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No.83再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2017年 6月9日発行 No.83

大崎事件 第3次再審請求審の審理を振り返って

大崎事件弁護団事務局長 鴨志田 祐美

1 はじめに

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大崎事件弁護団が鹿児島地裁に第3次再審請求を行ったのは、第2次再審の終結からわずか5か月後の2015年7月8日でした。それから1年半後の2017年1月31日、弁護団の最終意見補充書の提出をもって、第3次再審請求審の審理は実質的に終了しました。
6月15日に90歳を迎えるアヤ子さんには、もう時間がありません。弁護団はいま、一刻も早い開始決定を待っているところです。
そこで、開始決定をまつこの時期に、改めて大崎事件第3次再審請求審の審理を振り返ってみたいと思います。

2 裁判所の迅速な対応

第3次再審請求の審理は、申立てのまさに当日、弁護団の求めに応じて裁判体が弁護団と面談を行うところから始まりました。
申立て時に提出した新証拠は、①吉田謙一東京医科大学教授による法医学鑑定書と、②大橋靖史淑徳大学教授及び高木光太郎青山学院大学教授による、親族の目撃供述についての供述心理鑑定書でしたが、驚いたことに、裁判所はこの面談の際、法医学・心理学両鑑定について鑑定人尋問を行う意向である旨明言し、弁護人に鑑定人と日程調整するよう促したのです。こうして第3次再審は、申立日から一両日の間に法医学者及び心理学者の尋問期日が事実上決定するという、異例のロケットスタートとなりました。

3 積極的訴訟指揮

裁判体の積極的な訴訟指揮はその後も次のような場面で発揮されました。
 ① 後述するように、心理学鑑定の鑑定人の尋問を2度にわたり実施し、2度目の尋問の際は、裁判所が鑑定人に尋ねたい内容を事前に弁護人に開示したこと
 ② 第3次再審段階で初めて開示された、被害者の遺体発見時や解剖の際に撮影した写真のネガフィルムについて、弁護団が業者に印画を依頼することを認めた上で、裁判長を含む2名の裁判官も業者の店舗で印画作業に立ち会ったこと
 ③ 弁護人の証拠開示請求の場面で検察官が「見当たらない」「不存在」と口頭で回答したことに対し、「存在する場合には裁判所としては開示勧告を出すつもりである」旨明言した上で再度存否を確認するよう促し、さらに「存在しないという場合にはその合理的な理由を書面で報告せよ」と指示したこと
 ④ ③の結果、新たに18本のネガフィルムが開示されたことを受け、弁護人が、ネガをプリントした写真のもつ意味につき、進行協議期日においてプレゼンテーションを行いたい意向を伝えたところ、これを認め、弁護団によるプレゼンテーションが実現したこと
再審請求審の審理は通常審と異なり職権主義が妥当するとされています。我が国の刑事司法において「職権主義」という言葉は、ともすると「裁判所の裁量に委ねられているのだから当事者の要請に答えなくてもよい」というように、消極的訴訟指揮を正当化する「言い訳」として使われることが少なくありません。しかし、大崎事件を審理する裁判体からは、「無辜の救済」という再審の制度趣旨に沿うべく、適切に職権を発動して審理を進めようとする「積極的職権主義」とでも言うべき姿勢が随所に窺えたことに注目すべきです。

4 ミニマムな書面

弁護団もまた、原口さんの年齢を考え、裁判所の迅速な判断を引き出すために、書面をできるだけ簡潔にまとめることを心がけました。
確定判決や第1次・第2次再審の決定書などは別冊を作って別途提出し、申立書には端的に新証拠の内容と新旧証拠の総合評価のあり方に切り込んだことから、再審請求書は何と本文29頁に収まりました。
2016年11月末に提出した最終意見書は本文50頁、その後行った開示写真のプレゼンテーションを踏まえて作成した最終意見補充書も全体で35頁というコンパクトなものです。
もちろん、頁数が少ないから内容が薄いというわけではありません。第1次・第2次再審の各決定の成果、逆に課題として残った点を指摘しつつ、新証拠の意義と総合評価のあり方を端的に示した各書面は、極めて論理的かつ分かり易いものとなったと弁護団は自負しています。

