えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.74再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2015年 9月29日発行 No.74


□三重 名張毒ぶどう酒事件

名古屋高裁集中行動に400人が参加

一日も早く再審開始を求める

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 1969年9月10日、名古屋高裁は奥西勝さんに対し、一審の無罪判決を破棄して、死刑判決を言い渡しました。死刑判決から46年目にあたる9月10日、一日も早い再審をめざして「名古屋高裁集中行動」がおこなわれました。
当日は台風18号が通過し、晴れ渡るもとで、北海道から岡山まで18都道府県から400人を超える支援者が駆けつけ、裁判所前でのぼりや横幕を掲げ、アピールしました。多くの報道陣が集まりました。
 行動では、国民救援会愛知県本部の渥美雅康会長のあいさつ、弁護団報告につづき、袴田巖さんの姉・秀子さんが「がんばれ奥西さん」と声を振り絞り、布川事件の桜井昌司さんは「検察が50年以上も証拠を隠し続けているのは許せない」と抗議しました。特別面会人の稲生昌三さんから奥西さんの近況が報告されました。「奥西勝さんの生あるうちの救済を心から求めます」とアピールが読み上げられ、最後に、参加者は裁判所に向かって、「ただちに再審開始を決定せよ!」と声を上げました。
 集中行動後、裁判所・検察要請と栄など繁華街での宣伝に別れて、行動しました。
 要請行動では、「奥西さんは89歳で拘束する必要はない。直ちに釈放を」「人道的には帝銀事件の平沢さんのように獄中死させてはならない」「検察は隠しているすべての証拠を直ちに出せ」「宣伝でビラを配ると、『おかしな裁判だ』と言われる。市民は裁判所を見ている」、「奥西さんの容態を考えると、毎日胸がドキドキする、いますぐ自由の身に」など、参加者全員が訴えました。

 アムネステイー・インターナショナル日本

奥西さんを救えと国際署名を名古屋高検に提出!

 9月24日、「アムネステイー・インターナショナル日本」は、名古屋高検の田内正宏検事長に対して、今年6月15日から開始した名張毒ぶどう酒事件・奧西勝さんの第9次再審請求の一日も早い開始や証拠の全面的な開示、釈放など処遇改善を求める国際署名、3,267筆を提出し、要請を行いました。
 なお、午後3時より、名古屋司法クラブにおいて、この署名提出と要請内容の記者会見を行いました。記者会見で、アムネスティーの若林事務局長は、「死刑囚としての46年にわたる拘留は人道に反し、国際人権基準からも到底容認できず、自白は強要されたもので、拷問に匹敵するものであること、一審無罪、再審開始決定を一旦は受けたひとであること、今日、奧西勝さんは数度の危篤状態の中、声を失うとともに今や命さえ深刻な事態にあり、一刻を争って、再審開始決定を求める」と要請しました。また、アムネステイー・インターナショナルは、日本国内での支援事件は、袴田巌さんと奧西勝さんへの支援など3件を国際的な支援事件としていることを示していました。さらに、日本の遅れた人権情況についてふれ、国際的にも注目が寄せられていることを述べました。(特別面会人・稲生昌三)

□静岡・袴田事件

検察の即時抗告を棄却せよ! 9.3大宣伝・要請行動に80人

チャンピオン先頭に宣伝、東京高裁へ要請

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 9月3日、検察の即時抗告を棄却する決定を求める「袴田事件9.3大要請行動」(主催・袴田巖さんに再審無罪を求める実行委員会)に80名を超える支援者が参加しました。北海道、茨城、東京、千葉、神奈川、静岡、愛知、京都からも参加がありました。
この日の行動には、ボクシング関係者や冤罪被害者も駆け付け、袴田さんへの支援を呼びかけました。日本プロボクシング協会からは新田渉世事務局長をはじめ、田口良一・WBAライトフライ級チャンピオン、八重樫東WBCフライ級元チャンピオンもマイクを握って、「一刻も早く再審無罪を勝ち取ることを願っている」「まだ闘いは終わっていない」と訴えました。
 そして、冤罪被害者として布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さん、名張事件の奥西勝さんの特別面会人の稲生昌三さんも連帯のあいさつを行いました。国民救援会の安井純夫東京都本部会長らが、検察の即時抗告を厳しく批判するとともに、東京高裁が画期的な静岡地裁決定を確定し、袴田さんを死刑囚から一日も早く解き放すべきと力説しました。

