えん罪事件の真相を広め、裁判支援、在獄者の処遇改善運動をすすめています

No.94再審えん罪事件全国連絡会ニュース

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2019年  6月 21日発行 No.94

●真に冤罪犠牲者を救済できる制度もとめて

再審法を変える運動スタート

再審法改正をめざす市民の会が結成集会

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冤罪犠牲者を誤判から救済するという、再審制度の理念にかなった制度への改革をもとめて、「再審法改正をめざす市民の会」が5月20日、衆議院第2議員会館で結成集会を開き、活動を開始しました。この間、再審・えん罪事件全国連絡会は、会の結成に向けて事務局を担い、関係者の協力を得て結成に向けて活動してきました。
「市民の会」は、冤罪犠牲者を救済するための再審のルール作りを目的とし、その実現のための当面の中心課題として、①再審のためのすべての証拠の開示、②検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審における手続きの整備をあげています。
集会は村井敏邦一橋大学名誉教授のあいさつで開会。西嶋勝彦袴田事件再審弁護団長が記念講演(別掲)をおこないました。
各界からの発言では、自民党の鈴木貴子衆院議員(袴田巖死刑囚救援議員連盟事務局長)、日本共産党・仁比聡平参院議員、藤野保史衆院議員、社民党・福島瑞穂参院議員(メッセージ)、東住吉国賠・青木惠子さん、布川国賠・桜井昌司さん、袴田事件・袴田秀子さん、映画監督の周防正行さん、笹倉香奈・甲南大学教授などが発言しました。
名張事件・野嶋真人弁護士は「奥西さんをなぜ生きて帰せなかったか。大きな理由は証拠開示ができなかったことだ」と述べ、大崎事件・鴨志田祐美弁護士は「6月で原口さんは92歳。3 回の再審開始、しかし検察の再審妨害でいまだに救われない。今年を再審法改正『元年』にしよう」と呼びかけました。厚労省郵便不正事件・村木厚子さんのビデオメッセージも紹介されました。
伊賀カズミ国民救援会副会長が「結成宣言」を読み上げ、宇都宮健児元日弁連会長が「一刻も早く再審法改正を実現しよう」と閉会あいさつをおこないました。

「市民の会」運営委員(敬称略・50 音順、◎印は共同代表7人、☆印は事務局長)
◎青木惠子(冤罪犠牲者の会共同代表、東住吉国賠原告)/◎伊賀カズミ(関西冤罪事件連絡会代表、国民救援会副会長)/泉澤章(日弁連えん罪原因究明第三者機関の設置に関する特別部会事務局長)/市川寛(弁護士、元検察官)/井戸謙一(弁護士、元裁判官)/指宿信(成城大教授)/今井恭平(フリージャーナリスト)/◎宇都宮健児(元日弁連会長)/海渡雄一(弁護士、監獄人権センター代表)/◎木谷明(弁護士、元裁判官)/☆客野美喜子(なくせ冤罪!市民評議会代表)/川崎英明(関西学院大教授)/鴨志田祐美(日弁連再審における証拠開示に関する特別部会会長)/小池振一郎(日弁連死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部副本部長)/小竹広子(弁護士)/◎桜井昌司(布川国賠原告)/笹倉香奈(甲南大教授)/里見繁(関西大教授)/篠田博之(月刊「創」編集長、日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長)/白取祐司(神奈川大教授)/◎周防正行(映画監督)/瑞慶覧淳(再審・えん罪事件全国連絡会事務局長)/豊崎七絵(九州大教授)/成澤壽信(現代人文社代表取締役)/新倉修(青山学院大名誉教授)/新田渉世(日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会委員長)/西嶋勝彦(袴田事件弁護団長)/水谷規男(大阪大教授)/水野智幸(法政大教授、元裁判官)/◎村井敏邦(元刑法学会理事長)


市民の会結成の経過 客野美喜子事務局長

準備会事務局の客野美喜子さん(後に事務局長に選出)から、結成に至る経過が報告されました。要旨を紹介します。

 ▽再審めぐる歴史

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戦後、再審は「開かずの扉」と言われる時代がつづきます。その扉を開く鍵になったのが1975年の「白鳥決定」です。「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の鉄則は再審にも適用されるとしました。この決定を受けて、80年代には4人の死刑囚が再審無罪になりました。日弁連を中心に再審法改正運動が盛り上がり、国会に4度も改正案が出されましたが、成立には至りませんでした。
90年代には再び再審の扉が閉ざされ、「冬の時代」となります。
2000年代に入り、11事件で再審開始が相次ぎ出され、再審は活性化します。
足利、布川、東電OL、東住吉、松橋の5事件で再審無罪を勝ちとります。
一方、再審決定が覆された名張毒ぶどう酒事件や福井女子中学生殺人事件、再審決定に検察が徹底抗戦している大崎事件、再収監の危険にさらされている袴田事件などがあり、再審全体では再審開始になった事件はほんの一握りです。

 ▽再審法の不備

このようななかで、裁判官によって審理の方法や証拠の取扱いに違いが出る「再審格差」、開始決定への検察の不服申立による「再審妨害」など、再審制度の不備が顕在化します。そこで、無実の人を救済するには制度を改善すること、再審法の改正が必要だとの認識が広がり、世論も高まります。
再審法=刑事訴訟法の再審についての規定は、戦後、日本国憲法の制定により不利益再審(元被告人の不利益となる再審)の規定が廃止された以外は、大正時代のままで、その条文もわずかです。時代に取り残された再審法を、いまこそ「無実の人の救済」の理念にふさわしいものにただすべきときです。