5 法医学鑑定の新たな局面

第1次・第2次の再審で展開された法医学論争が、ほぼ被害者の頚部回りの所見をどう捉えるかに終始していたのに対し、第3次再審における吉田鑑定は、頚部だけではなく全身の状態から死因は窒息死ではないと断定し、さらに「出血性ショック死」を示唆したことで、被害者が遺体で発見される前に自転車ごと側溝に転落していたことによる事故死の可能性を裏付けるものとなりました。
また、これまでの法医学鑑定は、確定審段階の法医学鑑定書に添付されていた写真をもとに行われてきたのですが、第3次再審で初めてこれらの写真のネガ原本が開示され、このネガから直接印画した鮮明な写真を用いて吉田鑑定人の尋問を実施することができたことで、さらに鑑定の確度が上がったことも収穫でした。

6 供述心理鑑定と裁判所の積極的対応

申立て当初の新証拠として提出した、「共犯者」の親族(仮名:ハナ)の目撃供述に関する供述心理鑑定は検察官調書を主たる検討対象としていました。このため、当初の鑑定にかかる大橋・高木両教授に対する証人尋問の際、裁判長から「検察官調書は有罪の立証に必要な供述のみを記載するから『記載がないこと=供述していないこと』とは言えないのではないか」という疑問が呈されました。
そこで、尋問後、両教授はハナのすべての供述調書(警察官調書及び検察官調書)につき、それぞれの供述をスキーマ・アプローチにより分析した補充鑑定書を作成しました。その結果、ハナの供述に非体験性兆候(コミュニケーション不全の兆候)がみられるのは、目撃の告白後で、しかも原口さんの関与を窺わせるエピソードを供述する場面のみであることが判明したのです。
裁判所はこの補充鑑定書に大きな関心を寄せ、再度の尋問を採用したばかりでなく、尋問前に「裁判所からお尋ねしたいことの概要」と題する書面を弁護人に提示してきました。そこで弁護人は上記書面記載の点を中心に尋問を実施し、裁判所の疑問点を解消することができまあした。
このように、裁判体は供述心理鑑定が「新証拠」となる科学的知見であることを前提として、その内容を理解し評価しようとする姿勢で臨んでいました。多くの再審事件で、供述心理鑑定がそもそも「証拠」とすら認められなかったことからすると、これは特筆されるべきです。

7 開示写真とプレゼンの成果

第2次再審段階で開示された46本のネガフィルムから、弁護団はほぼすべての写真を印画することに成功しました。また、第3次請求審で新たに開示された18本のネガフィルムもすべて写真に印画することができました。弁護団はこれらの写真の合計約1700枚から、約300枚を厳選してパワーポイントスライドを作成し、2017年1月12日の進行協議の際に裁判体の前でプレゼンテーションを行いました。
このプレゼンテーションで、弁護団は以下のことを明らかにしました。
 ① 本件の捜査は、被害者の遺体が発見された当初(当然ながら死因も不明な状態)から「殺人事件」として見込み捜査が開始されたこと
 ② 新たに開示された、被害者を自宅に連れ帰った近隣住民2名のうちの1名による行動再現写真から、この2名の供述の不一致や不自然な点が顕著に判明し、さらにこれらの写真が原口さんの否認供述(の一部)を裏付けるものであったこと
 ③ ハナの目撃供述について、ハナ自身が再現した写真も開示され、その目撃前後の行動や目撃状況の不自然さが鮮明に分かったこと
 ④ 「共犯者」たちの再現写真も新たに開示され、再現者相互の矛盾など、自白供述の信用性にさらなる疑いが生じたこと
 ⑤ 膨大な写真群から、物証を得るための緻密な捜査が行われたことが明らかになった一方、これらの捜査を経ても、原口さんたちの犯人性を示す証拠は何一つ発見できなかったこと
プレゼンテーションが裁判所に与えたインパクトは絶大で、その準備のプロセスで弁護人にも新たな発見が多々ありました。このことは、証拠開示が「開示」で終わるのではなく、開示証拠を総合評価に組み込む形で「活用」してこそ意味を持つものであることを物語っています。
弁護団はプレゼンテーションに用いたパワーポイントの画像をプリントしたものと、読み上げ原稿を、のちに最終意見補充書の添付資料として提出しました。裁判所に、「開示写真の読み方」という「ガイドブック」を提供したのです。