 三者協議で、東京高裁がDNA検証実験の有効性について専門家の意見を聞くことを提案

 9月3日、東京高裁第8刑事部(大島隆明裁判長)で三者協議が開かれました。8月の三者協議で東京高裁が検察側の主張に沿う方法で、本田教授のDNA鑑定方法の検証実験を実施する意向を初めて示したこともあり、三者協議の結果にマスコミも関心が高まる中で開かれました。
 弁護団は、この日の三者協議にあたって「検証実験に対する意見」を東京高裁に提出し、検証実験に反対の立場をあらためて明確にしました。
 弁護団は、同意見書の中で、
  ①本件鑑定資料である「5点の衣類」には、新鮮な唾液ないし体液が混在していたという事実はなく、したがって検察・裁判所が古い血液に新鮮な唾液などを混在させて、本田鑑定の血液由来の選択的抽出法を検証する実験はそもそも条件設定を確定することができないので検証実験そのものが無意味であること。検察官が主張している、古い血液に新鮮な唾液を垂らして「疑似的混合試料」を作っての検証実験は本件との関連性はなく、反対である。
  ②即時抗告審は、静岡地裁が行った再審開始決定に不合理な点があった否かについて判断する場所であり、開始決定に不合理があることを検察官が証明すべきである。にもかかわらず、裁判所が検察官の主張を補強するために、検察官の証拠請求に応じて裁判所が職権で鑑定を行うことは、無辜の救済という再審制度の趣旨からおよそ許されない。
  ③それでも職権で裁判所が実証実験を行うというのであるならば、選択的抽出方法の考案者である本田鑑定人抜きでの条件設定や実験には反対である。
  ④ましてや、捜査機関が準備した試料での実験及び科捜研等捜査機関の関与した実験は中立性・公正性が確保できないので反対である
との意見を表明したことを、夜の弁護団報告会で明らかにしました。
協議の結果、裁判所は、弁護団の主張に反論ができずに、選択的抽出方法の検証実験の有効性について、専門家の意見も聞いて判断したいと提案し、検証実験につては合意に至りませんでした。
また、弁護団は、あらためて①全証拠の標目の開示、②取調べ録音テープの作成経過の捜査報告書等の開示をあらためて検察、裁判所に求めました。
弁護団と支援者の道理ある批判で裁判所も動揺
9月3日、午後5時半から日弁連会館で「即時抗告審についての弁護団報告会」が開かれ、50名が参加しました。集会では冒頭、西嶋勝彦弁護団長から袴田事件への引き続く支援が訴えられ、小川秀世事務局長がこの間の3者協議の流れと弁護団の活動について報告をしました。
質疑のなかで、参加した弁護士からは「裁判所は、弁護団の検証実験が必要ないという意見に対して、合理的な反論ができず職権で決定することもできず動揺している。これだけ無実の証拠と捜査機関の証拠のねつ造、自白強要の違法捜査が明らかになっている事件で、ここにこそ裁判所がメスを入れるべきとの世論を結集することが大切」との発言。また、「市民の常識からみた袴田事件について、支援者一人ひとりが自分の言葉で手紙を書いて、動揺する裁判官の背中を押して激励する手紙運動をやろう」との発言もありました。
これまでの裁判所への署名、要請行動が力になっていることを報告集会で確認しました。引き続き、ご支援をお願いします。

袴田事件の再審請求を「迷走」させる裁判所

小石勝朗(ライター)



 「袴田事件」の再審(裁判のやり直し)を始めるかどうか、東京高等裁判所(大島隆明裁判長)の審理が前に進まない。傍で取材している立場から見れば「迷走」とも受けとめられる状態だ。しかも、やや危ない迷走である。

