えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.69再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2014年 10月25日発行 No.69

 福井女子中学生殺人事件 

特別抗告審における闘いと、いよいよ迫る最高裁決定

小島次郎・弁護士(福井女子中学生殺人事件弁護団) 

1 はじめに

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25年3月6日、名古屋高裁は、同金沢支部の出した再審開始決定を取消し、前川氏の再審請求を棄却した。当弁護団は、名古屋高裁の判断が誤っていること追及すべく、最高裁判所に対し、同年3月11日に特別抗告申立書を提出して以降、現在までに補充書(1)ないし(7)を順次提出した。
 以下、事件の概要及び捜査・公判の経過について説明した後、再審請求審について報告する。

2 事件の概要及び捜査・公判の経過

昭和61年3月19日の夜、自宅で留守番中の女子中学生(当時15歳)が殺害された。灰皿で殴打して失神させ、電気カーペットコードで首を絞めて窒息させたうえ、こたつカバーを掛けた上から顔面部を包丁等で集中的にめった刺しにするという複雑かつ残忍な犯行手口に加え、鴨居には首つり偽装用の輪がかけられていた。また、事件は被害者が卒業式を終えた夜に起きており、当夜は被害者の友人にもリンチ騒ぎがおきていた。さらに、被害者は留守番時に玄関を施錠する習慣がある反面、非行グループを含めた幅広い交遊関係があり、同年輩の多数の少年少女達がシンナー吸引や交遊のために被害者宅に出入りしていたこと、当夜午後9時過ぎに友達が遊びに来る予定であったこと等、事実関係も複雑極まりないものである。
 捜査は、仲間内でのリンチ事件を想定して進められたが、「午後9時過ぎに訪問予定の友人」も解明できないまま行き詰まり、地元紙に「難航の女子中生殺し、解決楽観、捜査に緩み、指示不徹底、連携も欠く」等、捜査を批判する記事が掲載される事態となった。
 このような捜査状況の中、別件薬物事犯で勾留中の暴力団員Aが、突如「事件の翌朝、1年後輩の前川が血だらけの姿で訪ねてきた」との供述を始めた。しかし、Aは、供述の1ヶ月程前から知人に、「犯人を知らないか。俺の情報で逮捕できれば、俺は減刑してもらえるから頼む」「中学生殺しはまともな人間のやることではないから、シンナー中毒の前川に違いない」等、減刑目的で前川氏を犯人に仕立て上げる企みを打ち明けていた。
 Aの供述は、変遷・拡大を繰り返し、知人の暴力団関係者、薬物常習者、保護観察付執行猶予中や被疑者として追及されている者たちを次々と関係者として登場させた。他方、関係者とされた者たちは、取調べ当初は関与を否定したが、最終的に一部の者がAの供述を裏付ける供述をした。
 なお、捜査機関は、その過程で、Aの他に2名の関係者が「事件当夜、Lが、前川を連れてきた」と供述したとしてLを犯人隠避容疑で逮捕、勾留したが後に誤りと判明して釈放する大失態を犯した。また、Aの供述内容が変遷するとこれに沿うように関係者の供述も変遷するという摩訶不思議な現象も生じた。これらは、捜査機関の強引な取調べを示すものである。
 そして、犯行現場への送迎に使用されたとされる自動車内から被害者の血液型と合致する血痕が発見されたとして、事件から1年後の昭和62年3月29日、前川氏は逮捕された。ちなみに、逮捕の決め手となった血痕もその後に本件とは全く無関係のものと判明している。
 このような状況の中、前川氏は、逮捕直後から今日まで、一貫して、「この事件はAと知人達の作り話です」と訴えて犯行を否認している。
 第1審福井地裁は無罪を言い渡した。その根拠は、物証も自白もないうえ、Aらの供述は重要な部分で変遷しており客観的裏付けもなく、そもそも捜査機関に弱みがあり誘導に乗りやすい立場であったことから信用できない、というものであった。しかし、控訴審名古屋高裁金沢支部は逆転有罪判決を言い渡した。その根拠は、物証はないが、Aら関係者供述が大筋で一致するので信用できるというものであった。その後、最高裁判所が前川氏の上告を棄却し有罪判決が確定したため、前川氏は服役を余儀なくされた。