 ▽「会」の結成へ

2000年代に入っての相次ぐ再審開始決定にくわえて、2016年の刑訴法「改正」の際、附則に「再審請求審における証拠開示についての検討義務」が盛り込まれ、日弁連は今年の人権擁護大会で、再審法改正をテーマにした分科会を開催します。
このような情勢と世論の高まりなど、今を絶好の機会として、「再審法改正をめざす市民の会」の結成をすすめてきました。

袴田事件から見た再審法の改正の必要性 西嶋弁護士講演

袴田事件の西嶋勝彦弁護団長が記念講演をおこない、再審開始を取り消された袴田事件の現状と現状の再審制度がかかえる問題を浮き彫りにしました。

 1、袴田事件の特質

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ご紹介頂きました主任弁護人、通称弁護団長の西嶋です。私に与えられた題目は、「袴田事件を通して見た再審法の改正」という問題です。実は袴田事件は再審法改正問題にとどまらず、いろいろな課題を抱えて人々の前に提示していると思います。その一番大きな問題は死刑廃止という問題ですが、今日はそのことがテーマではありませんので、置いております。
静岡地裁の再審開始決定で袴田さんは外に釈放されましたけれども、さすがに開始決定を取り消した東京高裁の請求棄却決定も、彼を東京拘置所の獄中に返すという決定は出来ませんでした。どんなに言葉を連ねて開始決定を批判しても、彼を再収監できないという事は高裁の大きなジレンマだと思います。その状態のもとで、私たちは何とか最高裁に特別抗告して一日も早く袴田さんの再審開始決定を勝ち取って再審公判につなげていきたいと思っております。
1)袴田事件は新証拠がなくても有罪に疑問が生じていた
それでは、袴田事件は再審法上のどういう問題に直面したかという問題ですが、その前に袴田事件の有罪判決はそんなに強固なものだったのかということをまず見ていく必要があります。
ご存知のように、一審の死刑判決を言い渡した合議体の一人、主任の熊本典道裁判官が退官後にあちこちで発言しております。彼は無罪判決をいったん起案したのですけれども、合議で敗れて死刑の判決を書かざるを得なかったというものです。彼は、今問題になっている新証拠なしに無罪だということを直感していたんです。その大きな理由は、われわれが推測するに、あんなデタラメで強制・拷問で作られた自白しかマトモな証拠がなく、5 点の衣類に至っては、事件から1 年2 カ月たった裁判の途中で発見されて、いかにも袴田さんの犯行着衣であると言われているけれども、そこに彼は根本的な疑問を呈していたんですね。つまり新証拠が何もない状態で、彼は無罪の心象を抱いていた。これは非常に大事なことなんです。つまり再審にどういう新証拠を求められるのかということの根本問題に関わることだと思います。
当時の東京高裁、最高裁は、まともな裁判官だったら有罪判決は書けないような証拠関係の元で死刑判決を支持して死刑を確定させてしまいました。私に言わせれば、彼らの目はフシアナではなかったのかと言いたいぐらいです。
2)新証拠の証明力が低くても再審を開ける財田川決定の精神が生きていない
翻って、白鳥財田川決定のうちの、白鳥決定の後に出てくる財田川決定を具体的に見ますと、旧証拠のみでも再審開始となる事案であります。それほどひどい証拠関係のもとで有罪になった事件の場合には、求められる新証拠の価値というのはそれほど高くなくてもよいと明白に宣言しています。ところが白鳥決定は大いに引用されるけれども、財田川決定の精神というのは、多くの再審事件には必ずしも活かされていないと思います。
つまり新証拠の明白性は、再審法の規定では新規明白な証拠が必要だとなっていますけれども、この場合の明白性というのは、それだけで有罪判決を覆すような証拠じゃないんだと。旧証拠に少しでも疑いがあって、「これではとても有罪判決を維持できない」と思われる事案の場合には、求められる新証拠の価値というか、証明力は極めて低いものでいいことになる。それを含意しているのだと思います。
しかし、理論的にはそうなんですけれども、棄却された袴田事件の第一次再審に用意された新証拠に、旧来の確定判決が引用した証拠に疑問を差し挟めば、第一次再審の証拠関係だけでも開始決定は容易にできたはずです。もちろん再審法が改正されていれば、より迅速に、かつ確実に袴田さんの冤罪が救済されていたと思います。高裁の大島決定が、あらんかぎりの言葉で原審のDNA 鑑定を批判したり、あるいは弁護人や支援者が、つまりプロではないアマチュアがおこなった味噌漬け実験の明白性を高度なハードルの元に否定しておりますけれども、本来こういう新証拠は必要なかったはずであります。