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 1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑判決が確定していた元プロボクサーの袴田巖さん(79歳)に、静岡地方裁判所が再審開始を認める決定を出したのは、昨年3月のことだった。検察がこの決定を不服として即時抗告したため、審理は東京高裁で続くことになった。
 その後の経過は断片的に報道されるだけなので、一般の方々にはなかなか理解しづらいのかもしれない。袴田さんが釈放されたこともあり、街頭で支援活動を取材していると「無罪が決まったんですよね」と声を掛けられることもあるが、いまだに再審は始まっておらず、袴田さんの身分は「確定死刑囚」のままだ。東京高裁の審理が最初のヤマ場に差し掛かっているので、改めて現況を報告したい。
 「少し紛糾しました」
 7月10日に開かれた裁判所と検察、弁護団による三者協議。終了後に記者会見した弁護団は控えめに協議の様子を紹介した。しかし、その内容を説明する言葉からは、裁判所との間で厳しいやり取りがあったことがうかがえた。
 たとえば、こんな具合だ。
 「裁判所はこれまでの議論を抜きに、実験を実施することが決まっているかのような言い方をした」
 「裁判所が思いつきで実験をやりたいと言っているのに等しい状況を危惧する」
 「誰もやったことがない未知の実験。裁判所がやってみたいから実施するというのでは無責任だ」
 ここで実施するかどうかがテーマになっているのは、DNA鑑定の一手法である「選択的抽出方法」の検証実験である。
 選択的抽出方法とは、唾液や皮脂、汗が混じっている可能性のある血痕から、血液に由来するDNA型を選り分けて取り出す方法のこと。静岡地裁が実施した「5点の衣類」(袴田さんの犯行着衣とされていたシャツ、ズボンなど)に付いた血痕のDNA鑑定で、弁護団が推薦した法医学者・H氏が用いた。そして、袴田さんのものとされていたシャツの血痕のDNA型が、袴田さんとは別人のものとの結論を導いた。
 H氏の鑑定結果は地裁の再審開始決定で「新証拠」と認められ、死刑判決の決め手とされていた「5点の衣類」が袴田さんの犯行着衣ではないことを裏付ける根拠となる。これに対して検察は「選択的抽出方法はH氏独自の手法で有効性がなく、信用できない」と反論し、この方法の有効性を確認するためとして裁判所に求めているのが検証実験なのだ。
 これまでの東京高裁での審理では、検証実験を実施するかどうか、実施するとすればどんな方法を採るのかをめぐって、議論が続いてきた。
 弁護団の説明をたどると、裁判所は選択的抽出方法の検証実験について、当初は「少し気になるので疑問をそこだけ確かめたい」といったニュアンスだったそうだ。やがて「検討する必要がある」に変わり、弁護団との「押し問答」の末、それを退けるかのように「職権的に実施することを強く希望する」となった。それがなぜなのか、外部からは知る由もないが、少なくとも弁護団から見れば「検察寄り」とも取れる訴訟指揮に違いあるまい。
 弁護団は一貫して検証実験に強く反対してきた。選択的抽出方法はあくまで鑑定の効果を高めるためにH氏が使った「補足的な手順」であり、それがなかったとしても結果に変わりはなかったことを強調した。「すでに世界的に受け入れられており、科学的な合理性は十分」「即時抗告審の性格上、(検証実験のように)事実調べをやり直すことは想定されていない」とも主張した。
 しかし、裁判所の実験実施の意思が固いことがはっきりしてきた今春以降、弁護団は「絶対反対」の姿勢を転換し、「条件闘争」に移ることを決める。何より「このままでは東京高裁での審理が長期化し、早期の無罪獲得をめざす袴田さんのためにならない」と考えたという。背景には、検察が有利になるような条件で裁判所に検証実験の実施を決められかねない、との危機感があったようだ。
