えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.91再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2018年 11月23日発行 No.91

ご案内 再審・えん罪事件全国連絡会第27回総会

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いま、当連絡会に加盟する5事件が最 高 裁 でた た かっ て いま す (滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件、鹿児島・大崎事件、宮城・北陵クリニック事件、静岡・袴田事件、栃木・今市事件)。これらの最高裁係属冤罪5事件で勝利を勝ちとることは、世論を動かし、全国の裁判官にも大きな影響を与えます。それは、すべての冤罪・再審事件の運動を前進させるうえで大きな力になります。
本総会は、今日の再審・えん罪事件の歴史的な課題を担って開催されます。ぜひ、多くの加盟支援団体からのご参加をよろしくお願いします。また、総会の前日におこなわれる冤罪根絶一日行動へのご参加もお願いします。詳しくは同封のビラをご覧ください。
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熊本・松橋事件 

寄稿 本件事例を活かし、証拠開示義務化を

「燃やした」はずの証拠、検察は血液鑑定もして隠蔽

弁護士 齊藤誠(東京弁護士会)

 1 はじめに

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 熊本の松橋町でおきた殺人事件で犯人とされ、懲役 13 年の実刑をうけた宮田浩喜さんにおいては、再審請求書を 2012 年3 月に熊本地方裁判所へ提出し、2016 年 6 月に再審開始決定がなされた。
 2017 年 11 月に福岡高等裁判所は検察官の即時抗告を棄却し、検察官は最高裁判所へ特別抗告をしたが、2018 年 10 月 10 日この特別抗告は棄却され、熊本地方裁判所において宮田さんの無罪判決へ向けて再審公判が開始されることとなった。

 2 本件事件の概要

 この事件の最高裁判所への上告審において、私が国選弁護人に選任されたのは 1988 年 9 月、上告棄却決定がなされたのが1990 年 1 月であったが、直ちに「再審予定である」として押収物の保管を申請した。
1993 年 5 月、私は野嶋真人弁護士と一緒に宮田さんが収監されている岡山刑務所に接見に行き、これから再審請求の準備を開始することを話すと宮田さんはとても喜んでいた。
 本件は刃物による滅多刺しの事案であり、室内にも血液の飛沫痕があるのに、本人が犯行当時に着ていたという着衣からは血液反応がなく、凶器とされた切出小刀も柄のところが木製であるにも関わらず血液反応が一切ないという、明らかにおかしな事案であった。しかし、一審の最初の国選弁護人が事案を争わず、被告人も最初の罪状認否では罪を認めていたということもあり、私が国選弁護人に選任されたが、当初からこの事件は再審請求をするしかないと思っていた。

  3 初期調査の中で

 再審請求の準備を始めてから、何度も現地を踏査し、聞き取りを含めて、証拠を集めていった。
この調査の中で重要な事実をつかんだ。我々は、調査の過程で、被害者の着衣の状況を知ろうとして、検察官に証拠物の開示を申し立てた。そうしたところ検察官が保管していた証拠物のほとんどが開示された。そのとき、「どうぞ」と案内された検察庁の小部屋に入ったところ、山と積まれた証拠物があった瞬間はいまでも忘れない。
 最初の時は、証拠物も整理もされておらず、ただそれぞれ手に取って見るだけであった。2回目か3回目の証拠物閲覧の際、一つ一つを写真に撮って、証拠物目録と照らし合わせる作業をしている最中であった。宮田さんの自白では、自白の途中から、布を凶器に巻き付けて殺害し、その後この布は燃やしたとなっていた。そこで巻き付けた布切れが、本当に欠けているかどうか確かめようということになった。そこで、バラバラの布切れを一つ一つ合わせていった。そうしたところ、全部そろってしまい、シャツに欠けたところはないことがわかった。そのときの喜びと興奮は、今でも忘れない場面である。
 即時抗告審において福岡高等裁判所は、この焼却したはずの巻いた布切れが出てきたことに対して、「『観念して本当のことを言う気になった』という、本件切出小刀に布切れを巻いたこと自体が虚偽である可能性が現れてきたことになる。宮田を被害者殺害の犯人とする確定判決の理由の主要な部分が相当に疑わしくなったというほかない」と判断している。

 4 法医学鑑定

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 凶器に巻き付け、かつ焼却したという、自白の信用性を否定する布が見つかったが、弁護団は、これだけでは再審請求は認められないとして、再審申立てに向けて主張の構成と内容の検討、「切出小刀が凶器ではない」との決定的内容を表す法医学の鑑定書の作成に取り組んだ。これには日本医科大学の大野曜吉教授に全面的に協力をしていただいた。傷は多数あったが、教授が目を付けたのは、長さの計測により「約」とされ、また刃先の到達先が検証可能な2つの創傷(創 8、創14)であった。
 即時抗告審である福岡高等裁判所は、「大野教授は、神田教授の計測について、創8については創底が軟部組織ではなく堅い頸椎骨であったことから、創14については創底が皮膚の変色部位から確認できることから、不正確であった可能性はないとしている。」とした。そして同決定は、「大野鑑定は、合理的な根拠をもって、本件切出小刀と被害者の創8と創14との間の矛盾を説明しているということができるから、本件再審開始の成否の判断にあたっては、大野鑑定に依拠することができるというべきである」と判断した。

