えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.68再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2014年 8月20日発行 No.68

えん罪再審請求事件の運動のために 

新倉修(青山学院大学、代表委員)
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 暑中見舞いのつもりで一文を草するように、依頼された。今夏は、われわれの運動にとって暑いか涼しいか、わからないが、思うことを書こう。
 3月に、袴田巌さんの有罪判決に対して痛烈な批判が、静岡地裁の再審請求審で加えられた。この40年余り、当事者が抱き続けた無念と支援者が確信していた疑念に答える、しっかりした決定文であった。有罪の決め手とされた証拠を捏造の疑いがあるとまで、踏み込んで判断し、かつて熊本典道判事補が苦悩した無罪判決を下せなかった「悔い」が、この再審開始決定によって償われたと思った。
 これには、2つの反応があった。
 ひとつは、法務省法制審議会「新世紀の刑事司法のあり方特別部会」の審議と答申であり、もうひとつは、市民的政治的権利に関する国際規約の履行状況を審査する規約人権委員会の審査と最終所見である。
 特別部会は、この決定を無視した。理由は、いかにも形式的で現状固定を是認する立場を反映したもので、確定した司法判断ではないというものであったと聞く。確定すれば反省するのか、と反問したくなるが、それよりも、地方裁判所の合議法廷がいい加減な事実認定をしているという「予断と偏見」を前提とした物言いである点に、大きな疑問がある。刑事司法の鉄則は、司法判断が確定する前において、疑われている被疑者・被告人をどのように処したらよいのかという点への配慮に導かれるものである。「疑わしきは被告人に有利に」とか「無罪の推定」とかは、その端的な表現であり、嫌疑刑や拷問の悪弊を断つ歴史的な決意に基づく。その原則を、有罪判決が確定した受刑者に対しても、再審判断の場面にまで延長して、その権利と利益の保護を図るというのが、確定した最高裁判例である。少なくても白鳥決定は、そのようなものとして、理解されている。特別部会の部会長も、事務方も、出席していた委員や幹事も、袴田事件再審開始決定のインパクトを見誤っているとしたら、白鳥決定以前に戻るのが「自然だ」とか、「疑わしい場合は、捜査・検察に有利に」という扱いを変更したくないと考えていることになる。特別部会を設置するきっかけとなった「大阪地検特捜部証拠偽造事件」が示す、捜査側の深刻な病巣にメスを入れるのを極力妨害しようのか。ウソと恫喝を駆使して捜査を遂げないと、警察も検察も治安維持はおぼつかないというのか。そうであるなら、権力はもはや腐臭を放っている。このような権力が、国民に見放されるのは、もはや間近に迫っていると言うべきであろう。
 他方、規約人権委員会の最終所見は、本年7月24日に発表された。曰く、人権の課題が一向に改善されていないのは、国内人権機関の設置がなされていないこと、人権侵害に対する国内救済措置が尽きた場合に認められる個人通報制度を認める議定書などの批准が皆無であることとも無関係ではない、と。人権問題について、国際的な場も含めて、建設的な対話を呼びかけているにもかかわらず、日本政府は、呼びかけに反応しないばかりか、国内事情をあげて改善を拒否する姿勢すらとってきている。それは、日本は特別ということなのか。人権で孤立してもたいした問題ではないというのか。あるいは「積極的平和」というまやかしの勢力伸張政策を推進することによって、日本が列強に伍して、経済力も政治力も外交力も文化力も世界一流の地位を確保しうるという思い込みに酔っているのか。
 規約人権委員会の最終所見は、3月に下された袴田事件再審開始決定に相応な注意を払い、そこに示された見識と勇気を、当然のことながら、尊重して、死刑事件をめぐる刑事司法のあり方、刑事施設収容のあり方、そして重大な事件における捜査のあり方と捜査における身柄拘束のあり方(代用監獄問題)にまで、踏み込んで、問題点を指摘した。これは、ジャパン・バッシングではない。日本の潜在的な能力と合理的な解決方法の探究力に大きな期待を寄せて、人間の尊厳を中核とする人権保障の十全な展開に、邁進するよう、いわば友情ある助言をしている。日本国憲法の前文の表現にならえば、「再び政府の行為によって戦争の惨害を引き起こさないことを誓った」あの日本国民に期待しているわけである。ここには、国難において特攻隊に志願する勇気をもつことではなく、無謀な軍事作戦を合理的に批判し、政府や軍部の悪政に抵抗する勇気をもつことが、問われている。表現の自由、教育の権利、学問研究の自由、労働の権利、男女平等、通信の秘密、生存権の保障など、基本的な自由と権利の保障が、十全に展開することが求められており、適正な法律の手続き保障をはじめとする刑事基本権は、当然、その不可欠な一環として、保障されなければならない。こういう単純明確な論理に気づくよう、この最終所見は、われわれに呼びかけているわけである。