 そこで弁護団が提案したのは、検察から依頼を受けて独自に実験を行い「選択的抽出方法では20年前、16年前の血痕からDNAを抽出すること自体が困難だった」との意見書を東京高裁に出した法医学者・A氏と同じ血痕・同じやり方で検証実験をすることだった。A氏とは逆にDNA型を検出できれば「選択的抽出方法が古い血液からDNAを取り出すことを阻害しない」と確認され、「有効性がない」との検察の主張を否定できると立論した。
 一方、検察の提案は、科学警察研究所(科警研、警察庁の機関)が保管している10年前の血液に唾液を垂らして試料を作り、選択的抽出方法で血液のDNAを取り出せるか確かめる内容だった。弁護団は「DNAは時間の経過とともに減っていくので新しい唾液の方がDNAの量は多く、唾液のDNAを検出させるための誘導的実験だ」と強く反対した。
 ところが、裁判所は検察案をもとにした実験法を提示する。10年前の血液に混ぜる唾液の量を少なくする方式だ。弁護団の提案が古い血液だけを使うやり方だったのに対し、裁判所は古い血液と別の生体試料(唾液、皮脂など)を混ぜることにこだわったという。
 これを受けて、検察は新たな方法を持ち出した。DNAの量が古い血液と同じ比率になるように、混ぜる唾液の量を減らして試料(疑似的混合試料)を作るというものだ。検察は6月末に、この方法の正当性を主張する科警研の意見書を提出。冒頭で紹介した7月10日の三者協議では、この意見書をめぐって議論が交わされ、検察の提案に好意的な裁判所に対して、終了後の会見で弁護団の不信感がにじみ出たのだった。
 弁護団は、疑似的混合試料による検証実験に強く反対している。40年以上も前に味噌タンクから発見された「5点の衣類」に付いた血痕のDNAの量や劣化の程度は科学的に推定できないし、他の生体試料の付着の有無、時期、種類、量、状態は不明だ。だから「5点の衣類と同等もしくは類似すると評価できるような条件設定はそもそも不可能」と指摘したうえで、「試行錯誤で検証実験を行ったとしても『結果』の評価をめぐってさらに複雑な論争が生じるだけ」と主張している。こちらの方が、説得力があると思う。
 弁護団が不信感を募らせるのは、裁判所が何のために選択的抽出方法の検証実験に前のめりになるのか、その目的が明確にされていないからのようだ。
 たとえば、静岡地裁の再審開始決定が間違っているとみているからなのか、それとも鑑定手法としての有効性を入念に確認しておくためなのか。それによって、求められる検証実験のやり方や精度は当然変わってくる。目的がわからないまま実験をしても、その結果がどう利用されるのか疑心暗鬼になるばかりだろう。
 東京高裁は早ければ次回・8月13日の三者協議で、検証実験の方向を示すとみられている。「何をどこまで審理するのか、枠組みを決めてから議論しましょう」という弁護団の言葉に、きちんと耳を傾けるよう求めたい。
 ところで、何度も語られているが、袴田事件のおかしな点は静岡地裁が新証拠と認めた2点に限らない。再審請求審の過程でも、新たな事実が相次いで判明している。
 たとえば、装着実験で袴田さんには小さくて履けなかった「5点の衣類」のズボンに付いていたタグの「B」が、サイズではなく色を表していたこと。大きなズボンが味噌に漬かって縮んだのではなく、最初から小さいサイズだったのだ。しかも、検察はそのことを知っていたのに、もとの裁判では隠し通していた。
 袴田さんが逮捕されて5日目の弁護士との接見の様子が、警察によって盗聴・録音されていたことも明らかになった。刑事訴訟法が保障する「秘密交通権」の侵害という重大な違法行為である。自白を取らんがための1日平均12時間にも及ぶ起訴前の無理な取り調べと合わせて、違法を重ねた捜査の状況が改めて浮き彫りになりつつある。
 裁判所は、再審請求の審理をことさら技術的な論点に矮小化させることなく、証拠上も明らかなこうした諸状況も勘案し、速やかに大局的な判断をしてほしい。