 5 本件は警察・検察の証拠隠し

 再審申立後の証拠開示において、捜査側は、「燃やしたと供述しているものの,勘違いや記憶違い等で......残片等投棄放置されているおそれ」があるとして,起訴後に,被告人宅近辺を捜索した上で本件シャツ左袖片を発見し,それにとどまらず,血液付着の有無などを確認するため鑑定まで行い、「血液の付着を証明し得なかった」との結果を得ていたことが明らかとなった。しかるに、この事実は、本件確定審においては一切明らかにされなかった。これは警察・検察の証拠隠しそのものであると言わなければならない。

 6 再審での証拠開示の法制化を

 再審裁判においては、検察側の証拠の開示が常に問題となる。本件は、証拠物の開示がなければ、そのまま検察の証拠の隠匿は明らかにならないままとなった可能性がある。本件事例をもとに、証拠の開示をより広く義務づける法制の確立を求めていく必要がある。


宮城・北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件 

大助さんの両親が最高裁に要請

 「一日も早く、息子の声聞きたい」

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宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件で、10 月29 日(月)、最高裁に対して初めての要請行動をおこないました(主催=仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件全国連絡会)。札幌、宮城、会津、那須、茨城、千葉、東京、ひぐらし、一羊会、三多摩、神奈川、徳島、高知の各「守る会」と、大助さんの両親も参加され、33 人が参加しました。
参加者は、白鳥・財田川決定に従い、最高裁が再審開始決定を自判するか、高裁へ差し戻すよう各々が要請しました。
この日、最高裁に 51 通の要請書と 5,843 人分の署名を提出。累計到達はちょうど 9,000 人分となりました。お母さんの守祐子さんは、「一日も早くと息子の声を聞きたい」と切々と訴えました。ご両親が提出した上申書の一部を紹介します。

弁護人への立証責任転嫁は本末転倒

父・守勝男さん

 勝男さんの上申書より

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私は、殺人罪の濡れ衣を着せられ無期懲役で千葉刑務所に 29 歳から 17 年も拘束されている守大助の父親の守勝男です。
2001 年 1 月当時、息子を殺人罪で逮捕した、宮城県警の現職の警察官で交通捜査を担当していた警部補で、定年まで 5 年ありましたが息子の無実を確信し定年を全うしました。
宮城県警は確信ある証拠によって息子を逮捕したものと思っておりました。無実を確信した理由は、現職の警察官として自分なりに可能な限りの関係者を訪ね歩き、証拠を集め証拠構造を組み立てていくと、どうしても息子を殺人犯として逮捕するには無理があり、患者の急変原因はクリニックの特殊事情にあるのではないかと確信したのです。
そのため、担当していた捜査幹部に証拠の杜撰さを指摘すると「新聞を見ていただければわかるでしょう。最終的には裁判所が判断することです」と真摯に捜査しているかが疑われんばかりで、捜査に迎合する関係者のみを聴取するなど真実の究明を怠り捜査責任を回避する始末でした。
私は、裁判所を信じていたので真相を明らかにしてくれるものと、勤務をやり繰りしながら出来る限り公判を傍聴することに努め、三年にわたる 157 回の公判の8割は傍聴しましたが、真実が究明されるどころかますます疑問が深まったのです。
病院内の患者の急変なので、病気が原因とも考えられたのに、病気急変は一切排除して、執拗なまでのマスコミの犯人探しに乗せられ裁判所までが真実の追求を忘れ、あやふやな状況証拠の名のもとに警察・検察に同調する無責任な無期懲役の判決がなされたのです。
裁判官に問いたいのは、証拠による真実の追求です。息子を殺人犯人として処罰する立証責任は誰にあったのでしょうか。
再審裁判での一例では、鑑定資料が警察によって不必要に全量消費され再鑑定が不可能にされたのにもかかわらず、弁護側が病気による急変患者の立証に対して、患者の DNAによる遺伝子解析してまでの立証を弁護側に要求しているのは本末転倒ではないでしょう
か。裁判所が、立証責任側である検察に要請するものではないでしょうか。証拠開示も一切ありません。「証拠は真実の倉庫」と言われております。
最高裁は躊躇することなく速やかに証拠を開示して一日も早く真実を明らかにしていただきたく思います。