大崎事件

第2次再審請求最高裁へ...不当決定と特別抗告申立て

大崎事件弁護団事務局長 鴨志田 祐美

1 驚くべき不当決定

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 2014年7月15日午前11時。
 1週間前の7月8日,福岡高裁宮崎支部から決定日時の通知があった。
 決定書を受け取り,裁判所前での第1報に対応するため宮崎に赴く者,鹿児島で待機する請求人原口アヤ子さんとともに,鹿児島で行う記者会見・報告集会の準備を行う者,日弁連や在京のマスコミに対応するため,東京に待機する者。弁護団は綿密な準備と役割分担を整えて,その日を迎えた。
 それぞれの胸には「こんどこそ開始決定に違いない」との思いを秘めていた。
 ところが,である。
渡された封筒から決定書を取り出した私は,その主文を見た途端,思わずそれを封筒の中に戻してしまった。
 「本件抗告を棄却する。」
 その結論は「不当決定」の垂れ幕とともに,すぐに裁判所前で待機する大勢のマスコミと支援者に伝えられ,鹿児島に待機する森雅美団長,東京で待機する佐藤博史弁護士にも電話で伝えられた。森団長も,佐藤弁護士も,電話口で相手に聞き返すほど,受け入れがたい結論だった。
 森団長は,無念の思いとともに,この結論をアヤ子さんに伝えなければならなかった。「再審は認められませんでした」という森団長の言葉に,アヤ子さんは「仕方ないですがね」という言葉を三度繰り返したという。

2 訴訟指揮と結論とのギャップ

  弁護団は即時抗告審の判断には期待を抱いていた。積極的な訴訟指揮を何一つ行わぬまま再審請求を棄却した鹿児島地裁とは対照的に,福岡高裁宮崎支部は法医学鑑定人及び供述心理鑑定人の尋問を実施し,かつ,証拠開示について積極的な訴訟指揮を行い,その結果,213点もの証拠開示がなされたからである。
開示証拠や鑑定人の証言によって,弁護人が提出した新証拠が「共犯者」とされた者たちの自白の信用性を著しく減殺し,開示された証拠も含めて新旧証拠を総合評価すると,有罪判決には合理的疑いが生じることがますます確実なものとなったことで,弁護団は再審開始決定を確信していたのである。
ところが,自白の信用性を弾劾する圧倒的な新旧証拠群を前に,福岡高裁宮崎支部の出した結論は「即時抗告棄却」であった。
その手法は,新証拠たる上記鑑定の価値を過小評価し,「新旧証拠の総合評価」と称しながら実際は旧証拠のみで有罪認定を維持するものだった。しかも,殺害行為に関与したとされる二人の「共犯者」(アヤ子さんの元夫「甲」と甲の弟「乙」)の自白についてその信用性が揺らいだことを認めながら,死体遺棄のみに関わったとされるもう一人の共犯者(乙の息子「丙」)と第三者(乙の妻にして丙の母である「丁」)の供述に高い信用性を認めて,全体として自白の信用性を肯定するという,理解しがたい認定であった。

