えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.76再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2016年 1月26日発行 No.76

一歩を拓く 協働の力を

新倉 修(青山学院大学教授 / 再審・えん罪全国連絡会共同代表)
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明けましておめでとうございます。
戦後70年を経て、また新しい年を迎えました。白鳥決定から40年という節目も、みなさまのご協力によって、たいへん充実したシンポジウムを開催することができました。また同時に、参加者一同の総意を体した<「白鳥決定」40周年に際して、再審の権利とえん罪の根絶を求める決議>にも触れられているように、多くの課題がまだ眼前にあります。
それでも、袴田事件の再審開始決定に続いて、東住吉事件の再審開始決定では、刑の執行停止と釈放を命じる成果をあげたことは、特筆に値いします。確定有罪判決sakayaに疑いが生じた以上、えん罪の犠牲者をいつまでも刑事施設に収容しておくことは、有罪の推定を維持することになり、無罪の推定に導かれる再審開始決定とは相容れないという理解が、裁判官の間でも当たり前のことになってきたとも言えましょう。これが、本人や家族の強い気持ちと、たゆまぬ訴えかけと、これを支える弁護団や救援組織、支援者の大きな輪が生み出したものであることは、間違いありません。ヨーロッパの言語にあるように、裁判と正義が握手する状況が日本でも生まれつつあるのでしょう。また比喩的に言えば、正義の女神(ユスティティアないしテミス)は、公正を期するために目隠しをしましたが、ことここに及んで、今やしっかり両眼を見開いて、無辜の者に対して、厳粛にも、無罪の判決を下すという状態になりつつあるとも言えそうです。言い換えれば、裁判官の眼は節穴ではないよ、と心ある裁判官は、きっとつぶやいているのでしょう。そのつぶやきをもっと大きな声に変えていくことが、私たちに求められているわけです。
とはいえ、布川事件の杉山卓男さんがなくなり、名張事件の奥西勝さんがなくなり、ある意味、寂寥の感があることは否定できません。とりわけ奥西勝さんの無念は、言葉に尽くせないものがあります。映画「約束」の最後の場面で、名優仲代達矢さんは、「死んでたまるか」とセリフをはき出すように、しかも強く発話しました。あの場面は、まさに奥西さんの心情を的確に表したものであり、兄の気持ちを受け止める岡さんの心境でもあり、私たち一人ひとりの心根でもあります。私も八王子の斎場で最期のお別れに参列をして、語りかけるようなお顔を拝見し、表情に込められた無念さを改めて共有し、肉親の「どうぞ兄を助けてやってください」という言葉を受け止めて、力強い再審請求を今後も絶やしてはならないという決意を新たにした次第です。
また、桜井昌司さんが取り組んでいるように、えん罪を作り上げた警察・検察をはじめとする国家機構に対する真摯な反省と謝罪は、是非とも実現しなければなりません。受刑者には年金受給資格がないという社会保障の欠陥も、実際に、長期間の服役を強いられて来た、えん罪被害者の境遇を見ると、非人間的な処遇の矛盾が露呈しているように思われます。どんなにひどい誤判であっても、刑事補償だけで片付けられて、責任者の処罰や懲戒もなく、第三者による検証作業もなされず、失敗から学ぶ仕組みがないというのは、ある種の絶対的な免責を用意しているようなものであって、「代用監獄」制度を使って自白追及に終始する取調べは、拷問禁止委員会のドマ委員が鋭く批判したように、まさに中世の糾問裁判と変わらないと言わざるを得ません。人権を十全に尊重した刑事手続きを運用できないような、レベルの低い公務員しかいないとしたら、公務員は全体の奉仕者であるという憲法の規定も、空洞化しているのではないでしょうか。
そこで耳寄りなニュースがあります。一つは7月の参議院選挙です。これに向けて、候補者や政党に、えん罪防止や無辜の救済について意見を問い、選挙公約に盛り込むよう働きかけるという課題が考えられます。

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もう一つは、10月に福井で開かれる日本弁護士連合会が主催する人権擁護大会で、死刑の廃止と刑務所の処遇改善をテーマとしたシンポジウムが予定されています。ここに向けて、えん罪による死刑の危険や刑務所での処遇問題に関心を持って取り組むのも、市民運動をいっそう広げる絶好の機会ということができます。
本年も、みなさんと一緒に、さらに多くの市民にえん罪・再審問題への関心を持つように呼びかけましょう。「一歩を拓く」気持ちを行動で示したいものです。(2016年1月14日脱稿)