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 *この原稿は、小石勝郎さんに同意のもとで、同氏が開設している「ウェブサイト『マガジン9』からの転載」です。「週刊金曜日」(8月28日No1053号)に、
「再審開始取り消しの恐れも」と題する同誌の記事が掲載されています。

□大阪・東住吉冤罪事件

一日も早い即時抗告棄却、再審開始に向けて引き続き、全国から署名を集中してください

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 「最終意見書の提出から4か月以上が過ぎ、未だ結論が出ていないというのはどういうことか。青木さんや朴さんの気持ちをどう考えているのか」、「一度は『刑の執行停止決定』を受けた獄中の青木さん、朴さんの心情を考えて、人道的観点からも一刻も早く決定を出すべきではないのか」等々と裁判所に詰め寄る場面が毎回のように見られます。
 国民救援会大阪府本部が、毎週月曜日に府下6つのブロックが順次担当して、東住吉冤罪事件の係属する大阪高裁第4刑事部・米山正明裁判長のもとに要請行動を行うことを決め、第一回目となったのは、最終意見書の提出以前の3月9日。その後毎週月曜日に欠かさず行い、早くも半年が過ぎました。
 三者協議の内容などから照らして審理は十分に尽くされた、朴さんの放火の可能性は減殺され、且つ自動車からのガソリン漏れの可能性、その機序についても明らかになったこと等から検察の即時抗告は直ちに棄却されてしかるべきだという声が、マスコミ関係者やその他多くの人たちからも上がり、弁護団や支援する会をはじめ私たちも早期に結論が示されるだろう、遅くとも8月末までにはと大きな期待を寄せてきました。
 これまで継続的に東住吉冤罪事件を追い続けてきたTV局のみならず在阪の多くのマスコミ関係者が、「その日」をめざして獄中の二人への面会を試み、いくつかの局では「開始決定間近」とのニュアンスの番組も放映されました。ますます期待は膨らみました。ところが大方の期待を裏切り、9月7日現在、裁判所の応対には何の変化もありません。
 要請は今も毎週連続して行い、9月7日で25回を数えます。参加者は延べ178人になりました。提出された署名は個人が累計51、517筆、団体が763団体となります。
 7月の中央委員会時には、未だ署名が0もしくは一桁という県が数県ありました。しかし、再審開始への射程距離が最短だと思われるこの東住吉冤罪事件で、開始決定を実現することが、袴田事件や名張事件、さらにはすべての再審冤罪事件の勝利につながるとの意思統一のもと、今では全都道府県本部から次々と署名が届いています。直近では香川県から200筆を超す署名が届いたと、支援する会のみなさんから喜びの声が上がりました(ほぼすべての都道府県から協力が寄せられた)。
 地元大阪では、引き続き毎週月曜日を定例の要請行動日とし、全国から届けられた署名を携えて、「決定日」の明らかになるその日まで、大阪高裁第4刑事部へ足を運び続けようと考えています。
 何よりも署名が途切れては勝負になりません。改めて、署名の集約を心よりお願いいたします。再審裁判開始の日まで、全国のみなさんのご支援を、よろしくお願いいたします。(関西たんぽぽの会・伊賀カズミ)


