず,自分たちが「開示しても弊害がない」と考える証拠を,「個別に」「裁判所に」開示するという対応を取りました。それでも,五月雨的に開示された証拠は200点を超えました。これまで捜査側は「開示すべき証拠はもうない」と言っていたのに,34年の時を経て初めて私たちが目にすることとなった証拠がこんなにあったのです。これらの開示証拠から,初期捜査の段階で毛髪や足跡を採取していたこと,共犯者とされた男性の自白の直前にポリグラフ検査が行われていたこと,その「共犯者」たちが任意の事情聴取の段階で,のちの自白とは大きく異なる内容の自白をしていたことがわかりました。
証拠リストについては,最終的に,検察官が作成していたリストが「裁判所限り」という形で開示され,そこからもう1点の証拠開示に結びつきました。
結局,即時抗告審で新たに開示された証拠は213点に上ったのです。
10月3日には法医学者の上野正彦氏,11月14日には心理学者の高木光太郎教授と大橋靖史教授への鑑定人尋問が実施されました。
上野氏への尋問では,被害者のご遺体に,絞殺であれば内部所見として残るはずの咽喉頭部のうっ血・出血が認められず,ご遺体の状況が「タオルによる絞殺」という自白による犯行態様と矛盾することがいっそう明確になりました。
わが国の再審史上初となる心理学者への鑑定人尋問では,まず高木教授が,「共犯者」とされた者たちの自白には,例えば,複数の者が被害者を殺害するのに,どのような役割分担をするのかなど,お互いの行為を調整するための最低限のコミュニケーションが欠落するという特徴が繰り返し見られ,これは体験に基づかない供述である可能性が高いことを分かりやすく証言しました。
次に大橋教授が,新たに開示されたポリグラフ関係の証拠を分析した結果として,本件では極めて不適切な方法でポリグラフ検査が行われ,これが自白強要につながった可能性が高いことを証言しました。
 以上の開示証拠や鑑定人の証言によって,弁護人が提出した新証拠が「共犯者」とされた者たちの,犯行についての自白の信用性を著しく減殺すること,開示された証拠も含めて新旧証拠を総合評価すると,有罪判決には合理的疑いが生じることがますます確実なものとなりました。
 私たちは即時抗告審におけるこれらの成果をあまねく盛り込んだ,500頁に及ぶ最終意見書を2014年3月14日付で提出し,4月30日にも100頁ほどの補充意見書を提出しました。
 これに対し,検察官も3月31日付で約60頁,4月30日付で約30頁の,反論の意見書を提出してきました。
 二つの意見書において検察官は,上野鑑定に対して,第1次再審請求のときも検察側の法医学鑑定を行った石山昱夫氏が作成した意見書をもとに反論してきました。しかし,上被害者のご遺体の状況が「タオルによる絞殺と矛盾する」ことの最も重要かつ明らかな根拠として上野氏が指摘した「咽喉頭部の内部所見において,うっ血も出血もない」ことについて,石山氏は,本件当時ご遺体を解剖した城鑑定人の見落としだと決めつけるだけで,全く有効な反論を行っていません。また,石山氏は第1次再審のときには,ご遺体の顔面が緑色になっているのを窒息によるチアノーゼだと主張していたにもかかわらず,第2次再審で上野氏から「これはチアノーゼではなく腐敗による変色であり,これをチアノーゼとみるのは明らかな誤り」と指摘されるや,今回は「遺体が堆肥に埋められていたため,顔面のうっ血している部分が堆肥中の硫化水素と結びついて青藍色になった」などと,全く異なる主張をしてきました。
 そもそも,堆肥中に高濃度の硫化水素が発生していたとすれば,全国各地の家畜小屋で家畜や農業従事者がバタバタと中毒死するような事例が多発していることになりますが(笑),そのような報告はなく,いかに石山氏の意見が荒唐無稽かを示しています。
 また,検察官の供述心理鑑定に対する反論も,専門的知見による鑑定をまったく理解せず,「共犯者」とされた者たちのコミュニケーションが欠落した供述について,個々の供述を取り上げて「アヤ子のいる面前では話しづらかった」「普段から被害者に対する悪感情を抱いており,それを互いによく知っていたから説明が不要だった」「記憶が曖昧になっていた」などという可能性を指摘するのみで,高木教授らが,相互行為調整場面において必要なコミュニケーションの欠落が「繰り返し見られる」ことこそが「体験に基づかない(非体験性)兆候」と分析していることへの反論になっていませんでした。
 私たちは,最終意見書及び補充意見書で,新証拠の明白性は検察官の反論をもってしても全く揺らぐものではないし,即時抗告審で新たに開示された証拠により,「共犯者」とされた人たちが不適切なポリグラフ検査によって自白を強要されたものの,その自白は初期段階から大きく変遷し,とても事実を体験した者の供述とは考えられないことや,初期段階で毛髪や足跡,微物を採取する捜査を行っていたのに,アヤ子さんや「共犯者」たちとを結びつける物証も鑑定書も提出できなかったことが一層明確になったのであるから,もはや確定判決の有罪認定は維持できず,再審開始は必至であると改めて強調した上で,最後にもう一つ重要な指摘を行いました。
 それは,大崎事件の確定審段階では,「共犯者」たちが事実を争わなかったため,「アヤ子さんの関与の有無」だけが裁判の争点になってしまったことから,「共犯者」たちの自白も,その限度でしか吟味されていなかったということです。
 かつて,第1次再審の取消決定(岡村決定)や,第2次再審の棄却決定(中牟田決定)は,「再審請求審は確定判決の心証にみだりに立ち入ってはならない」という判断をしていました。しかし,自白のみで有罪認定が成り立っている事件でありながら,そもそも本件の確定判決は「共犯者」たち自身の犯行に関する自白については実質的な判断を行っていないのです。
 私たちはこのことを前提に,即時抗告審裁判所は自由な心証をもって「疑わしきは請求人の利益に」の鉄則を貫くべきであると訴えました。
 あとは決定を待つばかりです。即時抗告審裁判所には,適切な訴訟指揮で明らかとなった新証拠の価値を正しく見極め,これに開示証拠を加えた適切な総合評価を行って,「破棄差戻し」ではなく,是非とも自ら開始決定を出してほしいと期待しています。
再審無罪によってアヤ子さんが「生き返る」その日まで,どうかご支援を宜しくお願いいたします。

