えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.73再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2015年 7月14日発行 No.73

□ 東住吉冤罪事件

大阪高裁は白鳥決定に従い、速やかに再審開始と刑の執行停止決定を!

「東住吉冤罪事件」を支援する会 尾﨑良江
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審理終結から2ヵ月余りが経過した今、大阪高裁からの決定期日の連絡を今か今かと待ちながら、3月初めから開始した毎月曜日の大阪高裁要請を継続中です。6月15日には裁判所前での大宣伝行動に取り組み、約100名の支援者、事件関係者の皆さんに参加いただき、第4刑事部米山裁判長に向け、元気よく「朴さん、青木さんの再審開始決定を行え!」「刑の執行停止を行え!」とシュプレヒコールを行いました。
6月27日にはたんぽぽの会(関西えん罪事件連絡会)がリバティ大阪で「なくそうえん罪 救おう無実の人々 関西市民集会Part8」を開催し、8回目となった今年は白鳥決定40周年記念として取り組み、約300名の参加で会場は満席となりました。1部では「冤罪犠牲者が自らの体験を語ります」として、高裁で実質的無罪を勝ち取った東住吉傷害致死事件の佐保夫妻、湖東記念病院人工呼吸器事件の西山美香さんの父と支える会、中津学園業務上横領事件の安東育子さん、日野町事件再審無罪を求める会、長生園不明金事件の西岡廣子さん、冤罪・神戸質店事件を支援する会、名張毒ぶどう酒事件兵庫支援する会、東住吉冤罪事件の朴龍晧さんの母と姉の皆さんがそれぞれに辛い体験を語り、検察・裁判所を告発しながらも、前を向いてがんばる、ご支援よろしくと、毎年のように涙なしには聞くことができませんでした。ゲストとして袴田事件の袴田巖さんの姉の秀子さんと布川事件国家賠償請求訴訟の桜井昌司さんが大きな拍手で迎えられました。続いて白鳥事件の当時の記録映像を見るとともに、2部のシンポジウム「白鳥決定40周年を語る」では国民救援会の専従として白鳥事件の運動に取り組んだ佐藤佳久さんをコーディネーターに、パネリストは元裁判官の安原浩弁護士、元白鳥事件弁護団であり大阪白鳥事件村上国治さんを守る会会長の小林保夫弁護士、東住吉冤罪事件朴弁護団の乘井弥生弁護士の3名が、白鳥事件、白鳥決定との出会い、決定が生かされているのかとの視点で話が進みました。安原弁護士「裁判所は法的安定性を考え再審開始などあり得ないことだったが、最高裁は白鳥決定で明白な証拠と既存証拠を総合評価して、『疑わしいときは被告人の利益に』という刑事裁判における鉄則が適用される(推定無罪)とし、白鳥事件で再審はならなかったが、翌年の財田川事件では再審開始を決定した。しかし、冤罪を生んだ根本からの反省がなされていず、裁判官も有罪なれしており嘘を見抜けない体質ができている。証拠と理屈により判断し、アナザーストーリーを弁護人が示すと中立に戻る。また、世間からどんな注目を浴びているのかは気にしており、運動は影響力を持っている」。小林弁護士「長期勾留で自白を強要し冤罪を生むという司法の構造は日本特有で、戦前のまま引きずっており、裁判官が戦争責任を問われなかったことも影響している。韓国では身柄を長期拘束しないし、取り調べには弁護人が立会い、可視化が義務付けられている」。乘井弁護士「再審を手さぐりする中でこの決定を知った。

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大阪地裁の再審開始決定には白鳥決定が大いに生かされている(決定理由当該箇所を読み上げ)。再審は公開ではなく三者での協議で進められるので、協議毎に記者会見を開き内容を可視化してきた。マスコミも含めて裁判所の決定に注目していますよと世論を高めることが大切ではないか」。白鳥事件の支援運動の大きさと白鳥決定の重みが改めて実感できたシンポジウムでした。
大阪高裁が白鳥決定に従うならば、検察の即時抗告を棄却し、朴さん・青木さんの刑の執行停止を行うはずであり、今、この事件で再審開始決定を勝ち取ることは再審の流れを引き戻すということになり、他事件にとっても大きな意義があります。署名は7月7日現在で48、700筆が寄せられており、5万筆目標にあと少しです。高裁で必ずや再審開始決定を勝ち取るため、引き続き大きなご支援をよろしくお願いします。