患者を殺すために看護師になったのではない

母・祐子さん

 裕子さんの上申書より

私は無実の罪で 18 年1ヶ月も拘留されている守大助の母 守祐子です。平成 13 年 1 月5日「母さんまだ雪が降るよ、雪かきして帰るね」降る雪の中、二人で汗をかき、家の前5の雪かきをしながら交わした言葉が、息子との最後の会話でした。
その翌日 1 月6日、息子は言われなき殺人で逮捕され、平成16年仙台地裁(畑中英明裁判長)が無期懲役を言い渡し、平成20年に最高裁(藤田宙晴裁判長)で無期懲役が確定しました。これまで関わった17名の裁判官は、誰一人として検察側が隠し続けている証拠を開示せず、自ら見る努力もせずに筋弛緩剤が検出されているとの鑑定書を唯一に、無期懲役を言い渡してきました。その鑑定資料は全量消費され弁護側の再鑑定を不可能にされ信用性が問われているのに、裁判官は何を恐れ、誰を守ろうとしていたのでしょうか。
息子の手紙には、「人殺し、殺人者、この世に必要のない人間だ、人間以下のクズ、無罪はない、死刑だ」などと耳を塞ぎたくなる言葉で、身体に暴力はないものの精神的暴力で追い詰め、捜査官の作ったストーリーに合わなければ丸めたノートを振りかざし拳で机を叩き、お前の父親が一緒に働いているので調べにくい、どうせ所内でお茶汲み窓際、母親が病に伏しているなど嘘偽りの限り書かれており目を疑わんばかりでした。
それまでして犯人に仕立て上げねばならなかったのか、北陵クリニックではこれまで急変患者が十数人ありながら、一緒に治療に当たっていた医師、看護師のスタッフが何の疑問も持たないでいたのに、突然に平成 12 年 10 月 31 日の A 子ちゃんの急変から、息子を殺人者しなければならなかった病院の特殊事情とは何であったのか疑問でなりません。
「父さん、母さん僕は病院から仕組まれた」と息子の手紙が届いて唖然としました。公判中の元同僚の証言に「副院長の半田郁子医師が職員を集め『守が犯人でないなら、この中の誰でもいいんだよ』と強い口調で言われた」との証言があり、病院の特殊事情により一層疑いを深めました。
私は、一貫して無実を訴えている息子を誇りに思います。
息子は患者さんを殺めるために看護師になったのではありません。学生時代の部活で怪我をして入院した際に、手厚い看護に感動して自分も人のために役立ちたいと看護師を志し、仕事に誇りを持ち一生懸命に働いておりました。
林裁判長にお願いいたします。息子の真実の叫びを是非聞いてください。息子は患者さんの回復を願いつつ医師の指示のもとに点滴をしたもので、絶対に患者さんを殺めてはいません。
私が産んで私が育てた子供です。私たちは古希を過ぎ、これから先 10 年いいえ 5 年元気でいられる保証は得られません。一日も早く「母さん帰ってきました。」と息子の声を聞きたい。1 日でも一緒に長く暮らさせてください。重ねてお願い申し上げます。


東住吉冤罪事件・青木国賠裁判

検察官の違法性を追及し、最終盤へ

加速度的な法廷外の運動の展開を

日本国民救援会大阪府本部 副会長 伊賀カズミ
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1995年、車から漏れたガソリンに風呂釜の種火が引火したために発生した、不幸な火災事故で長女を亡くした青木惠子さんは、保険金目当ての放火殺人事件の犯人として逮捕・起訴され、2006 年、有罪判決確定とともに和歌山刑務所に収監されました。逮捕以来一貫して無罪を主張し続けた惠子さんは、2009 年に獄中から再審請求。2012 年には大阪地裁で開始決定、2015 年 10月ようやく確定。翌 2016 年に再審公判開始、8 月 10 日に晴れて無罪が実現しました。青木惠子さんは、無罪確定の年の 12 月 20 日、二度と再び自分のような冤罪犠牲者が出ることがないようにとの願いを込めて、原因究明、そして謝罪を求めて国家賠償請求裁判を起こしました。2017年 3 月に第一回の口頭弁論が開かれてから、途中係属する部が変わるという事態を挟み、現在五回の口頭弁論が終了したところです。

 検察官には、無罪弁論をする義務があった

第五回口頭弁論では、青木さんの代理人弁護団より、第 6 準備書面に基づいて、まずこれまでに提出済みの準備書面において縷々説明を重ねてきた1本件火災が自然発火の可能性が高いこと(第 1 準備書面)、2間接事実の評価に誤りがあること(第 2 準備書面)、3自白の任意性、信用性が認められないこと(第 4 準備書面)を主張しました。これらの事実は、起訴当時から判明していたことであり、まさに公訴提起自体が違法であるということを改めて強調しました。
今回提出の第 6 準備書面では、さらに公訴提起以降の違法について、確定審段階のみならず、即時抗告審の一部をも含む再審請求審においても検察官は無罪の弁論をすべき義務があったと述べています。
そして、それでは「検察官」にはいかなる義務が存するのかとして、憲法の規定を受けて刑訴法 1 条の目的、「事案の真相解明と刑罰の適正かつ迅速な適用実現」が定められているのであり、検察官は、必要と認めるときは自ら捜査することができ、さらにはその職務の公益性から、有罪判決確定後も被告人の正当な利益を擁護することが要求される、としています。公訴取消義務しかり、無罪論告義務しかり、検察官による再審請求権の付与しかりであるとしています。

 自白に信用性がないことを、検察は認識して隠蔽

以上の前提の上に立って、確定審においては、原告青木惠子さんたちの自白の任意性・信用性のないことを十分認識しえたにもかかわらず、その義務を果たさなかったことを明らかにしています。まず、京大の石油化学の専門である光藤輝幸教授らの鑑定書により「朴自白」による放火行為が実現不可能で、自白に信用性がないこと、さらに高裁審理中に行われた二度にわたる燃焼実験に際し、警察も検察も自白通りの再現は不可能であり、「朴自白」に信用性がないことを明白に認識していたことを挙げています。
さらには、供述心理学の観点から浜田寿美男奈良女子大学教授(当時)、村山満明県立広島大学助教授に鑑定を依頼し、いずれも自白の任意性や信用性を否定する結論が出されたが、検察官の不同意によって採用はされなかった。しかしながら被告らは当然その内容を把握しており、自白の任意性及び信用性に問題があることは認識しえたはずであるとしています。その他、八尾警察官の不当な取り調べ状況と公判での偽証、自白の任意性を肯定したこと等々についても検察官は認識していたにもかかわらず、虚偽の証言をさせたとして尋問をした検察官の行為の違法性についても述べています。