3 原決定の問題点

今回の即時抗告棄却決定(「原決定」)には,以下のような問題点がある。
 ① 弁護人の提出した新証拠が,「共犯者」自白の信用性に打撃を与えているにもかかわらず,その証明力を否定したり限定的に曲解したりして,その後の総合評価には実質的に加えずに判断している。
 ② 「新旧証拠の総合評価」と称しながら,実際には旧証拠のみで確定判決の有罪認定を維持しており,今回開示された多くの証拠も総合評価の際には十分検討されていない。
 ③ 旧証拠のうち,甲と乙の自白の信用性は高くなく,客観証拠であるビニールカーペットと当時の法医学鑑定の証拠価値も極めて消極的に捉えていながら,丙と丁の供述のみにスポットを当て,その内容があたかも動かしがたい事実であるような高い証明力を認めて,甲と乙の自白は,これと符合するから信用性が認められるとして,確定判決の有罪認定を維持している。

4 特別抗告理由

7月22日,弁護団は本文だけで148頁に及ぶ特別抗告申立書を最高裁に提出した。
弁護団は,前述した原決定の問題点のうち,まず,①と②については,新証拠がその立証命題である「共犯者」らの自白の信用性を減殺しているのであるから, 新証拠の明白性について「新旧証拠の全面再評価」により判断しなければならないのに,原決定は,形だけ「総合評価」と称しながら,新証拠も,開示証拠も加えず,実質的に旧証拠だけで判断している点について,再審における明白性判断の手法について言及した最高裁判例(白鳥,財田川,名張5次など)に違反していることを指摘した。
 次に,③の点,すなわち,原決定が甲及び乙の供述について,何らの客観的事実との符合も吟味しないまま,丙及び近親者丁の供述との符合のみで,全体として信用できると認定した判断手法は,共犯者供述の信用性に関する最高裁判例(八海事件第3次判決)に違反することも指摘した。この判例では,「その供述内容が他の証拠によって認められる客観的事実と符合するか否かを具体的に検討することによって,さらに信用性を吟味しなければならず,符合するか否かを比較される客観的事実は確実な証拠によって担保され,殆んど動かすことのできない事実か,それに準ずる程度のものでなければ意味がない」と述べている。しかし原決定は,甲及び乙の供述の信用性を高めているとする丙及び丁の供述についても,客観的事実と符合するかという吟味を全く行っていないのである。
 何より,確定判決の証拠構造が極めて脆弱であり,客観的証拠もないに等しいことを認めておきながら,新証拠たる各鑑定が科学的見地から自白の信用性に重大な疑問を投じている点を無視して「大筋で符合している」「このように解釈できるとの可能性もある」などの恣意的な認定に終始している原決定が,「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則が再審段階においても適用されるとした白鳥・財田川両決定に違反することは明らかである。
 さらに,確定判決が有罪認定の柱に据えていたはずの甲及び乙の自白の信用性に疑問を呈しながら,補助的な証拠に過ぎなかった丁の供述を突如立証の中心に据え,新たな有罪認定をするに等しい原決定の「証拠構造の組み替え」「旧証拠のかさ上げ」は,請求人にとって不意打ちであり,このような判断手法は,適正手続を定めた憲法31条,二重処罰を禁じた同39条にも違反する。
 このように,原決定には特別抗告理由となる明白な「判例違反」及び「憲法違反」があることを弁護団は鋭く指摘したのである。

5 まとめ

原決定のような判断手法がまかり通れば,DNA鑑定のない,証拠構造が脆弱な事件では再審開始を望めないこととなり,今や日本の再審制度は存亡の危機に瀕しているといえる。
アヤ子さんの存命中に再審開始を勝ち取るためには,何としても特別抗告で勝利しなければならない。弁護団は文字通り「決死の覚悟」で新たな闘いに臨んでいる。