 2、審理手続の規定がないことが、裁判所と検察官の恣意を許す

1)職権主義であることが過度に強調され、請求人側の要求が通りずらい
袴田事件の本質は、今言われている新証拠の出現を待つまでもなく冤罪であったということであります。それがなぜスムーズに結論へと導かれなかったのか。開始決定はそのことを素直に取ってくれたわけですけれども、やはり手続きのバックグラウンドに裁判所と検察官の恣意を許している、手続きの不明確性があります。再審手続きはどうあらねばならないか、請求人の請求手続をどう決定に生かしていくかというプロセス・手続きが現行法には何も書いていないのです。そこから裁判所や検察官が勝手なふるまいをすることになります。「10 の再審事件があれば10 のやり方がある」なんて、そんな馬鹿な話があってはいけないはずなんですけれども、実はそれがまかり通っているわけです。職権主義である事が過度に強調されて、請求人の要求が通りづらいという面が全過程を通じて見て取れるわけです。
例えば、弁護団、裁判所、検察官の三者で協議する場面があります。これを必ず開かなければならないという手続きにはなっていなくて、再審の申し立てをしても何年も待たされたケースもあります。
袴田事件の第一次再審ではそれに近いような時間の空費が重ねられました。
それから三者協議を行っても、そこで作られる調書や約束事は「協議メモ」と称して、いったんは書記官が作るのですけれども、どうも裁判長や主任裁判官の意向で詳細なところが削られて、何が何だかわからない調書になっているんです。例えば、事実は、裁判長が検察官に明白に証拠開示の勧告をしているわけです。三者協議のメモにそれが全然現れていない。そういう不明朗があるんです。
つまり申立てから長期間塩漬けにされている事件や、あるいはもっともらしく協議が開かれていても、そこで議論された中身を正確に反映する議事録やメモが次の協議の場に生かされないということがある。これも細かいようですけども大事な問題だと思います。
2)検察官の無制限な補充立証が再審の妨げ
他方で、検察官の役割も後で述べますけれども、検事の補充調査、つまり検事が大がかりに準備して証拠を作らせるというか、作り出す時間を保障し、その提出に何ら制限を設けない。しかもそれは実験とか何らの鑑定を経ない単なる形式的な反論、意見です。それがあたかも弁護側の鑑定人の実験を否定するような重みを持つかのようにまかり通ることがあります。この前の即時抗告審の鑑定では、本田DNA 鑑定の鑑定手法の検証と称して、大阪医大の鈴木教授に裁判所が鑑定を命じました。ところが鈴木教授は、裁判所から命じられた本田鑑定人の鑑定手法・プロセスを経ることなく、独自の実験方法をとって「DNA が検出できなかった」としました。実は検出できなかったのではなく、かすかに出ているんです。それを大々的に「出なかった、出なかった」と言っているだけです。
それでは鑑定としては使えないということで、検察官がいろいろな教科書的なものをさかんに動員してきました。期限の定めもないかのように、僕に言わせれば馬に食わせるほどの資料を作って出してきた。その重みで原審の開始決定の支えになっていたDNA 鑑定を圧倒しようとして、現にそういう風になったわけです。
3)請求人の証人、鑑定申請に対する応答が義務づけられていない
第一次再審のとき、果たしてクリ小刀が4 人の体に数十カ所の重篤な傷を負わせることができるのかという問題についても、われわれは鑑定人の実験を伴う鑑定書も出しましたけれども、その鑑定人の尋問もすることなく、鑑定書の信用性を一方的に否定したんですね。突き刺された場合に肉体が反応する胸部の凹みを考慮していないという。ちゃんと考慮しているにもかかわらず、否定するための論理を展開してくる。しかも鑑定書の読み方、鑑定人の意見の詳細を確かめることさえせず、形式上の鑑定書の字面を否定して、その鑑定書は信用できないと明白性を否定しました。
こういう風に請求人が申請している証人や鑑定をことごとく否定し去れば、新しい進展はありませんから、旧来の有罪判決を維持するのに好都合なのです。そういう意味で、手続き上でも再審を求める側が請求した新証拠、それについて手厚く採用するなり、採用しない場合でも、具体的な却下理由とか、けじめをつけるような手続きが全然ないから、いくら申請してものれんに腕押しで、まともな反応がないということです。
4)公開されていないから、いい加減な審理がおこなわれていてもチェックできない
それから仮に鑑定人などの証人尋問を実施しても、私どもは正確に皆さんに報告しているつもりだけれども、公開されていないから、メディアあるいは一般の人がその目で見て聴いて、いかにいい加減な鑑定人であるか、裁判所がいかにいい加減な質問をしているかということが全然わからない。調書は確かにコピーされて披露することはできますけれども、普通の人は膨大な尋問調書を読み解いてそこから真実を読み取ることは、なかなか難しいだろうと思います。そういう意味では、最小限の手続きの公開は、証人に限って言っても実現されていなければいけない。
同時に請求人、本人の意見聴取は必要だと思います。確かに現行では、刑事訴訟規則で請求人の意見を聞かなければならないとなっています。しかし、一審で聞けばいいのか、高裁で覆す場合には意見を聞かなくてもいいのか、その辺がはっきりしていません。
静岡地裁の裁判官は、3 人が全員そろって東京拘置所に請求人本人の袴田さんの意見を聞きにいきました。ところが彼は精神状態が正常ではなかったので、裁判官の面会を頑なに断った。裁判所はそれでもかなり時間をかけて、何回も看守を居房と面会室を往復させて面会を実現しようとしたのです。
高裁の裁判官は、僕らも申し入れをしたけれども、「必要ない」ということで、請求人本人の意見も、顔も見ようともしていないのです。そういう手続き的な保障は大事だけれども、法規上規定(手当)がない。
5)理由を示さない証拠開示拒否
我々は証拠開示をめぐって三者協議の中や外で、様々な論争をし、文書を提出したり、口頭で色々やったりするのですけれども、それに対して裁判所が明確な態度を示さないということで、いたずらに検事の弁明がまかり通る。あるいはどうでもいいガラクタみたいなものをさかんに集めてきてごまかす。時間を稼ぐために「上級庁と協議しています」と言う。自分で判断しろと言いたいですけれども、そういうことで時間稼ぎをする。また証拠開示に応じない。開示拒否の理由も明示しない。うやむやのうちに決定を迎えるということがありました。これなどもきちんとした手続きがあれば、理由を示さない意思表示というのは通用しないはずですけれども、そういうことがまかり通っています。
改めて証拠開示の規定がないということがどういうことかというと、裁判所に対して証拠が捏造されたり隠匿されたり、改ざんされたりしたことがないという証拠の適性についても、裁判官の目を見開かせることが非常に困難で、つまり隠し得、捏造得ということが続いているわけです。
全面的な証拠開示は当然だろうと思います。有罪判決が確定しており、検察官の立証活動というか、訴追権利はもう終わっているから。あとは、検事から言わせれば本来ガラクタと思われる証拠ですから、われわれから言えば開示したって、毒にも薬にもならないはずなんだけれども隠したがる。そうすると大事なものを隠していたんだろうと言わざるを得ないですね。
これについては今まで皆さん苦労して、個々の弁護団は「こういうものもあるはずだ」ということで関連証拠から読み解いて、開示を求める個々の証拠をピックアップしていました。これはなかなか難しいです。相当な難苦行。時間ばかりかかる。全部開示させたらすごいことになる。ですから、少なくとも「こういう証拠がまだ手持ちにあります」ということを目録(リスト)でもよいので開示させることが最低限必要だと思います。
6)証拠を求めても検察は「不見当」で逃げられる
それから袴田事件で特に感じたのは、初期捜査、つまり袴田さんに犯人像が絞られていく前の事件発生直後の近隣の聞き込みとか、初期の資料、これを全部出せと言ったんですけれども、ついに出てきませんでした。第二次再審になってやっと600 点ほど出てきました。これも袴田さんのアリバイを証明するのに必要なもので、最初から彼が否認の供述をしていたことが出てきました。時期が非常に遅かったですよね。
それから、「取り調べの録音があるはずだ」と盛んに言っていたのですけれども、彼らは「不見当」(見当たらず)という言葉だけで逃げてきましたけれども、ついに抗しかねて即時抗告審のタイミングで出してきました。ところが否認から自白に転じる瞬間の取り調べの部分はなく又、検察官の調書が唯一のまともな証拠だと死刑判決すら認めていたのに、調書が作られている場面の録音がないんです。だから、まだまだ検察庁は全部開示していないとみています。
それから写真のネガ、これも5点の衣類発見時のものが味噌漬け実験のときの対比で非常に重要なのですけれども、これも全部出てこなかった。第二次再審の中で一応出てきましたけれども、これは高裁がどう言っているかというと、当時の写真の技術はちょっと問題だと。しかもネガを焼いた写真は劣化しているとか言っています。色合いだけで長期間味噌に浸かっていたのか、発見直前に浸かっていたのか、その写真をネガから焼き付けた写真を取り上げれば、全然味噌に長期間浸かった痕跡がないということが分かるのですが、開示された写真の証拠の価値はないということで、決定は1 年2カ月後、発見直前に埋め込んだという疑惑が生じないようにネガの証拠価値を否定しました。
それから、まだまだ警察・鑑識が事件直後に行った実験や記録がまだ出てきていない。これもぜひ出させなきゃいけないのですけれども、即時抗告審までには間に合いませんでした。
それから、検事が録音テープを出してきたときに言ってきた弁明は、検察庁にはなかったけれども、「静岡県警本部の倉庫から見つかりました」と言った。そんなことはないだろうと思うんですけどね。
やはり手持ち証拠の開示は、検察官が現に保持しているだけではなく、警察検察が総体として持っているものを全部出せという意味ですから、うちにはなかっただけではすまされないわけです。