 自然発火の可能性について

自然発火の可能性についても、1アメリカのニュース番組による気化ガソリンの漏出と、風呂釜の種火が火種となって火災が発生した事例との類似性、2大阪ガスの樋渡証言、科捜研の長谷川証言、3ガソリンが「過量的満杯状態」であったことを示すガソリンスタンド店員の証言などなどの証拠の隠ぺいを図ったことに対する検察官の違法性があったとしています。
再審請求審の段階においては、新証拠としての「伊藤鑑定書」や「小山町旧実験」「小山町新実験」、そして即時抗告審においては検察官による再現実験「小牧実験」によって、放火でないことが、改めて明らかになり、「朴自白」の信用性が退けられたとし、本来は再審開始決定が出た時点で、検察官は直ちに原告らの身柄拘束を解き、即時抗告を行うことなく、再審公判に移行すべき義務があった。そして再審公判においては無罪を求める弁論、論告を行うべき義務があったとしています。
以上のまとめとして第 6 準備書面は、「しかしながら、検察官は上記義務に悉く反し、原告を20 年間以上拘束し続け、娘殺しの汚名を着せ続けたのであって、その違法性は甚大である。」とまとめています。
なお、弁護団は第 3 準備書面で、国と大阪府が「慎重な捜査および検討」を行った結果、放火しかありえないという結論に至ったとするならば、捜査・検討を行ったことを示す報告書等一切の関係資料の提出を求めています。さらには再審無罪確定後、上訴権の放棄とともに捜査の問題点については内部で調査・検証したと発表しているが、その結果を明らかにすることも求めています。

 いよいよ最終盤――「公正判決要請」の運動を強めて

次回口頭弁論は来年 1 月 11 日、次々回は 3 月 14 日。裁判長は被告に対し、原告の第 2 から第4 準備書面に対しまとめて反論せよと迫りました。そして当初は年内に提出を求めていましたが、被告側は次回期日までには無理であると返答。次々回には原告側も、被告側の反論を検討の上、総論的にプレゼンができるように準備をする予定であるとしています。
いよいよ、最終盤です。弁護団のみなさんの奮闘をたたえ、かつ法定外の運動を加速度的に強化しなければなりません。裁判所への提出署名は、一回の口頭弁論ごとに 1,000 筆ずつ積み上げて、現在 6,000 筆を提出済みです。これまでに倍する速度で、全国の皆さんのご協力のもと「公正判決要請」の運動を強めたいと考えています。
ちなみに、「自然発火」の原因となったホンダの車両の不備を訴えて、損害賠償請求裁判も同時進行で行われてきましたが、10 月 26 日、大阪地裁は 20 年が過ぎると請求権がなくなるという「除斥」規定を適用し、訴えを退ける判決を言い渡しました。
青木さんや原告代理人弁護士は、本件火災事件の被害者である長女 M さんの相続人たる青木惠子さんは、「被害者に対する殺人罪で有罪判決を言い渡され、同判決が確定したことから、その後の再審において無罪の判決が確定するまでの間、相続欠格事由(民法 891 条 1 項)が存在することになり......損害賠償請求権を行使することが不可能であった。」と主張していました。
判決で大阪地裁の倉地裁判長は、青木さんが長女の相続人として権利を行使することが妨げられていたとしながらも、被告ホンダが意図的に権利行使を妨げたという事情が認められないとし8て除斥を適用し、青木さんの請求を退けました。
判決前の口頭弁論で裁判長は、除斥に当たるかどうかの中間判決を行うとしていましたが、抜き打ち的な判決言い渡しに青木惠子さんや弁護団は、怒りをあらわにするとともに、直ちに控訴するとしています。
まさに企業に向けて配慮したと思える判決。司法の現在を顕著に表した判決だと感じるのは、一人私だけでしょうか。
国賠裁判に勝利することはもちろん、ホンダに対する損賠裁判の控訴審にも大いに注目したいと思います。