新年のあいさつ

東住吉冤罪事件再審請求人・ 青木惠子さん

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東住吉冤罪事件再審請求人・朴 龍皓さん

支援者の皆さん、 明けましておめでとうございます
10月23日と26日は、生涯忘れることのできない特別な日になりました。あの再審開始決定と執行停止決定は素晴らしい決定で、3年間の即時抗告審の審理で弁護団や専門家、支援者の皆さんが力を尽くして下さったからこそのもので、そのお陰で高裁の裁判官も踏み込んだ決定を出すことできました。現実に釈放されたのも、検察が特別抗告を断念せざるを得なかったのも、そのお陰です。本当に心から安堵するばかりで、こんなにも感謝せずにはいられないことはありません。裁判官を始め皆さんには、心から深くお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
毎日が新鮮で、毎日が驚きで、毎日が勉強です。こんなにも自由が貴重で尊いものだったんだと身に沁みるばかりです。この自由を守るためには、もっともっと自分を鍛えていって、器の大きい人間にならないといけないと、心を引き締めて生活しています。自分の人生を守ることができるのは自分なのですから、嘘の自白をした時のように自分自身に負けるようなことを二度と繰り返してはいけないと、自分を戒めています。このように自由の身になって、なおさらのこと痛感しています。
こうして自由の身で生活できるのが本当に有り難くて有り難くて、感謝することこの上ないです。この自由を取り戻すのに、とほうもない労力が払われています。それだけに、これからの人生を無為なものにしてはいけません。良いものにするか悪いものにするかは、再審無罪が確定するまでの生活の取り組みの努力次第だと思っています。それは新しい闘いになるので、獄中の闘いで自覚した生き方を活かしていきたいと思っています。電気工事の職人の誇りに恥じない生き方をしていくことです。
本来ならば、皆さん一人一人に挨拶に伺いたいところですが、自由の身になったとは言え、再審公判を受けている身ですから、今は控えています。
あれから3か月近くになりますが、獄中とは別世界で、それを最も実感するのが、食事です。今は、何を食べても美味しいです。いろいろ料理をしていますが、手作りしたトマトソースが最も良い出来栄えでした。お袋や妹から好評を得られました
自由の身となって初めて正月を迎えることになりますが、ようやくリラックスして年末年始を過ごすことができるようになりました。この正月の経験は、決して忘れることができないでしょう。
これから再審公判の審理が本格的に始まります。再審無罪が確定するまでは、気を緩められません。まだまだ皆さんからお力添えをして頂かないといけので、どうか今後ともご支援をよろしくお願いします。
いつも感謝しています。ありがとうございます。

平成27年12月24日記

*青木さん、朴さんの挨拶は東住吉冤罪事件の「ひまわり通信」より転載しました。

「今年こそ」

布川国賠裁判原告・桜井 昌司さん

毎年、刑務所で新しい年を重ねますときは、「今年こそ、勝利できるように!いいことがあるように!」との願いを持っていました。社会に帰って20年目の今年は、自分の国賠裁判などの闘いを通して、「今年こそ道を開きたい」との思いを強くしています。
私の国賠裁判は、全面可視化と全面証拠開示の実現を願っての闘いですが、当初から提出していました「文書提出命令(刑事裁判の証拠開示にあたる)」に付いて、やっと裁判所の判断が示されそうです。
ここで「文書は必要ない」と裁判所が言うことは、これまでの私たちに主張に証拠は必要なくて判断できると言うことになりますから、裁判的には勝利間違いなし、悪いことはでないでしょうが、なぜ私と杉山を犯人とする「布川事件」が作られてしまったのか、という裁判の行った眼目的部分は解明できなくなります。
これまでの私の裁判体験では、刑事裁判も民事裁判も、裁判システムは圧倒的に検察中心の法律になっていて、そこから生まれる検察の傲慢な態度こそ、司法の歪みや冤罪を作る原因になっていると教えられました。
再審裁判では、あちらこちらで検察の証拠隠しによって困難な闘いを強いられていますが、もし、総て再審で「全面的な証拠開示」が実現したならば、すべての再審が、たちどころに「無罪」となるのではないでしょうか。
再審の闘いは証拠開示の闘い、と言っても過言ではないでしょうが、自分が冤罪の立場になれば、誰でもが「総ての証拠を出せ、見せろ」と求めるはずですし、「証拠隠しは許せない」と思うはずです。ならば、社会は、「証拠を出せ、出せる法律を作れ」と求める者の味方です。
それは民事裁判でも同じです。警察や検察の違法行為を正すために裁判を提訴しても、その証拠を握る警察や検察は、自分たちの悪事を証明する証拠を出しません。それなのに民事裁判は「訴えた者に挙証責任がある」とされます。こんなバカげた裁判システムはないと、国賠裁判を続ける中で腹立たしい思いになっています。
今年こそ、証拠開示を実現する始まりの年にしたい!冤罪に苦しむ仲間の喜びの年にしたい!そう願って、出来る限りの闘いをします。