大崎事件の即時抗告審へのご支援いただきありがとうございました

国民救援会宮崎県本部 堀田孝一
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非常に残念な結果でした。
 決定は「3人の供述の信用性は高くない」と認めながら、しかし「チリと甥の供述は信用できるから、全体として3人の供述と基本的に整合するから、大筋において信用できる。」という珍論を展開しました。「二人の証言が信用できるから3人の証言も信用できる」という、一つ一つの事実と向き合わない、こじつけ発想。
 警察が作った筋書きに村人全員が、拷問にちかい取り調べの結果、皆が口裏を合わせられたのであり、それが真実でないことを丹念に立証したことに対し、あくまでも、警察が作った筋書きにしがみつこうとする裁判官の姿勢。心理学者たちがポリグラフ検査の誤りや3人の不体験性を立証したのにたいして、真理・事実にまじめに向き合わず「Aが信用できるのだからBも信用できることになる」という非科学性。「大筋で信用できる」その程度で殺人犯と断定する、この裁判官の姿勢。

 決定は、法医学者上野正彦・元東京都監察医務院長が、30年間の経歴の中で20000件の、「犯罪か病死か事故死か分からない事件」に立ち会い、うち5000体の解剖の経験から確定判決が認定していた「タオルでの絞殺はあり得ない」ことを立証したことに対して、それを崩すために、検察側の石山鑑定人すらも、また遺体を解剖した鹿児島大学城教授さえも言っていないこと、これまで誰一人言ってこなかったこと、すなわち「うっ血や出血の有無は組織の腐敗によって不明であったものと認められる。そうすると、絞殺を否定する上野鑑定を信用することはできない。」などとの独断迷論を裁判所が作り上げて確定判決の殺害方法を擁護しています。(事件当時から「組織の腐敗によって不明であった」のなら、殺害方法すら断定できなかったはずではありませんか)。これでは遺体解剖の必要性すらなくなることになります。まったく事実と向き合う姿勢がありません。
 元裁判官の木谷明弁護士は当日の報告会で「信じられない。これでは日本には再審制度がないのと同じ。有罪になった者はガマンしろという考え。法廷があやまることもある。これが再審制度。その制度を否定している。これでは日本の刑事司法は絶望だ。」と発言されました。

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私たちは決して負けてはいない!
 きわめて不当な棄却決定であり、決定の中身は裁判官として恥ずかしい限りです。
しかし私たちは決して負けた気はしません!
 この15ヶ月間の、当事者・弁護団・私たち支援者の総力をあげた、たたかいで押し込み、きわめて重要な到達点を築いてきました。
 ただただ裁判官が真実・社会正義よりも権力におもねっただけです。