□鹿児島・大崎事件

大崎事件第3次再審請求を申し立てる!再審申立報告集会に170名が参加

大崎事件首都圏の会副会長・中出匡彦
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 雨が続いていた鹿児島は、この日晴れ上がり、強い日差しの中、森弁護団長のあいさつ、車椅子で地裁に到着した原口さんは、全国各地から駆けつけた支援者にむけて「みなさんありがとう」とあいさつして弁護団とともに鹿児島地裁に入りました。
 弁護団の報告では、原口さんは膝の上にのせた再審申立書を裁判官の机へ自ら持ち上げて置いたそうです。弁護団は、原口さんの高齢も考慮して裁判所に面談を申し入れ、異例ともいえる裁判進行について協議が行われました。弁護士会館で記者会見が行われ、鴨志田弁護団事務局長の第三次再審申立ての内容についての説明と弁護団声明があり、中央公民館での報告集会に移りました。
 報告集会では、日弁連人権擁護委員会・松尾康利副会長、鹿児島県弁護士会・大脇通孝会長、大崎事件弁護団・森雅美団長があいさつを行いました。その後、鴨志田祐美・大崎弁護団事務局長が事件の概要と第3次再審申立までの経過報告、大崎事件東京弁護団・佐藤博史団長が第3次再審の新証拠について報告しました。
基調講演として「再審の現在と大崎事件が問いかけるもの」と題して、鹿児島大学司法政策研究科の中島博教授が多くの再審事件の事例と大崎事件について講演を行いました。休憩をはさんで、映画監督の周防正行氏と成城大学法学部教授指宿信氏とのミニ対談があり、周防氏は法制審での活動と警察、検察、裁判所の矛盾した動きについて問題点を語りました。このあと、布川、足利、志布志各事件からの応援メッセージがあり、国民救援会中央本部と首都圏の会から決意を述べ、集会アピールを採択して閉会となりました。この日の地裁申立てには50名、報告集会には九州各県の国民救援会や冤罪事件の支援者など約170名が参加しました。

大崎事件第三次再審請求申立書の概要

大崎事件再審弁護団・森塚さやか弁護士

1 第三次再審請求申立書の構成

 大崎事件弁護団は、平成27年7月8日午後1時、鹿児島地方裁判所に第三次再審請求を申し立てました。
 第三次請求の最大の目標は、88歳になられたアヤ子さんの存命中に、再審開始・無罪を獲得することです。そこで、第二次再審までの過程で絞り込まれた証拠構造をピンポイントで弾劾すべく、申立書では、事件の概要、第二次再審に至る経緯等は可能な限り簡略化し、第三次請求において提出した新証拠の位置づけ及びその明白性について中心的に論じています。
 弁護人らが提出した新証拠は、東京医科大学法医学分野吉田謙一主任教授による法医学鑑定(吉田鑑定)及び、大橋靖史・高木光太郎両教授によるハナ供述に関する供述心理分析鑑定(ハナ供述心理鑑定)です。各新証拠の概要と、それが示すものについて、以下で説明します。

2 吉田鑑定

 吉田鑑定は、本件被害者の死因及び確定判決の認定した殺害の犯行態様と遺体所見との矛盾の有無について、法医学の知見により分析した鑑定書です。その要旨は、①本件遺体には、急性窒息死であれば必ず認めるはずの死斑・血液就下(注1)を認めないこと(「頚部圧迫による窒息死」という死因と解剖所見の矛盾)、②絞殺であれば頚部圧迫の痕跡として認めるはずの頚部筋肉内出血等の所見を認めないこと(確定判決が認定した殺害方法・態様と解剖所見の矛盾)です。
 吉田鑑定の最大の意義は、本件遺体に死斑・血液就下を認めないことから、確定判決の死因である「頚部圧迫による窒息死」を否定したことにあります。
 具体的には、死斑・血液就下は、窒息死を含む急性死では強く出現し、うつ伏せの遺体では前面に死斑を認めるはずですが、本件遺体の前面(前額部・顔面・頚部・前胸部の外表、開検された前頚部の筋層)には、死斑・血液就下を認めないとされました(本件遺体に死斑・血液就下を認めないことは、過去の法医学鑑定も一致しています)。そして、死斑・血液就下を認めないのは「出血に関連した死」の特徴に合致することを指摘し、被害者は「出血性ショック」(受傷後、数時間以上の経過を得て死亡するもの)により死亡した可能性が高いとし、事故死の可能性を示唆されました。
 吉田鑑定は、確定判決が認定した死因を直接的に弾劾すると同時に、「窒息死させ、うつ伏せで遺棄した」とする「共犯者」らの犯行供述を弾劾し、これらの供述及び城鑑定書の証拠価値を減殺するものです。
 吉田鑑定は、確かな資料、専門的知見と豊富な文献・症例をもとに、正確で合理的な鑑定を行っており、過去の鑑定(城鑑定、池田鑑定、石山鑑定、上野鑑定)が遺体から確実に観察できた所見と合致するなど、その信用性及び明白性は極めて高いものです。吉田鑑定の解剖所見により、事故死の可能性が示唆されたことによって、被害者の死亡前の行動等に関する旧証拠との総合評価により、「絞殺による窒息死」を死因とする本件の事件性に、重大な疑義が生じています。