3 再審請求の経過

 当弁護団は、再審請求において、概要、次のとおり主張している。 ①もともと旧証拠が脆弱な事案である。
 ②自動車内に被害者血痕は付着しておらず、関係者供述は信用できない。
 ③証拠から認定できる犯人像が確定判決の認定した犯人像と矛盾する。
 ④関係者供述が、同時期に同内容に変遷することを繰り返しており、捜査機関の誘導が疑われ、信用できない。
 ⑤新旧証拠を総合評価すれば、有罪認定に合理的疑いが生じており、再審開始事由が存在する。

 再審請求審である名古屋高裁金沢支部は、上記①の主張を認めたうえで、②及び③の主張を認めて、再審開始決定をした。これに対し、異議審である名古屋高裁は、検察官から見るべき証拠が提出されず、人証調べも実施しなかったにもかかわらず、再審開始決定を取消し、棄却決定を出した。異議審は、何ら合理的根拠を示すことなく開始決定が明白性を認めた新証拠についてこれを否定し、新証拠により明らかになった関係者供述の変遷経過も全く無視し、極めて安易に再審開始の決定を覆した。

4 特別抗告審での闘い

 当弁護団は、特別抗告申立書において、異議審決定の問題点を指摘し、判例違背、経験則違背、論理則違背及び結論に影響すべき著しく正義に反する重大な事実誤認があることを網羅的に指摘した。
 その後、補充書(1)ないし(7)を提出し、異議審が新証拠の内容を適切に検討していないことや、旧証拠構造が極めて脆弱であること、新証拠の明白性の判断方法が「旧証拠の再評価を踏まえたうえで、新旧全証拠を総合評価して判断すべき」とする最高裁白鳥決定及び財田川決定に違反すること、捜査機関による強引な誘導により関係者の供述が信用できないこと、判例が形成してきた供述証拠の信用性判断における注意則に即しても関係者の供述が信用できないこと、前川氏が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていない(最高裁大阪母子殺人放火事件)ばかりか前川氏が犯人であることと整合しない間接事実が存在すること、を具体的に補充した。
 これにより、当弁護団の主張が一応でそろった形となり、今後は最高裁判所の対応が注目される。

5 今後の展開

 平成26年3月27日、袴田事件の再審開始決定が出された。裁判所は、捜査機関による証拠捏造の疑いに言及し、「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」との厳しい言葉を用いた。
 この言葉は、本件にも当てはまる。取調べにおいて強引な誘導、強要が行われ、解剖写真その他の重要な物証や捜査段階の供述調書は再審段階に至るまで開示されなかった。供述の信用性判断に不可欠な初期の否認供述の内容を示す取調メモや捜査報告書等は未だに開示されていない。前川氏が濡れ衣を着せられてから約30年の年月が経過した。服役の後遺症に苦しめられ続ける前川氏と、80歳を過ぎてもなお前川氏の冤罪を晴らすべく懸命に活動を続ける父禮三氏の30年を考えれば、本事件も「耐え難いほど正義に反する」ことは明らかである。
 来るべく最高裁決定において再審開始の判断を得るべく、当弁護団は最後まで闘い続ける所存です。今後とも、皆様のご理解、ご支援をお願いいたします。

以  上

 名張毒ぶどう酒事件 

証拠隠しを許さず、生きて奥西さんを取り戻すために

名張毒ぶどう酒事件・愛知守る会
事務局長    田中 哲夫

 新たに死刑判決を突き付けた名古屋高裁第8次の不当決定!