 長い間、大崎事件・原口アヤ子さんの再審請求のたたかいにご支援ご協力ありがとうございました。今後は、東京の最高裁でのたたかいとなりました。

静岡・袴田事件

検察、また証拠隠し 隠ぺい証拠、都合よく開示

強盗殺人・放火事件の犯人とされた袴田巖さんが再審を求めている袴田事件即時抗告審の三者協議が8月5日におこなわれ、冒頭、検察官は7月17日付即時抗告申立理由補充書と提出証拠で一区切りついたと説明しましたが、これまで検察が存在しないと主張してきた証拠(写真のネガフィルム)が存在することが判明しました。ネガは弁護側に開示するとともに、検察側の証拠として提出すると主張しました。
静岡地裁でおこなわれていた再審請求審では、1年も味噌に漬けられていたとされた5点の衣類の色が問題とされ、弁護側は、5点の衣類の色の具合を知るために、衣類が発見された直後の写真をネガも含めて開示すべきと要求しました。しかし、検察は、プリントした写真ならあるが、ネガフィルムはないと答えていました。静岡地裁では一部公開された写真などに基づき、再審開始決定が出されました。
今回、抗告審で検察は、存在しないと答えていた写真ネガを専門家に鑑定させて再審開始決定を批判する準備をしていることが判明しました。弁護団が、これまで検察はネガは存在しないと回答していたことを指摘すると、検察は、「警察が保管していて、発見されたものだ」と弁解しました。弁護側は、新たな証拠が発見されたのであれば、発見された時に、弁護側に知らせるべきで、それをしないで自分たちの証拠作りのために密かに自己に都合よく利用するのは許されないと批判しました。それに対して、検察は謝罪し、ネガが、いつ、どのような経緯で発見されたのかについて文書で回答することになりました。
名張事件をはじめ、多くの再審裁判では、検察が証拠開示を頑なに拒んでいることから、事件の真椙究明が阻まれています。今回の検察の行動は、証拠を隠しておきながら、自分が利用できるとなれば、「新たに発見された」と称して、弁護側への反論材料とするというもので、決して許されるものではありません。次回の協議は、10月23日の予定です。

「冤罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会」

活動報告

山川清子

布川国賠の現在

2012年11月12日に東京地裁に提起された布川事件・国賠請求訴訟は、この6月11日に6回目の口頭弁論が行われました。
裁判で弁護団は、検察・警察の違法行為を、捜査・公訴提起・公判活動のあらゆる面で主張するとともに、当初から証拠の全面開示を主張し続けています。
昨年9月に250ページに及ぶ違法行為を詳細に指摘する本格的な書面が出され、その後検察・警察の反論を経て、現在はお互いの主張が対立する争点での攻防という段階になっています。
証拠開示については、今年1月22日の進行協議で、裁判所が、関係者の供述証拠(録音テープを含む)について送付を嘱託する決定を出しました。しかし、水戸地検土浦支部が捜査報告書・二人の上申書・調書など計28通、139枚のみを送付するにとどまりました。
弁護団はさらに証拠の目録等や、録音テープの記録紙・現場指紋採取報告書などの重要な書証等の開示を求めて文書送付嘱託の申立てを行っています。

今回の証拠開示で分かったこと

6月11日、第6回口頭弁論の後に行われた報告集会の中で、谷萩陽一弁護団長は、次のように述べました。
一部開示された証拠を分析してみるとさまざまなことが明らかになってきた。その一つとして今回証拠開示で明らかになって国が主張を一部撤回した部分がある。
桜井さんが逮捕された直後の11日から兄のアパートにいたかもしれないと言ったことが開示されたその日の捜査報告書に書いてあったのだ。
警察がまともに裏付け捜査もしないで、自白に追い込んだとこちらは主張してきたが、国のほうは櫻井さんが13日になってアリバイを主張した、言っていた。ところが開示された報告書から11日には兄のアパートにいたかもしれない、兄はもう引っ越して、どうやったら兄に会えるか説明していたことが明らかになったのだ。国は主張を撤回した。
起訴した検察官や捜査官は当時間違いなく知っていてそれを隠していた。薄皮をむくように真実に近づいている。これからも粘り強く証拠開示を進め、真実を明らかにしていく。

支援する会の活動

「冤罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会」は、2012年10月1日に結成され、布川国賠裁判支援を目的とはするもののこれにとどまらず、広く冤罪をなくす活動することを目指しています。
例えば、6月14日には、“なくせ冤罪!市民評議会”と共催で、指宿信成城大学法学部教授と周防正行監督の対談・袴田事件勝利報告・櫻井昌司ミニコンサートを内容とした集会を日比谷図書文化館で開き、100名をこえる参加者を集めました。櫻井さんと共に、法制審への要請行動にも参加しました。
こうした他の冤罪支援団体と連携しての、冤罪をなくすための幅広い活動を行う一方、国賠訴訟については、裁判傍聴のほか、裁判所要請・検察庁要請を重ね、主として証拠開示を求める要請をしてきました。
特に、国賠裁判では被告となる検察庁への要請はあまり例がないとのことでしたが、証拠開示の問題は当事者の争いというよりも広く国民の権利として保障されるべき重要な問題という観点から最高検や水戸地検への要請を行いました。
ただ裁判傍聴については残念ながら、第1回裁判はほぼ満席になったものの、現在は半分が埋まる程度が続いています。