福井女子中学生殺人事件再審請求人・前川彰司さん

新春のお喜びを申し上げます。
何気ない毎日。それでも私たちは、エン罪というトランプに例えればジョーカーに等しい罪状書を背負って新年を迎えております。
ジョーカーは、引いてしまえば893のブタですが、切り札にも使えるとは承知の事実です。何事も心待ちひとつで明暗がわかれといったところでしょうか?
私は、一人のキリスト者として、私たちの住む社会はパラドックスであるということを学んでおります。曰く、世の中は逆説的であるということです。その意図するものとして、私は30代の人生で一番の働き盛りを、懲役(服役)という最高の形で勤め上げることが出来ました。これは、私の人生に大変大きな影響を及ぼすものとし、バックボーンとなっております。でも、どれだけ強がっても、私たちは所詮人間。心は空しいです。
今年も多くの方々に支えられ、冤罪の汚名を晴らすため前を向いて進みたいと思います。どうか今年もよろしくお願いします。

大崎事件第3次再審請求審

雪冤を晴らす「勝負の年」に

再審弁護団事務局長・鴨志田祐美弁護士

支援者のみなさま、明けましておめでとうございます。
大崎事件第3次再審の新年は、1月8日、検察側証人である法医学者の近藤稔和教授の証人尋問からのスタートとなり、弁護団は正月休み返上で始動しました。
振り返ると、第2次再審請求が最高裁の特別抗告棄却で終了したのは昨年2月2日のことでした。まだ1年も経っていません。第3次再審申立てまでわずか5か月、そして申立後半年もたたないうちに弁護側、検察側双方の鑑定人尋問がすべて終わっているというのは、再審手続きとしては極めて異例のことです。今年で89歳を迎えるアヤ子さんがご存命のうちに何としても再審開始を勝ち取りたいという弁護団の覚悟と決意が、この驚異のスピードの原動力であることは言うまでもありません。
裁判所も真摯に対応しています。申立当日に、裁判官が弁護団と面談し、アヤ子さんの年齢に配慮して迅速な審理を行う意向であること、新証拠である法医学鑑定書、供述心理鑑定書のそれぞれについて、鑑定人の証人尋問を採用する方向であることを示唆しました。また、法医学鑑定人である吉田謙一教授の証人尋問に先駆けて、裁判所は検察官に対し、被害者の遺体発見時及び解剖時に撮影された写真のネガの原本について開示するよう勧告を行い、開示されたネガ原本から、これまで弁護団が保有していた写真より格段に鮮明な写真がプリントされたことも、大きな成果でした。
この写真を用いて11月24日に行われた吉田教授の証人尋問で、同教授は「被害者の遺体には窒息死の所見も頚部圧迫の所見もなく、タオルで首を絞めたことによる窒息死ではありえない」一方「死斑と血液就下が認められないことは出血死を示唆し、右胸部に内出血や肋骨骨折の所見があることや、右側腹部、右腰部にも内出血を窺わせる所見があることから、事故死の可能性が高い」と明確に証言されました。
続いて12月8日に行われた心理学者の証人尋問では、第2次再審即時抗告審決定において「共犯者」2名の男性の自白の信用性を「高くない」としながら、あたかも客観証拠のような証明力を認めて有罪認定の「決め手」とした親族の目撃供述について、本件「共犯者」たち、さらには足利事件の菅家さんの虚偽自白にも通じる非体験性兆候が見出されることを、大橋靖史教授と高木光太郎教授がそれぞれ詳細に証言されました。
検察側は吉田証言を崩すため、前述の近藤尋問を行いました。同教授は「腐敗した遺体と、写真による鑑定でははっきりしたことはわからない」の一点張りでしたが、佐藤博史弁護士の舌鋒鋭い反対尋問に、被害者の遺体にある頚椎体前面の出血がタオルによる絞殺では生じないことを認めざるを得ませんでした。

