えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.90再審えん罪事件全国連絡会ニュース

2018年 9月14日発行 No.90

台湾イノセンスプロジェクト総会に参加して

布川国賠裁判原告・桜井昌司
a-1.png

8月25日、26日に開かれた台湾イノセンスプロジェクト総会に招かれて参加しました。
日本のイノセンスプロジェクトで活動される甲南大学の笹倉先生から「台湾の総会で講演してほしいとの要請がある」と聞かされたのは6月でした。しかも「歌も唄ってほしいとのこと」と言われて驚きました。なぜ英語も台湾語も話せない俺が?と思いましたが、どうやら笹倉先生が台湾の皆さんにご紹介くださったようでした。まだ見ぬ台湾。台湾の冤罪事情も知りたいし、布川事件のことも伝えたいし、日本の冤罪をについて話すことは互いの理解にもつながると思って承諾し、行くことにしました。
ジュネーブ、それにゴビンダさんの住むネパールに行った経験からすると、台湾は近かった。行き慣れている鹿児島に少し時間を足した程度の差としか感じませんでした。日本が猛暑だったこともありましょうが、台湾の蒸し暑さは、全く気になりませんでした。日本に留学している台湾イノセンスプロジェクトで活動する方や台湾から仕事で来られた弁護士と打ち合わせをしての参加でした。総会の様子も聞いていましたが、まず検事総長の開会挨拶から驚かされました。
日本でイノセンスプロジェクト総会に検事総長が来ることはありません。日本には冤罪がないとさえ、検察は考えています。異常、狂気の世界に住む人たちが検察官だと、私は思っていますが、台湾では検事総長が来て、どうすれば冤罪を防げるかの方策も語ります。もちろん、それでも冤罪は作られる台湾ですが、少なくとも真摯に冤罪撲滅を語る総長の言葉を聞いて、台湾人の懐の広さを感じました。
私の講演は通訳時間を入れて2時間。日本で自分の体験を語るのと、そう違いはありません。
通訳を挟むのがまどろっこしい気分ではありましたが、日本と同じように語りました。
台湾の人がピアノを弾いて唄う予定でしたが、幸いにも大崎事件の報告で鴨志田先生も参加されることになったことで、いつも九州で唄うときと同じように先生に伴奏をお願いしました。
鴨志田先生ご自身も大崎事件で原口アヤ子さんの想いを歌にした「アヤ子の歌」を唄われましたが、歌の力は国境を越えます。先生の歌に涙を浮かべて聴く人もいました。私が唄った後は「せんせい!」と言わるようになりましたが、あれは歌の思いが伝わっての「せんせい」だったのだろうと思っています。
現職の裁判官が参加してのシンポジウムもあった2日目、私は、台湾の冤罪被害者と舞台に上がって、それぞれの思いを話しました。
現職裁判官が参加すること、検事総長が参加すること、台湾の皆さんにとって「こうした人が参加するのは台湾では普通なのですか、それとも異例ですか?」と、参加していた共同通信の記者が質問したところ、誰もが「当然です」との答えでした。日本と違いますね。
誰とは言いませんが、日本からアメリカに留学している裁判官が「日本は冤罪がない国だ」と発言して失笑を買っていたエピソードを語ってくれた人がいました。冤罪被害から救済する制度的な問題を提起する台湾の裁判官を知って、日本という国家の異常を、改めて感じました。日本は警察や検察だけではなくて裁判所も異常です。

a-02.png

台湾のイノセンスプロジェクトでは、冤罪被害者の家族を救済する活動もしていました。その様子も見て来ましたが、冤罪被害者、その家族、そして冤罪を無くすために活動する弁護士や市民。皆さんの活動を見て来て、もう冤罪撲滅では日本の司法は台湾の司法に負けていると感じました。
2日間、美味い料理と酒を味わいましたが、それ以上に冤罪を救うために活動される善意の皆さん、それに台湾の冤罪仲間の共に何も語らないで伝わる喜びを感じ、味わって来ました。でも、やはり、言葉は大事。もう少し英語を話せるようになりたいと思った台湾訪問でした。
来年4月、台湾で「獄友」を上映するそうです、金監督と一緒に、また台湾に行くことになりそうですし、同時にアメリカのアトランタでは、アメリカのイノセンスプロジェクト総会が開催されるようで、今度はアメリカでも唄ってくる予定でいます。
日本では警察や検察自身の行動は期待できません。今市事件を思えば、裁判所も加担した冤罪作りは、今後も続くとしか思えません。私たちが行動して冤罪作りを止めさせるしかないと思います。
私の国賠裁判は、この9月19日の最終弁論で結審して判決になりますが、これで闘いを終えるつもりはありません。冤罪を体験した仲間を集める「冤罪被害者の会」を結成しまして、道理の声を集めて、証拠開示法の制定と検察官抗告権の抹消を求めて行動します。
真実と正義の声は、必ず社会を動かして、当たり前が当たり前として認められる司法を実現できると、私は確信しています。
今後とも、よろしくお願いします。

 日野町事件 

ついにやった再審開始決定!