3、検察官の再審における立場を明確にする

1)検察官の補充捜査は許されない
それから最初の話に戻りますけど、検察官は再審手続きの中でどういう役割を期待されているのか。
これは二つの面で考える必要があります。今の再審手続きは、請求人の利益のためしかない。検事が改めて有罪立証のために活用する手続きではない。それからもうひとつ、検察官には再審請求の権限が与えられている。これは権限であると同時に義務だと思うんですね。そういう公的立場を持っている検察官が、有罪判決を維持するために恥も外聞もなく新しい証拠を作ったり、古い証拠を隠したり、こんなことは許されない。再審手続きの中で、あたかも当事者であるかのごとく平然と弁護側に対立する席に座ってもっともらしく発言する。これは違うのではないか。
そういうわけで、検察官の補充捜査を許してはいけない。これは規定上もはっきりさせる必要があるでしょう。
2)不服申立禁止は当然
当然、不服申し立ての禁止は当たり前です。もし検察官が不服申し立てをできないなら、開始決定が直ちに確定するわけですから、今頃は再審公判で袴田さんの無実がはっきり証明されていると思います。

4、その他、再審法改正の必要性

その他にいろいろ言いたいことはありますけれども、箇条書きにしております。
1) 棄却決定に対する不服申立期間の延長と理由提出期間の十分な保障
これは地裁の棄却決定に対しては3 日間の即時抗告期間があります。最高裁には5 日間です。今はとにかくパソコンがありますから、メールのやりとりでいくらでも書面に手を加えて完成できますけれども、当時はそれができませんので、ガリ版やタイプで訂正といったら大変です。しかも、弁護団が全国に散らばっている場合には、1 カ所に集中して書類を作るという事はなかなか難しい。結局どこかに最低三日間泊まり込んで書き上げなければいけないことがありました。そういう意味で、便利になったとは言え、やはり申し立て期間の延長と、理由書提出期間の十分な保障が必要だと思います。
2) 再審事由の拡大-憲法じゅうりん、違法捜査(ファルサ型)
それから、再審事由の拡大。これは今議論されておりますけども、憲法違反、例えば袴田事件の場合は、憲法を蹂躙するような取り調べをやっている。これだけでも憲法違反だということで再審事由になると思います。真犯人じゃないことを新証拠を添えて言うまでもなく、手続き自体が憲法違反だということで再審事由になりうると思います。
3) 刑の執行停止と拘置停止の明文化/請求中の死刑執行停止
それから、執行停止の問題もありますが、これは省略します。
4) 科警研の改組又は公正中立な機関の設置
科警研という各地の警察の鑑識の親玉と言いますか、中央にある警察庁が支配している科学警察研究所があります。これは弁護側からの鑑定も受付ないし、検察官の注文通りに弁護側の新証拠に対峙する証拠を作るための機関に成り下がっているところがあります。そういう意味では、これを改組するか新に公正な第三者機関を設けるというのが必要です。一時期、日弁連で設けてもいいのではという議論をしたのだけれども、財政上できないと軽くあしらわれました。
5) 国選弁護人(複数)制度と接見交通の完全保障(請求準備の段階から)
それから国選弁護人の制度も必要です。しかも1 人ではなく複数。申し立て後ではなく請求する段階から国選弁護人の制度は考えなければいけないと思います。
6) 請求人の資格
それから請求人の資格。袴田さんは第二次再審を起こすに当たって、再審請求をするという認識が乏しくて、彼から弁護人選任届けをもらうのは困難でした。そこでお姉さんの秀子さんが請求人となって、彼は再審請求の本人だということで、両者が相並んで手続きにかかわっております。そういう意味で、もっと請求人の資格を緩やかに、つまりそれは補佐人でもいいし、さらに言えば後見人でもいい。民事の手続きの代理人資格と違わないように、刑事上の手続きの規定も必要だろうと思います。