3 ハナ供述心理鑑定

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 第二次再審即時抗告審決定(原田決定)は、ハナ供述が信用できる結果、ハナ供述と符合する「共犯者」らの供述も大筋で信用できるとしました。ハナ供述が「共犯者」らの自白の信用性を担保すると考えられた根拠は、その「目撃」部分にあります。そこで、今回新たに、ハナの目撃供述について供述心理学の観点から科学的に鑑定し、当該供述の信用性判断に与える影響を分析しました。
 ハナの目撃供述の変遷過程を分析した結果、ハナ供述の変遷には体験記憶に基づかない説明を供述に付加していった過程を反映する「非体験性兆候」が複数確認されることが分かり、さらに、それらの多くが、ハナと他の事件関係者との間に当然生じるはずのコミュニケーションの欠落(コミュニケーション不全)に関係するものでした。
 コミュニケーション不全の存在は、第二次再審で新証拠として提出された一郎・二郎の供述心理鑑定でも指摘されており、この鑑定が、原田決定の供述の信用性判断に大きく影響を与えたことは明らかです。そして、今回、ハナ供述においても一郎・二郎と同様の非体験性兆候が見られるという鑑定結果が出たことで、ハナ供述の信用性が大きく崩れることは間違いありません。

4 総合評価

 本件殺人、死体遺棄事件を支えていた証拠は、「共犯者」らの自白とハナ供述のみでした。第二次再審の時点で既に一郎・二郎の自白の信用性は崩れており、さらに、今回提出した新証拠によって、被害者の死因は急性窒息死ではないこと、「共犯者」らの自白及びハナの目撃供述のいずれも、死体の客観的状況と符合せず、信用できないことが判明しました。もはや、確定判決の認定に合理的な疑いが生じていることは明らかであり、弁護団は再審開始・無罪を確信しています。

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*注1「血液就下」とは=重力に従い、血液が遺体の低い方に移動すること。
*追記
 アヤ子さん以外の事件関係者の名前は、左記の大崎事件のパンフにあわせてあります。確定判決では、アヤ子さんの元夫の一郎とその弟の二郎と一緒に押さえつけ、一郎にタオルで首を絞めろ(絞殺)と被害者を殺害したことになっています。ハナとは二郎の妻で、犯行当夜、原口さんと二郎との犯行に関する会話を聞いたなどの供述をしています。
大崎事件の新パンフ(15年4月発行)は頒価100円です。ご注文は、当「連絡会」までお願いします。