東住吉冤罪事件

証人尋問で修正・撤回し信用失う...須川修身教授(諏訪東京理科大学)の意見書

「東住吉冤罪事件」を支援する会 尾﨑良江

東住吉冤罪事件は弁護団実験に続き、抗告審での検察実験においても「朴自白の放火行為が不可能」と証明されました。この時点で大阪高裁は自白を根拠に有罪とした裁判のやり直しを決定すべきでした。しかし、大阪高裁から自然発火の立証について水を向けられた検察は「自然発火の可能性がない」ことを追加立証しようと、「車から少量(33ミリリットル)のガソリンが漏れ、引火したとしても大規模火災には発展しない」とする実験を昨年12月に行いました。結果は予測通り、点火後1分余りで鎮火し、大規模火災には至りませんでした。検察はその結果を実験に立ち会った須川氏の「自然発火実験に関する意見書」として提出しましたが、弁護団は意味のない実験で証拠調べする必要はないと反論、裁判所は須川氏の証人尋問により証拠としての採否を見極めたいとしました。
須川意見書は、車から少量のガソリンが漏れ、引火したとしても燃えたガソリンの発熱量では、ガソリンタンク内のガソリン温度の上昇・ガソリン膨張はなく、タンク内圧を上げないから、ガソリン漏れはないなどと論じています。
本ニュース66号で、弁護団の「4月15日の証人尋問において、この実験がおかしいことを裁判所に明らかにしていきたい」との思いを報告していましたが、弁護団は意見書における計算式の3桁もの大きな間違い(タンク内ガソリン温度の上昇は0.019℃としていたが、正しくは19℃)、1桁の計算間違いや論点の矛盾(消防庁の資料で鉄の膨張率は無視できるとされているが、熱で鉄製のガソリンタンクが膨張するから、ガソリンが膨張しても内圧が上昇することはないと記載)等々を指摘。そのため、意見書の修正や数多くの撤回を余儀なくされ、証拠としての採否は見送られました。須川氏は筆が滑った、間違っていました、すみませんなど謝る場面もあったとのことです。
5月12日の三者協議で、検察は修正・撤回した意見書を改めて提出しないとし(数字が間違っているのに結論は変えない!?)、弁護団は須川氏の尋問に対する証言を受けて反論の意見書を提出することになり、今回も証拠採用は留保となりました。弁護団は意見書の中で改めて、実験内容も意見書も証拠として信用性はなく、証拠採用すべきでないと主張する予定です。
一方、弁護団が証拠として提出した「給油口からのガソリン漏れ」事例について、裁判所はその解明は避けては通れない課題と位置づけ、給油口からガソリン漏れを起こした実車の検分を促し、6月末に実施が決まりました。
また、三者協議の期日が10月まで毎月入りました。今後も「自然発火」の可能性をめぐり、ホンダも絡んでの攻防が続きます。
青木惠子さんは「この裁判は私の人生が掛かっているにも拘わらず、私は三者協議に参加することも許されず蚊帳の外です。今後は上申書という形で意見を述べ参加することに決めました」と、5月12日には三度、上申書を大阪高裁に提出。「どうか、一日も早く、娘殺しの母親から娘を失くして悲しんでいる普通の母親に戻してください。私と私の家族を救ってください。私は無実です」と結んでいます。
「朴自白の放火行為が不可能」と証明され、検察の有罪立証が再び崩れた今、再審開始に対する正義と道理は私たちにあります。現在署名は2万5千筆を超えました。3.7のような包囲行動にかえて、3万、5万筆署名で大阪高裁を包囲するためにご協力をよろしくお願いいたします。