□滋賀・日野事件

新たに80数点の証拠を開示させ、阪原さんの無実がいっそう明らかに

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 酒店の壺入り客(常連客)だった阪原さんが、女主人を殺し手提げ金庫を奪ったとされる日野町事件は、無実を叫び続けながら獄中で無念の死を遂げてから4年と5カ月が過ぎました。遺族が二次再審を申し立ててから3年5カ月になり、この間弁護団の証拠開示請求が精力的に行なわれ、手提げ金庫発見現場の引当て捜査(被疑者を同行させて事件現場の説明を求める)をの写真が順番を入れ替えたものであることが、ネガの開示(ネガは時系列に写っている)によって明らかになりました。検察が法廷に出した捜査報告書は、現場近くの路上に軽トラックを停め、山中を歩いて発見現場に到達する写真が19枚貼付されていますが、ネガと対比させたところ、8枚が帰りの写真を現場に向かうかのように入れ替えられ、偽造されていたことが分かりました。また阪原さんが進行方向を指示している写真が一枚もなく、さらに阪原さんが知らずに現場を通り過ぎていたことも分かりました。この一事が審理を打ち切ろうとしていた裁判所の姿勢を大きく変える結果となりました。以後、弁護団は80数点の証拠開示をさせ、不可解、不自然、不合理な証拠構造であることを解明しました。
 警察は当初、被害者が自分の意思で外出し、店外で殺害されたとみていましたが、その後店内犯行説に変わり、そのためには店舗出入口の施錠が障害となったため、店員の施錠に関する供述を「閉まっていた」から「閉まっていたかどうか分からない」と変更させています。また警察は阪原さんの行動について、遺体の解剖記録に殺害時刻と殺害方法を符合させ、かつ殺害場所は店内であるとし、殺害後その足で日野町内の宅地造成地に捨てに行き、いったん酒店に戻り、明け方近くに店舗にあった手提げ金庫を奪って逃亡し、日野町内の山林に捨てたあと自宅に戻ったとしています。阪原さんはその時、その現場にいたのか否か。阪原さんは事件当夜、在所の真光教女性信者宅で酒盛りに加わり、酔いつぶれて朝まで寝ていたのです。この日、真光教を信仰していた阪原さんは午後から女性信者とともに隣町に行き病気平癒のお浄めを行ない、女性信者を自宅に送り届けたところ、酒盛りが行なわれており「お前も呑め」といわれて上り込み、酔いつぶれたのです。この日に酒盛りがあったことは物的証拠があるのですが、同席した人が「阪原は来ていない」「そんな人は見たこともないし知らない」と否定する証言を行なっています。そして警察は、「お浄めが行なわれたのは事件翌日(12月29日)であり阪原はウソを言っている」とし、お浄めを行なった家の関係者から「28日(事件当夜)ではない」との供述をとっています。しかしこれには物的証拠による裏付けは何もありません。弁護団が、警察が保管しているであろう物的証拠の開示請求を行なったところ、検察の回答は「存在しない」でした。
 一方、被害者の事件当夜の行動について新たな発見がありました。被害者が遺体で発見されたときの着衣は、店員や支払に訪れた客の証言から失踪前のものとは異なっており、その着衣は汚れた状態で酒店店舗の離れにありました。服を着替えたのは、支払いに訪れた客のあとに生命保険外務員が保険の更新に訪れ、被害者と同居する叔母とともに酒食をしたとき、被害者が失禁し服を汚して着替えていたことを証言していたのです。このあと被害者は、外務員と連れ立って公衆浴場に行ったことになっているのです。そして外務員が被害者の印鑑をもらうために翌日被害者方を訪ねたとき「人がいっぱい集まっていたので寄らずに帰ってきた」と証言しています。つまり被害者失踪の連絡を受けた親戚や近所の方が集まっていたことと符合するのです。またこれとは別に、事件当夜、被害者と公衆浴場で出会い会話をしたという情報が弁護団に寄せられており、事件当夜の被害者の行動がつながってきたのです。こういったことから阪原さんは事件当夜、被害者店舗には行っておらず、在所の知人宅で泊まったというアリバイは動かし難いものとなっています。
 前述の金庫発見現場引当捜査の写真偽造も大問題ですが、金庫発見の通報を受け、警察が行なった実況見分調書では、金庫は道路から崖下に放り投げたように内容物の紙片などが斜面に点々と落ちていたとなっているのに、調書に貼付された写真はその様子を撮影したものがなく、内容物は持ち帰って別の場所で撮影されたものが貼付されているのです。弁護団が実況見分のネガの開示請求を行なったところ、ネガシートの整理番号が飛んでおり、肝心の斜面に点々と落ちている様子が写っていると思われるものが「紛失している」との回答でした。これは阪原自白が、崖下の松の木の根元でホイルレンチを使って金庫を壊したとなっていることと実際の現場の様子が矛盾することになるため貼りかえられた疑いがあります。さらに警察は被害者の爪6片及び科捜研の受領書も紛失しています。今の技術水準なら微量でもDNA鑑定が可能です。阪原自白では、手で首を絞めた、となっているため被害者の爪に阪原さんの皮膚片が残っているかどうかは重要な問題です。また遺体の手首を結んであったポリプロピレン製のヒモについて、阪原さんが逮捕直後に行なわれた実況見分において、結び方の再現実験で作成されたものも紛失しています。遺体に残されたヒモは、結び目をつくらない特殊な結び方になっているため阪原さんが同じものを作ったかどうかは大変重要な問題です。
以上のように、雌雄を決するような大事な局面で、証拠紛失が多いのです。逆にいえば、このような大事な局面においてこそ有罪の決定的証拠が一審の審理で出されてしかるべきところ、それがないのです。日野町事件はそもそも阪原さんを犯人と断定する証拠はありません。また真犯人しか知りえない秘密の暴露もありません。一審大津地裁は、自白は信用できないとして法廷外で検察官に殺害時刻と殺害場所をぼかすよう予備的訴因の追加を勧告しました。予備的訴因の追加は二回にわたって行なわれ、いつどこで殺されたか分からないようにして裁判所は有罪判決を下したのです。再審弁護団はネガとアリバイのプロジェクトチームを編成し、問題点や課題を深めています。えん罪は権力による重大な人権侵害です。辛かったであろう阪原さん本人と家族の思いを、再審開始の決定をもらうことで晴らし、名誉の回復を成し遂げ、ずさんな捜査とそれを追認した裁判所の責任を問いたいと思います。(滋賀・えん罪日野町事件再審無罪を求める会 事務局長・川東繁治)