8 第3次再審における弁護活動の到達点

第3次再審における弁護活動によって、まず、第2次再審即時抗告審決定が「確定判決の有罪認定は揺るがない」という判断の拠りどころとしたハナの目撃供述が、供述心理鑑定と、最後に開示されたハナ自身による再現写真により、その信用性が大幅に減殺されました。このことは、原口さんが犯行当日の夜ハナ方に行ったという事実を否定するものであり、確定判決の犯行ストーリーの「入口」が崩壊したことを意味します。
次に、被害者の事故死の可能性について、法医学鑑定や開示写真による補強が得られたこと、そして、事故死だとした場合、なぜ被害者が自宅横の牛小屋の堆肥の中から発見されたのかという本件最大の問題について、少なくとも原口さんと「共犯者」らが犯人でなければ説明できない、という状況にないことが、新たに開示された近隣住民の再現写真などから、ますます明らかになりました。
このように、確定判決の有罪認定に合理的疑いが生じていることはもはや明らかなのですから、本件については確実に再審が開始されなければなりません。

9 おわりに

このようにして、大崎事件第3次再審請求の審理は2017年1月をもって実質的に終結しました。
裁判体は以前、「この3人で決定を書きます」と明言しており、うち1人が3月末に転任する予定であったことから、弁護団はこの3月中に決定が出されるものと思っていました。
しかし、3月1日に行われた進行協議期日において、裁判所は「3月中には決定は出せない」と表明した上、いつ決定が出るかの見通しも明らかにできないと述べて、弁護団やマスコミを驚かせたのです。
その2日後、雛祭りの日に、私は桃の花束を手に、原口さんの暮らす施設に面会に行きました。原口さんはお元気でしたが、発語はほとんどなくなり、お茶も自分では飲めず、とろみをつけた状態のお茶を、介護職員がスプーンですくって口に運んでいました。
何物にも屈せず、無実を叫び「鉄の女」のようだった原口さんを、こんなにも長く待たせ続け、さらにまた待たせるのだと思うと、私は胸が張り裂けそうな心持ちになりました。一体、いつになったら、彼女に心穏やかな人生のフィナーレをもたらすことができるのでしょうか。
来たるべき大崎事件の決定には、この国の刑事司法のあり方が問われています。
みなさま、どうか原口アヤ子さんの命あるうちに再審無罪を勝ち取ることができるよう、あと少しお力をお貸しください。

静岡・袴田事件

裁判所がDNA検証実験に関して、二人の鑑定人尋問の意向を示す!

袴田事件の三者協議が5月23日、東京高裁(大島隆明裁判長)で行われました。
この日の3者協議では、東京高裁が職権で行っているDNA鑑定の「検証報告書」が4月末までに提出され、その結果を踏まえて今後の進行について議論されることになっていました。しかし、裁判所が嘱託した鈴木鑑定人からは、「報告書」が提出されず、具体的な内容については次回以降の3者協議に持ち越すことになりました。
三者協議後に弁護団は、記者会見を行いました。会見で西嶋勝彦弁護団長は、裁判所の決定からすでに1年5カ月以上が経過していることを厳しく指摘し、「81歳を過ぎた袴田さんの人生を、このような無意味な実験によりこれ以上翻弄するのは裁判所のあるべき姿ではない」と、怒りを込めて会見を行いました。
この日、弁護団は、地裁決定の根拠の一つになった弁護側DNA型鑑定の検証実験について「高裁が嘱託した鑑定人の最終報告書を待つのは無意味だ」とし、検察による抗告の速やかな棄却を求める意見書を提出しました。弁護団の「意見書」は、今年2月に提出した裁判所が嘱託した鑑定人の「中間報告書」が、本田鑑定人が行った「選択的抽出法」と呼ばれる鑑定手法について「血液由来のDNAを取り出すために使った『抗Hレクチン』がDNAそのものを分解する」などと有効性を否定していた点について、「レクチンを用いても確実にDNA型が検出できるということは、インドの政府法医学研究所の研究者によっても採用され、国際的に信頼できる手法」ということが、他の研究機関と、3つの国際科学雑誌でも確認されている。また、2月に提出された「中間報告」は、裁判所の鑑定嘱託事項にも反し、これ以上の検証実験は無意味であると述べています。
これに対して、裁判長からは、鑑定人には5月末までに「検証報告書」を提出するように促し、今後DNA鑑定について、再審開始決定の根拠とされた本田鑑定人と今回裁判所が嘱託した鈴木鑑定人の尋問を行う意向が示されました。