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ご承知のとおり、名張毒ぶどう酒事件は、昨年10月16日に最高裁第1小法廷(櫻井龍子裁判長)が第7次請求を棄却し、11月5日に申し立てた第8次請求も、今年5月28日に名高裁刑事第1部(石山容示裁判長)によって棄却されました。
 これらの決定は、弁護団の最終意見書提出の直後(最高裁)、弁護団の新しい実験結果提出の直前(名古屋高裁)に、それぞれ請求を棄却しており、裁判所がはじめから「棄却」=「死刑」の結論を決め、弁護団の主張を無視したことが明らかな、極めて不当な決定です。
 さらに名古屋高裁は、奥西勝さんが高齢で病状が重いので決定を急いだとし、また、再審請求人の意見をきくために決定のわずか2日前に奥西勝さんと面会しました。この面会の時期からみれば、奥西勝さんが、面会した裁判官に「弁護団がこれから提出する予定の証拠も含めて審理をして欲しい」と不自由な左手をあげて懸命に訴えたとき(但し、奥西さんは、後日面会した稲生さんに、裁判官が面会に来た理由やその内容はよくわからなかったと伝えたそうです。)には、既に請求棄却の結論が決まり、決定も完成していたはずです。そして、奥西勝さんの意見をきいたとして、病床の奥西勝さんに「急いで」新たな死刑判決を突きつけました。これが裁判所のすることでしょうか。
 弁護団は、6月2日に異議を申し立て、現在、名古屋高裁刑事第2部(木口信之裁判長)で異議審の審理が行われています。また弁護団は、毒物に限らず、その他様々な角度からこの事件を検証していますが、そのためにも請求審段階に引き続いて証拠物の閲覧や証拠開示命令を強く求めています。
 去る9月10日は、名古屋高裁が一審の無罪判決を破棄し、一転死刑判決を下してから丸45年となる日でした。愛知守る会では、裁判所がこの死刑判決に対して真剣に向き合い、一刻も早くその誤りを正すことを求め、裁判所前での一日行動に取り組みました。音を出す宣伝は、裁判所の業務時間をはずした早朝と昼休みに限り、その他はただひたすら裁判所前で思い思いの横断幕やプラカードを掲げるという極めて地味な宣伝でしたが、岐阜、東京、長野、大阪、兵庫、救援会中央本部など遠方からの参加者に加え、愛知では救援会の全支部から参加があり、のべ150名の終日行動となりました。裁判所の職員や道ゆく人たちへのビラ配付、昼休み集会での裁判所へ向けたリレートークやシュプレヒコールなど、私たちの思いを裁判所へ大きくアピールできたのではないでしょうか。
 また、6月から取り組みを始めた裁判所宛要請署名は、10月6日の要請行動時現在、1万5485筆、証拠開示命令に限った裁判所宛要請ハガキは、8,415枚が裁判所へ届けられています。裁判所と検察庁への要請行動も毎月継続して行っています。
 奥西勝さんは、人工呼吸器装着のために言葉を失ってしまいましたが、えん罪を晴らす強い一念で生き続けています。しかし、一切口にすることができないまま、ただ寝たきりの生活はすでに2年半に及び、最近は手足に痛みも生じるなど、状況は少しずつ悪くなっています。
何としても奥西勝さんの命あるうちに再審無罪を勝ち取るためにさらに運動を強めたいと思います。