a-03.png

7月11日、大津地裁刑事部(今井輝幸裁判長)は日野町事件二次再審請求について「再審を開始する」との決定を出しました。
午後2時半すぎ、日野町事件弁護団の長尾一司、知花鷹一郎両弁護士が大津地裁門前で「再審開始」の垂れ幕を高々と掲げると、歴史的瞬間を固唾を飲んで見守っていた100名を超える支援者からは「おー」「やったぞ」「ありがとう」との歓声と同時に大きな拍手が沸き起こりました。このあと参加者は JR 大津駅前に移動し、「日野町事件再審開始」のビラを配布しながら拡声器で「裁判所は再審開始を決定しました」と宣伝しました。また、決定交付に先立ちこの日の正午、JR 大津駅前で「午後2時半に裁判所の決定書が交付されます」「ご注目下さい」と宣伝しました。
再審開始決定後の宣伝を終えた参加者は報告集会会場に集まり、伊賀カズミ救援会中央本部副会長から「決定」の要旨について説明を受けました。阪原さんの長男・弘次さんと次女の則子さんの中学時代の担任で、その後に校長を務めた永福尚さんから「よく耐えてがんばった。おめでとう」とお祝いの言葉が贈られました。

報告集会に120名が参加!

a-04.png

長男・弘次さん「夢のよう」だ長男の弘次さんは「夢のようです」と感想を述べ、長女の美和子さんは「父の笑顔が見えました。ありがとうといってくれました」と述べました。最後に次女の則子さんは、今後のたたかいについて「家族、兄妹力をあわせて頑張ってまいります」と述べました。
またそれぞれが救援会の支援に謝意を述べました。再審経験者の桜井さん(布川事件・再審無罪)、朴さん(東住吉事件・再審無罪)、青木さん(東住吉事件・再審無罪)、西山さん(湖東記念病院事件・再審開始)も参加し阪原さんの家族に祝福のことばを贈りました。

日野町事件、再審開始決定を受けて

故阪原さん、遺族の皆さんとともに再審無罪までたたかう

日野町事件弁護団 団 長 伊賀 興一
a-05.png

2018(平成 30)年 7 月 11 日、大津地方裁判所は、日野町事件の再審開始を決定しました。日野町事件は、1984(昭和 59)年 12 月 29 日の早朝、滋賀県日野町にある酒店店主が行方不明となり、年が明けて間もなく遺体および手提げ金庫が各々の場所で発見され、強盗殺人事件として捜査が行われた事件です。この事件で阪原弘さんは、行方不明者の捜索や葬儀に出ていないといううわさなどで犯人の疑いをかけられ、1988(昭和63)年 3 月、過酷な取調べにおいて虚偽の自白をさせられたうえで逮捕され、確定審で無期懲役刑に処されました。阪原さんは、受刑中に再審請求を申し立てていましたが、雪冤にいたらず無念の死を遂げられまし]た。阪原さんは、被害者が営む酒店の壺入客(常連)でしたが、事件当夜には、知人宅で酒を呼ばれて朝まで寝入っていました。つまり、この事件にはまったくかかわりがないのです。確定審で提出された証拠を見ても、阪原さんを犯人とする物的な証拠は何一つありませんでした。捜査の過程で作成された自白調書をほぼ唯一の証拠とされて、阪原さんは犯人に仕立てられたのです。
なぜ、事件に何のかかわりもない阪原さんが犯人として処罰を受けることになったのでしょうか。確定一審判決は、阪原さんの自白には犯人性を認定できるほどの信用性はないとし、状況証拠のみから犯人性を認め、有罪としました。一方、確定控訴審判決は、阪原さんが金庫発見現場まで任意に案内できたとされた実況見分調書を重視し、阪原さんの犯行供述は、その基本的根幹部分は優に信用できるとして犯人性を認め、有罪としました。このように、確定審段階においてすでに、阪原さんを犯人とする根拠は揺れていました。また、被害者がいつ、どこで、どのように殺害されたのか、被害者方酒店内から持ち出されたとされる手提げ金庫の持ち出しの時期や方法、金庫の開け方に至るまで、確定審において何も解明されていないという、刑事裁判として致命的な欠陥がありました。確定一審判決が、犯行時間や場所といった事件の枢要部分について、自白以外に証拠がないことを理由に、検察官の主張する犯罪事実をより概括的なものに変更させたうえで 有罪認定をしたことは、事件の解明がなされていないという脆弱性を示していました。
これが日野町事件の最大の特徴です。
再審請求審においては、遺体の解剖に関する記録(解剖所見や剖検記録)、阪原さんの犯行供述に基づく再現検証の際の写真やネガなど、捜査機関が収集、作成した大量の証拠の開示が実現しました。そして、これら開示された証拠とともに、弁護側の提出した法医学鑑定などによって、大きくわけて二つの重大な事実を明らかにしました。一つは、殺害行為についての阪原さんの供述では、遺体に残る殺害の痕跡を説明できないということです。今一つは、金庫発見現場の引当捜査を記録すべき実況見分調書において、現場からの 帰り路に阪原さんの体の向きを変えさせ、あたかも現場へ向かう 状況のようにして撮影された写真を、現場に向かう際の写真として使用していたことです。実況見分調書が捜査機関による演出証拠であったという、捜査活動の衝撃的な実態を自日の下に明らかに したのです。このほかにも、捜査機関が阪原さんのアリバイの存在を認識し、その関係捜査を始めた時期について、検察官が裁判所に対し虚偽の事実を述べていたことや、当時、捜査機関によってアリバイつぶし工作が行なわれていた事実なども明らかにしました。
犯行と何の関係もなかった阪原さんは、あらぬ疑いをかけられ、つらい取調べの中で虚偽の犯行を自白させられました。阪原さんの犯行供述は、どう見ても真犯人の自白とは言えない矛盾を示しています。捜査機関の演出と虚偽証拠によって犯人に仕立てられたのです。阪原さんの無念さは筆舌に尽くしがたいものがあります。確定審は、捜査機関によって騙されていたことが明らかになりました。それを見抜けなかった確定審の責任は重大です。
今回、大津地裁は、確定審判決の致命的な脆弱性を指摘して、最高裁白鳥・財田川決定に沿って、阪原さんを犯人と断定するには重大な合理的疑いが生じているとして再審の開始を決定しました。日野町事件の再審請求審での証拠開示の進展は、真実は必ず明らかになる、という雪 冤に大きな一歩となりました。私たち弁護団は、阪原さんの名誉を回復し、この国の正義を取り戻すため、再審無罪の確定まで、頑張ります。 正義を愛する市民の皆さん、これからも、これまでにも増して、日野町事件の勝利のためにお力を尽くしていただきますよう、心からお願い申し上げます。     「家族再審ニュース」2018.7.15 号より