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尋問結果を踏まえ、弁護団は主張や立証の補充を検討し、次回2月23日の進行協議期日に裁判所、検察官と協議して最終的な進行について決める予定です。
この1月から、裁判官3名のうちの1名が交代しました。この3名が2016年度中にも決定を出すことになりそうです。
2016年は、まさに「勝負の年」。アヤ子さんの雪冤のために、さらなるご支援をよろしくお願いいたします。

名張毒ぶどう酒事件

三重・恒例の新年お伊勢さん行動

「奥西さん気の毒に」 再審を求める署名に協力!

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名張毒ぶどう酒事件三重守る会と国民救援会三重重県本部は、1月11日の成人式の日、恒例の新年の取り組み「お伊勢さん行動」をおこないました。
「盗聴法は市民の自由を侵す。冤罪犠牲者を救おう!無実の人は無罪に!」と訴えて、テイッシュにいれたビラ500枚を配布しました。
署名は、名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求審で再審開始と証拠の全面開示を求めるものでした。署名に協力いただいた高年齢者は97歳のご老人で「何の署名や、そうか奥西さんの署名か。気の毒なことをしたなぁー。」と、快く署名に応じてくれました。
新調した迫力ある横断幕が目を引き、皆さんにしっかり見ていただけました。40分ほどで、用意したビラを全部配布することができました。年明け以来、暖かい日が続き、行動日よりだったのが何よりでした。袴田事件と東住吉事件、戦争法、盗聴法反対ののぼりも掲げました。
お伊勢さん行動は、20年近く行っている新年の初行動です。

砂野道男(国民救援会三重県本部事務局長)

第10次再審請求・名古屋高裁、高検へ

再審開始と証拠の全面開示を要請!
1月21日、名張毒ぶどう酒事件・第10次再審の名古屋高裁及び名古屋高検に対する要請行動を4府県13名の参加で行いました。1月1日付で定年退官した石山容示裁判長の後を引き継いだ山口裕之裁判長に対する初めての要請です。
参加者は、新しい裁判長に名張毒ぶどう酒事件をきちんと審理してもらうため、「半世紀以上無実を叫び続けた不屈の奥西勝さんの無念に思いをはせよ。」「再審の理念を謙虚に受け止め、疑わしいときは被告人の利益に従って早期に再審を開始すべき。」「検察官が隠し持つ証拠は即刻開示させるべきだ。」「一審無罪判決こそが真実。」「えん罪はあってはならない。」「市民はみんな注目している。」などと、対応した高裁刑事部の次席書記官と訟廷管理官に強く要請してきました。また、映画「ふたりの死刑囚」(東海テレビ制作)が上映中(要請日現在では東京、名古屋 以後順次公開予定)ですが、裁判官にもこの映画をぜひ見て欲しい、との要請もなされました。提出した個人要請署名は3251筆(累計9879筆)でした。
続く名古屋高検では、「検察官が無罪証拠を隠し、証拠を改ざんするなどもってのほか、すぐに開示せよ。」「検察の信頼は地に落ちている。自ら証拠を開示して回復すべき。」「弁護団が求めているのは具体的な不提出証拠や証拠目録だ。提出しない理由はない。」「国連の勧告に従え。」などと要請がなされました。
要請行動は今後も毎月行います。当面は、2月16日(火)、3月14日(月)(午後1時30分開始)。みなさんのご参加をお願いします。

えん罪名張事件・愛知の会 事務局長 田中哲夫

静岡・袴田事件

DNA検証実験への弁護団の異議申立を東京高裁が却下!