青木惠子さんの上申書

大阪高等裁判所 第4刑事部
米山正明裁判長
中川綾子裁判官
船戸浩之裁判官
上 申 書

 はじめに
 2014年3月27日「袴田事件」に「再審開始」決定、死刑、拘置の執行停止が、言い渡されました。正義に基づいた素晴らしい判断を下されています。また、検察官の「ねつ造」に対しても厳しく批判されており、真実を見抜かれた画期的な決定です。
 しかし、なぜ、48年間もかかったのでしょうか?過去の「再審」で、無罪が確定した「足利事件」、「布川事件」、「東電OL事件」と同様に、検察官が無実の証拠を隠し続けたことと、裁判所が検察官の主張と「自白」のみを重視し、無実の人間の訴えに耳を傾けなかったことが、大きな、大きな原因だと、私は思います。
 そして、「東電OL事件」、「袴田事件」は、「刑の執行停止」が認められた一方、私は、大阪地方裁判所では認められたものの、大阪高等裁判所で「取り消し」されたため、現在も、和歌山刑務所での拘束を余儀無く強いられています。
 私は、他の事件の決定を耳にする度、「この明暗の違いは、なに?裁判官次第で判断が変わるの?」と脳裏をよぎり、考えてしまいます。
 米山裁判長、「即時抗告審」が始まり、もう2年以上が過ぎ去っていることを、お分かりですか?
 私は、大阪地方裁判所で、「再審開始」決定を手にしているにも拘わらず、更に、2年以上も、いわれなき罪の償いを強いられ続けているこの屈辱が、お分かりになられますか?絶対に、お分かりにならないでしょう?それは、米山裁判長が、自由の身であるからです。
 2013年5月27日、28日、29日の3日間もかけての検察官の「燃焼実験」の結果は、全て、ガソリンを撒き終わるまでに、引火しました。
 これで、「朴自白」は完全に崩れましたし、検察官の「即時抗告」の理由も失くなりました。
 この時点で、裁判所には、真実を見抜き、審理を終わらせるとともに、「刑の執行停止」を決断して頂きたかったです。少なくとも、審理を続けられるのであれば、せめて、「刑の執行停止」を認めて下さるのが、正義ではなかったのかと、考えずにはいられません。
 その後の審理と言えば、突然の検察官の「自然発火」否定説に付き合わされての「追加実験」。その上、証人尋問まで実施されて、ここに、真実がありましたか?
 私には、なぜ?裁判所が、検察官の言い分を聞き入れてまで、審理を長引かせるのか?全く理解できません!!
 米山裁判長の正義とは、無実の人間を苦しめ、刑務所の中に閉じ込めておくことですか?
 まだ、まだ審理が続くのであれば、私は、真実がより一層明らかにされる日まで闘い続けますが、その前に、改めて、米山裁判長には、今すぐ、「刑の執行停止」を決断して頂き、私を、高齢の両親のもとに、約19年間も離されている息子のもとに帰してくださることを、強く望みます。
 一、検察官の「追加実験」について
 まず、検察官は、ガソリンタンク下の運転席側より、前後は、中央付近に滴下セットを設置し、ガソリン33ミリリットルを、2~3分ポタポタと滴下させること。風呂釜の種火の変わりに、ローソクを使用し、給油口から、約90cm付近に置いて、引火しなかった場合は、手で火を点けて引火させること。滴下ガソリンとは別に、フィード配管系チューブに、21ゲージの注射針を刺して、ガソリンを漏れさせるという実験を、実際に火災の起きた夏とは全く逆の2013年12月20日に、実施しました。
 結果は、当然、はじめから、誰でも予想できる通り、ガソリン33ミリリットルを滴下させても、引火することなく、手で火を点けて引火させたものの1分余りで鎮火し、大火災とはならないということでした。また、フィード配管系チューブに、注射針を刺したものの、ガソリンは漏れなかったとのことです。
 そもそも、当時の火災時と同じ建物、風呂釜(種火の変わりにローソクを使用)、煙突、気温の設定、全ての条件を無視して、検察官の自己満足のための、いい加減な無意味な実験としか言いようがありません!!