 袴田事件 

弁護団が検察の不当な訴訟態度に抗議

9月29日、袴田事件弁護団は、検察が即時抗告審で行っている主張は、「従来の検察の主張と真っ向から矛盾する」として、東京高検に対して強く抗議するとともに、東京高裁に対しては検察の主張の撤回を促すなど、適切な措置を取るよう申し入れました。
検察は、再審開始決定の根拠になった弁護側の本田鑑定人DNA鑑定について、同じ手法(バナジウムを利用したPCR法)で実験を行っても抽出も増幅もできなかったとして、その手法が非科学的で本田鑑定人の独自の方法であり、信用できないと繰り返し主張しています。
ところが、この間、弁護団の調査のなかで、検察は2005年に神戸地裁で行われた裁判で、本田教授に鑑定を依頼して、同じバナジウムを利用したPCR法による増幅の手法を「科学的根拠がある」と主張して、この事件で懲役15年の有罪判決が確定していることが明らかになりました。
神戸地裁判決は、検察の主張を全面的に認めて、「その方法(バナジウムを利用したPCR法)は、本田教授の研究の成果として、国際特許申請中の方法で、この方法でPCR法を行っているのは、現在のところ本田教授だけであると考えられる。しかし(中略)その基本的な科学的原理自体はこれまでのPCD法となんら変わらず、触媒を加えることでその増幅効果を高めたにすぎないのだから、その手法にも十分科学的根拠が認められるべきである」と、認定しました。
この問題で弁護団は、本田教授のバナジウムを利用したPCR法は、その後厳しい査読を受けて論文が発表され、それ以降なんら問題もなく国際学会でも認知されており、上記事件当時よりも、一層科学的に信頼性が高いものになっていると指摘しています。
検察は、即時抗告審においてなりふりかまわず、再審確定判決を覆そうと組織を挙げて反撃を加えてきています。
支援運動は、9月23日の全国集会(230人)を成功させるとともに、検察の即時抗告棄却を求める10万名を超える署名を東京高裁に提出しました。

DNA鑑定で検察の“2枚舌”許されない、即時抗告を取り下げろ!

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10月8日、即時抗告審で検察が正義に反する「二枚舌」の主張していたことが明らかになり、袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会(国民救援会、日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会、アムネスティー日本等8団体で構成)のメンバーと布川事件の桜井昌司さん、元プロボクシングチャンピオンの輪島功一さん、現役のWBA世界スーパーフェザー級内山高志さんWBC世界ライトフライ級チャンピオンの井上尚哉さんなどが抗議をおこないました。
弁護団の会見などによると、再審開始決定の根拠となったDNA鑑定の信用性について、検察は非科学的な鑑定人独自の手法で鑑定結果に信用性はないと主張していながら、別の事件では同じ手法を用いたDNA鑑定について、十分に科学的根拠があり信用性に問題はないと主張し、被告人に懲役15年の実刑判決を確定させていました。
要請団は、公益の代表者の検察官にとって最も重要な行動規範である「公正さ」を顧みない詐欺的行為で、検察に袴田事件の即時抗告を維持する資格はないと述べ、一刻も早く即時抗告を取り下げるべきだと訴えました。
東京高検は、「この問題ではすでに弁護団から要請を受けている。また、前回の要請から日が近い」ことを理由に要請の受け入れを拒否。職員が門前で文書を受け取りました。  (連絡会・事務局)

 えん罪豊川幼児殺人事件 

     =えん罪事件は証拠の開示が必要=

第4回「田邉さんを守る会総会」60人参加

えん罪豊川幼児殺人事件田邉さんを守る会」
事務局長 木村泰治
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8月3日、現地豊川市において豊川事件「田邉さんを守る会」第4回総会が行われました。総会に先立ち、「名張事件の映画・『約束』」の監修を行った元東海テレビの門脇康郎さんから「真実を求めて36年」と題して講演を受けました。
 門脇さんは、裁判所による第8次請求の棄却の理由が、「奥西さんの加齢と健康状態を踏まえ決定を早めた」。怒りよりも、裁判官の真意が問われ、人間として考えられない決定。タツノさんから「勝を助けてください」と言われた時には返す言葉もなかった。そして、村人のインタビューが取れた時、放映ができると思ったなど36年の思いを語ってくれました。