□静岡・袴田事件

DNA鑑定の検証実験また結論出ず!弁護側、証拠のリスト開示を裁判所に申立

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7月10日の三者協議後の記者会見で弁護団は、東京高検が検証実験に関して警察庁科学研究所の職員の意見書を6月30日に提出し、これに対して、弁護団が検察が出した検証実験に使うサンプルの選び方や加工の仕方が全く科学的論拠がなく、意味のない不毛なもので認めることができないと反論書を提出したことを明らかにしました。
弁護団の報告によれば、三者協議のなかで東京高裁が検証実験の科学的な条件設定を検討するよりも、「とにかく実験をやりたいというのが先行した姿勢が感じられ」、弁護団としては非科学的な方法での検証は無意味であり、やるべきでないと重ねて強く主張し、引き続き三者協議を続行することになりました。
また、弁護団は6月の三者協議にむけて2つの意見書を裁判所に提出しました。一つは、「5点の衣類」のねつ造に関するもので、そもそも開示証拠などからあらためて1号タンクには「5点の衣類は隠せなかった」ことを補充する意見書です。意見書のポイントは、返品味噌を収納し、自前のみそとタンクの外で混ぜて売り出すため、そういう作業のために1号タンクはいったん空にすること。その後に何者かが隠すとなれば当然、その過程で発見されるはずと、詳しく論証した内容になっています。
もう一つの意見書は、事件後に清水郵便局で発見されたというお札の関係について、ねつ造されたことを補充した意見書です。
弁護団は、即時抗告審でも証拠開示を強く求め、証拠のリスト開示を要求しています。検察側は「リストは開示した覚えはない」と言い逃れを言っていますが、大崎事件、狭山事件ではリスト開示がなされています。さらに、弁護団は、この間の取調べの録音テープの分析の結果、お金が入っていた甚吉袋ないし小袋には、録音テープの中で、取調官が「これに血がついている」と、袴田さんに自白を迫るシーンが録音されていたことから、それを確認するため、小袋に関する「血痕鑑定、鑑識記録」の証拠開示を新たに申し立てました。
袴田さんの再審無罪を求める実行委員会は、三者協議にあわせて東京高裁、高検に対して、「鑑定の検証は不要だ。検察の即時抗告を直ちに棄却せよ」、「検察は証拠リストを開示し、すべての証拠の開示を行え」と、要請を行っています。

≪次回の東京高裁、高検への要請行動≫
8月13日(金)
11時20分      東京高裁前集合
11時30分      東京高裁へ署名提出と要請行動
12時~12時40分  東京高裁前宣伝行動
  13時15分      弁護団激励行動(東京高裁前)
  13時30分      3者協議  *3者協議後弁護団の記者会見(時間未定)
 *なお、9月3日(木)には、正午から東京高裁包囲要請行動を計画中です。


□三重・名張毒ぶどう酒事件

東京で映画「約束」上映と第9次再審請求の支援集会を開催

 
6月25日、名張東京守る会が主催した「奥西勝さんを無罪に!6・25集会」が、最高裁に近い、星陵会館で開かれ、のべ約200人が参加しました。
午後4時から映画「約束」を上映し、一般市民も含めて70人が鑑賞しました。その後18時半からは、第9次再審請求の支援集会が開催されました。
集会では、映画「約束」の原作者の一人、元東海テレビの門脇康郎さんが長年にわたる取材活動のエピソードを交えて、名張事件が典型的な冤罪であり、奥西さんの人生を翻弄する司法への怒り、そして冤罪は当人だけでなくその家族にも筆舌に尽くせないほどの人権侵害をもたらすことを熱く語りました。
 弁護団からは、第8次再審請求を最高裁で取り下げ、第9次再審請求を申し立てた苦渋の選択の経過、第9次再審請求の新証拠について4人の弁護人が分担して報告を行いました。
 弁護団は、この間の最大の争点であった、凶器とされたぶどう酒に混入された毒物がニカッリンTであったか否かにいて、ニッカリンTではなく別の農薬であることが、当時の三重衛生研究所が行った分析方法と同じ方法で実施した再現実験による新証拠、そして、ぶどう酒の王冠に巻き付けられていた封冠紙に2種類の糊の付着の可能性を示す新証拠が提出され、奥西さんの自白と矛盾し、確定死刑判決に重大な疑問が生じ再審開始をすべきだと力強い報告がなされました。
そして、弁護団からは証拠の開示はもちろんのこと、封冠紙などの再現実験を行うためにも名古屋高裁への要請をつよめる必要性が強調されました。
 第9次の再審請求審は、第8次再審請求を形式的な理由で棄却した石山容示裁判長のもとに係属しています。生きて奥西さんを取り戻すために早急に全国で支援を集中しましょう。
 次回の名古屋高裁、高検への要請行動は、7月24日(金)に行います。9月10日(木)には、1969年に名古屋高裁で死刑判決が出された日にあわせて、再審開始を求める名古屋高裁包囲行動が行われます。全国からのご参加をお願いします。