茨城・布川事件国賠

感動の NO MORE ENZAI!ライブ

桜井さんの獄中歌が210人の観客の心を揺さぶる

布川国賠を支援する会 山川清子
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布川国賠を支援する会は 10 月 29 日、「NO MORE ENZAI!桜井昌司と仲間たちによるチャリティーライブ2018」を東京・大井町「きゅりあん」小ホールで行いました。
布川国賠裁判は、提訴からおよそ 6年たった 9 月 19 日に結審して、年度内に判決が出ることになっています。この布川国賠勝利に向けての取り組みとして計画されたのがこのライブです。
国賠勝利をめざす集会としてはいささか毛色の違う集まりでしたが、支援する会として、幅広く活動する桜井さんを冤罪の集会とは違った幅広い層に冤罪を知ってもらう機会にしたい、他の冤罪事件の支援のライブにもしたいという趣旨でこのような形になりました。不慣れな事務局にとってはなかなか大変な企画ではありましたが、桜井さんの歌手活動、映画「獄友」をきっかけに作られた幅広い人脈で素晴らしいメンバーを迎えることができ、なんとかやりきることができました。当日、会場は 210 名の観客でほぼいっぱいになりました。
 第 1 部は小室等さんたちのグループによる歌と演奏。李政美さんの透き通るような歌声、中川五郎さんの心を揺さぶる語りの歌、さすがプロの音とステージに感動が広がりました。とくに中川五郎さんの、オリンピックの表彰台で人種差別に抗議した「ピーターノーマンを知ってるかい」に心を打たれたとの感想も多く寄せられました。
 第 2 部は桜井さんの歌と田中泰子さんによる獄中詩朗読。桜井さんの獄中歌は何度聞いても心に響きますが、初めて聞いた方も少なからずいて、冤罪の苦しみを伝える歌に感動したと感想が寄せられました。田中泰子さんによる桜井さんの詩もさすがプロという心に響く素晴らしいものでした。再審無罪の恩人ともいえる佐藤光政さんもゲストとして参加され、歌われました。
ライブは、初めて布川の催しに参加する方に加えて、茨城をはじめとする「桜井昌司さんと杉山卓男さんを守る会」の時代からの支援者の参加、いろいろな冤罪支援者の協力も得ることができて大成功を収めることができました。また、最高裁係属事件支援を呼びかけた会場カンパも多く集まり、最高裁 5 事件(大崎事件、袴田事件、湖東記念病院人工呼吸器事件、仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件、今市事件)にカンパすることができました。
桜井さんは、他の冤罪被害者とともに、証拠閲覧権、検察官上訴の禁止、冤罪を起こしたものの責任追及の法制度の確立をめざす会を立ち上げるという、新たなステップを踏み出そうとしています。支援する会としても桜井さんの活動と呼応して幅広い活動を続けていきたいと思っています。
今回のライブについて、支援する会としては冤罪の問題を幅広い層に広げていくという点で意義があったと総括していますが、反面慣れない取り組みでいろいろな反省点もあります。これを踏まえて、もう一度、ライブの企画をという意見もあります。もしその時には今回見逃された方も是非ご覧いただければと思います。
お知らせ  布川国賠、地裁最後の裁判所要請行動
1 月 24 日(木曜日)午後 1 時~要請行動での署名提出はこれが最後になりますので、署名はその時までに願いいたします。


レポート 誤判の危険性に思い至らぬ司法の実態

全国冤罪事件弁護団連絡協議会 第 27 回交流会 「情況証拠による事実認定のあり方とは――今市事件を主な題材として」に参加して

「なくせ冤罪!市民評議会」 客野美喜子

全国冤罪事件弁護団連絡協議会第27回交流会が、11 月 1 日(木)13:00~16:30、日比谷コンベンションホールにて開催されました。テーマは、「情況証拠による事実認定のあり方とは―今市事件を主な題材として」。主催は日弁連ですが、弁護士・研究者はもちろん、冤罪に関心を持つ多くの市民にも積極的に参加してほしいとの呼びかけがありました。
まず、今市事件弁護団の今村核弁護士からの事件報告があり、続いて、豊崎七絵九州大学法学部教授からの研究者報告がありました。今市事件控訴審判決の問題点を通して、他事件にも共通する情況証拠による事実認定のあり方について、今後の大きな課題となる多くの重要な論点が明らかになりました。その全てをここに詳述することは出来ないので、当日の配布資料であるレジュメや判決文などを読み直し、この事件や裁判の経緯を振り返り、あらためて私が理解したり考えたりしたことを書いてみたいと思います。

 脆弱な情況証拠を集めて殺人を認定した今市事件

今市事件とは、2005 年 12 月に栃木県今市市(現・日光市)に住む小学 1 年生の女児が下校途10中で行方不明となり、茨城県常陸大宮市の山林で刺殺体となって発見された事件です。多くの不審者情報が寄せられましたが容疑者絞り込みにはいたらず、遺留品が見つからなかったことなどから捜査は難航しました。もはや迷宮入りかと思われていた 2014 年 6 月(事件から8年半後)、鹿沼市在住の無職男性・勝又拓哉氏が、別件の商標法違反容疑で逮捕され、取調べの中で今市事件への関与を「自白」するに至りました。
一審裁判員裁判(宇都宮地裁)は、検察側が主張する情況証拠について「被告人が犯人の蓋然性は相当高いが、これらの間接事実のみから被告人の犯人性を認定することはできない」とした上で、自供調書および取調べの録音録画を重視して、無期懲役の有罪判決を下しました。
一審の認定した「自白」どおりなら、勝又氏は被害者を裸のまま車に乗せて山林に連れて行き、被害者を立たせた状態で胸部十箇所をナイフで刺して殺害したことになります。しかし、控訴審(東京高裁)では、この殺害場所や殺害方法が客観的状況と合わないことが弁護側の科学的立証により明らかになりました。ところが、これで「自白」の信用性が崩れるかと思いきや、なんと裁判長は、検察官に「予備的訴因の追加」を促したのです。その結果、殺害場所は「栃木県内、茨城県内又はそれらの周辺」、日時は女児が下校途中に同級生と別れてから翌日午前4時頃までの約 13 時間と大幅に広げられました。その上で、控訴審は、取り調べの録音録画を実質証拠化した違法性や殺害の日時場所の事実誤認を理由に一審判決を破棄し、あらためて「情況証拠の総合評価」により無期懲役の有罪判決を言い渡しました。じつは、ここからが、この交流会の本題なのですが、このような情況証拠による事実認定についての一審と控訴審の相違は何なのでしょうか。