支援団体、2月13日に東京で全国集会の開催へ

昨年、12月25日(金)、袴田事件弁護団は東京高裁第8刑事部(大島隆明裁判長)がおこなったDNA鑑定の検証実験を行う決定に対して、異議申立を行いました。
ところが、東京高裁は弁護団の異議申し立てを即日却下し、1月7日(木)には鑑定人尋問を行いました。
1月7日、袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会は、無意味な検証実験に抗議し、東京高裁前での宣伝・要請行動を行いました。
同実行委員会は、2月13日(土)午後1時半から東京・YMCAアジア青少年センター地下スペースYホール(JR中央線「水道橋駅」徒歩5分)で、「袴田巖さんの再審無罪を求める2・13全国集会」を開催します。ぜひ、多くのみなさんのご参加をお願いします。(*同封の集会のチラシをご参照ください。)
当日の実行委員会の抗議文と弁護団の異議申し立てに関するマスコミへのコメントは、以下の通りです。

2016年1月7日
東京高等裁判所 刑事第8刑事部
裁判長 大島 隆明 殿

袴田事件の DNA 検証実験決定に抗議し、 即時抗告を直ちに棄却することを求める要請書

東京高等裁判所第8刑事部(大島隆明裁判長)は、再審開始決定の決め手の一つとなったDNA 鑑定について、検察側の主張する方法で検証実験を行うことを決定しました。
私たちは、そもそも憲法39条(二重の危険の禁止)によって不利益再審を認めない現行の再審制度の下で、再審開始決定後の即時抗告審においては検察の新たな事実取調べは許されないこと、また、検察の申立理由は、DNA 鑑定方法も含めて静岡地裁において審理が尽くされたものであり、静岡地裁はその上で再審開始決定に至ったもので、検察の即時抗告は直ちに棄却すべきと、再三にわたって要請してきました。
今回の決定は、10年以上経過した血痕にあたらしい唾液を付着させた「疑似的混合資料」で、選択抽出方法が有効かどうかを調べることも鑑定事項の一つとしています。
しかし、本件の「5点の衣類」には、保管中に唾液等が付着したということもありません。しかも、今回行われようとしている「疑似的混合資料」は、本田鑑定に用いられた鑑定資料とはまったく異なり、全く無意味なだけでなく本件とは無縁の有害な実験と言わざるをえません。
また、今回の検証実験を検察側推薦の鑑定人のみで強行することは、公平な裁判所(憲法37条)の理念に反するものです。
そもそも、静岡地裁の再審開始決定は、DNA 鑑定だけでなく、死刑判決の根拠にされた「5点の衣類」が捏造された可能性を指摘し、捜査機関を厳しく断罪しました。貴裁判所における即時抗告審においても、検察が存在を否定していた袴田さんの取り調べ録音テープ23巻が開示され、警察官の偽証や弁護士との接見を盗聴していた犯罪・違法捜査の実態も明らかになっています。ここにこそ、袴田事件の本質があります。
一昨年3月27日の再審開始決定から、2年目を迎えようとしています。袴田巖さんは、3月10日で満80歳、請求人の姉の秀子さんも来月83歳になり ます。袴田さんは、拘置の停止決定を受け、身柄は解放されましたが、身分的には「死刑確定囚」に変わりはなく、今もなお精神的な拷問状態が続いていることに他なりません。これ以上、審理を引き延ばし人権侵害を続けることは正義に反し、人道的にも絶対に許されません。
私たちは、東京高裁第8刑事部が行った不必要で有害な DNA 鑑定の検証実験決定に強く抗議し、検証実験を直ちに取りやめ、検察の即時抗告を直ちに棄却することを重ねて強く要請します。

袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会

【構成団体】日本国民救援会/日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会/袴田巖さんの再審を求める会/袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会/袴田巖さんを救援する静岡県民の会/浜松・袴田巖さんを救う市民の会/無実の死刑囚・袴田巖さんを救う会 (*同種趣旨の東京高検への要請にはアムネスティ・インターナショナル日本も参加)