 今市事件 

一審判決の誤りを認めながらあらためて無期懲役の判決! !

a-06.png

勝又拓哉さんが無実を訴えている栃木・今市事件に対し、東京高裁(藤井敏明裁判長)は、一審判決(無期懲役)の誤りを認め、いったん破棄したうえで、あらためて無期懲役の不当判決を言い渡しました。弁護団は判決を不服として即日、最高裁に上告しました。
「主文。原判決を破棄する。被告を無期懲役に処する」。
主文を聞いて、勝又さんのお母さんは「なぜ」とひとこと声を出しました。午前 10 時 30 分から休憩をはさみ午後4時までかかった判決文の朗読中、勝又さんは裁判長の方向に身を乗り出して判決を聞いていました。

「自白」映像で一審は有罪認定

今市事件は、2005年 12 月1日、栃木県今市市(現在の日光市)の小学1年の女児が行方不明となり、翌日、茨城県常陸大宮市の山林で遺体となって発見された事件です。約8年後の 14 年1月、警察は勝又さんを商標法違反(偽ブランド品の譲渡目的所持罪)の別件で逮捕し、拘束して今市事件についてウソの「自白」させました。
一審・宇都宮地裁は、事件当日、勝又さんの車が死体発見現場方向へ向かい、帰ってきたというNシステムの記録や、勝又さんが女児と同じ小学校に通っていた経歴から土地勘がある、母親に宛てた「事件」のお詫びの文書がある、女児の遺体に付着していた獣毛は勝又さんの飼っていた猫の毛であるなどの状況証拠をあげながら、それだけでは有罪を認定できないと認めたうえで、捜査機関で作成された「自白調書」とその取調べの一部を録画した映像によって有罪を認定しました。

客観的証拠と「自白」は矛盾

弁護団は、高裁の審理で、「自白」は客観的状況と矛盾し信用できない、取調べの録画映像は採用すべきではないと主張しました。弁護団が依頼した鑑定人の吉田謙一東京医大教授は、「自白」では、死体が発見された現場で6女児を立たせ、ナイフで6、7秒の間に 10 回刺し、その場に投げ棄てたとしていることについて、「自白」の殺害方法と遺体のキズは合わず、女児は寝かされた状況で刺されたこと、現場に大量の血液が流れた痕跡がなく、別の場所で殺されて、遺体が遺棄された旨、明らかにしました。「自白」が客観的証拠と合わず、「自白」の核心部分が崩れました。
そこで裁判所は、検察官に対して、訴因の変更を事実上促し、検察官は、殺害時間を行方がわ
からなくなった時間から死亡推定時刻までの間とし、殺害場所も遺体が発見された山林から「栃木県か茨城県内、またはそれら周辺」と大幅に広げたのです。

「有罪ありき」で「自白」に偏重

高裁は判決で、取調べを録画した映像を有罪の認定に使うことは違法、「自白」のうち、殺害方法や殺害現場は信用できないなど、弁護団の主張を認め、一審の判断は誤っているとしました。
有罪証拠の核心部分が崩れたのですから、本来は、無罪にしなければなりません。しかし、藤井裁判長は、一審では、有罪の決め手にならないとしていた勝又さんが母に書いた手紙を、今市事件について謝罪しているものだとして証拠価値を引き上げ、その他の状況証拠とあわせ、勝又さんの犯人性は揺るがないとしました。
しかし、それではなぜ勝又さんが、殺害方法などでウソをついたのかという疑問について、藤井裁判長は「自己に有利になるよう虚構を言った」など、なんらの証拠にもとづかず、勝手な推測で判断しています。
結局、裁判所は「有罪ありき」の立場で、これまでの検察の起訴事実では有罪が出せないと判断し、検察に訴因の変更をさせ、それで有罪としたのです。殺害方法などの「自白」の核心部分を否定しておきながら、最終的には勝又さんの手紙という実質的な「自白」を有罪の根拠としたもので、「自白」偏重の不当な判決です。
判決後、勝又さんは面会した人に「とても、信じられない判決。早速激励の手紙が届き、最高裁で頑張ろうという気持ちです」と決意を語りました。
【激励先】〒124-8565 葛飾区小菅1-35−1 東京拘置所 勝又拓哉様