 情況証拠で有罪の心証を抱き、DNA鑑定はあっさり切捨て

一審判決も控訴審判決も、同じ「7つの間接事実」を認定しています(下記)。
 ①被告人車両についての N システムの通行記録
 ②被害者の遺体の右手拇指に付着していた獣毛様のもの 1 本のミトコンドリア DNA 型
 ③遺体の右頸部の損傷
 ④被告人の拉致現場所在の可能性ならびに被告人車両と拉致現場目撃車両との類似性
 ⑤被告人の拉致現場付近の土地鑑
 ⑥被告人と犯人像との整合性
 ⑦被告人による母親宛の手紙
一審判決は、「これらの間接事実のみから被告人の犯人性を認定することはできない」としました。ところが控訴審判決は、「これらの間接事実を総合すれば、殺害犯人と被告人との同一性は、合理的疑いをさしはさむ余地なく認められる」と言うのです。
どちらの判決も、「情況証拠によって認められる間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは少なくとも説明が極めて困難である)間接事実が含まれていることを要する」という大阪母子殺害事件の最高裁判決(平22最判)を引用しています。一審は、上記1から7のいずれも「犯人でなければ説明できない」とまでは言えないと判断しました。ところが、控訴審は、「一審は7の評価を誤っている」と言うのです。「被告人が本件手紙を作成したことは、被告人が殺害犯人でないとすれば合理的に説明することが困難な間接事実にあたる」として、これを総合評価に加えることで有罪という結論を導き出しました。
控訴審判決は、「自白したから犯人だ」という古典的な先入観を持って、他の1~6も評価していますが、それでも、ひとつひとつは、「矛盾がない」、「可能性がある」、「蓋然性が高い」ていどであるということを、一応、認めています。つまりそのていどの(換言すれば反対解釈の余地も大いにありうる)推認力の弱い証拠にすぎないのです。ところが、これらが集積されていくうちに推認力が強化されていき、ついには「総合評価により合理的疑いの余地なく有罪」という結論に至ります。
そして、これが、この控訴審判決の特徴なのですが、この有罪という結論をガッチリかためておいてから、第三者の痕跡(遺体の後頭部に付いていた粘着テープや遺体の体表から採取された複数の DNA 型の中に被告人の型は存在せず、何者か不明な型が検出されたという重大な事実)について検討します。しかし、「検討する」と言いながら、じつは、すでに「被告人=犯人」と確信しているので、犯行時に必ずしも犯人の DNA が付着するとは限らない、検査時のコンタミネーションだろう、ゆえに合理的疑いにはあたらないと、あっさり切り捨ててしまいます。

 「拉致」、「死体遺棄」の情況証拠で、「殺人」まで認定する裁判所

控訴審判決には、もうひとつの見過ごせない特徴があります。殺害場所や殺害方法についての自白供述部分が客観的状況に矛盾する理由について、独自の見解を打ち出したのです。従来、このような矛盾は、「犯人ではないから、正解を知らなかったのだ」と無罪方向に評価されてきました。ところが、控訴審判決は、「犯人が罪責を軽くするために虚偽を作出したのだ」と決め付けます。その根拠は、「一般的に、自己が犯人であることを認める被疑者であっても、その犯行の動機、経緯、態様等について、真実をありのままに供述するとは限らない......実際の犯行よりも犯情の軽い虚偽の事実を供述することは珍しいことではない」という「一般論」にすぎません。
この通俗的な偏見にこそ、裁判官の本音が暴露されているのではないでしょうか。
「訴因は、できうるかぎり日時、場所、方法をもって罪となるべき事実を特定しなければならない (刑事訴訟法 256 条 3 項) 」とされているにもかかわらず、予備的訴因の追加によって、結果的に、殺害日時は不特定、殺害場所は不明、殺害態様も不明、動機も不明になってしまいました。そこで、あらためて見直してみると、「7つの間接事実」は、(仮に百歩譲って)「拉致」、「死体遺棄」の証拠であっても、「殺害行為」の証拠ではありません。母親宛の手紙も「今回、自分で引き起こした事件」とあるだけで、「殺した」などとは書かかれていません。つまり「殺害」の証拠は、何一つ無いことになります。本件において、「拉致」と「死体遺棄」は、すでに公訴時効が完成しているので、起訴されたのは「殺害」のみです。ただし、「拉致、殺害、死体遺棄という一連の犯行は同一人物によるもの」という前提に立っています。しかし、これもまた「推認」であり、何らかの具体的な証拠により裏付けられているわけではありません。例えて言うなら、「拉致」と「死体遺棄」という「スカスカの軽い箱」を積み上げた上に、「殺害」という「空っぽの箱」を乗っけてある。これが控訴審判決の「正体」なのです。最高裁の賢明な判断に期待したいところですが、それにしても、この裁判官たちは、「誤判」の危険性に思い至らないのでしょうか。近年相次いだ再審無罪事件での教訓は、残念ながら、まったく生かされていないと思わざるをえません。