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 総会の来賓あいさつで、国民救援会愛知県本部渥美会長代行は、「司法の名で間違った裁判・判決あってはならない、自白偏重の姿勢を変えていき、豊川事件の再審請求に弁護団の奮闘が期待される」と挨拶。名張事件、仙台北陵クリニック事件など支援する会の報告の後、父親の田邉政夫さんから参加者の皆さんに「息子 は自己主張ができない性格的弱さがある」「再審に向けての実験・調査をして助けてください」と挨拶がありました。
弁護団からは、①再審に向けての進捗状況、②新証拠の検討と旧証拠を踏まえた総合判断、③漂流実験の結果など再審に向けての報告がされました。

再審に向け法廷内外の闘いを強めることを確認

 総会は、本年度は「動く年」と位置づけ、引き続き漂流実験や投棄実験、プランクトンの開示請求など豊川事件の真相にせまり、第1次再審に向けた諸行動を提起・確認しました。
 また、事件当日と合わせた第3回豊川事件の全国現地調査を取組み、全国の冤罪事件をたたかっている仲間との交流も深めていく予定でいます。

皆様に支えられて

 総会で恒例の「守る会」の入会を訴えたところ、その場で6名の方が入会し、その後も9名の方が入会され15名の方から賛同いただきました。また、カンパも17.000円の協力いただきました。
 メッセージにつきましては、「再審冤罪事件全国連絡会」「救援会大分県本部」「東住吉冤罪事件支援する会」「福井事件支援の会」「東三河労連」から寄せられました。

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 長生園三千万円不明金事件 

長生園三千万円不明金事件はまだ終わっていない、真相究明と再審請求めざし、粘り強くたたかっています

長生園不明金事件の真相を究明する会
事務局長   山岡 良右

はじめに

 長生園不明金事件の舞台・南丹市で、今年4月に行われた市長選挙は、現職佐々木稔納(としのり)市長に新人の二候補が挑む構図でたたかわれ、新人で野中一二三氏(長生園理事長)の全面的な支援を受けた西村良平氏(長生園常務理事)が、野中広務氏(元衆院議員・元自民党幹事長)が支援した現職市長に敗れました。
 長年にわたり旧園部町長と長生園理事長を兼務し、この地域の各種団体の要職を独占しつづけ絶対的な権力をもつ野中一二三氏が推す候補が敗北する、まさに〝野中王国〟のゆらぎの始まりではないかと感じています。
私たち「真相究明の会」は本年1月、第5回定期総会を開き一年間の運動をまとめ今年度の活動方針・決算・予算・役員を確認し、この事件の真相究明と再審請求をめざし、粘り強く運動を進めています。

一 この間の取組み

イ、宣伝行動
西岡季晃園長との「話し合い」が不調に終わった昨年5月以後、毎月の宣伝行動を再開しました。8月からは、スローガンを宣伝車のボディーに貼りつけ走行中も何の宣伝か分かるようにし、10月からは、ICレコーダーに「流しスポット」を録音、走行中も音の宣伝を行いました。毎回の宣伝行動は市民や通行車両の注目を集めています。