DNA検証実験への異議申立に関する袴田弁護団のコメント

2015(平成27)年12月25日
報道機関各位
袴田事件弁護団団長 西嶋 勝彦

袴田事件弁護団は、本日、裁判所(東京高等裁判所第8刑事部)に異議申立書を提出しました。
裁判所は、平成27年12月7日付け決定書において、鑑定を実施する旨を決定しました。本日提出した異議申立書は、先日の裁判所の決定に対して、刑事訴訟法第309条1項に基づき異議を申立てるものです。裁判所は、異議申立に理由があるかを判断し、決定をしなくてはなりません(刑事訴訟法309条3項)。異議に理由があるかを判断するのは、即時抗告審が継続している裁判所(東京高等裁判所第8刑事部)です。鑑定に関する決定をした3名の裁判官が異議申立に対する決定もすることになるでしょう。
異議申立てに対する決定がいつごろになるのか、決定がどのような形で弁護人に知らされるかは、現時点では不明です。もっとも、2016(平成28)年1月7日に鑑定人の尋問が予定されていますので、それまでの間には異議申立に対する決定がなされると思われます。
先日の決定では、鑑定事項が①新鮮血と新鮮な唾液の混合資料、②古い血痕に新鮮な唾液を付着させた資料、③古い血痕のみの試料という3種類の資料を用いて、本田鑑定人のいわゆる「選択的抽出法」が血液由来のDNA型を判定することに有用であるかを検証することになっています。本日の異議申立書では、上記の内②の資料に関して異議を申立てています。弁護団としては、本来は鑑定をする必要がないと考えていますが、三者協議において①と③だけを資料にするのであれば鑑定には協力する旨を述べていたので、異議申立ての対象を②の資料の範囲にとどめました。
異議の理由には、(1)「5点の衣類」には保管中に唾液等が付着したという事情はなく、②の資料は本田鑑定に用いられた鑑定資料とはまったく異なる状態であるから、本件とは無関係である上、古い血痕に新鮮な唾液を付着させて擬似的混合資料を作成するという手法は未知の手法であるから、証拠裁判主義(刑事訴訟法317条)に違反する、(2)再審開始決定の判断過程からすると仮に選択的抽出法が有用でなくても鑑定が信用できるという結論は変わらないのであるから、本鑑定は不必要であり、ベスト・エビデンスの原則(刑事訴訟規則189条の2)に違反する、(3)再審開始決定後の即時抗告審においては新たな事実取調は例外的にしか許されないものであり、検察官に過大な反証の請求を認めることは、再審制度の趣旨及び二重の危険の理念(憲法39条)に反する、(4)近年の再審事件では検察官・弁護人双方が鑑定を推薦の上、複数人の鑑定人が選任されることが少なくないのであり、検察官推薦の鑑定人のみによる鑑定をすることは公平な裁判所(憲法37条)の理念に反する等を挙げています。
同時に、仮にこの異議申立が容れられない場合を慮って、決定に示された鑑定事項について、適正な鑑定が実施されるための意見書を提出しました。

北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件

1月19日、仙台高裁で初の三者協議がおこなわれる

早速21日、裁判所要請と街頭宣伝が17名参加!