5、まとめ

そういう意味で袴田事件の場合は、他の事件の皆さんも遭遇している問題を全て網羅してはいないのですけれども、少なくとも審理手続が公正に行われるように、再審が無辜の救済のためなんだということがはっきりと分かるような、明示した条文の改正が必要だということを示しています。それが再審請求を一歩進める大きな手段になりうると思います。(拍手)

ビデオメッセージ・会場発言より

 ビデオメッセージ 

会の活動で再審ルールの実現を

厚労省郵便不正事件 村木厚子さん
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日本の刑事司法は、非常に大きな問題を抱えています。裁判員制度の導入や、私の逮捕をきっかけにした一連の刑事司法制度改革の中で、通常審については一歩前進しました。一方で再審に関しては、今後の課題として放置されたまま、冤罪を訴える人々が明確なルールもないまま、気の遠くなるような年月、再審の開始を待ち望んでいます。
身に覚えのない罪に問われるということは、自分自身の人格と異なる「犯罪者」という烙印を押され、一生あるいは亡くなった後も背負っていくということです。冤罪の疑いが生じた場合は、できる限り早く、公正に裁判のやり直しをおこなわなければなりません。
刑事司法のあり方を変えるには、国民一人ひとりがこの問題にきちんと関心を持つことが重要です。市民の会の活動によって、多くの方々がこの問題に関心を寄せ、再審のルールを作る法改正が実現することを心からお祈りします。


 会場発言から 

証拠の開示を素早く実現させよう

映画監督 周防(すお)正行さん
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現行の再審についての法律は、「再審できますよ」と言っているだけで、その後どういう手続きを踏むかは全く決められていません。
法制審議会刑事司法制度特別部会で委員をやらせていただき、その時に「再審の証拠開示については、きちんとした法律を作るべきだ」と訴えましたが、結局先送りになってしまいました。ただ、証拠開示について何らかの手だてをしなければいけない義務があるとなっています。すぐ救わなければいけない人たちがたくさんいますから、その義務を素早く果たすために「市民の会」に参加して、引き続き訴えていくつもりです。
マスコミの皆さんには、再審というものがどういうものであるかを、多くの市民に理解していただける記事を書いていただきたい。政治家の皆さんにも、こういう不正義がまかり通っていることをきちんと理解していただいて、再審の法改正を早く実現していただきたいと思っています。


●布川国賠訴訟 東京地裁判決報告

警察と検察の「嘘」断罪

冤罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会 山川清子
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東京地裁市原義孝裁判長は、5 月27 日、桜井昌司さんの国家賠償請求事件で、警察の「偽計による取調べ」と「偽証」を違法とするほか、検察の「証拠開示義務」を認め、「証拠隠し」を違法とし、国と県の賠償責任を認め、7600 万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。国と県は控訴した。
まず、この判決が、警察検察の「嘘」を断罪するとともに、「証拠開示義務」を率直に認めた点を高く評価したい。
支援する会は、国賠裁判が2012 年11 月に提訴されてから7 年間近く、裁判所への要請行動や署名提出を行い、冤罪原因を明らかにするために公正な裁判をするために不可欠であると繰り返し全面証拠開示させるよう要請してきた。弁護団は地裁での主張の多くを証拠開示のために割いてきた。そして杉山さんの初期の供述録音テープについての文書提出命令を引き出した。さらに「ない」と争う検察が申し立てた即時抗告審に1 年を費やし、確定させた。そもそも布川事件の半世紀に及ぶ闘いは、初期の頃からずっと、わずかな手掛かりから証拠開示を迫る闘いであったと言っても過言ではない。
今回の証拠開示義務をみとめた判決は、証拠の開示を求め、開示された証拠によって再審無罪となった布川事件の長い闘いの「実り」の意義を持つと考える。
他方、この判決は不当にも吉田検事の起訴の違法を認めなかった。しかし、吉田検事は桜井さんたちを拘置所から警察の留置場に逆送して、認めなければ死刑と脅して自白させ、目撃者の供述調書をつじつまが合うように捻じ曲げて作り直した。このような行為は、検察官の裁量をはるかに逸脱していて、違法である。このような吉田検事の違法な起訴は冤罪布川事件をつくった重要な原因であり責任を追及されるべきである。
控訴審では検察警察の厳しい反撃が予想されるが、支援する会は地裁段階と同様に、幅広く活動する桜井さん、弁護団、他の冤罪事件、冤罪をなくすための活動をする仲間とともに、地道に要請行動・署名提出を続けて布川国賠裁判を支援していきたいと考えている。11 月には東京高裁の闘いに向けての総決起集会を予定している。ご支援をよろしくお願いしたい。