今後の闘い

裁判の中では、検察・警察は相変わらず、「証拠を開示する必要がない」とか、「不見当」とか、どう考えても自らの責任をのがれるための道理の通らない不誠実な弁明をするばかりです。
他方、裁判所も、裁判所の文書送付嘱託決定に検察が一部の証拠しか開示しなくても、「ないと言っているのですから」とか「裁判所が求めているわけでも強制するものでもありませんから」と言ってみたり、被告手持ちの証拠をコピーしてこちらが証拠として出した写真の不鮮明さをあくまでこちらに聞く等、あまりの形式論の弱腰の姿勢に失望を感じざるを得ません。
しかし、支援する会としては、冤罪事件それぞれがその土俵で最大限頑張ることが全体として冤罪をなくすことにつながっていくと確信し、これからも引き続き繰り返し証拠開示を求めて、裁判所要請・検察庁要請をはじめとして裁判傍聴を行っていきたいと考えています。
 是非、裁判の公正さを確保するため、布川国賠支援の裁判傍聴などへのご参加をよろしくお願いいたします。

日程

10月1日(水)(第7回口頭弁論当日)活動予定
11:00~   裁判所要請(予定)
12:00~   地裁前宣伝
14:00~   第7回 口頭弁論
14:30~   報告集会兼記者会見(日比谷図書文化館4階小ホール)


6月30日、法制審議会の特別部会は、「あらたな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」と題する「答申案」を取りまとめました。
特別部会の「答申案」は、新倉修代表委員のあいさつの中でも指摘されていますが、再審・えん罪事件全国連絡会が要求してきた全事件の取調べの全過程の可視化、事前全面証拠開示の実現には程遠く、盗聴法の拡大、司法取引制度の導入など捜査権限の拡大という極めて危険内容が盛り込まれています。当連絡会としては、特別部会の「答申案」にもとづく法制化に反対声明を出しました。

法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の「答申案」に抗議し、法制化に反対する声明

2014年7月11日
再審・えん罪事件全国連絡会
代表委員  新倉  修

7月9日、法制審議会「新時代の刑事司法制度」特別部会は、3年余に及ぶ審議の結果、「新たな刑事司法制度の構築について調査審議の結果」と題する「答申案」を決定しました。この「答申案」は、下記に述べるように、1)当初の原点から大きくかけ離れ、2)限定的な可視化と引きかえに、3)新しい捜査手法を導入する、という内容です。冤罪原因を温存したまま捜査権限ばかり強化すれば、むしろ冤罪を拡大することになりかねません。
「再審・えん罪事件全国連絡会」は、冤罪防止を希求する世論にも逆行する、この危険な「答申案」の法制化に強く反対し、冤罪の根本原因をなくす方向での刑事司法改革の必要性を、これからも冤罪被害者とともに訴え続けます。

1)そもそも特別部会は、大阪地検による証拠改ざん事件(厚労省・村木事件)をきっかけに、「取調べや供述調書への過度に依存した捜査・公判を見直し」、また「取調べの可視化など、冤罪をなくす新たな刑事司法制度」を実現することを目的として、2011年6月に設置されたはずでした。その前年3月には足利事件、同年5月には布川事件が再審無罪になったばかりです。さらに審議中の2012年11月には東電OL殺人事件が再審無罪に、そして2014年3月には袴田事件で画期的な再審開始決定が出ました。しかし、これほど深刻な冤罪被害が相次いで明らかになってさえ、特別部会はこれらを完全に黙殺し、その教訓を審議に反映させようとはしませんでした。
2)「答申案」は、取調べの可視化を義務づける範囲を、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件に限定しています。これは、全刑事裁判の約2パーセントに過ぎず、たとえば社会問題化している痴漢冤罪事件やPC遠隔操作誤認逮捕事件なども含むものではなく、5人の有識者委員が主張した全事件全過程の可視化には程遠いものです。
証拠開示については、公判前整理手続対象事件に限って証拠リストのみを示すという、きわめて不十分なものにとどまりました。また再審請求事件における証拠開示は見送られました。