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宣伝用ビラは、昨年5月に会員の協力を得てデザイン・レイアウトしたA4両面カラー印刷のものを一万枚作成、「地元紙」や、「しんぶん赤旗」に折り込むとともに、各種集会・総会などで資料として活用しました。
この宣伝用ビラは「真相究明の会は訴えます」シリーズとして今年も5月に1万枚作成、前年同様の活用をするとともに毎回の宣伝行動で配布しています。
 5月20日、再審・えん罪事件全国連絡会」の呼びかけにこたえ「無実の人は無罪に」の宣伝行動を朝のJR園部駅頭で実施、連絡会のビラを300枚配布し通勤者の注目を集めました。
ロ、学習・調査、集会への参加
情報公開制度に基づき、京都府・南丹市に対して長生園に係わる各種資料を請求、開示された貴重な資料を入手し分析・精査しています。
5月に大阪で開かれた「なくそう冤罪関西市民集会Ⅶ」に参加、西岡廣子さんが檀上から訴えました。
 8月には弁護団が京都地裁に提出した「弁論要旨」の学習交流会を合宿で開催、弁護団の主張を再認識し事件発覚以来15年の経過を学び交流を深めました。
ハ、組織活動と会員拡大の取組み
事務局会議は毎月開催、情報を交換し経過報告と当面の取組みを確認して運動を促進してきました。
ニュース「真相究明」は、昨年12月の12号から、今年6月の14号まで、折々の取組みやお知らせなどを中心に3回発行し、会員に郵便で届けました。
新規会員拡大用の資料として、事件の経過、会則、入会申込書のついた三つ折り「リーフ」(簡易版)を作成しました。
本年1月の第5回総会では、旺盛な宣伝活動を展開した結果、単年度の収入比1・8倍の支出となった昨年の「会計収支報告」を受けて、会員拡大(1・5倍加)の取組みを強めています。

二 事件を風化させず、再審請求の扉を開くために

 西岡廣子さんは5月の関西市民集会パートⅦで、次のように体験と決意を語られました。
「横領の犯人にでっち上げられて15年の年月が経ちました。逮捕された当時、家族は本当に大変な思いをしましたが、めげずに一緒にたたかってくれました。改めて家族に感謝です。裁判を闘っている人、刑が確定し絶望の中にいる人、獄中から無実を叫んでいる人、みんな命がけでたたかっています。これからも私たち、えん罪犠牲者は負けません。いつの日か心から笑える日が来る事を願いたたかい続けます。野中王国といわれる町の中で私は顔を上げて生活しています。私を誰も、もう横領の犯人とは思っていません。何とか再審につながる道を模索しています。この〝たんぽぽの会〟の一員として自分の経験や反省を生かしながら、当事者や家族に寄り添い支援する活動を続けて行きたいと思います」。
 西岡さん不当逮捕から15年になる今年11月、事件を風化させず、真実を多くの市民に知ってもらうため講演会・パレード&宣伝を企画し準備を進めているところです。
冤罪被害者の心に寄り添った運動をいかに広げるか、この事を肝に銘じて、人間の尊厳をかけたたたかいを続けて行きたいと考えています。

来春の通常国会で「司法改悪法案」を阻止しよう!

今井恭平(なくせ冤罪!市民評議会・理事)

冤罪被害者の抗議を押し切って採択された、法制審答申

 さる7月9日、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」(以下特別部会)は、私たち市民や冤罪被害当事者の反対の声を押し切って、問題だらけの答申案を全会一致でとりまとめた。そして9月18日、法制審の全体会議で、形式的な論議の後ただちに採択され、第2次安倍内閣で就任したばかりの松島みどり法務大臣に、答申として手渡された。
 特別部会の論議に注目してきた、私たち「なくせ冤罪!市民評議会」は、桜井昌司さん(布川事件)、杉山卓男さん(同)、菅家利和さん(足利事件)、袴田秀子さん(袴田事件)らを始めとする冤罪被害当事者を先頭に、国民救援会や法曹団体(日本民主法律家協会、青年法律家協会弁護士学者部会、自由法曹団)などとともに、答申は、冤罪を生まない司法への改革という特別部会設置の目的を大きくはずれ、真逆を指向している、と警鐘を鳴らし、本来の道筋に戻るように何度も要請などを行ってきた。
 7月9日、9月18日の両日も、前記の冤罪被害者とともに法務省を訪れて要請書を手渡し、答申案を採択しないこと、法務大臣に提出しないことを申し入れ、記者会見を開いた。たが、そうした当事者の切実な声は、またしても無視された。このままでは来年早々にも通常国会に刑事訴訟法や盗聴法などの改悪法案として上程される見込みとなった。