□特急あずさ号窃盗冤罪事件 

事件発生10年、再審開始をめざす集会に70名が参加

諏訪市役所職員であった栁澤さんは、2005年5月10日、公務出張の帰り、JR新宿駅に停車中の特急あずさ号の座席に置かれていたバッグから財布を窃盗したとして、突然若い男女にとがめられ、逮捕・起訴されました。
国民救援会と栁澤さんの無罪を勝ち取る会は、事件発生からちょうど10年目に当たる5月10日、諏訪市において「再審開始をめざす集会」を70名の参加で行いました。
この事件では1審以来、栁澤さんの有罪を示す物的証拠は何一つありません。有罪の根拠はA女とB男の目撃供述だけです。
集会では、弁護団から事件の経過と問題点について学習した後、裁判資料にもとづいて新宿駅ホームと事件車両を再現し、事件を検証しました。
検証は、①自称被害者と称するA女とその友人B男が目撃したとする地点から、座席のトートバックから財布を盗るのが本当に見えるのか、②A女とB男のいう地点から、トートバック内に手を入れ盗った財布を、栁澤さんの足元に置いてあった紙袋の中に入れるのが目撃できるのか、③B男の供述どおり、紙袋内の財布が目撃でき、簡単に奪還することができるのか、以上の3つの争点についておこないました。
検証の結果、A女やB男のいずれの位置からも、座席においたトートバックから財布を盗るのを見ることは出来ず、A女とB男の供述は客観的状況と矛盾し、信用できないことが明らかになりました。
とくに今回の検証では、昨年12月の東京高裁第10刑事部の再審請求棄却決定にもとづいて事件を再現すると、栁澤さんが他の乗客に財布を見えるように財布を持ち上げた姿勢となり、極めて不自然な動作であることが明らかとなりました。
集会では、弁護団報告と事件の核心であるA女とB男の目撃供述の検証を通じて、確定判決と再審請求棄却決定には重大な事実誤認があることを確認し、裁判所へ現場検証を行い徹底した事実審理と再審開始を求める決議を採択しました。


□熊本・松橋事件

支援集会に会場あふれる72人、現地調査も実施

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集会では、松橋事件再審弁護団の三角恒弁護士から弁護団報告があり、宮田さんがほぼ連日の警察の「任意」取り調べでおこなった「自白」の内容が数々の事実と矛盾し、とても信用できないものであることなどについて報告がなされました(前ページ、写真)。また、凶器とされた切出し小刀では作ることができない傷が被害者の遺体に存在することが、傷の深さ・傷口の長さと切出し小刀の刃端からの距離と刃幅の関係から説明されました。参加者からはたくさんの質問が出され、三角弁護士や斎藤弁護士が丁寧に答えました。参加者は、宮田さんの無実を確信するとともに、警察の捜査に怒りを燃やしました。
 弁護団報告と質疑のあと、宮田さんの息子さんが支援に対するお礼を述べました。集会では、最後に、参加者全員の総意として、裁判所に対して公正な裁判と証拠開示を要請する集会決議を挙げました。
 集会のあと、20人ほどの参加者は、吉井弁護士や国宗弁護士の案内で、宮田さんの「自白」では宮田さんが殺害を決意してから殺害に至るまでに移動したとされる被害者宅(現在は跡地)から別の知人の家の近くまで説明を受けながら歩き、最後に宮田さんが事件当時住んでいた建物に行き、ミニ現地調査をおこないました。