「控訴、望むところ」

桜井昌司さん

国と県の控訴を受けて原告の桜井さんは、取材に対して次のようにコメントしました。
国と県は必ず控訴してくると思っていた。望むところだ。地裁判決で不十分なところは高裁で完全勝利を目指したい。茨城県警が控訴するにあたって県議会に諮った文書を見ると、「警察官の職務行為を違法としたのは承服出来ない」とあった。しかし判決は、警察の職務行為を違法としたわけじゃない。取り調べで嘘を語ったこと、公判廷で偽証したことを違法と認定したのだ。嘘を使った職務行為が許されるわけはない。どの事件でも見逃されてきたこと。さらに追及して完全勝利したい。

●5・20 なくそう冤罪全国いっせい宣伝行動

全国で700人超が行動参加

通行人からも共感の声と激励のことば
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冤罪に苦しむ人をなくそうと、1975 年に出された最高裁白鳥決定にちなみ、毎年5 月20 日を中心に、再審えん罪事件全国連絡会と国民救援会の呼びかけで行われている全国いっせい宣伝行動が今年も各地でおこなわれ、6 月14 日現在までの集約で、全国約90 カ所、706人が参加しました。この数は、2018年春の482 人を大きく上回り、2018 年秋の703 人を超える成果となりました。
報告によれば、高校生が「今学校で冤罪の授業をやっているよ」とビラを持っていったり(神奈川)、「どういう人たちがこの取り組みをしているのか」と関心を持った人が救援会のことを知り、「そんな人たちがボランティアでやっているなんて初めて知りました」と驚く(愛知)など、市民と国民救援会の新たな出会いもありました。
また、泉大津コンビニ窃盗・国賠裁判の原告SUN―DYUさんが率いる音楽グループ「MIC SUN LIFE」が路上ライブをしながら宣伝行動をおこなう(大阪)など、得手を生かして取り組みをしたほか、「雨模様で人数が揃わなかったが、5 月20 日から相当経っているので、日延べは許されないと考え、最小限の行動で全国統一行動に参加した」(富山)。と困難を押して行動を決行ところもありました。

●静岡・袴田事件

再審取り消し1年で行動

最高裁要請と東京高裁前での宣伝・座り込み行動

2018年6月11日に、東京高裁(大島隆明裁判長)で再審開始決定が取り消された袴田事件。「袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会」は、6 月11 日、不当決定から1 年となるのを機に、最高裁要請と東京高裁前でのアピール行動をおこないました。

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最高裁での要請行動には16 人が参加し、弁護団の村崎修弁護士も要請をおこないました。村崎弁護士は、「事件は、捜査機関が証拠を捏造したという視点で見るとすべての疑問が解決する。東京高裁の取り消し決定では、疑問が残る証拠について、「いかにも不自然」と認めており、証拠が捏造されたという視点で考えればすべて整理できるのに、大島裁判長は、『捏造』という物差しをもっておらず、そこに一歩踏み出せなかった。証拠を素直に受け入れれば無実は明らかだ。真実を見て見ぬふりをして判断すれば、裁判所による『故意の殺人』になる」と述べました。
国民救援会の瑞慶覧淳副会長は、「弁護団が7 日に出した特別抗告理由補充書を見ても、袴田さんの肩の傷跡と5 点の衣類の白半そでシャツについている傷の場所が違うことが明らか。袴田さん自身が自らの体で無実を示している」と述べて再審開始を求めました。救援会神奈川県本部の田戸俊秀会長は、「48年間拘束した死刑囚を無罪にすることが裁判所の威信にかかわると思っているのだとしたら逆だ。このまま再審を開かないことは、裁判所に対する市民からの信頼を失うことになる」と語気を強めました。
また、ボクシング関係者も3人参加。日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会の真部豊さんは、「ボクシングもミスジャッジをした審判は責められ追及される。事実をちゃんとみて、まっとうな判断をしてほしい」と求めました。
東京高裁前では、24 人が参加し、マイクを使った宣伝行動をおこない、その後、「無実の死刑囚・袴田巖さんを救う会」が1 年前の再審取り消し決定以降、毎月続けている抗議の座り込み行動に合流し、約3 時間のアピール行動をおこないました。

袴田弁護団、上告理由補充書を提出

「犯行着衣」と実際の傷は合致しない

袴田事件弁護団は、6月7日、最高裁に「特別抗告理由補充書3」を提出し、その後記者会見を開きました。補充書は、「犯行着衣」と認定された5点の衣類のうち、白半そでシャツの右肩に空いている二つの穴について、実際に袴田さんの体に残っている傷跡の位置と比較検証したものです。検証の結果、傷の方向も位置もシャツの穴と違うことが明らかになり、さらに白半そでシャツの上に着用していたネズミ色のスポーツシャツとも、位置が離れていることがわかりました。
事件の火災のとき、袴田さんはパジャマを着て消火活動をしており、その際にけがをしたと訴えてきました。袴田さんの傷跡の位置はパジャマについた傷と一致しています。この結果、事件のときに着用していたのはパジャマであって、5点の衣類が袴田さんのものではないことがより明白になりました。

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弁護団の角替清美弁護士は会見で、「袴田さんの傷の位置については、はっきり記録されていなかった。しかし、袴田さんが釈放されたことで検証できるようになった。袴田さんは何も言えなくても、この傷が無実を物語る客観的資料となる」と述べました。
確定判決などでは、上に着ていたスポーツシャツに穴が一つなのに、下に着ていた白半そでシャツに穴が二つあることについて、刃物がスポーツシャツ、白半そでシャツ、皮膚へ刺さったあと、スポーツシャツと半そでシャツの間まで刃先が抜けて、再び半そでシャツの別の場所に刺さった可能性があるなどと認定していました。こうしたことを念頭に、弁護団長の西嶋勝彦弁護士は、「そんな離れ技が現場でおきるはずがなく、あり得ない弁解であることが分かる」と批判。「パジャマで消火活動をしていたという彼の説明が真実だと証明された」と述べました。