 その上、ガソリン33ミリリットルという量の根拠は、どこから決められたのでしょうか?
 更に、フィード配管系チューブに、注射針を刺しても、ガソリンが漏れなかったとのことですが、これには、呆れ果てます。
 このような実験のために、私は、屈辱の日々を送らなければいけなかったのかと考えますと、怒りしか沸いてきません!!
 まさか、裁判所は、このような実験の結果を受け入れて、簡単に「自然発火の可能性は低い」と、片付けられるのではないでしょうね?
 検察官の報告書及び、須川教授の鑑定書には、真実など一つもありませんので、証拠調べの価値などに値しません!!
 それに、「自然発火」というものは、以前にも述べましたように、色々な条件が重なり合った上で起こるものであって、それらを、再現することなど不可能なことなのです。
 この「即時抗告審」では、自然発火を立証することですか?
 大阪地方裁判所が下した「再審開始」決定に対して、検察官は、弁護団の「新再現実験」について、「いい加減な実験。朴自白どおりの放火だ…」と言い張り、「即時抗告」を申し立てたことを、忘れたとでもいうのでしょうか?
 裁判所も、その点について、もう一度、しっかりと見極めて頂きたいと、切に願います。
 二、須川修身教授の証人尋問について
 2014年4月15日に、須川教授の証人尋問が行われた結果について、弁護士さんから、報告を受けました。須川教授が作成された「意見書」の中で、重要な部分であるにも拘わらず、重大な計算ミスを犯していたこと。単純な計算ミスは、あるでしょうが、桁を3桁も間違えるでしょうか?
 更に、須川教授は、ご自身の実験を正当化するために、結果の辻褄を合わせるために、入力する数値を都合良く変更したことは、言語道断です!!これが、科学者、専門家の行う態度、行動ですか?
 弁護団の反対尋問に対しても、真摯に受け止めることなく、苦しい立場に立つと保身に走り、「筆が滑った」、「感覚です」と逃げ腰になる姿勢からは、真実のかけらも感じられません!!須川教授には、真実を明らかにする気などなく、検察官の望む結論、「意見書」を作成しているだけです。到底、須川教授及び、須川教授が作成された「意見書」に対して、不信感しかなく、信用できるものではありません!!
 裁判所は、直接、須川教授の証言を聞かれておられるのですから、十分に、証拠としての見極めをして頂けたことと思います。
 どうか、真実に基づいた正しい判断をして頂きたいです。
 三、最後に
 既に、何度も述べてきたとおり、「即時抗告審」が始まってから、2年以上の月日が流れ去りました。
 この間は、逮捕されてから、「再審開始」決定を勝ち取るまでの16年6ヵ月の長い月日よりも一層私の心を乱し、辛く、苦しく、怒りに満ちた時間と変わりました。
 ただ、ただ、毎月ある三者協議の結果、検察官の繰り返される実験の結果に、一喜一憂するだけで、私自身が三者協議に参加することも許されない虚しい日々、待つだけの日々が、どんなに苦しいか?裁判所に、お分かりになられますか?また、人間として、母親として、毎年、毎年「今年こそ、娘の「命日」には、自分の手で供養したい!!」「「年末年始」を、両親と息子と共に、過ごしたい!!」という、ささやかな願いさえ叶わない悲しみが、お分かりになられますか?
 そして、なによりも辛いのは、父との面会です。現在、父は、母の介護と兄の面倒を、ひとりでみており、とても大変な状況にも拘わらず、年に2度、面会に来てくれます。高齢となり、耳が遠くなった父との会話は、一苦労で、私は、うなずくことしかできない歯痒さを感じ、情けなくなります。
 でも、最近は、父の愚痴を、ただ黙って聞いてあげることが、せめてもの親孝行だと、思えるように変わってきました。