3)「答申案」は、「司法取引」制度を新設しようとしています。これは「容疑者が他人の犯罪事実を明らかにすると、見返りに求刑を軽くしたり、起訴を取り消したりできる」というもので、容疑者が自らの刑を免れたり軽くしたりするために、無実の第三者を陥れるおそれがあります。現に、古くは八海事件や梅田事件、近年でも福岡引野口事件や福井女子中学生殺人事件など、多くの冤罪事件で、その危険性が明らかにされています。
 また「答申案」には、盗聴法(通信傍受法)の対象事件の拡大と手続の簡易化が盛り込まれています。捜査機関に新たな武器を与えるもので、国民の人権侵害につながりかねません。

再審・えん罪事件全国連絡会は、法制審特別部会が決定した「答申案」にもとづく法制化を阻止し、抜本的な冤罪防止策の実現に向けて、これからも全力をあげて闘っていきます。

冤罪被害者からの法制審議会への申し入れ書

2014年7月10日

法制審議会御中

申し入れの趣旨

法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の7月9日取りまとめは、「村木さん事件」など冤罪の多発を受けて、取調べや供述調書に過度に依存した捜査・公判を見直し、取調の可視化など、冤罪をなくす新しい刑事司法制度をつくるためという、部会の目的に反する内容でした。
こんな制度になれば、冤罪は減るどころか、下記の「理由」に主なことだけ書いても、新しい形の冤罪も含めて増えるばかりでしょう。
私たち、冤罪によって人生を狂わされ、二度と私たちのような悲劇が起こらないように願って「新時代の刑事司法制度特別部会」の仕事に注目していた被害者たちは、大変失望し、さらに危険を感じています。
貴法制審議会は、部会のこの取りまとめを却下し、審議をやりなおして、当初の目的に合った取りまとめにつくり直すようにさせてください。

申し入れの理由

1 「取調べや供述調書に過度に依存した捜査・公判の見直し」は、何一つされていません。
 逮捕から23日、死体遺棄と殺人、窃盗などと罪名を分けるのでその2倍、3倍もの日数を、朝から晩まで自白を迫られる、これまで冤罪者にうその自白をさせてきたこうした取調べのやり方やめるよう法律を改めることが、まず第一です。
2 必要な「可視化」から、期限を決めて全事件・全過程可視化へ
そんな長い取調べで、拷問や脅し、騙しが行われたのが、冤罪の原因でした。
せめてそれを防ぐために「取調べの録音・録画」をすることは、この特別部会の目的だったはずです。それなのに、「取りまとめ」は、逮捕される人の0.6%についてしか「可視化」しない。残りの99.4%を何時するという予定もない。
 うその自白による冤罪は、0.6%の裁判員事件、検察独自事件だけで起こるのではありません。すべての事件、検察、警察のすべての取調での可視化が必要です。
もし機械が間に合わないというのなら、取調べを受ける人が危険を感じて可視化を望んだ場合は必ず実行することから直ぐに始めて、機械を準備するためとして3年あれば出来るでしょう。それまでで全て実行するようにさせさてください。
3 全ての証拠を裁判に出させてください
私たち冤罪者は、警察、検察が無罪の証拠を隠したために、正しい裁判をしてもらうことが出来ず、長い、長い間犯罪人とされ、苦しめられ、人生の大切な時間を奪われました。
検察官が持っている証拠だけなく、警察が持っている証拠に無実の証拠が隠されていた事件も多いのです。
警察、検察が集めた証拠は、公判前整理をするかどうかで区別せず、全ての裁判で無罪の証拠を含めて、全部隠さず出させ、正しい裁判で無罪がわかるようにしてください。
4  国選弁護は逮捕された時からつけてください
  初めて逮捕されて怯えきっているときに、「認めれば出られる」「認めなければ重い罪にしてやる」とか騙されて、脅されてうその自白をさせられた人が多いのです。
任意同行で殺人を自白したのは足利事件菅家さんです。「知ってる弁護士がいるなら頼め」と言われた人もいますが、そんな知り合いがある人は珍しいでしょう。
出来れば任意同行からと言いたいが、せめて逮捕されたらすぐ頼みたい人は国選で弁護士さんに来てもらえるようにしてください。
5 司法取引はやめさせてください
  八海事件、梅田事件、最近では福井女子中学生殺事件など、冤罪事件には、自分の罪を軽くしてもらいたい犯人が、無実の人を犯人に仕立てた事件も多いのです。司法取引がおおっぴらに認められれば、そういう犯人の思う壺です。「取りまとめ」では、麻薬や覚せい剤事件、暴力団に多い銃刀法事件の被疑者などが、他人の犯罪を密告すれば自分の罪を見逃してもらえるなどとなっています。これまでになかったタイプの冤罪事件が司法取引で多発することは目に見えています。
密告がうそだったことがわかれば、密告者は処罰されることになっていますが、うそで有罪にされてしまった冤罪者は、刑務所に入れられているのです。うそだと証明することなど不可能に近いでしょう。冤罪の元になる司法取引は絶対に認めないでください。