レポート 証拠閲覧は当然の権利

台湾の司法制度とイノセンス・プロジェクト

なくせ冤罪!市民評議会 今井恭平

 桜井さん、台湾へ行く

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布川事件の再審無罪・国賠原告として、冤罪被害者仲間の支援で全国を飛び回っている桜井昌司さん。今年は、台湾のイノセンス・プロジェクトの総会にゲストとして招かれ、講演と歌を披露してきました。
なくせ冤罪!市民評議会(SNOW)では、不定期ですがセミナーを行い、冤罪事件、裁判、法改正などの問題で、専門家や関係者から話を聞く機会をもうけています。さる 10月 26 日、桜井さんをお呼びして、台湾での冤罪をめぐる事情や、被害者と交流してきたことなど、話を聞きました。
さらに、桜井さん訪台の際に通訳をつとめた李怡修さんも来ていただき、台湾のイノセンス・プロジェクトおよび刑事司法制度の全般的な話を聞く機会をもちました。
李さんは、台湾から一橋大学に留学中で、専門は刑事司法、ことに証拠開示問題を研究しているそうです。台湾ではイノセンス・プロジェクトのボランティアスタッフとして働いた経験もあり、日本でも研究活動だけでなく、アムネスティで死刑廃止問題に取り組んだりしています。日本に来て 10 年だそうですが、たいへんに流ちょうな日本語で説明してくれた台湾の状況は、私たちにはかなり衝撃的なものでした。

 死刑から再審無罪へ

桜井さんが、イノセンス・プロジェクト総会に参加してまず驚いたのは、現職の検事総長が出席していて、挨拶・発言をしたことです。しかしこれは台湾では驚くべきことではなく、刑事司法の公正を願い、冤罪をなくしたい、という理想に対しては、立場を超えて共通の問題意識として考えることは、当たり前と認識されているようです。日本でも建前ではそうかもしれませんが、検事総長が民間NGOの総会に出てくることなど日本では想像もできません。
台湾イノセンス・プロジェクトは、6名の有給スタッフとパラリーガル2名、それにプロボノ(社会奉仕として無償で弁護活動を行う)弁護士と学生ボランティアなどで構成され、これまで1,000 件ほどの支援要請を受け、うち 24 件(27 名)を実際に支援し、これまでに 8 件の無罪を獲得しています。現在係争中の再審事件が 3 件あります。
桜井さんが交歓した雪冤者の中には、徐自強さんという、死刑を宣告されて 20 年を獄中で過ごし、そのうち 6 年間は、いつ執行されてもおかしくないという恐怖の日々を過ごした方がいます。ちなみに台湾での死刑は銃殺刑だそうですが、執行の当日まで本人に知らされない点では、日本と同じです。
最近もう一人、死刑から雪冤を果たして無罪を獲得した人がいるとのことです。

 家族の支援も

イノセンス・プロジェクトの活動内容は、DNA鑑定を主な武器とする無罪獲得の活動が中心と思われていますが、それだけでなく冤罪者の家族支援にも力を入れており、家庭訪問なども行って家族の相談にのったりしています。
また、一般市民に対する啓発活動(キャンペーン)も重要な仕事とされています。法改正の必要性などを国会議員へのロビー活動を通じて訴えることも彼らの活動の一環です。個別事件の支援については、確実に無実である、と思われる事件のみに限定しています。確実に無実、とは適正手続き違反などで有罪を言い渡すことに合理的疑いがあるものも含めた考え方です。
支援決定に際しては、要請を受けると、まずパラリーガルが記録に目を通して検討します。必要があると考えるものは、学生ボランティアも含めて一件書類を詳細に検討するなどして、毎週水曜日に会議にかけます。その上で、弁護士や理事長が参加した最終判断の会議をもって支援決定するのだそうです。

 冤罪の教訓を生かす努力

このように、台湾でもけっして冤罪がないという訳ではありません。しかし、日本との最大の違いは、冤罪が起きてしまったことがわかったとき、真剣にその原因を究明し、法律を改正してきたことでしょう。
ことに死刑冤罪の発覚を契機として、無実を訴えている確定囚がDNAへのアクセス権を認められたことは画期的なことです。
また、被告人がすべての証拠にアクセスする権利も、ある冤罪者が自殺し、その後無実が明らかになった、という痛ましい事件を契機に法律が改正されました。従来も、弁護人はすべての証拠にアクセスする権利をもっていましたが、かんじんの被告人や再審請求人は、弁護人を通じてしか証拠にアクセスできないため、弁護人のいない被告人にとって不公正であるとみなされたのです。
憲法裁判所にあたる司法院大法官会議というものがあり、そこが証拠へのアクセス権で差別があることは憲法違反にあたると判示したことで、法改正がすみやかに行われたのです。大法官会議(15 名)は最高裁とは別個の組織で、憲法判断、憲法解釈をもっぱら行います。
日本の最高裁は、憲法判断を避けがちで、結果として行政権力への抑制力が弱く、行政権力の暴走にむしろ伴走しているとしかいえない現状があるように思います。それとは対称的です。
しかし、大法官の選任は大統領が行うので(米国の連邦最高裁と同様)大統領次第ではどのような司法の最高機関となるのかが左右されるという危険性もあるように思えます。