待ちわびた高裁判決は無期懲役だった

真夏の太陽が朝から照りつける8月3日、高裁に傍聴希望の305人が並びました。
譲ってもらった傍聴券を手に60席の法廷にはいると、すでに3人の裁判官、弁護団、検察官が
着座し、傍聴席のまわりを警備係が取り囲み、物々しい雰囲気。
開廷後すぐに判決言い渡しで「原判決破棄、無期懲役に処す」と延々4時過ぎまで読み上げが続き、聞き慣れない法律用語と回りくどい文脈で、私にはなぜ有罪判決が理解できなかったです。
要約すると、「自白は信用できない」「取り調べに一部違法があった」「取り調べ録画を裁判で証拠扱いする危険」を指摘して一審判決を否定するが母親宛の手紙、車の通行記録、猫の毛などの情況証拠から勝又被告が犯人として矛盾はないというものでした。
私が公判を傍聴して、印象に残ったのは、証拠資料に捜査官11人分ものDNA汚染があったことと、裁判官が検察に訴因変更を促し、検察が応じて殺害場所と時間を変えたことでした。
8回の公判を通じ、弁護団は「自白」と事実の矛盾を科学的に証明することで、被告の無実を主張しましたが、裁判所は、訴因変更で検察有利にし、被告は嘘の供述をして今も反省していないとして有罪判決を下したのです。
その結果、事件全容は不明、被告のDNAは不検出、しかし被告が犯人ということはまちがいないという、裁判官の情況証拠解釈に頼る不当判決です。「疑わしきは被告人の利益に」の原則は、絵に描いた餅なのですか。日本の刑事裁判有罪率99・9%なるほどです。
判決から2週間後、東京拘置所を訪ねると、勝又さんは「判決文を読み返している、最高裁までがんばる」と毅然としていました。はがきや手紙に励まされるということから、支援者の激励が届いていること、そして司法への失望ではなく、立ちあがろうとする彼の態度に大いに励まされました。
今市事件はあまりにもむごい許せない事件ですが、その上なおえん罪被害者を苦しませ、逆に真犯人を安堵させているのはやりきれません。真犯人だけが、真実を知っているというのに。
私は全国の支援者と共に、勝又さんが無罪判決を勝ち取るまで関わり続けるつもりです。

栃木市 須黒雪枝
「えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会ニュース」2018.9.10

画像の説明

 布川国賠裁判 

「膨大な時間を失った」、「母は人目を避けて生活を強いられた」

桜井さんと妻、姉が冤罪被害の実態を陳述

7 月 24 日、布川国賠裁判で、桜井さんの受けた損害についての尋問が行われました。桜井さん本人の他、妻の恵子さん、桜井さんのお姉さんが証言台に立ちました。傍聴席は100名近い支援者でほぼいっぱいとなりました。
まず、桜井さんのお姉さんが、桜井さんが逮捕された当時、そしてその後の家族のつらさを涙ながらに話しました。お母さんは桜井さんの逮捕後、人目を避け、行商をやめ、地元の布佐駅を一度も利用することなかったそうです。お父さんは駅で何度も強盗殺人犯の親だと指さされ、お姉さん自身も世間の目が怖く、逃れたくて心中しようかとお母さんに言ったこともあったそうです。また妹さんは夫や家族に対して桜井さんが行方不明だということで通したそうです。
妻の恵子さんは、 1999 年に結婚して以来ずっと見守ってきた妻の立場から、いつも明るく前向きにみえる桜井さんの心の内側にある重い苦しみを語りました。 29 年もの長い間拘束されたことによる拘禁症の症状が何かをきっかけに現れる、ということを何度も経験したそうです。薄暗く狭いところに行くと息苦しくなるとか、体や腕などと拘束されることに恐怖心を覚える、ひどいときは体がバラバラになって飛び降りてしまいそうな恐怖に襲われたこともあったそうです。他にも「うそ」に過敏になりそのため周囲と摩擦を繰り返したり、何気ない言葉を命令ととらえて拒否したり。それが土浦での再審開始決定を契機に少しずつ変わっていったように思うと語りました。傍らでいろいろ感じ悩み、共に闘ってきた恵子さんの話は桜井さんのつらさを本人以上に伝えてくれるようでした。
最後に証言台に立った桜井昌司さんは、仮釈放後再審請求を闘いながらの就労の困難さや年金に入れなかったことの他、犯人と決めつけられての取り調べはすべてがつらかったと話しました。特に一旦証拠不十分で釈放された後、再逮捕されてからの再自白は、「もう証拠はそろっているのだから今否認したら死刑になるだけだ」と言われ、生か死かと精神的に追い詰められた末の自白だったそうです。
最後にどんな人生を送りたかったのかとの問いには「子供のいる普通のおやじになりたかった」と、また 29 年間の拘束で失ったものは?との問いには、「何事かをなすべき時間を失った、奪われてしまった」と話しました。
涙あり、ときとして笑いもあり、裁判官も身を乗り出して聞き入る場面もあった、冤罪の罪深さを心に刻む尋問でした。(尋問調書は布川国賠のホームページに up されています)