 以上、5点だけあげましたが「取りまとめ」が冤罪につながる危険はまだまだあります。
部会の目的を誤らないように審議をやりなおさせてくださるようお願いします。
冤罪被害者 (五十音順)
川畑幸夫(志布志・踏み字事件) ゴビンダ・プラサド・マイナリ(東電OL殺人事件)
桜井昌司・杉山卓男(布川事件) 菅家利和(足利事件) 名倉正博(防衛医大教授痴漢冤罪事件)
袴田ひで子(袴田事件冤罪被害者袴田巌代理人) 柳原 浩(氷見事件) 矢田部孝司(西武新宿線痴漢冤罪事件)

                                                          

裁判・集会・宣伝などの主な予定

                                             
2014年
8月21日(木) なくせ冤罪!市民評議会第5回セミナー
          桜井司法研究所にて(18時から)
8月22日(金) 名張毒ぶどう酒事件要請行動
          名古屋高裁(13時半~)、名古屋高検(15時から)
8月25日(月) 埼京線痴漢冤罪事件控訴審第3回公判
          東京高裁506号法廷(10時半~)
9月10日(水) 名張毒ぶどう酒事件・死刑宣告45周年行動(終日)
9月10日(水) 大崎事件最高裁要請行動 10時に最高裁要請
9月19日(金) 第213次最高裁統一要請行動
          朝宣伝8時15分から、刑事=10時、民事・労働事件=11時
9月22日(月) 「奪われた48年~袴田事件をくり返さないために」
取調べの可視化を求める市民集会(日弁連クレオ 18時半~)
9月23日(祝) 袴田事件の一日も早い再審確定をめざす全国集会
          東京・文京区民センター3階ホール(午後1時半)
9月24日(水) 袴田事件東京高裁(10時)、東京高検要請行動(11時)
10月 1日(水) 布川国賠裁判第7回口頭弁論、東京地裁(午後2時から)

* 次号「ニュース」は、2014年10月中旬頃に発行する予定です。

再審・えん罪事件全国連絡会とは・・・

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1973年4月、えん罪で苦しむ人々を救うことを目的として、作家松本清張氏、佐野洋氏、評論家の青地晨氏等の呼びかけで結成されました。
以来、「無実の人は無罪に!」をスローガンに、えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動などを進めています。

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