ねじ曲げられた冤罪防止策

 答申の問題点を挙げれば、4つに分けることができる。
①取調べの録音・録画(いわゆる可視化)がごく例外的なものとされ、もっとも危険で虚偽自白を固めることになりかねない部分可視化が促進される。
②証拠開示も公判前整理手続き事案に限定され、しかも標目(リスト)開示にとどまった。
③盗聴法対象事件の大幅な拡大と手続きの簡略化。
④「司法取引」の導入(司法取引というマスコミ用語は的確さを欠くと思うが、後述する)

 そもそも今回の特別部会設置の根拠となったのは、法務大臣の諮問第92号だったのだが、そこでは次のように設問されていた。
「取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直し」
「取調べの録音・録画(可視化)の導入など、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について」
 可視化は、諮問そのもので明示されており、また特別部会設置を促した社会的背景に、厚労省郵便不正事件(村木事件)における検察官の証拠改ざんがあることを考えれば、当然最優先の課題である。にも関わらず、答申で裁判員裁判対象事件及び検察の独自捜査事件に限定されたことに、合理的理由はない。結果として全刑事裁判の約2~3%にしか該当しないことだけが問題なのではない。それにとどまらず、多くの冤罪事件で虚偽自白が生まれる土壌になった警察官による取調べの可視化が最小限度に抑制された一方で、検察庁が独自に可視化をすすめる方向を打ち出していることと併せて考えると、警察による密室での自白強要(その背景には今回問題にもされなかった身柄勾留問題=人質司法がある)は従来どおりで、自白が完成した後に検察官調書だけが「可視化」されて固められる、という最悪の構図が浮かび上がる。
 証拠開示問題の本質は、そもそも証拠は誰のものか、ということにある。警察や検察が国民から負託された権力を行使し、税金を使って収集した証拠は、何よりも真実の追究と被害者、被告人双方の利益のために使われるべきだ。だが、現実はと言えば、虚構の「当事者主義」の名目のもと、事実上、検察が独占し裁判官さえ一方的で不完全な証拠での判断を強いられている。こうした本質にはまったく触れない表層的論議や、技術レベルの話に終止した結果、事前一括全面開示という当然のあるべき姿とはかけ離れたものとなった。つまりは、証拠隠しが「合法的」に行われるという恐るべき現実は何ら手つかずに残ったのである。

火事場泥棒的手口で新捜査手法を導入

 その上で、元来の諮問からすれば、そもそも議題にのぼる筋合いもない、「司法取引」や、盗聴法対象事件が潜り込んできた。
 盗聴法は対象事件に関するたがが外れただけでなく、通信事業者の立ち会いなしに警察の思うがままの盗聴ができることとなり、果たして裁判所の令状の範囲内の盗聴にとどまるか否かの担保さえ、形骸化されようとしている。
「司法取引」といえば、米国で広く行われているplea bargainingを連想する人が多いだろう。被告人が検察官と取引して、共犯者や自分の犯罪について情報提供するなどの捜査協力を条件に、検察がより軽い罪名や求刑にすることだが、いずれにしても有罪を認めて無罪を争わないことが前提になる。そのため、米国においても被告人の法的無知、弁護人の過誤、検察官の策略などによって、罪のない人が取引に応じて冤罪が生まれることがあるとの批判が絶えない(ことに死刑求刑がありうる事件では、死刑回避のために無実の人が有罪答弁する事例が指摘されている)。そもそも取調べにおいて減刑や起訴猶予などの利益供与と引き替えに得られた供述に証拠能力をもたせること自体が、「供述に過度に依存しない司法」とはまさに真逆と言わざるを得ない。いったいこの間のうち続いた冤罪や再審無罪の露呈から、法制審は何を学んだのか?
 しかも日本の制度では、自分の共犯者でさえない、まったく無関係な他人の犯罪についての情報提供も取引材料とされるのだから、自分だけが助かるために他人を犠牲にしたり引きずり込もうとする人間を奨励する法律以外のなにものでもない。自分の罪を軽くするために無関係な第三者を引きずり込んだ、福井女子中学生殺人事件や八海事件などの虚偽密告が法的に奨励されることになるのだ。これは「司法取引」ではなく「密告取引法」とでも呼ぶべきものだと思う。
 お尻に火がついていた筈の警察・検察が、火事場泥棒のように「新捜査手法」を手に入れようとしている。名目だけの可視化と引き替えに、こんな強大な武器を権力に手渡すような割りの悪い「司法取引」とは手を切らなければならない。今秋から来春通常国会に向けて、偽りの司法改革を阻止し、市民の常識で理解可能な刑事司法の姿を目指し、幅広い連携を強めていきたい。