 昨年の12月25日の面会の際には、「早く帰って来て欲しい。帰って来たら、わしらは1階で、お前らは2階で生活したらいい…」と、そんな計画を立てていることを知り、一日も早く、帰ってあげたいという気持になりました。
 そして、先日(5月2日)の父との面会は、次々に語られる日々の出来事に、私は、絶句してしまいました。父は、「今年に入ってから、えらいめにあった」と言い、まず、兄が「うつ病」と「アルコール中毒」で、1月~4月まで入院していたこと。
 突然、兄の姿が見えなくなったことで、母は、一晩中、大声で「どこに隠れたんや、出てこい…」などと叫び続けて、父を一睡もさせなかったこと。やっと精神科の薬を飲ませて落ち着いたのも束の間、母は、薬の影響で、足がふらつき、柱に頭をぶつけて倒れてしまい、頭から全身にかけて血だらけになったとのこと。父は、すぐに、救急車を呼ぶとともに、母の介護をしていたそうです。幸い、出血もすぐに止まり、大事には至りませんでしたが、父の気苦労、疲れは相当なものだと思います。
 父は、「年を取ってから、なんでこんな苦労をせなあかん。死んだ方がましや…」と、口にします。この言葉は、私には、非常に辛く、胸が押し潰される思いです。ここに書いた内容は、ほんの一部ですが、米山裁判長が、私の立場だったら、どんなお気持ちになられますか?
 米山裁判長、誰もが、明日の命の保証がない中で生きているのですよ!!両親は、一日千秋の思いで私の帰りを待ち続けているのです。
 私は、両親が、元気なうちに帰ってあげたいし、私自身も、生きている間に、無実を証明して、ここから出たいです。万が一、両親が死んでしまったら、私が、死んでしまったら、取り返しがつかないということを、どうぞ、頭の片隅に、しっかりと入れておいて下さい。
 これまでの審理の中で、「朴自白」は、完全に崩れておりますし、検察官の隠し持っていた証拠の中の一つ。火災当日に、ガソリンを満タンに入れたという少年の調書が開示されました。
 また、ホンダの説明書の中には、「ガソリンを追い足しすると、漏れる可能性がある…」という内容が、書いてあることも分かりました。
 私は、身の潔白を証明することと同時に、なぜ?火災が起こったのか?ずっと、原因を知りたかったのです。弁護団の「新再現実験」、検察官の「燃焼実験」の結果を合わせますと、ガソリンスタンドの少年が、ガソリンを追い足しして満タンに入れてしまったこと。車からガソリンが漏れだして、聴かしたガソリンが、風呂釜の種火に引火して、火災につながってしまったことが、原因だったのです。
 これが真実であり、決して、事件なのではなく、事故だったのです。
 裁判所は、ホンダの証人尋問をお考えのようですが、自社の過失を認めるわけがありません!!
 善良な市民の方々が、「ホンダの車から、ガソリンが漏れる」と言われている情報ほど、確かなものはないのではありませんか?
 ここまで、真実が明らかになっているにも拘わらず、まだ、審理を続ける理由がありますか?
 米山裁判長、私が、無実の人間か?犯人か?を見極めるために、ぜひ、和歌山刑務所まで、面会に来て下さい。私の無実の叫びを聞きに来て下さい。
 裁判所が、はじめから有罪と決めつけて審理を進めてしまえば、無実の人間は、一生、救われないのです。私は、身をもって、体験してきましたが、「再審」で、はじめて、平等な立場に立って、審理を進めて下さり、真実を見抜いて下さる裁判官達との出会いで救われました。
 私は、米山裁判長、中川裁判官、船戸裁判官も、必ず、真実と正義に基づいた決定を下してくださるものと信じております。
 最後に、2014年3月7日に、全国から、260名もの支援者が集まって下さり、私に代わって、無実の訴えをして下さいました。
 きっと、米山裁判長の耳にも、支援者の声が届いていることと思います。
 当日、参加できなかった支援者も含め、多くの方々が、この事件に注目し、無実を確信して下さっていることを、心に留めておいて頂きたいです。