 証拠閲覧権

証拠開示については、そもそも「開示」という概念そのものがなじまない、と台湾の司法関係者は考えているようです。開示とは、あたかも証拠が検察の所有物であり、それを検察の裁量でどこまで見せてやるか、という上からの目線です。台湾では、証拠は、起訴された段階で、捜査段階のものから一切合切が「一件記録」として裁判所に提出されます。(職権主義的運用)
弁護人はいつでも裁判所に行き、証拠を自由に閲覧・謄写する権利があり、その権利が被告人や再審請求人にまで拡張されたことは先に述べたとおりです(最近は電磁的デジタル証拠も多いので、USBにコピーする、ビデオ撮影する、ハードディスクのデッド・コピーなど多様な証拠閲覧方法が許容されている)。
少し気になるのは、台湾ではいま日本の裁判員制度に似た制度を採り入れようとしているとのことですが、日本の公判前整理手続きにおける三段階式証拠開示制度(検察請求証拠開示、類型証拠開示、主張関連証拠開示)まで採り入れる動きがあるとのこと。とすればむしろ証拠開示の大幅後退にならないのか、心配になる話です。

 調書問題・取調べへの弁護人の立ち会い

日本では、警察官、検察官による作文調書がしばしば証拠として用いられる実態があり、否認調書はとらずに自白に追い込んでから初めて調書をとるなどの姑息な手段も常とう化しています。
台湾では、取調べをしたら、必ず調書をとらなければならず、また一問一答形式でなければならない、という決まりがあるので、日本のような恣意的な調書作成と自白調書の捏造のような事態を避けることが担保されています。
また取調べの全過程の録音は必ず行わねばならず、必要に応じて録画もされます。取調べに弁護人が立ち会うだけでなく、その場で意見を述べる権利も保証されています。
そもそも日本は警察、検察あわせて 72 時間の取調べプラス 20 日間もの勾留が認められていますが、台湾は警察・検察あわせて 24 時間であり、その後の勾留も、日本のように捜査側の都合のみで認められるのではなく、勾留によって被疑者が被る人権上、社会生活上の不利益を考慮しなければならないという大法官会議の判断により、抑制されているとのことであり、勾留請求については合理的かつ十分な疎明が求められます。
限られた時間と、私たちの予備知識も不十分な中、李さんの的確なレクチャで多くの違いがあることは理解できましたが、その違いが何に起因し、日本の司法を改革するためには何が必要なのかの認識にまで高めて行くにはまだまだ学ぶべきことが多いと感じます。
しかし、現実に冤罪が生じたときに、そこから何かを学んで現実の改革にまですすまなければならないという精神だけは、いますぐにでも学んで採り入れなければならないものだと思います。


最高裁係属冤罪5事件が要請行動

最高裁に公正な判断を要求

松橋事件に続き再審開始を

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10月26日、再審・えん罪事件全国連絡会の呼びかけで最高裁係属冤罪5事件の要請行動がおこなわれ20人が参加しました。
現在、宮城・仙台北陵クリニック事件、栃木・今市事件、静岡・袴田事件、滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件、鹿児島・大崎事件の5事件が最高裁に係属しています。
この日の要請行動では、松橋事件に続き、残る5事件についても証拠を公正に判断して最高裁が正義を実現するように求めました。
最高裁要請に初めて参加した東京の望田冨士子さんは、湖東記念病院人工呼吸器事件について「西山さんと同じく看護助手として勤めてきた経験から、看護助手が人工呼吸器を扱うことはない。大阪高裁が亡くなった患者は自然死である可能性が高いとして再審開始決定をしたこと踏まえて、ぜひ、最高裁は西山さんの再審開始を確定させてください」と、訴えました。
また、今市事件の勝又拓哉さんのお母さんは、「日本はアジアで一番の先進国で、裁判官も神様のように公正と思っていた。まさかこんな判決になるなんて、日本の司法はこれでよろしいと思っているのでしょうか」と、切々と訴えました。
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 今後の日程 

 ▼11 月 23 日(金・祝)長野・あずみの里「業務上過失致死」事件 無罪判決で介護の未来を守る集会「あずみの里刑事裁判の完全無罪を求めて」 午後 1 時~3 時 30 分 安曇野スイス村「サンモリッツ」大ホール 安曇野市豊科南穂高 3800-1 安曇野インター5 分 問合せ 協立福祉会 ☎0263-71-2300
 ▼12 月 5 日(水)名張毒ぶどう酒事件要請行動 名古屋高裁要請=午後1時 30 分、高検要請=午後3時
 ▼12 月 12 日(水)午前 11 時 45 分集合、正午開会 最高裁継続5事件の勝利と静岡・袴田事件「死刑判決 50 年、再収監を許さないアピール行動」
(衆議院第1議員会館前)、午後2時 15 分 国会議員要請行動(衆議院第2議員会館多目的ホール)、午後 3 時 最高裁係属事件の勝利をめざす院内集会(衆議院第2議員会館多目的ホール)
 ▼12 月 13 日(木)再審・えん罪事件全国連絡会第 27 回総会 12 月 13 日(木)午前 9 時 30 分~午後 2時
衆議院第2議員会館地下1階 第7会議室(東京都千代田区永田町 2-1-2)
 ▼12 月 13 日(木)最高裁係属冤罪 5 事件統一要請行動 午後 2 時 30 分 最高裁西門(10 分前集合)
 ▼1 月 23 日(水)第239次最高裁統一要請行動 宣伝=午前 8 時 15 分 刑事事件要請=10 時、民事事件要請=11 時(それぞれ西門前集合)。その後、湯島の平和と労働センターで新年会

          賛助会費と年末募金のご協力をお願いします。

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