□茨城・布川国賠裁判

県警の主張が崩れる! 証拠の全面開示を

 9月4日、布川国賠の第11回口頭弁論が開かれ、弁護団が文書提出命令申立書の補充書を二つ提出しました。その一つが、ポリグラフ検査記録紙等について、昭和61年の那珂川の氾濫で流失し現存しないという、警察が出した意見書が虚偽であることを指摘する書面です。
 先日、弁護団と桜井さんが、捜査資料が保管されていた根本町倉庫に行き、現地調査したところ、根本町倉庫のある土地を警察に売り、現在も隣に住んでいる人から那珂川の氾濫について話を聞くことができました。その方は、洪水の時家にいて様子を見ていたが、水はひたひたと増水して1階の桟のところあたりに達し、また引いていったということで、窓ガラスが割れることもなかったというのです。これにより流失したという警察の話が嘘であることが明らかになりました。
 また、「茨城県警察文書等取扱いに関する訓令」により、保管文書については台帳があり、保存期間も定められ、廃棄するときには帳簿を作成することなど詳細に規定されており、記録されずになくなるなどということは考えられないことも指摘したとのことです。
 さらに、弁護団は、文書提出命令申立に関連して、水戸地裁土浦支部での再審請求審当時の担当検事であった園部典生検事の証人申請をしました。

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 検察・警察が次回の進行協議までに意見書を提出することになり、その上で裁判所が文書提出命令についての判断を下す見通しです。国賠の提訴以来続けてきた証拠開示の闘いは、地裁での最終段階を迎えました。次回の口頭弁論は、12月16日(水)15時から東京地裁103号法廷で行われます。
 全国のみなさん、引き続きご支援をお願いします。(布川国賠を支援する会事務局・山川清子)


□福井・福井女子中学生殺人事件

「法服を脱いでから見えた裁判」 丹羽元裁判官が金沢で講演

 福井女子中生殺人冤罪事件で、国民救援会、富山、石川、福井県の3県本部共催の第2回福井女子中学生殺人事件の学習会が、7月11日(土)午後、金沢市で開かれました。今回の学習会では、この事件の一審無罪判決に関与した丹羽日出夫さん(元裁判官、現在弁護士)が、「法服を脱いでから見えた裁判」と題して記念講演を行いました。講演会には、59人が参加しました。
 丹羽さんは、「『真理を求め、憲法の精神を守るために力を尽くす』ことが憲法76条3項にいう裁判官の『良心』である。自分はそれ以外の余計なことは何も考えなかった。福井事件では、有罪とすべき証拠が何もなかったから、無罪判決を書いただけである」と述べました。また、「裁判官にも、出世したい、ミスはしたくない、できるだけ省力したい、などの欲望があり、(最高裁はこれを裁判官の人事管理に利用して)「寄らば大樹の陰」的な判決を助長する」と付け加え、『良心にのみ従う』厳しさを示唆しました。
 質疑応答の中で、一聴衆として参加していた前川彰司さんは、「福井事件で無罪を頂いた前川です。当時25歳、なぜ自分が殺人罪の容疑を掛けられたのかと、苦しんでいた中での無罪判決でした。本当にありがとうございました」と述べました。
 丹羽さんは、「立派なあいさつに感激しています。苦しかっただろうと思います。」と、その後、逆転有罪となった前川さんに激励の言葉をかけました。
 また、学習会を通じて、北陸各県で福井女子中学生殺人事件の第2次再審請求にむけて各地に支援する会の結成にむけて取り組みも確認されました。