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 裁判所におかれましては、直ちに、審理を終了させ、検察官の「即時抗告」を棄却し、改めて、「再審開始」決定及び「刑の執行停止」を言い渡す決断をして頂きたいと、強くお願い致します。
 決して、私は、大切な我が子の生命保険金が欲しいために、娘を殺すような母親ではありません!!
 どうか、一日も早く、娘殺しの母親から、娘を失くして、悲しんでいる普通の母親に、私を戻して下さい。私と私の家族を、救って下さい。私は、無実です。

2014年5月5日記
青木惠子

長野・特急あずさ35号窃盗冤罪事件

再審めざす集いに85人 現場再現し無実を確認

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2005年、長野県に住むYさんが東京出張の帰り、電車内の座席に置いてあった女性のバッグから財布を盗んだとされた特急あずさ35号窃盗冤罪事件の再審開始をめざす集いが5月10日、諏訪市で開かれ、85人が参加しました。
集いでは、弁護団の倉田大介弁護士が、事件の概要、一審、二審の各判決の内容、再審請求審で弁護団が提出した新証拠についての説明などをおこないました。1審では、自称被害者の女性が駅のホームにいて、車内のYさんが財布を「盗ったところを見た」と証言したので、裁判官自ら現場(新宿駅)に趣いて、女性の位置から本当に証言通りの行為を目撃できるか現場検証を行ったうえ、「目撃できず証言は信用できない」と、無罪判決を出しました。高裁では、現場検証もせず、「被害者」の供述が信用できるとして有罪としました。 
弁護団は、再審請求審で、①Yさんが若い男に声をかけられ言い争いになった場所がYさんと若い男とで違っていたため、目撃者を探し、証言をしてもらったこと(Yさんの言うとおりであったこと)、②警察は被害財布の指紋を調べなかったと述べたことから、「被害者」の財布と同じ財布を入手し、指紋がつかないのかどうかの実験結果(指紋が発見されることが判明)、③ホームにいた「被害」女性や連れの若い男の位置から車内のYさんの手元が見えるのかどうかの検証結果(見えないことが判明)などを、新証拠として提出しています。
集いでは弁護団報告のあと、新宿駅のホームにいた「被害」女性と連れの若い男の位置、目線の高さ、電車内のYさんの位置を再現したセットのある部屋に移り、女性と若い男の目線から、Yさんの手元が見えるのかどうかの「現場」検証を参加者一人ひとりがおこない、Yさんがトートバッグから財布を盗ったところを見たという証言が嘘であることを確認しました。
集いでは、国民救援会中央本部から瑞慶覧淳事件対策委員会責任者・副会長があいさつし、5.20全国いっせい宣伝行動のビラを示しながら、袴田事件の報告をし、無実の人を無罪にするために、Yさんの無罪を勝ち取るために頑張りましょうと訴えました。
最後に、当事者のYさんがあいさつし、子供がいじめにあったために実名を出せなくなったと説明し、「どうしてやっていないにも関わらず、裁判官が分かってくれないのか、悔しくてならない。この再審請求審にかけたい。今後とも、ご支援をお願いします」と支援を訴えました。                                                     

裁判・集会・宣伝などの主な予定

                                             
2014年
6月18日(水) 大崎事件要請行動、緊急報告集会・宮崎県婦人会館14時~
6月24日(火) 埼京線痴漢冤罪事件第2回公判(本人尋問)・東京高裁10時半~
7月10日(木) 名張毒ぶどう酒事件要請行動・名古屋高裁13時半、
         その後名古屋高検へ
7月12日(土) 大崎事件・首都圏の会第10回総会・午後2時
         東京・平和と労働センター304・305号室
7月15日(火) 三鷹バス痴漢冤罪事件控訴審判決・東京高裁13時~
7月15日(火) 三鷹事件現地調査18時~ 
         *集合場所=禅林寺(三鷹駅南口10分)
         *現地調査後に三鷹駅前市民会館にて交流会を予定
7月16日(水) 第212次最高裁統一要請行動 
         8時15分から最高裁西門で宣伝行動
         10時から民事・労働事件、11時から刑事事件の要請行動
7月26日(土)~27日(月) 日本国民救援会第57回全国大会
         福島県磐梯熱海温泉「ホテル華の湯」

*次号「ニュース」は、2014年8月下旬頃に発行する予定です。

再審・えん罪事件全国連絡会とは・・・

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1973年4月、えん罪で苦しむ人々を救うことを目的として、作家松本清張氏、佐野洋氏、評論家の青地晨氏等の呼びかけで結成されました。
以来、「無実の人は無罪に!」をスローガンに、えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動などを進めています。

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