「白鳥決定」40周年、検察の抜本的改革を思う

布川国賠裁判原告・桜井昌司
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 白鳥決定が出された後、1980年代に死刑4事件、加えて無期懲役刑の梅田事件と、次々と再審が開かれて無罪になったとき、再審裁判に光が見えた。しかし、ここから検察の抵抗が始まり、その抵抗に屈した裁判所によって、白鳥決定は無きもののようにされて再審裁判に苦難の時代が続いた。
 死刑4事件などの再審無罪に対して、検察官合同と称する首脳会議を開いた検察庁は「死刑4事件が無罪になったのは証拠を出し過ぎたせいだ。以後は証拠を出さないようにしよう」と決めた。これが常日頃は正義を振りかざす検察官のすることだろうか。正義を標榜する検察庁のすることだろうか。
 このような「許されない証拠隠し協議」をした検察が、今も証拠を独占して冤罪事件を作り上げている事実を語るとき、何時でも、どこでも私は「腐れ検察」と語るが、「腐れ検察」と指摘する私の言葉を責める国民はいないだろう。いや、もし、このときの「検察官合同」の議事録を、全国民が知ったならば、私の怒りに同調する国民は圧倒的多数になり、検察庁は存亡の危機に瀕するだろうとさえ思っている。
 あのとき、なぜ犯罪的な暴挙とも言うべき、「無実につながる証拠は出さないことにする」とした検察庁の抵抗が許されたのか、この点を、もう一度社会に問い掛けて、検証すべきだろうと思う。
 2000年代になって名張事件と大崎事件に再審開始決定があり、更に布川事件も続いて、再び再審裁判に光が当たるようになった。足利事件の菅家さんが劇的に千葉刑務所から釈放された後、私が千葉刑務所から仮釈放された当時は、余り読める人がいなかった「冤罪」と言う文字も、今では誰でも知るようになって、1980年代とは違った社会状況になった変化を感じているけども、検察の抵抗は、全く変わることなく続いている。
 名張事件と大崎事件の再審開始決定は、その後、取り消されて棄却され、福井女子中学生殺し事件にあった再審開始決定も高裁で逆転して棄却された。足利事件、布川事件、東電女子社員殺し事件と続いて出された無罪判決は確定したものの、警察も検察も、裁判も、何も変わらない。言うに事欠いた検察は「布川事件の二人が犯人であることは変わらない。自白と言う判断の難しい問題で裁判官の判断が違っただけだ」と公言している始末だ。
 これはなぜだろうか。
私は自分の背負わされた冤罪の原因を知りたくて国賠裁判をしているが、警察も検察も、その責任を認めるどころか、あわよくば国賠裁判で「有罪認定」を得ようとして、必死の抵抗をしているし、「これ以上の拘束は耐え難いほど正義に反する」と裁判所に言われた袴田事件でも、検察は「袴田を死刑台に連れ戻す」と嘯いている始末だ。
そして、国会では警察、検察の捜査権限を拡大し、新たな冤罪を生み出す刑事訴訟法等「改正」法案が上程され審議が続いている。私も、衆議院法務委員会で参考人として冤罪犠牲者を代表する思いで、この法案の危険性を指摘し廃案しかないと意見を述べた。今こそ、冤罪をなくすためにも検察改革こそ先決だ。

□宮城・北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件

白鳥決定40周年 「再審の扉を開く宮城県集会」に116人の参加!

6月20日、仙台弁護士会館4階大会議室において、仙台筋弛緩罪冤罪事件・守大助さんを守る会と日本国民救援会宮城県本部の共催で、「再審の扉を開く宮城県集会」が開催され、会場一杯の116人が参加、熱気あふれる集会となりました。県外からは、青森(7人)、秋田(2人)、福島(4人)、栃木(1人)、千葉(1人)、茨城(5人プラス桜井昌司さん)、神奈川(1人)、救援会中央本部(1人)、冤罪FILE(1人)の計24人が参加、県内からも弁護団4人をはじめ、女川町、石巻市、大崎市、富谷町、仙台市、塩竃市、多賀城市、七ヶ浜町、名取市、大河原町、蔵王町など全県各地から、県会議員、町会議員、死刑廃止連絡会みやぎ、などの広範な方々92人が参加、マスコミの取材もありました。会場カンパは、61、661円の協力がありました。
集会の前日19日、守大助さんの宮城守る会と救援会では、仙台高裁・嶋原文雄裁判長に対して要請行動を行い、全国から寄せられた署名を提出しました。この日、提出した署名は1万47名分、仙台高裁への署名の累計は、2万5700名となりました。
このたび(6月1日)、宮城の守る会と救援会によって発行された裁判資料集は、静岡・熱海での裁判交流集会、6・20集、等で好評発売中です。「救援新聞」6月25日号にも紹介されています。ぜひ、注文書を宮城県本部までください。(宮城県本部・吉田広夫)

「白鳥決定」40周年シンポジウム

 11月7日、東京・青山学院大学で開催が決定!