支援する会では、裁判に先立ち裁判所要請と裁判所前宣伝も行いました。裁判所要請では、誤判の原因となる証拠隠し・証拠のねつ造などの検察警察の違法行為を認定するよう要請し、宣伝行動は今市事件の支援者と合同で 40 名の参加でした。

布川国賠支援する会・山川清子

 第2回最高裁係属冤罪事件要請行動 

「冤罪から早く救って」、一日も早い再審開始を訴える

8月29日、再審・えん罪事件全国連絡会の呼びかける最高裁係属冤罪事件の第2回要請行動がおこなわれ、32人が参加しました。今回の要請行動には、大崎事件、松橋(まつばせ)事件の弁護団も参加しました。
現在最高裁には、再審開始決定に対して検察が特別抗告した熊本・松橋事件、滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件、鹿児島・大崎事件の3事件をはじめ、東京高裁で再審開始決定が取り消された静岡・袴田事件と仙台高裁で不当決定をうけた宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件の5事件が係属して、再審開始決定をめざしてたたかっています。

a-08.png

最高裁に多数の事件が同時期に再審開始をめぐって判断を迫るのはかつてなかったことです。再審・えん罪事件全国連絡会では、5事件の最高裁での判断が今後の再審・冤罪事件のたたかいに大きな影響を与えるとして、今年6月から首都圏の国民救援会にも協力を得て、偶数月に要請行動をおこなっています。(奇数月は国民救援会が呼びかける最高裁事件統一要請行動)
大崎事件を支援する稲留淳子さん(鹿児島・大隅支部)は、「原口アヤ子さんは91歳となりました。何としても生きているうちに再審無罪判決を出してください。そのためにも最高裁が一日も早く検察の特別抗告を棄却してください」と、原口さんの近況を紹介して訴えました。
宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件は支援者10人が参加し、8月におこなわれた関東連絡会の夏合宿で決議された再審開始を求める決議を提出しました。
さらに、参加者からそれぞれ意見や思いを伝え、「守(もり)大助さんの両親が元気なうちに再審開始決定を」と要請しました。
他の参加者からは、「最高裁はすべての証拠を開示して、公正な審理と白鳥・財田川決定に基づいてすべての事件に速やかに再審開始決定を」と要請しました。(次回は10月26日午前 111時から行います)。
要請行動後、参議院議員会館で要請行動の持ち方や今後の行動について懇談会を開催しました。そして、要請行動の内容の充実と各事件の交流を深めるとともに、最高裁で勝利を勝ちとるために、年内に東京で市民集会を開催することを確認しました。

 名張毒ぶどう酒事件 

名張毒ぶどう酒事件 奥西勝さんの3度目の命日

 10.4 名古屋高裁集中行動 人間の鎖行動の参加のお願い

無実の罪で苦しめられている多くの方々の救済のため日々活躍されている皆さまに心から敬意を表します。現在、名張事件の再審請求棄却決定に対する異議審を審理する名古屋高裁刑事第2 部・髙橋徹裁判長は、弁護団による再三の面談や進行協議開催の要求を全く無視するだけではなく、弁護団が 3 月 27 日に申し入れた「糊鑑定」についての再測定について弁護団を蚊 帳の外に置いて検察官とのみ秘密裏にやりとりをするという著しく不公平、不公正な訴訟指揮を行っております。請求審に続き、「死刑」の結論を決めてかかった裁判所の審理が続いています。
こうした裁判所の姿勢をあらためさせるため、私たち各地の支援組織はさらに大きな支援運動をつくろうと協議を重ね、裁判所の頑なな姿勢と「死後再審」の困難さという厳しい情勢に見合った新しい全国組織「名張毒ぶどう酒事件の再審・無罪を勝ち取り、奥西勝さんの名誉を回復させる全国の会」を奥西勝さんの無念の獄死から 3 年となる 10 月 4 日(木)に名古屋市内で結成10することにしました。
そして同日、裁判所の姿勢を変えさせるべく名古屋高裁を包囲する大きな行動を結成準備会として取り組むことにしました。私たちは、この行動を全国のみなさんのご支援により成功させ、高橋裁判長に真剣な審理を迫り、必ずや再審開始を勝ち取りたいと思っています。
そして、そのためにぜひとも全国から名古屋高裁を包囲する人間の鎖行動にご参加下さるよう、よろしくお願いします。
      「名張毒ぶどう酒事件の再審・無罪を勝ち取り、
      奥西勝さんの名誉を回復させる全国の会」結成準備会
      連絡先(担当 田中) 〒 460-00011 名古屋市中区大須14-57 山岸ビル46
      日本国民救援会愛知県本部内 電話 052-251-2625 FAX 052-251-8736