●小石川事件

自白の矛盾、再現して確認

狭い4畳半の部屋で殺害行為は不可能と確信
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5月25日(土)、国民救援会文京支部と小石川えん罪事件の再審を支援する会の共催で、現場再現実験学習会が開かれ、33名が参加しました。
この事件は、2002年に東京・文京区小石川のアパートで高齢女性が殺害された強盗殺人事件です。犯人とされた伊原さんは当時21歳で、同じアパートに住んでいました。伊原さんは警察の暴力や強引な取り調べでうその自白を強いられ、裁判では無罪を主張しましたが、無期懲役の有罪判決が確定し、現在、千葉刑務所で服役しています。
会場には、犯行現場の4畳半と同じ寸法の図面シートが床に引かれ、実物大の被害者の人形、タンス、椅子などを配置しました。弁護団の野嶋真人弁護士、伊集院剛弁護士が講師となり、警察の強引な取り調べで作られた「自白」の「犯行」はどうように行われたのかを、支援する会の男性が犯人役となって再現しました。
この中で、➀狭い4畳半で被害者の女性が流しに立っているのに、盗みに入る不自然さ、②引き倒して口にタオルを押し込んで殺害したとされるが、椅子が邪魔になって出来ない等、客観的な状況と「自白」が矛盾していることが明らかになりました。
また、弁護団が再審請求審での新たな証拠として、①タオルからは伊原さんのDNA は発見されず、真犯人と思われるDNA が発見されたこと、②被害者の衣類からも伊原さんの衣類の繊維片は発見されていないことなど、伊原さんが犯人でないことを示していることが説明されました。
参加者からは多くの質問や意見が出され、えん罪であることがよく分かったと感想が寄せられました。続いて支援する会から提起があり、結成2年で未だ多くの人に知られていないことから、事件の真相を広めること、署名を集めること、伊原さんへの激励の手紙を書くこと、支援する会への入会等が訴えられ、5名の方が新たに入会されました。
6月8日には事件を語りながら現場となった小石川を歩く会の計画もあり、さらに支援を強めることが確認されました。(支援する会・芝崎孝夫)

関西えん罪事件連絡会

冤罪なくそうと250人参加

「たんぽぽの会」(関西えん罪事件連絡会)集会 part12 開催

関西えん罪事件連絡会「たんぽぽの会」は、5月25 日、京都府南丹市の国際交流会館コスモホールで「なくそうえん罪 救おう無実の人々 関西市民集会 part12」を開催しました。市民約250 人が参加し、えん罪当事者や家族のトークやライブなどの訴えに大きな共感の拍手を送るとともに再審法改正などえん罪犠牲者を生まない司法改革運動へ決意をかため合いました。

当事者の訴えに目頭熱く

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第1部はトーク「西岡廣子さんとたんぽぽの仲間たち」で、3000 万円横領の犯人とされながらえん罪を晴らすたたかいをつづけている西岡さん、奈良県香芝市で強制わいせつの犯人にされた中南源太さんの母親の真理子さん、東住吉えん罪事件で再審無罪判決を勝ち取った朴龍晧さんの母親の李文子さんが、たんぽぽの会のはじまりや励まし合い助け合ってきた活動を語りました。「犯人をつくる警察、検察に、えん罪がわからない裁判所、どうしたらいいのか、悩んでいるときに、同じ当事者や仲間のアドバイスでどれほど助けられたか」(西岡さん)、息子は事件の発生した時刻は家で家族と一緒にテレビをみていた。何度言っても信じてもらえず有罪が確定し服役した。悔しくてくやしくて、何も手につかない、どん底にいたとき、面会や励ましの言葉をかけてくれたのが西岡さん。くじけずにすんだ。その集まりがたんぽぽの会の活動だった」(中南さん)、「息子は裁判やり直して無罪となり今元気に社会復帰したけど、それまであらゆるところへ訴えに出かけた。特に京都へは西岡さんが声をかけてくれてたくさん訴えに出て、支援してもらった。私の気持ちをよくわかってくれ、悩みも聞いてもらった。落ち込んでも元気をとりもどして活動できた」(李文子さん)、声を詰まらせての話に会場でも目頭を押さえる人もありました。

絶望から一転、再審の道開けた

昨年再審開始決定を勝ち取った滋賀・日野町事件の阪原弘さんの長男・弘次さんは、「再審請求中、刑務所で父が死亡したとき、家族は失望し再審はやめてしまおうかとも思ったが、たくさんの人に励ましでもらい、たたかいがつづけられた。再審開始決定を得ることができた。大阪高裁で早く検察の異議申し立てを棄却させたい」と決意を語りました。
再審開始が確定し、大津地裁で再審裁判が始まったばかりの湖東記念病院人工呼吸器事件の西山美香さんも、「最初は絶望ばかりで、再審裁判ができるなんて思えなかった。支援してもらい、交流してえん罪は私だけでなく多くの人が同じ苦しみを抱えていることを知った。まだ無罪判決をもらった訳でもない。無罪判決の署名への協力をお願いします」と述べました。