日本国民救援会宮城県本部 吉田広夫

仙台高裁での即時抗告審の第1回目の三者協議(進行協議、裁判所・弁護団・検察)が19日におこなわれた翌々日、全国連絡会では早速、仙台高裁刑事部への署名提出、仙台市内での街頭宣伝・署名活動に取り組みました。
この行動は、昨年9月より、関東連絡会と、宮城の守る会と国民救援会が毎月おこなってきたもので5回目(神奈川担当)となります。今回は、新たに全国からよせられた4,861名の署名を裁判所に提出、仙台高裁への提出署名の合計は41,825名となりました。
参加は神奈川4名、千葉1名、栃木2名、茨城1名、福島2名、山形1名、宮城の守る会と国民救援会の5人、そして守大助さんのお母さんの祐子さん、合計17名でした。
裁判所に対しては、参加者全員が発言、また、個人としての訴えを記した文書を提出しての訴えなど、一日も早く守大助さんの再審開始決定と刑の執行停止・釈放を求める気迫の要請行動となりました。
守大助さんを支援する神奈川の会の添田美智子さんは、「15年もの間、本人はもとよりお父さんお母さんの苦しみは、どれ程のものであったかということを、どうぞお汲み取りください。
そして、再審開始と即時釈放、の決定を一日も早く出して下さる様、心から御願いします。」と涙ながらに、語りました。
また、多くの参加者が、再審開始と刑の執行停止が確定した東住吉冤罪事件の、警察官の違法な取り調べによる自白の強制、福岡地裁宮崎支部の、強姦罪に問われた男性を、懲役4年の一審有罪判決を破棄し、逆転無罪判決での警察の意識的な「無罪の証拠」隠し、など最近の冤罪事件にふれながら、真実を見抜いた決定を、と訴えました。
守祐子さんは、「東京高裁が覚醒剤に関する東京地裁の裁判員裁判における懲役12年、罰金700万円の有罪判決を破棄し、証拠開示によって、別な裁判員らによる審理に差し戻した、との新聞記事を示して、ぜひ証拠開示をして息子の再審、無罪を一日も早く決めて下さい。」と、切々と訴えました。
その後、仙台市内の繁華街でおこなわれた宣伝活動では、この冬一番の強烈な冷え込みのなかで、短時間でしたが各地の代表がマイクで訴え、神奈川の会作成のビラなど225枚を配布、署名9筆が寄せられました。
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一日も早い、無実の守大助さんの再審・無罪を!
両親が 元気なうちに とりもどそう
2月20日(土)、下記のとおり「守大助さんの冤罪をはらす集い」が東京で開催されます。
全国から、こぞっての参加を呼びかけます。宮城からも参加します。
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長生園不明金事件

「長生園事件」真相究明する会が第7回総会を開催

山岡 良右(真相究明する会事務長)
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「長生園不明金事件の真相を究明する会」の第7回総会が1月17日南丹市で開かれ、地元南丹・亀岡・京丹波、京都府内および神戸・大阪の会員26名が参加しました。
事務局から昨年1年間の取組みの上に立って16年度の活動方針と予算・役員を提案、参加者全員が発言する熱心な討論を経て議案が確認されました。
今年は、南丹市の「長生園」で6年間に588件、約3千万円ものショートステイ利用料金が不明になるという不祥事が発覚して17年になります。当時担当事務職員として、もっとも熱心に不明金の調査にあたった西岡廣子さんが、事もあろうに3千万円横領・着服の犯人として解雇・告訴され、裁判では、結局ただの一件9880円を着服したとして懲役1年、執行猶予4年の有罪判決が、最高裁で確定して11年になります。
この1年間「真相をする究明の会」は、毎月宣伝を行い、1万枚のビラを作成・活用し、会員は39名増え150名になりました。次の目標を200名に定め、毎月1回の宣伝をベースにこつこつと粘り強く運動進め、真相究明と再審請求実現をめざしています。
この日も総会終了後、参加者が宣伝車1台、ハンドマイク3台に分かれ南丹市園部町内を「西岡廣子さんは1円たりとも着服していません。西岡廣子さんは無実です」と宣伝を行い、市民から「がんばって!」の激励が寄せられました。

今後の主な事件の日程

2月 1日 (火) 袴田事件三者協議(12時から高裁要請前宣伝、13時=高検、14時=高裁)
2月13日(土) 袴田事件全国集会(YMCAアジア青少年センター地下ホール 13時半から)
2月16日(火) 名張毒ぶどう酒事件名古屋高裁要請(13:30 )、高検要請(15:00)
2月20日(土) 仙台・北陵クリニック事件 守大助さんの冤罪をはらす集い
東京・平和と労働センター全労連会館2階ホール 午後2時~4時45分
2月21日(日) 大崎事件再審開始をめざす決起集会(鹿児島県婦人会館 13時半から)
2月23日(火) 大崎事件三者協議(鹿児島地裁11時から)
3月14日(月) 名張毒ぶどう酒事件名古屋高裁要請(13:30 )、高検要請(15:00)
3月25日(金) 布川国賠裁判第13回口頭弁論(東京地裁103号法廷)
*昨年12月にひかれた「再審・えん罪事件全国連絡会第24回総会決定」等はホームページに掲載しています。ご参照ください。
*各地の事件の取り組みや日程を事務局まで通信をお寄せください。zuke@kyuenkai.org
* 次号「ニュース」は、2016年3月中旬頃に発行する予定です。

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