 大崎事件 

第2 0 回鹿児島・大崎事件全国現地調査のご案内

初秋の頃、みなさんのご活躍に敬意を表します。また大崎事件への日頃からのあたたかいご支
援に心から感謝申し上げます。
大崎事件・原口アヤ子さんと元夫(死後再審請求)について第3次再審請求で2018年3月12日、福岡高裁宮崎支部(根本渉裁判長)は、鹿児島地裁の再審開始決定に対する検察官の即時抗告を棄却し、再審開始を維持する決定を行いました。
もっとも、今回の決定は、地裁の再審開始決定の理由付けとは大きく異なるものでした。まず、地裁決定が再審を開始すべき明白な新証拠と認めた、親族の目撃供述を分析した供述心理鑑定について、もともと逐語的記録を分析対象とする鑑定手法(スキーム・アプローチ)を、逐語的に録取されていない供述調書にあてはめた同鑑定には信用性が認められないなどの理由で、明白性を否定しました。一方で、地裁決定が「被害者の遺体には頸部圧迫による窒息死であることを積極的に認定できる所見がない」との限度で証明力を認めていた法医学鑑定については、より進んで、「被害者の死因は転落事故等による出血性ショック死の可能性が高い」とした結論部分は十分な信用性を有すると認めました。そして、同鑑定が確定審において提出されていれば、被害者が何者かに殺害されたという前提で犯人像を想定することはできないから、アヤ子さんと「共犯者」らを犯人とみるのはその前提を欠くと判断し、新旧全証拠を総合評価した結論として吉田鑑定の明白性を肯定しました。
しかし、早期に再審開始を確定させるべきという多くの世論に背を向けたまま、検察官は高裁の決定を不服として最高裁に特別抗告の申立てを行いました。
原口アヤ子さんは、事件当初から一貫して無実を主張しつづけています。91歳の原口アヤ子さんが元気なうちに何としても無罪判決を勝ち取るためにあなたのお力を貸して下さい。
原口アヤ子さんの冤罪をはらすために一人でも多くの方々に事件の現場を実地見聞していただき、支援の輪を全国に広げていただきたく現地調査のご案内をいたします。

と き: 2018年10月13日(土)午後 13:30~14日(日)正午
ところ: あすぱる大崎 TEL0994-71-6666・FAX0994-71-6667
    鹿児島県曽於郡大崎町神領 2419

【日程】 1日目(13日)
事前学習会&弁護団報告、現地調査
夕食・交流会
2日目(14日)
全体会
【参加費】 1人 13,000円 一泊2食(バス代、資料代、会場費含む)
宿泊しない場合 1,000円
申込み締め切り 10月 6日(土)
主催: 日本国民救援会中央本部・鹿児島県本部
   原口アヤ子さんの再審をめざす会 大崎事件弁護団
連絡先:鹿児島市鴨池 2-14-20-102 tel/fax099-298-5161
   もしくは事務局の野元(090-5479-1143)、福一(090-8398-8144)

 大仙市事件 

第7 回全国現地調査にご参加ください!

2006年10月23日、秋田県大仙市の用水路で4歳の幼児の死体が発見されました。母親が殺したとされ、秋田地裁で懲役14年の刑が確定し、服役中です。
ところが、この母親が、自分が殺したという自白を変遷させ、当時交際相手であった畠山博さんの指示で幼児を用水路に投げ込み、窒息死させたと、罪を畠山さんに着せたのです。
畠山さんは、殺人を共謀した犯人として一審の秋田地裁、二審の仙台高裁秋田支部で、懲役16年の判決を受け、最高裁で確定。現在山形刑務所で服役しています。畠山さんは、大館市千年会長も務め、畠山さんを知る人々は「彼がそんなことをするはずがない。畠山さんを救おうと地元でも守る会が出来ています。
また、確定判決には客観的事実と矛盾する点が多くあります。現地調査に参加していただいて、大崎事件の真実を知っていただきたいと思います。ぜひ、全国からの参加をお願いします。

     とき:10月20日(土)~21日(日)
       第1日目 13時30分から17時
       第2日目 確定判決が認定した殺害現場などの現地調査(正午終了)
     ところ:くらしと労働会館(旧国労会館4F)
     連絡先:日本国民救援会秋田県本部
         秋田市中通7-2-21 くらしと労働会館(旧国労会館)内
         ☎018-832-9766もしくは、090-3754-6085(嶋田まで)