第2次再審請求で勝利をめざし、「前川彰司さんを守る福井の会」を結成

 9月5日、「前川彰司さんを守る福井の会」結成総会が福井県教育センターで開催され、75人の参加がありました。
 総会では、木原和冶準備会事務局長が結成までの経過報告、会則、役員の提案を行い、確認されました。役員には、会長に吉川健司氏、副会長に岩尾勉、屋敷紘美、山野寿一の各氏、事務局長に木原和冶氏を選出しました。
 前川彰司さんは、事件当時の自分の生活態度や事件に巻き込まれた経緯を語りながら、『事件の不条理を正すには大勢の団結の力が必要です。事件勝利まで頑張りますので、ご支援お願いします」と、決意を述べました。

「白鳥決定」40周年シンポジウムの成功を!

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 今年は、再審・冤罪事件のたたかいの中で大きな契機となった白鳥決定から40周年の節目の年を迎えました。全国的にも高裁所在地を中心に行事が取り組まれ、これまでに愛知、宮城、大阪、北海道で記念講演会などが開催されています。
 東京でのシンポは、幅広く学者、元裁判官、弁護士、ジャーナリスト、文化人、冤罪事件の支援団体が結集して、「白鳥決定』40周年シンポジウム実行委員会が結成され、シンポの準備が進められています。
 同実行委員会では、11月7日(土)午後1時~5時まで青山学院大学でシンポジウムを開催することが決定しています。実行委員会でシンポの企画内容が決定されることになっています。ぜひ、全国の事件関係者のご参加をお願いします。
 今回の呼びかけ人は、下記の28氏です。前回20周年シンポと違い元裁判官経験者が呼びかけ人に加わったことが大きな変化だと思います。当日のシンポにご期待ください。
    【シンポジウムの日時、会場】
 日  時  11月 7日(土)13時~17時
 会  場  青山学院大学 4号館2階 420号教室(定員350名)
       *大学の都合により、6号館から上記の教室に会場が変更となりました。
       〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
 交通機関  JR山手線、JR埼京線、東急線、京王井の頭線、東京メトロ副都心線「渋谷駅」より徒歩10分
       東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)「表参道駅」より徒歩5分

file※ 白鳥決定40周年シンポチラシ
file※ 白鳥決定40周年シンポの賛同と募金のお願い

裁判・集会・宣伝などの主な行動日程


                        
10月 3日(土)  日野町事件弁護団報告会(日野町・比佐公民館 14時~17時)
10月 7日(水)  2015年9月15日司法総行動(終日行動)
           東京・千代田区「日比谷図書館地下ホール」10時半 事前打ち合わせ
10月10日(土)  桜井昌司「想い歌コンサート」
  (日比谷図書文化地下ホール13時30分~)
10月14日(水)  天竜林業高校成績改ざん事件・元町長証人尋問
  (静岡地裁浜松支部・非公開)
10月15日(木)  袴田事件三者協議(東京高裁10時30分~)
           *高裁、高検要請行動予定(詳細は追って連絡)
10月17日~18日  鹿児島・大崎事件第17回全国現地調査
10月23日(金)  名張事件要請=名古屋高裁(13:30)、名古屋高検(15:00)
10月24日~25日 大仙市事件第5回全国現地調査(詳細は秋田県本部まで)
           *24日、13時30分に国民救援会秋田県本部に集合
11月 7日(土)  「白鳥決定」40周年シンポジウム
           青山学院大学4号館420号教室(13時30分~16時45分)
11月11日(水)  名張事件要請=名古屋高裁(10;00)、名古屋高検(14:00)



*各地の事件の取り組みや日程を事務局まで通信をお寄せください。
                      zuke@kyuenkai.org
* 次号「ニュース」は、2015年11月中旬頃に発行する予定です。

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