今年は、再審・冤罪事件のたたかいの中で大きな契機となった白鳥決定から40周年の節目の年を迎えました。全国的にも高裁所在地を中心に行事が取り組まれ、これまでに愛知、宮城、大阪で記念講演会などが開催されました。
東京でのシンポは、幅広く学者、元裁判官、弁護士、ジャーナリスト、文化人、冤罪事件の支援団体が結集して、実行委員会が結成され準備が進められています。
第1回実行委員会では、11月7日(土)午後1時~5時まで青山学院大学でシンポジウムを開催することが決定しています。次回7月16日の第2回実行委員会でシンポの企画内容が決定されることになっています。ぜひ、全国の事件関係者のご参加をお願いします。
今回の呼びかけ人は、下記の28氏です。前回20周年シンポと違い元裁判官経験者が呼びかけ人に加わったことが大きな変化だと思います。当日のシンポにご期待ください。

*「白鳥決定」40周年記念シンポジウムの呼びかけ人(28人、五十音順)
青木孝之(一橋大学教授、元裁判官)、秋山賢三(弁護士・元裁判官)、石塚章夫(弁護士・元裁判官)、泉澤章(弁護士・日弁連再審部会長)、江川紹子(ジャーナリスト)、大出良知(東京経済大学教授)、岡部保男(弁護士・元白鳥事件弁護団)、川崎英明(関西学院大学教授)、客野美喜子(なくせ冤罪!市民評議会代表)、木谷明(弁護士・元裁判官)、串崎浩(日本評論社、NPO刑事・少年司法研究センター理事)、後藤昭(青山学院大学教授)、桜井昌司(布川事件当事者)、白取祐司(神奈川大学教授)、周防正行(映画監督)、鈴木泉(名張毒ぶどう酒事件弁護団長)、鈴木亜英(日本国民救援会会長)、谷村正太郎(弁護士・元白鳥事件弁護団)、田淵浩二(九州大学教授)、豊崎七絵(九州大学准教授)、新倉修(青山学院大学教授、再審・えん罪事件全国連絡会代表委員)、西嶋勝彦(袴田事件弁護団長)、渕野貴生(立命館大学教授)、水谷規男(大阪大学教授)、村井敏邦(一橋大学名誉教授)、守屋克彦(弁護士・元裁判官、NPO刑事・少年司法研究センター理事長)、やくみつる(漫画家)、山本裕夫(弁護士、元布川事件再審弁護団)
 
【シンポジウムの日時、会場】
日  時  11月 7日(土)13時~17時  
会  場  青山学院大学 6号館2階 621号教室(定員350名)
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
交通機関  JR山手線、JR埼京線、東急線、京王井の頭線、東京メトロ副都心線「渋谷駅」より徒歩10分
東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)「表参道駅」より徒歩5分

裁判・集会・宣伝などの主な行動日程

7月15日(水) 東京・鈴村国賠訴訟口頭弁論(東京地裁立川支部 14時~)
7月15日(水) 東京・三鷹事件現地調査 禅林寺(JR三鷹駅南口徒歩15分)16時集合、
資料代500円
7月16日(木) 第218次最高裁統一要請行動
          朝宣伝 最高裁西門前  10時=民事・労働
          11時=刑事予定
7月23日(木) 刑事訴訟法等「改正」法案の廃案をめざす国会院内集会
           衆議院第2議員会館1階多目的ホール12時~14時
7月24日(金) 名張毒ぶどう酒事件要請行動
          13時半=名古屋高裁、15時=名古屋高検)
8月 9日(日) 愛知・豊川幼児殺人事件・田邉さんを守る会総会
          御津ハートフルホル(13時30分~)
           記念講演=佐藤博史弁護士
8月13日(木) 袴田事件東京高裁、高検要請
          11時30分(裁判所要請)、正午から裁判前宣伝 
          13時15分 弁護団激励行動  :三者協議後記者会見を予定
 
8月28日(金) 名張毒ぶどう酒事件要請行動
          13時半=名古屋高裁、15時=名古屋高検

9月 3日(木) 袴田事件東京高裁、高検要請
          12時~12時40分 東京高裁前宣伝 
          13時~       東京高裁要請
          14時~       東京高検要請
          15時15分~    弁護団激励行動  :三者協議後記者会見を予定
9月 4日(金) 布川国賠口頭弁論(東京地裁105号法廷 14時~)
9月10日(木) 名張毒ぶどう酒事件要請行動
          12時15分=名古屋高裁包囲集中行動
          13時半=名古屋高裁、15時=名古屋高検

*各地の事件の取り組みや日程を事務局まで通信をお寄せください。
                      zuke@kyuenkai.org
* 次号「ニュース」は、2015年9月上旬頃に発行する予定です。

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