≪検察の正当な弁護活動への干渉に弁護団が抗議!≫

この日の3者協議では、前回の3者協議の場で東京高検の作原検察官が、今年2月に静岡市で行われた支援者集会で西沢弁護士が、「弁護団報告」の中で検察や検察が依頼した鑑定人を誹謗・中傷していると発言したことについて、弁護団が集会での「報告」を検証したところ、「弁護団として正当な弁護活動の一環としての発言内容であり、抗議されるような問題の発言はなかった」として、東京高検検事長宛に抗議書を提出しました。

≪審理の長期化を許さず、東京高裁への要請を強めよう!≫

袴田巖さんの一日も早い再審無罪を勝ち取る実行委員会は、三者協議にあわせて東京高裁前宣伝行動のあと東京高裁、東京高検への要請行動を行いました。この日、1062人分署名を提出(累計17万人分余)。要請行動には、静岡、神奈川、東京、埼玉などから19名が参加しました。
即時抗告審はDNA検証実験をめぐって大きな山場を迎えます。さらに、裁判所への要請を強める必要があります。検察の即時抗告の早期棄却を求める新しい署名と毎月の宣伝・要請行動を強める必要があります。
袴田巖さんの一日も早い再審無罪を求める実行委員会は、6月30日の事件発生51年目にむけて下記の行動をおこないます。
 6月25日(日) 地元・静岡市清水区で市民集会の開催(JR清水駅前「清水テルサ」13時半~)
 6月30日 (金) 記者会見(事件発生日に静岡県庁で会見)
 8月18日(金) 静岡県警への抗議と宣伝(袴田巖さんが逮捕された日)
 8月19日(土) 現地調査を行う(19日の13時から16時迄の予定、詳細は後日案内)
*次回以降の三者協議は、6月29日(木)と7月20日(木)いずれも15時から東京高裁で開かれます。この日に合わせて、宣伝・要請行動を行います。
〈次回の東京高裁、東京高検への宣伝・要請行動〉
 6月29日(木) 12時~13時 東京高裁前宣伝行動
(予定) 13時15分 東京高裁要請・署名提出行動
 14時00分 東京高検要請
 14時45分 弁護団激励行動(東京高裁前)
*弁護団3者協議へ(15時から3者協議)
 16時30分 弁護団記者会見を予定(司法記者クラブ)
*7月20日(木)の3者協議も上記のように宣伝・要請行動を行います。

滋賀・日野町事件

7月から捜査官3名の証人尋問が行われる 再審開始に向けて大きな前進

4月26日、日野町事件の三者協議が大津地裁(今井輝幸裁判長)で開かれました。三者協議後、日野町事件弁護団(伊賀興一団長)は、新しく着任した今井裁判長が、証拠開示と並行して証人尋問を7月から始めるとの意向であることを明らかにしました。裁判所は、金庫発見現場引き当て捜査を担当した森田警部補の尋問をおこなうことを決定しました。
確定判決は、阪原弘さんが被害者宅から盗んだ金庫の金庫発見現場を案内出来たことは「秘密の暴露」であると、引き当て捜査報告書を有罪判決の根拠としています。しかし、第2次再審請求審で弁護団の証拠開示申立によって引き当て捜査報告書に添付された写真のネガが開示されました。弁護団が開示されたネガフイルムを分析したところ、警察は金庫発見現場への行きの写真と帰りの写真を差し替えて添付し、いかにも阪原さんが金庫発見現場に案内したかのように報告書の添付写真を捏造していたことが明らかになっています。今回の警察官の証人尋問は、確定判決の重要な証拠に関わる証人尋問となります。
裁判所は、この尋問を踏まえて捜査を指揮した落合検事と、弁護団が提出した被害者の死因と阪原さんの自白と矛盾することを明らかにする法医学鑑定意見書に関して、吉田謙一東京医大教授の証人尋問をおこなう意向を示しました。第36回3者協議は6月1日におこなわれ、7月18日、19日の両日にわたって、被害者宅から盗んだ金庫の金庫発見現場への引き当て捜査を行った警察官2名の証人尋問を行うことが決定されました。
このように日野町事件は、再審開始にむけて大きな前進を勝ち取っています。引き続き、全国からの支援をよろしくお願いします。

日野町事件・再審無罪を求める会第24回総会を開く

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えん罪日野町事件再審無罪を求める会(馬場宏三会長)は4月22日、日野町内にて第4回総会を開催し、41人が参加しました。日野町事件はこれまでに100以上の証拠が開示され、さらにこの2月には証拠物187点(段ボール7箱)が開示されました。しかし裁判長と右陪席裁判官が3月末で転勤になり、新しい裁判体に審理をゆだねることになりましたが、新たな裁判長がかつて日野町事件第一次再審請求審(結果は棄却)の陪席であったことから、弁護団が公平公正な審理のために回避することを要望したところ、回避し、裁判長が変わりました。新しい裁判体に向き合うため引き締めてかかる必要があること、大詰めを迎える時期も近いということで11月に全国現地調査を成功させる必要があり、その決意の場という位置づけで総会に臨みました。
午前中は16人が車4台に分乗し、事件現場を巡りました。これには新聞記者4人も同行しました。金庫発見現場では殆どの方が崖を下り、金庫が遺棄されていた松の木の根元に立ちました。午後からは故阪原弘さんの長女美和子さん、次女の則子さんも元気な姿を見せ、支援の訴えをしました。弁護団からは小原卓雄弁護士(元裁判官)が日野町事件の進展についてと題し、約1時間講演しました。このなかで殺害方法についての新たな吉田謙一東京医大教授の鑑定書が新証拠として裁判所に出され、その内容は被害者を後ろ手に縛り(うっ血状態を認めた)、仰向けにしてのど輪のように首を絞めており、舌骨が折れて食道の奥が出血していることが指摘され、座った状態の被害者の首を両手で挟むように絞めたという阪原さんの「自白」とは大きく矛盾していることを強調しました。また遺体遺棄の再現実験で「自白」のような右手で頭部分、左手で腰の部分を抱える方法では左伏せが再現できないことが分かり、このことは店舗から遺体を運び出した形態まで矛盾が及ぶと指摘しました。 (国民救援会滋賀県本部事務局長 川東繁治記)

熊本・松橋事件

即時抗告審が結審へ

5月31日(木)、福岡高裁において熊本・松橋事件の即時抗告審第4回三者協議が開かれました。当日は、福岡、熊本、鹿児島、宮崎から支援者が参加して、検察の即時抗告の棄却を求める署名を福岡高裁に提出しました。弁護団は、三者協議後に弁護団が記者会見を開きました。会見で齋藤誠主任弁護士は、検察官から法医学者の意見書を 5 月 10 までに提出するという予定だったが、検察官からは法医学者の意見書は提出されなかったこと。これに対して、弁護団は5 月 29 日に検察官の意見書への反論意見書と熊本地裁の再審開始決定に大きな影響を当てた大野教授からの検察の意見書に対する反論意見書を添付して提出したことを明らかにしました。
そして、この日の3者協議で検察官・弁護団双方とも、これ以上の主張はないということを確認し、即時抗告審は結審し、裁判所の決定を待つばかりとなりました。
決定については、日程は未定ですが、裁判長からは「若干時間が長くかかるだろう」と言われ、弁護団としては「事前に遅くとも1 週間前には、連絡して欲しい」ことを申入れました。
いよいよ、松橋事件は即時抗告審の決定を待つばかりとなりました、検察の即時抗告を棄却させるために最後まで、署名をはじめ全国からのご支援をお願いします。

堀田孝一(国民救援会宮崎県本部事務局長)

関西・たんぽぽの会

「なくそう冤罪・救おう無実の人々 第10回関西市民集会」が330名の参加で成功!

5月27日土曜日、大阪市中央区の「クレオ大阪東」において、第10回関西市民集会(通称たんぽぽ集会)が開催されました。

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何よりも、冤罪犠牲者や家族など当事者の生の声を、多くの市民に伝えるということを目的に毎年準備を重ねながら行ってきたこの会も、東住吉冤罪事件の再審無罪判決の実現という大きな成果とともに、はや10回目の節目を迎えることとなりました。
節目にふさわしく、今年の集会はまさに異色尽くめでした。
まず、案内チラシがこれまでのものとは全く異なっています。まるでライブの案内チラシを思わせる出来栄え、あちらこちらで大きな反響を呼びました。しかしながら、共謀罪反対のたたかいをはじめ、様々な催しが重なり、関西各県ともいったい何人の参加者があるのか、半信半疑で迎えた当日。
幕開けとともに、1万円のコンビニ窃盗の犯人だとしてメジャーデビュー直前に逮捕起訴された青年の顛末を構成したテレビ番組が流れます。警察の不当な逮捕の実態がリアルに映し出されます。逮捕後一貫して否認し続けた彼は、何と300日も拘留されることに。しかし窃盗事件のあったその日、その時間、彼は自宅にいたのです。スマートフォンに残された映像からアリバイが明らかとなり、地裁で無罪判決が確定。即座に警察・検察に謝罪を求めて国賠請求しましたが、棄却。
映像の中で司会者が彼に尋ねます。可視化で解決すると思いますか。彼は応えます。録音・録画がされたとしても、警察や検察が不都合な部分を隠してしまえば同じこと、録音・録画の内容を弁護士とも共有してこそだと思います、と。まさに経験したものならではの貴重な意見です。参加者は15分足らずの映像に見入ってしまいました
「たんぽぽの会が結成されて10年。誤判や冤罪根絶の訴えは未だ届かず、今年も新たな冤罪犠牲者がたんぽぽの仲間に、その人の名はSUN-DYUさん!」、という司会者の言葉とともに、舞台上は赤や青の照明が点滅。彼が登場するや否やそこはまさにライブ会場。年配者には耳慣れないラップミュージック。拘留されている間に創ったという「12の言葉」という曲をはじめ、彼の誠実な語りとともに伝えられる音曲に知らず知らずのうちに引き込まれ、手拍子も会場のあちこちから沸き起こりました。最後まで耳に入らなかったという人もちらほらとありましたが・・・。
その後、大阪大学法科大学院教授の水谷規男さんと、布川事件の桜井昌司さん、そしてSUN-DYUさんの3人のトークセッションに。そして最後は恒例の当事者・支援者からの訴え、アピールの朗読、たんぽぽの歌の大合唱で閉会。
感想文には「支援運動に参加するものとして、改めてエネルギーを貰ったように思う。また救援会活動に誇りを感じる。」「桜井さん、SUN-DYUさんの発言が感動的でした。」
「毎年、毎年大変ですが、世に訴える手段として必要な集会だと思います。」等々、肯定的なそして激励を込めた感想が多々ありました。
警察権限の拡大強化への道を開き、監視社会、密告社会へとこの国の在り方が変えられようとしている今、具体的な事実を突きつけて、そうさせてはならないとの思いを伝えることのできた集会になったと、準備を重ねてきた一員として実感しています。
因みに、今回の「たんぽぽアピール」をご紹介し、一文を閉じたいと思います。

関西・たんぽぽの会世話人 伊賀カズミ

 たんぽぽアピール

2009年5月、関西冤罪事件連絡会=「たんぽぽの会」は産声を上げました。
冤罪は、決して遠い他人の悲劇ではありませんと、体験したことを各々語りながら、
誤判や冤罪をなくそう、ともにたたかおうと訴え続けてきた私たち。
その訴えは、関西各地から泣き寝入りをせずにたたかう仲間の輪を、
一人またひとりと確実に広げてきました。
そして昨年、たんぽぽの一員である「東住吉冤罪事件」青木惠子さん、朴龍晧さんの再審無罪判決を心から喜び合い、
未だ無罪判決を実現できないでいる仲間たちとともに、
希望をもって、たたかい続ける決意を新たにしました。
ところが、そんな私たちの決意をあざ笑うかのように、
また、新たな冤罪の犠牲者が、私たちの仲間に加わりました。
彼の名はSUN-DYU!
今日、会場いっぱいに、彼の思いが、訴えが、響きわたりました。
警察に、検察に、間違ったなら謝ってと、
人として当たり前のことを訴える彼の言葉。
私たちは知っています。
警察も、検察も決して過ちは認めない、決して謝らない。
いま国会で審議されている「共謀罪」
犯罪が起きてもいないのに、起きるかもしれないと疑心暗鬼で、
警察が嗅ぎまわる
よからぬ相談をしていないかと、嗅ぎまわる、嗅ぎまわる
私たちは、心配しています。
冤罪が、確実に増えていく、間違いありません!
私たち「たんぽぽの会」は声をあげ続けます。
「冤罪をなくせ! 誤判を許すな!」
何よりも、新たな犠牲者が作り出されないように・・・
「共謀罪」は断固廃案。
そして、すべての冤罪犠牲者が一日も早く救済されますように・・・
それが私たち「たんぽぽの会」の願いです。
どうか私たちの願いが、たんぽぽの綿毛のように、空高く舞って、
多くの方たちの心に届きますように!

2017年5月27日
再審冤罪事件関西連絡会=たんぽぽの会一同

無実の人びとを救う!

5・20全国いっせい宣を各地で展開!

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再審の扉を開けた白鳥決定を記念して、日本国民救援会とともに毎年5月20日を中心にとりくんでいる「無実の人びとを救う全国いっせい宣伝行動」が全国で旺盛に取り組まれています。今年は、共謀罪反対運動とも結びつけて、文字通り支部でも取り組むよう運動を広げましょう。いくつかの県の取り組みを紹介します。

【三重県】

三重では、共謀罪法案が衆議院法務委員会で強行採決された5月19日に各団体が集まり抗議の宣伝行動をしました。その宣伝に続いて、同じ場所で(津真ん中広場前)で1日前倒しで「無実の人は無罪に、名張事件宣伝」に取り組みました。
この行動には、名張事件・守る会と国民救援会の役員等7人が参加しました。署名は6筆。(お昼休みの後で人通りが少なかったためですが、30分の行動としては集まったほうです)
5・20白鳥決定の意義、20日に宣伝している意味と死刑事件である袴田事件、名張事件を中心に訴えました。

【群馬県】

5月20日、高崎駅西口と東口の2ヵ所で宣伝行動を行い、14人が参加しました。高崎駅西口では大型宣伝カーを準備し、のぼり旗、横断幕を張り、宣伝カーの上から訴え、1時間で260枚のビラを配布しました。
前日に「共謀罪」の強行採決のため、冤罪について関心があっても、若い人は「私は大丈夫」と言ってビラ受け取りを拒否する人がいましたが、「あなたも大丈夫ではないですよ」と再度訴えるとビラの受け取りが多くなりました。
晴天で30度を越す猛暑の中、宣伝カーの上もビラ配布も大変でしたが「14人の仲間が集まり、勇気がもらえた」、「やりがいがあった」と明るい顔での感想があり、すがすがしい宣伝行動でした。

【福井県】

5月19日、JR福井駅東西出口2ヶ所に分かれて宣伝行動を行い、6人が参加しました。
ビラ配りを中心に通勤・通学の駅利用者に対し、宣伝を行い、1時間で300枚のビラを配布しました。共謀罪の話などに関心を持ってビラを手にとってくれる方も見受けられました。

【長崎県】

国民救援会諫早支部は、5月20日、西諫早地区センターで「無実の人々を救う全国一斉宣伝行動」を実施しました。午後4時半から1時間、6人の会員でビラを配布、署名活動、マイクによる宣伝行動に取り組みました。さらに、「国民救援会」や「無実の人は無罪に」のノボリ、「共謀罪」反対の横断幕を設置し、宣伝行動をアピールしました。チラシ90枚を配布し、「共謀罪」署名45筆を集約しました。
マイク宣伝では、1975年5月20日に最高裁で出された「白鳥決定」にちなんで無実の人を救う宣伝行動であることを訴え、「袴田事件」や「名張事件」の内容を説明しました。また19日に「共謀罪」法案が衆議院法務委員会で強行採決されたことから、「共謀罪」法案が、思想・良心の自由、表現の自由などを侵害する違憲立法であることを訴え、署名への協力を呼びかけました。「共謀罪」法案が国会で審議中であるにもかかわらず、内容については知る人が少なく、法案の説明をしながら署名行動に取り組みました。中には「共謀罪」は必要だと言う人もいて、チラシなどでの宣伝行動が重要だと感じました。

愛知・豊川幼児殺人事件

第3回全国現地調査のご案内

「豊川幼児殺人事件」は、2002年7月に、豊川市内のゲームセンター駐車場に停められていた車から、まだ2歳にもならない男の子が何者かに連れ去られ、海に投げ捨てられて殺されたとされる
事件です。この事件の犯人とされている田邉雅樹さんの裁判は、第一審では無罪(2006年1月)でしたが、控訴審では逆転有罪で懲役17年が言い渡され(2007年7月)、2008年9月に上告 棄却となり刑が確定しました。田邉さんは2008年12月に大分刑務所に収監されましたが、 弁護団は17の新証拠を準備して、2016年7月15日に名古屋高裁に再審申立を行いました。
再審請求から1年経過という時期に当たり、事件の真実をより多くの方々に知っていただきたく、「全国現地調査」を、下記のように行うことにいたしました。
お忙しいとは存じますが、再審無罪を勝ち取るために皆様のお力添えをいただきたく、現地調 査への積極的なご参加を呼びかけるものです。
◆日 時 2017年7月29日(土) 13:00~17:00 (受付12:40~)
◆会 場 豊川市勤労福祉会館 1階・視聴覚室(「事前学習」と「まとめの会」)
〈愛知県豊川市新道町1-1-3 ℡0533-84-6515 〉
◆参加費 ①13時~17時までの現地調査のみ参加される方 2,000円 ②昼食(12時~13時)の弁当を予約注文される方 700円 ③夕食交流会のみ参加される方 4,500円 〔①~③の参加部分の合計になります。午前中の総会は無料です。 〕
◆参加申込 国民救援会愛知県本部へ、郵送または下記メール アドレスに送付してください。
〈申込み先〉日本国民救援会愛知県本部 〒460-0011
名古屋市中区大須4-14- 57 山岸ビル46号
電話052(251)2625/FAX052(251)8736
メールアドレス aichi-kyuuenkai@gol.com
◆締め切り 7月15日(土)必着でお願いします。
*なお、宿は各自でお取り下さい。

今後の主な事件の日程

 6月10日 福井女子中学生殺人事件全国現地調査(13時~ 福井県教育センターホール)
 6月16日 倉敷民商弾圧事件 独自最高裁要請(8時15分宣伝、10時要請)
 6月21日 名張毒ぶどう酒事件要請行動(13時半名古屋高裁要請、15時名古屋高検要請)
 6月23日 北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件・仙台高裁要請(13時、仙台高裁に集合)
 6月25日 袴田事件発生51年目再審開始をめざす市民集会(13時半から「清水テルサ」)
 6月29日 袴田事件3者協議、東京高裁、高検要請行動(東京高裁前12時集合)
 7月 5日 布川事件国賠裁判3者協議 東京高裁前宣伝行動(12時から裁判所前)
 7月28日 倉敷民商弾圧事件 控訴趣意書提出・激励行動・報告集会
 7月29日 豊川幼児殺人事件第3回全国現地調査(13時 豊川市勤労福祉会館集合)
*賛助会費、募金
久保智久さんから賛助会費と募金の協力がありました。ありがとうございました。
≪お詫び≫
*ニュースの発行予定は5月中旬でしたが、発行が遅れて申し訳ありませんでした。
*次号は、7月下旬発行予定。

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