 資料編 

要請書

最高裁判所 第一小 法廷
小池 裕 裁判長殿

再審請求人原口アヤ子氏(以下,「アヤ子」という)及び西京子氏が申し立てた大崎事件第3次再審請求事件につき,貴小法廷に特別抗告審が係属してから,すでに5か月以上が経過している。
この第3次再審請求事件では,平成27年6月28日,鹿児島地方裁判所が再審開始決定(以下,「原々決定」という。)を行い,即時抗告審である福岡高等裁判所宮崎支部も,本年3月12日,地裁の行った再審開始決定の判断を維持する決定(以下,「原決定」という。)を行った。原々決定と,原決定とでは,再審開始の結論に至った判断過程及び新証拠の明白性判断に異なる点があるものの,いずれも白鳥・財田川決定以来の判例による新証拠の明白性判断手法に従って新旧全証拠の総合評価によっており,また,実質的にも確定審の有罪認定は維持できず,開始決定の判断は揺るがないことを示している。
にもかかわらず,検察官は,原決定に対して特別抗告を行い,その理由として、原決定には判例違反や著反正義がある旨,縷々主張している。しかし,いずれも実質的には事実誤認の主張であり,特別抗告理由に当たらないことは明白である。
このように,検察官の特別抗告は,適法な特別抗告理由のない,明らかに違法なものといわざるを得ない。
アヤ子は,本年6月15日に91歳の誕生日を迎えた。すでに繰り返し報道されているとおり,第 1 次再審請求審のときは,自らの声で無実を訴え,自らの足で裁判所に足を運ぶことができていたアヤ子も,その後,第2次,第3次と,実に27年もの長きに渡り再審請求を闘う中で,肉体的にも精神的にも衰え,現在では1日の大半をベッドの上で過ごさざる得ない状態にまで衰弱している。
原々決定が,申立てからわずか2年足らず,原決定が,申立てからわずか8か月余という異例とも言えるスピードで,いずれも再審開始を認める決定を下したのは,アヤ子の余命に鑑み,何としてもアヤ子の存命中に再審無罪の結論が確定するよう最大限配慮したものに他ならない。
もはや一刻の猶予も許されない状態であり,検察官の違法な特別抗告によって,これ以上,いたずらに再審公判の実現が阻害されてはならない。
平成30年4月20日付で当弁護団が貴小法廷に要請書を提出し,「アヤ子が91歳になる本年6月15日より前に決定を」と求めてからすでに2カ月以上が経過し,また,原決定からは半年が経過しようとしている。
弁護団としては,貴小法廷が司法の最高府として,1日も早い特別抗告棄却の判断を求めるところであり,遅くとも,9月28日までには,特別抗告の判断をするよう強く要請する次第である。

2018年(平成30年)8月29日
請求人原口アヤ子,請求人西京子弁護団
弁護団長 森 雅美
請求人 西 京子

 【声明・日野町事件】

再審開始決定を心より歓迎するとともに検察の即時抗告断念を強く求めます

本日、大津地裁刑事部(今井輝幸裁判長)は、えん罪日野町事件、故阪原弘さんの遺族による再審請求に対し、再審開始を決定しました。
私たちは、大津地裁刑事部(今井輝幸裁判長)の英断を高く評価するとともに心から歓迎します。また、これまで一貫して、故阪原弘さんの無罪実現をめざし、たゆまぬ努力と献身的な弁護活動を継続された弁護団のみなさんに、改めて心より敬意を表するものです。そして、阪原さんの無念の思いを晴らそうと再審をたたかった遺族のみなさんに敬意を表し、ともに喜び合いたいと思います。
故阪原弘さんは1984年12月、滋賀県蒲生郡日野町で発生した強盗殺人事件の犯人として、事件から3年後に逮捕・起訴され、警察・検察の取り調べのなかで一旦自白させられたものの、起訴後は一貫して無実を訴え、最高裁までたたかい続けましたが、2000年9月上告棄却、無期懲役が確定しました。
確定判決は、任意性、信用性ともに疑いのある「自白」と、客観的裏付けの乏しい情況証拠にのみ依拠し、判決直前に訴因変更まで行って阪原さんを有罪としました。
阪原弘さんは、第一次再審請求審のたたかい半ばに、広島刑務所に収監中に帰らぬ人となりましたが、ご遺族は、「父の無念を晴らしたい!」と第二次再審請求に挑みました。
今回の再審開始決定は、46回に及ぶ三者協議による審理、ならびに弁護団の再審請求書、再審請求補充意見書を踏まえて、白鳥・財田川決定に忠実に判断をしています。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を適用しつつ、再審請求審で明らかとなった、隠されていた新証拠の数々が確定審の審理中に提出されていたならば、確定判決のような事実認定に至ったかどうか、新旧全証拠を総合的に判断すべきとして、慎重に検討した上で、故阪原弘さんを犯人とするには合理的疑いが残るとしています。
さらに、第二次再審請求審では、ネガフィルム46本(写真にして675枚)、証拠書類140通が新たに証拠開示され、警察・検察によるアリバイつぶしや、証拠隠し、証拠のねつ造などが明らかにされました。あらためて、証拠開示の重要性を示しました。また、法医学鑑定により、「自白」の殺害方法と遺体に残された傷とが合わないなど、客観的証拠と「自白」の矛盾を指摘し、自白偏重の捜査・裁判に対して厳しく批判するものとなっています。
本日の再審開始決定は、これまで司法に裏切られ続けてきた阪原さんとご家族にとって、雪冤を果たす大きな一歩となりました。
検察は、無実の阪原さんを冤罪に陥れたこれまでの捜査と裁判への対応を真摯に反省し、即時抗告を行わず、再審開始決定に従い、速やかに再審公判に応じることを強く求めます。
私たちは、確定審段階より、裁判資料の学習や現地調査などを重ねて、阪原さんの無実を信じて支援運動を続けてきました。日野町事件の再審をめざす運動にこれまでご支援をいただいた全国のみなさんに心から感謝申し上げるとともに、一日も早く再審無罪を勝ち取るまで、ご支援を訴え、引き続き奮闘する決意を表明します。