□無実の人びとを救う !  2014年秋の全国いっせい宣伝行動

今年も「無実の人びとを救う!秋の全国いっせい宣伝行動」を11月1日からスタートします。
ぜひ、国民救援会の各都道府県本部はもちろん支部でも宣伝行動をとりくむようにお願いします。

□第214次最高裁統一要請行動のご案内

 秋のたたかいの中で、最高裁でのたたかいも大きく前進させたいと考えています。すべての事件の勝利をかちとるために、さらに力をあわせて奮闘しましょう。
さて、第214次の最高裁統一要請行動は、下記のよう11月26日(水)に行います。ぜひ、みなさんのご参加をお願いします。

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◎とき 2014年11月26日(水)
◎集合 最高裁西門前に午前8時15分
 □ 宣伝行動 最高裁西門にて午前8時15分~9時
 □要請行動 最高裁西門集合(それぞれ5分前までに集まってください)
   午前10時より 民事・労働事件関係
   午前11時より 刑事・責任追及事件関係

裁判・集会・宣伝などの主な行動日程

11月 8日(土) 京都・長生園事件発生15年 / 講演会・パレード&宣伝

          (園部国際交流会館2階研修室1時半~)

11月12日(水) 再審・えん罪事件連絡会事務局会議(国民救援会中本部事務所、18時から)

11月15日(日) 死刑廃止を考える日

(主催・日弁連 青山学院大学17号館309会議室)

11月13日(木) 名張事件名古屋高裁要請(10時)*この日は栄総行動として行われる)

11月20日(木) 連絡会定例宣伝(JR御茶ノ水駅 17時半~)

11月25日(火) 『許すな密告・盗聴捜査!なくせ冤罪!=刑事司法改悪反対11・25市民集会(東京・中野サンプラザ 18時から)

11月26日(水) 第214次最高裁統一要請行動(10時=民事・労働事件、刑事=11時)

11月27日(木) 袴田事件東京地裁、高検要請行動(12時15分から高裁前宣伝、13時=高裁

要請、14時から高検要請)

布川事件と証拠開示(桜井事務所 18時から)

11月30日(日) 再審・えん罪事件全国連絡会第23回総会(大阪にて開催)

会場=11月30日(新大阪丸ビル新館506会議室 13時半 ~17時)

12月1日(大阪弁護士会にて9時から正午まで)

12月 1日(月) 東住吉冤罪事件・大阪高裁要請行動(13時から)

12月17日(水) 布川国賠裁判第8回口頭弁論(11時から東京地裁101号法廷)

12月18日(木) 名張事件名古屋高裁、高検要請(高裁=13時半、15時=高検)

〃      連絡会定例宣伝・予定(JR御茶ノ水駅 17時半~)

*各地の事件の取り組みや日程を事務局まで通信をお寄せください。
                      zuke@kyuenkai.org
*次号「ニュース」は、2014年12月下旬頃に発行する予定です。

再審・えん罪事件全国連絡会とは・・・

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1973年4月、えん罪で苦しむ人々を救うことを目的として、作家松本清張氏、佐野洋氏、評論家の青地晨氏等の呼びかけで結成されました。
以来、「無実の人は無罪に!」をスローガンに、えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動などを進めています。

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