再審法改正の実現に力を合わせよう

第2部の「えん罪撲滅ライブ―歌と語り」では、一転楽器の奏でるハイテンポのリズムで、SUN-DYUさんの3人グループ:マイクサンライフが舞台一杯のアクションと歌を響かせました。SUN-DYU さんも泉大津コンビニ窃盗事件で身に覚えのない逮捕を受け裁判中にコンビニのドアの指紋が事件時のものでないことを「オカン」が発見、無罪となったと語り、無実を知っていて有罪にしようとした警察・検察を相手に裁判をしたことを語りました。同じく、茨城・布川事件の桜井昌司さんも無罪確定から責任追及裁判を起こし2日後び判決がだされることを、青木惠子さんとともにトーク。その悔しさ、悲しさを詩にし、歌にしたとして、最後にピアノの生演奏に合わせ桜井さんが「かあちゃん」「ゆらゆら春」を披露し大喝采を浴びました。
「再審法改正運動」の取り組みも閉会のあいさつと運動への呼びかけを兼ねて、関西大学教授の里見繁さんが、再審法改正をめざす市民の会が 20 日に結成され、「いよいよえん罪犠牲者を早期に救済しえん罪を防止するルールづくりの活動がはじまった」と報告、実現に取り組んでいこうと呼びかけました。最後に「たんぽぽアピール」を万雷の拍手で確認し、テーマソングの「たんぽぽ」を全員で大合唱して散会しました。
集会終了後は、会場の熱い思いを市民にアピールするスタンディングに移動。真夏日の炎天下、国道9号線宮前交差点に陣取り、プラスターや横断幕を掲げ、ハンドマイクでたんぽぽ集会の成功を伝えるとともに、地元の長生園不明金事件の真相究明とえん罪への救済を訴えました。(京都・橋本宏一)

●鹿児島・大崎事件

「一緒に再審の法廷に」

92 歳の誕生日にたたかいの決意誓う
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6月15日の原口アヤ子さんの92 歳の誕生日を前に祝う会を6月7日入院先の病院内 フロアーで行いました。
支援者6 名、弁護団5 名、マスコミ関係者10名ほどの参加でした。
車いす上の原口アヤ子さんは、支援者からプレゼントされた白い帽子を着用、血色も良く話すことはできませんでしたが口を開き「アー」と声を出し、呼びかけにもしっかりとした表情でした。頭ははっきりしていますが表現のできないもどかしさがひしひしと伝わってきました。
第二次再審請求の時、「私は罪をかぶったまま死ぬことは絶対にできません」と訴えられました。現在もその強い気持ちを貫いて執念で一刻一刻を生きておられます。
森雅美弁護団長は、昨年3月12日に再審開始決定が出たが、こんなにも最高裁決定が長引くとは思わなかった」と述べ、鴨志田祐美弁護団事務局長は「再審開始の知らせがなかなかできず、心苦しい。必ずや一緒に再審公判の法廷に行きましょう」と語りかけると、アヤ子さんはゆっくりうなずきました。弁護団からは花束が贈呈され支援者からのケーキでハッピーバースデーの歌をうたい祝いました。支援者は更に、バラ模様のバスタオルとピンクのタオルをプレゼントし、「必ず本物のお祝いのバラの花束を渡したい」と語りかけると口を大きく開けて喜ばれました。
みなさんに書いて頂いた寄せ書きと、「アヤ子さんの声を聞きたい」と書いた色紙もプレゼントしました。
めざす会としては、「アヤ子さんが無事に92 歳の誕生日を迎える事ができて本当に嬉しい。今後も見舞いに行き励まし続けます。署名をもっともっと集めアヤ子さんがはっきりされているうちに1 日も早く再審無罪を勝ち取るため力を合わせ頑張りましょう」と訴えました。(大崎事件原口アヤ子さんの再審をめざす会 稲留淳子)

ご案内 豊川幼児殺人事件 第4回全国現地調査

豊川市内の幼児の誘拐、殺人事件の犯人とされた田邉雅樹さんが再審を求めている豊川幼児殺人事件で、下記の日程で全国現地調査をおこなわれます。
今回の全国現地調査では、事前学習として弁護団から「刑事再審制度と今回の決定について」の報告を受けるとともに、再審請求活動を行う中で新たに浮かび上がってきた「真の投棄場所であった可能性が相当程度ある」と考えられる場所にもご案内する予定とのことです。
 ◆日 時 2019年8月3日(土) 13:00~18:10 (受付12:30~)
 ◆会 場 豊川市勤労福祉会館 1階:視聴覚室(「事前学習」) 愛知県豊川市新道町1-1-3
 ◆参加費
  ①13時~18時10分までの現地調査のみ参加される方 1.500円
  ②昼食(12時~13時)の弁当を予約注文される方 700円
  ③夕食交流会のみ参加される方 4,000円
  ※参加費は、①~③の参加部分の合計になります。午前中の総会は無料です
 ◆締め切り 7月20日(土)必着でお願いします。

 今後の主な日程 

▼6月25 日(火)あずみの里「業務上過失致死」事件裁判学習会 午後6時、東京・平和と労働センター2階
▼7月6日(土)なくせ冤罪!市民評議会第7回定期総会 午後2時、東京・日比谷図書文化館4階小ホール 記念講演 市川寛弁護士 (元検察官『検事失格』著者)、特別報告 井浦謙二弁護士(布川国賠弁護団事務局長)
▼7月16(火)兵庫・花田郵便局国賠 (午前10 時30 分、神戸地裁204 号法廷)
▼7月25 日(木)名張毒ぶどう酒事件要請行動 午後1 時30 分=名古屋高裁、3時=高検
▼7月26 日(金)北陵クリニック事件全国集会(午後1時、衆院第二議員会館第一会議室)、弁護団報告 阿部泰雄弁護士、午前10 時、最高裁独自要請行動(午前9 時50 分、最高裁西門集合)
▼8月3日(土)豊川幼児殺人事件全国現地調査 午後1 時、豊川市勤労福祉会館 参加費1500 円 申し込みはファックス0533-75-4064
▼8月23 日(金)名張毒ぶどう酒事件要請行動 午後1 時30 分=名古屋高裁、3時=高検
▼8月31 日(土)死刑をなくそう市民会議設立集会 午後1時30 分~5 時 東京・明治大学リバティーホール 問合わせ☎03-3294-3366(事務局)

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