2018年7月11日
14日本国民救援会滋賀県本部
日本国民救援会中央本部
「えん罪日野町事件」再審無罪を求める関西連絡会

 【声明・今市事件】

東京高裁の不当判決に強く抗議する

本日、東京高裁第5刑事部(藤井敏明裁判長)は、今市事件の被告人である勝又拓哉さんに対する殺人罪について、一審判決を破棄したうえで、訴因変更後の訴因について自判し、あらためて勝又さんに無期懲役を宣告した。この判決は、強要された勝又さんの「自白」に任意性・信用性を認めた一審判決を誤りとして破棄したにもかかわらず、精神的混乱の中で書かれた勝又さんの母親に対する手紙を根拠に勝又さんを犯人とし、有罪無期懲役としたものであり、およそ国民の常識とはかけ離れた信じがたい判決であり、強く抗議する。
今市事件は、2005年12月1日午後2時38分ころ、栃木県今市市(現在の日光市)の小学年生の女児が行方不明となり、翌日、茨城県の山林で遺体となって発見された事件である。捜査機関は、事件発生から約8年が経過しても解決できない状態を打開する賭けに出るかのように、2014年1月29日、勝又さんの身柄を確保するため、商標法違反(偽ブランド品の譲渡目的所持罪)で別件逮捕した。商標法違反の起訴後は、身柄拘束を利用し、今市事件の取り調べをした。
勝又さんは、同年6月3日、殺人罪で再逮捕され自白を強要された。宇都宮地検は、同月24日、勝又さんが「2005年12月2日午前4時ころ」「茨城県常陸大宮市三美字泉沢1727番65所在の山林西側山道」で殺害したと訴因を特定し、殺人罪で起訴した。
宇都宮地裁での裁判員裁判は、2016年4月8日、情況証拠のみからは勝又さんの犯人性を認定することはできないと述べながらも、自白の任意性・信用性を認め、無期懲役の判決を言い渡した。
裁判を担当した裁判員らは、判決後の記者会見で、物証の「弱さ」を指摘しつつも、自白に関わる一部録画を見なければ「判断は違っていた」と述べていた。
東京高裁での審理では、弁護団によって、遺体に残された創傷が「自白」の殺害態様と矛盾し、殺害現場に被害者の血痕がほとんどないこと、女児の頭部に貼り付いていた粘着テープには、勝又さんのDNAが検出されないばかりか、捜査関係者でもない第三者のDNAが存在することなどが明らかにされた。これによって原審が認めた自白の信用性は、根底から否定された。
それに対し、検察側は、起訴状記載の殺害日時と現場が疑わしいと思いつつも、勝又さんの犯人性だけには固執し、「2005年12月1日午後2時38分ころから同月2日午前4時ころ」に「栃木県か茨城県内、またはそれら周辺」で殺害したとの訴因に変更したいと、東京高裁に求めた。東京高裁は、弁護団の反論を退け、訴因変更を許可した。東京高裁での審理により、情況証拠が乏しいことに加え、勝又さんの自白の信用性もないことが明らかになり、検察側は、訴因変更せざるを得ず、原審の有罪立証が崩れたことを事実上認めていた。
そこで、私たちは、東京高裁が、公正中立な判断さえすれば、無罪という結論にしか辿り着かないとの確信を抱いていた。東京高裁も、一審の事実認定のうち、殺害の経緯、場所、態様等についての勝又さんの「自白」は信用できないことを認めざるを得なかったのである。
15ところが、本日、東京高裁は、弁護団が過酷な取調べの中で「自白」をさせられるという状況のなかで書かれた多義的解釈が可能な手紙で事実認定をおこなうことは極めて慎重でなければならないと主張していたにもかかわらず、勝又さんが勾留中に母親に宛てた手紙を根拠に、殺害の日時場所など不問に付して、とにかく勝又さんが犯人であることは間違いないと認定し、その範囲で勝又さんの「自白」の信用性を認め、勝又さんに無期懲役を言い渡した。
私たちは、不当判決をした東京高裁に対して、強く抗議し、勝又さんの無罪判決を勝ちとるまでたたかうことを表明する。

2018年8月3日
日本国民救援会栃木県本部
日本国民救援会中央本部
えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会

 今後の主な事件の日程 

 9月19日  布川事件国賠訴訟(東京地裁10時~)
 9月19日  三鷹事件東京高裁要請(東京高裁前12時集合
 9月25日  取調べの全可視化を求める市民集会
 9月28日  第235次最高裁係属事件最高裁要請(8時15分最高裁前宣伝~)
 9月28日  東住吉冤罪事件・青木国賠裁判(大阪地裁宣伝後要請)
       日弁連クレオ 18時半

              10時半

 10月 1日 あずみの里業務上過失致死事件(長野地裁松本支部13時半~)
 10月 4日 2018年司法総行動(最高裁前8時15分から終日行動)
 10月 4日 名張毒ぶどう酒事件人間の鎖行動(名古屋高裁
 10月 6日 今市事件守る会第2回総会(栃木弁護士会館14時~)
 12時15分から)
 10月13日 大崎事件第20回全国現地調査(詳細は別記記載に連絡を)
 10月20日 大仙市事件第7回全国現地調査(詳細は別記記載に連絡を)
 10月26日 最高裁係属冤罪事件統一要請行動(11時から要請)
 10月29日 NO MORE ENZAI!布川国賠チャリティーコンサート(大井町・きゅりあん)

お詫び
今号のニュース発行が大幅に遅れました。読者の方に深くお詫び申し上げます。次号は、11月中旬に発行します。

powered by Quick Homepage Maker 4.16
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional